銀英伝考察3−Pへ | 銀英伝考察3−Rへ |
No. 3728 | |
Re:移動要塞の技術問題について 抄訳紹介関係まとめレス | |
古典SFファン | 2003/02/23 12:08 |
> 普通に「氷にエンジンを取り付けたから」じゃないですかね、正直な行いは「無断伐材の告白」でなくとも「ワシントンのような」と評されるがごとく。 この点に関しては互いに、推測という事ですね。 正否を決定する材料がないようです。 > > それと、作中でイオン・ファゼカスは同盟まで航行していません。 > > 同盟の祖先たちは、「無名の惑星の地下に潜み」50隻の船を建造しています > > そのようですね、御指摘感謝。 > しかし宇宙は広いですよ、隣の恒星系まで何光年あることか 球状星団や銀河中心付近でもない限り、星の平均距離が半光年などというのは珍しいです。 アルタイルの地球からの距離は16.774光年。 このくらいの距離だと、星の平均密度は太陽系近辺とそんなに変わりません。 地球の場合、最短距離のアルファ・ケンタウリが4.5光年。 シリウス、バーナード星、タウ・セティ、ウォルフ359など、かなり有名な隣人たちは「数光年以上、10光年前後」に散らばっています。 見たところ、アルタイル周辺に目視出来る星はマップされてないので、例外的事情がない限り、「数光年以上、10光年前後」に最低幾つかの恒星系が分布していると言う推定は可能です。 (太陽系からの場合、15光年くらいまで範囲を広げると、十数個の恒星系がその中に入るはずです) > > イオン・ファゼカスは、作中でもあまり遠くまで航行していないのです。 > > イオン・ファゼカスがどのくらいの距離を航行したかという記述は作中にありません。 > > 光速で移動して何回を帝国艦隊に空域哨戒をかけられる利点は何かありますか? ありません。 当然ながら、ワープできるなら「ワープのほうが良い」です。 「大質量ワープの方法は帝国がヤンたちの時代に開発するまで、そもそも存在しなかった」というのが、推定の柱の1番なので、 それが崩壊するようであれば、当該推測は崩壊します。 > 同盟建国者の脱出と建国、帝国からの発見と帝国暦にウラシマ効果的な描写が作中にない理由はワープ航法で同じ時間軸を歩んだからじゃないですか? それは、あり得ます。 作中の記述から推して、「大質量ワープが使えなかった」という推定の方が重いので、亜光速と考えているだけです。 > 普通に考えて辺境流刑惑星でまだしも入手できるエンジンかその技術といえば既に有効利用方法が限定される光速航行エンジンではなく民需でも広域に使用されるワープエンジンじゃないですか? イオン・ファゼカスは普通じゃありません(−−;; ヤン達の時代の宇宙船のサイズから見ても超巨大です。 少なくとも、作中にサイズが記されている宇宙船であんな巨大なものは他にありません。 エンジンが手に入ったとしても、普通のエンジンを普通に設置しても大質量ワープが出来ないのは作中にきっぱりと書いてあります。 同調させる技術が必要で、それはシャフトが開発したものです。 同調など必要なく、普通のエンジンをたくさん設置しただけで良いならば、銀英伝3巻の時点でのシャフトがラインハルトにその技術を持ち出して来る意味がありませんし、 過去からその技術が存在したのであれば、そも、イゼルローン要塞だって、わざわざ危険を犯して前線に何年も掛けて建造しなくても、 最初から移動要塞として建造することが可能であったはずです。 というより、「移動要塞有利」「無限補給」「大質量長距離ワープ可能」という条件が揃っていて、帝国がそうしない理由がわかりません。 それこそ、複数の移動要塞に巨大な数の艦隊を詰め込んで運び込み、 同盟を簡単に壊滅させる事が出来たはずです。 ・・あるいは、移動要塞がそれほど有利でなかったのかも知れませんが。 以上の理由から、「大質量ワープ技術はなかった=イオン・ファゼカスはワープ船ではない」と、現時点では私は考えます。 |
No. 3729 | |
詭弁をまだ続けるか! | |
パンツァー | 2003/02/23 12:09 |
☆詭弁をまだ続けるか! この一連の議論の発端は、No3625「まとめ」にあります。 No3625のKenさんの記載 <おそらく、私の論は、肯定・否定の対象となる以前に、非常に分かりにくかったのではないか、と思います。> 上の記載で始まるKenさんの論旨は、下のようなものでした。 No3625のKenさんの記載 <そして、私は、冒険風ライダーさんの論旨に対して、 <「証明した」「立証した」といいながら、やっていることは、すべて帰納じゃないか。証明じゃなく類推じゃないか。 と言い続けていたのです。不沈戦艦さんは、私が「・・・かもしれない」という議論ばかりしていると言われました。当然です。私は帰納ではなく演繹を行うことを求めていたのですから。演繹とは(つまり証明とは)、「・・・かもしれない」という疑義の存在を許さないものです。> つまり、演繹で証明せよ、という話です。 No3706のKenさんの記載 <了解しました。私の#3625での発言は、たしかに要塞のみならずすべてのものに演繹証明を求めている、と解釈されてもしかたがありません。私の自覚としては「詭弁」を弄したというより、艦船のことなどまったく念頭になかったのですが、論理的には矛盾があり、詭弁と言われても反論できないでしょう。ご迷惑をおかけしたパンツァーさんと冒険風ライダーさんに、謹んで謝罪をさせていただきます。> ここで、 「たしかに要塞のみならずすべてのものに演繹証明を求めている、と解釈されてもしかたがありません。」 と書いて、Kenさんは、自分の真意が別にあることを仄めかしているわけです。 No3706のKenさんの記載 <艦船には求めない演繹証明を、恒久移動要塞に求めることは、不当ではありません。理由は簡単です。銀英伝世界の宇宙船の移動には、帰納を行うに十分な例証があるが、恒久移動要塞には貧弱きわまるものしかないからです。帰納ができないものを証明しようとするなら、残る手段は演繹しかありません。それができないなら、仮説そのものを撤回すべきです。> このような論理を展開して、 「艦船には求めない演繹証明を、恒久移動要塞に求めることは、不当では」ない、 としているわけですが、笑止ですね。 上の記載で、Kenさん自身が、 <「証明した」「立証した」といいながら、やっていることは、すべて帰納じゃないか。証明じゃなく類推じゃないか。> と書いているんですから。 少なくともこの時点では、「帰納ができないもの」とすら、考えてないわけですよ。 下手な言い訳、およしなさいよ。 素直に認めたほうが、傷が浅くてすむと思いますがね。 大体、Kenさんは、銀英伝世界に登場するテクノロジー一般について、演繹証明が成り立つとでも、未だ考えているのですか? Kenさん、あなたは、相当程度意図して、「詭弁」を弄したのですよ。 このわけの分からぬ言い訳は非常に不愉快です。 酷なようだが、Kenさんがはっきりと「詭弁」を意識して弄したこと、を認めていただきましょう。 ☆仮説そのものを撤回? No3706のKenさんの記載 <艦船には求めない演繹証明を、恒久移動要塞に求めることは、不当ではありません。理由は簡単です。銀英伝世界の宇宙船の移動には、帰納を行うに十分な例証があるが、恒久移動要塞には貧弱きわまるものしかないからです。帰納ができないものを証明しようとするなら、残る手段は演繹しかありません。それができないなら、仮説そのものを撤回すべきです。> Kenさんの言う「証明」が不完全に終わったからといって、「仮説そのものを撤回」などという話になど、ならないでしょう。 うまくいって、「移動要塞論」は必ず成立するとは断言できない、程度ですよ。 Kenさんがどんなに頑張っても、ここまでしか持っていきようがないのです。 大体、Kenさん自身が、「移動要塞論」の妥当性を相当程度認めているではありませんか。 |
No. 3730 | |
Kenさんの投稿姿勢に対する警告および注意 | |
パンツァー | 2003/02/23 12:11 |
☆Kenさんは私の書いた文章をきちんと読んでいますか? 他投稿で詳しく指摘しますが、文脈を無視した回答が多々みられますね。 私の投稿内容が、Kenさんの世界観にとって脅威なのは、多くの投稿からよく理解できますけれども、だからと言って、何を言ってもいいというわけではないでしょう。 それとも、この討論には、ついていけてないのではありませんか、Kenさんは。 私の書いた文章を理解できていない部分が多々ありますね。 もちろん、私の文章の読みにくい部分というものもあるでしょう。それは私の側の非であるとしても、誤解しようのない部分を、誤って理解している、もしくは、正確に理解したがらない個所が多々存在するように見受けられます。 特に、他投稿で説明する「☆相手の文章を読んでないA」などは、どうしてそんな勘違いをするのか、理解できない。 また、このようなミスは、私の投稿内容に対して一々回答を行うということで、かなりの部分、防止することができます。相手の投稿内容に対して自らの回答を書き記すことで、自分自身の考えも整理されてくるというものです。 私はね、Kenさん、あなたの文章の添削指導者ではないのですよ。 ☆Kenさんの「言いがかり」には、根拠があるのか? それから、私の投稿内容に対して今回は、さんざん「詭弁」だのなんだのと、「言いがかり」をつけてくれていますが、それは根拠があってのことですか? (イ)「詭弁」等に関して 私がKenさんに対して「詭弁」であり「言いがかり」であるといったのは、 No3684で私が以下述べたように、 <(少なくとも現時点では)この証明ができない以上、Kenさんは、証明方法として妥当でない方法を、しかも自分自身で妥当でないと(現時点での私の推測では)承知している方法を、冒険風ライダーさんに、強いたのですよ。> という根拠に基づいてのものですよ。 言うなれば、ダブルスタンダード(二重基準)を用いている態度が、卑怯だ、といっていたのですよ。意味わかってます? 1.証明方法として妥当でない方法を、しかも自分自身で妥当でないと(現時点での私の推測では)承知している。 2.人(冒険風ライダーさん)に、妥当でないと承知している証明方法を強いる。 これが、ダブルスタンダードだといっているのです。 私は、単に、論証の根拠が薄弱だとか、そんなことを指して、「詭弁」だといっているのではないのですよ。現に、Kenさん、あなた以外の討論者に対して討論を行うに際し、その論拠を打ち破る際に、「詭弁」などという用語は使っていません。Kenさんに対する他の部分の反論でも、使ってないでしょう。 論証の根拠が薄弱であること自体は、ダブルスタンダードを用いる卑怯な態度とは、まったく異なるものであって、それ自体を咎める必要はないからです。 どういう根拠で、私の投稿内容が「詭弁」なのか、はっきり教えていただきたいですね。単に、Kenさん、あなたの意に添わないだけ、などという愚劣な回答をよこさないで欲しいものです。 これに対して、ダブルスタンダードであるか否かは、客観的に評価できるでしょう。それだけに弁護の余地がない。まあ、一つ、うまい回答を考えてみるんですな。 (ロ)「愚劣」に関して また、「愚劣」といった表現を私が用いた部分は、Kenさんによる、エアバスや北朝鮮のミサイルを用いた比較部分ですよ。 この比較例が、一目瞭然の欠陥を含んでいるから、「愚劣」だと言ったのですよ。 これも、この比較例を私が「愚劣」だと断じた際に(もしくは今回の投稿時に)、効果的な反論を行っておけば、私の主張を根拠ないものとできたのです。 (ハ)Kenさんの言う「詭弁」等の表現は、どのような根拠があるの? 私は、(イ)に関しては、ダブルスタンダードであることを指して「詭弁」と断じました。 (ロ)に関しては、Kenさんの掲げる比較例が、間違いなく不適切であることを根拠をもって示し、「愚劣」であると断じました。 どちらも、客観的に評価できる内容に基づいて、結論を導いたものです。 是非とも、Kenさんの言う「詭弁」等の表現に関して、客観的に納得のいく根拠を示して欲しいものですね。 ☆要望事項 (ア)私の文章をよく読むこと。 文脈の流れを把握して、反論をしてください。 二度、三度読めば、改善できるはずです。 (イ)私の投稿内容に、一々回答すること。 私の投稿内容に答えてないせいで、Kenさんが見当違いの質問を発している部分が多々あります。エアバスの話や北朝鮮のミサイルの話などが好例でしょう。 実際に一々回答を書いてみれば、自分の考えも整理されて、また、私の論旨もよく理解できるはずです。 私に過大な負担をかけないで頂きたい。 No3669およびNo3685の記載に対して個々の回答を、Kenさんがしていれば、回避できている部分は多々あります。 今からでも、No3669およびNo3685に対して、Kenさんが回答していない部分について回答してください。 (ハ)新たな反論等は 上の(イ)および(ロ)を満たしてから、新たな反論を展開してください。 (二) それから、投稿を別投稿に分離しているのは、内容が異なるためです。 議論の拡散は、好ましくありません。 このように、枝毎に議論に決着をつけた方が、面倒がなくてよいでしょう。 |
No. 3731 | |
今回のKenさんの投稿内容に対して個別に対応 | |
パンツァー | 2003/02/23 12:12 |
☆相手の文章を読んでない@ > 了解しました。私の#3625での発言は、たしかに要塞のみならずすべてのものに演繹証明を求めている、と解釈されてもしかたがありません。私の自覚としては「詭弁」を弄したというより、艦船のことなどまったく念頭になかったのですが、論理的には矛盾があり、詭弁と言われても反論できないでしょう。ご迷惑をおかけしたパンツァーさんと冒険風ライダーさんに、謹んで謝罪をさせていただきます。 > > 艦船には求めない演繹証明を、恒久移動要塞に求めることは、不当ではありません。 > > 理由は簡単です。銀英伝世界の宇宙船の移動には、帰納を行うに十分な例証があるが、恒久移動要塞には貧弱きわまるものしかないからです。帰納ができないものを証明しようとするなら、残る手段は演繹しかありません。それができないなら、仮説そのものを撤回すべきです。 前回も言いましたよね。 <冒険風ライダーさんをはじめ、私も含め、この討論に参加している多くの討論者は、一つの「帰納」から、「結論」を導いているわけではありません。「帰納」によって導かれた「結論」を前提として、複数の「帰納」による「小結論」を「前提」として、「大結論」を導いているものです。これらの「小結論」の導出に際しては、「演繹」的に導かれている部分もあるでしょう。> この部分を読みましたか? これを否定すべき根拠でも発見しましたか? 「銀英伝世界の宇宙船の移動には、帰納を行うに十分な例証があるが、恒久移動要塞には貧弱きわまるものしかない」 こんなことぐらい、すぐ言いそうだから、わざわざ、誰でも分かるようにきちんと説明を追加しておいたのですよ。単一の帰納で説明する必然性など、どこにもないと。 大体、同種の内容に関しては、No3669にすでに記載しています。 <艦船の証明が終わっている時点で、 質量とエンジン出力に対する関係が導かれているのです。 同じ艦船であっても、質量の大きなものもあれば、小さなものもあるのです。 したがって、単純に考えれば、「物体の移動」に関する信頼性に値する理論が存在する上で、「質量」に関する一変数が相違するだけなのです。> エアバスや、北朝鮮のミサイル、を例に取った愚劣な比較例については、論破しました。それに対する納得のいく回答もない以上、これに関する有効な反論は行われていないのですよ。自覚していますか? これも、私の投稿内容に対して、一々回答していけば、未然に防がれたであろう問題ですね。もっとも有効な反論ができるかどうかは別だが。 相手の文章を読みもしない人間の反論に付き合わせないで頂きたい。 そして、きちんと納得のいく反論を展開してくださいね。 ☆相手の文章を読んでないA > >こんな方法が適用できるなどという結論が一人歩きされたのでは、たまったものではありません。 > > わずか一つの事例をもって、「帰納した」の「立証した」のという結論が一人歩きしたら、地道な観察を積み上げることで、本物の帰納をしたブラーエやケプラーは、たまったものではありません。 「こんな方法が適用(中略)ありません」の部分は、 No3684で、 「☆Kenさんのいう「演繹」について」 という括りで論じている部分の記載ですよね。 どう読んだら、これが「帰納」に関する話だと誤認するのですか? 読解力のなさを自覚してください。 これは、間違えようのない部分ですよ。わざわざ別投稿にして、Kenさんのいう「演繹」に関する部分を取り出して、その結論を書いた部分なのであるから。 相手の文章を読む能力がないのなら、投稿止めたら如何です? Kenさん、あなたには、通常の議論を行うだけの能力が著しく欠けているのでは? この部分に関しては、間違えようのない部分だけに、こんな「言いがかり」を受けることがまったく信じられない。 「本物の帰納をしたブラーエやケプラー」に言ってやったらどうですか。「演繹」を適用しないあなた方には、証明を論じる資格はないって。Kenさん、あなたの論法では、そういうことになる。 (「演繹」など適用できるはずがない(パンツァーの意見)の否定は、「演繹」が適用できる(「演繹」を適用すべき)、となるでしょうが) ☆相手の文章を読んでないB <第一、それはイゼルローンの食糧生産・貯蔵能力を大きく凌駕していた> (中略) > こんなモノの、どこが「根拠」ですか。 > > 40兆トンを越える質量を宇宙のあちこちへ引っ張りまわすことと、上の記述と何の関係があるのですか。上はすべて、静止要塞の自給を述べているだけではないですか。 私が上記前半の内容を回答したのは、No3671のKenさんの以下の記載に対してです。 > でもそれには理由があります。今回の議論に対する私のスタンスは、「恒久移動要塞が可能と断じるにも、不可能と断じるにも、銀英伝の記述は不十分」というものです。これに対して、冒険風ライダーさんのスタンスは、恒久移動要塞の現実性やそのベースとなる「無限の自給自足能力」は銀英伝世界において、存在が「立証」されている、というものです。冒険風ライダーさんは、銀英伝世界では、恒久移動要塞や無限の自給自足システムができるかもしれないという「可能性」を指摘されたのではありません。それ以外に解釈のしようがない、と言われているのです。 ここでいう、「そのベースとなる「無限の自給自足能力」」のことです。 これは、静止要塞のことを指すものではありませんか。 (静止要塞が無限の自給自足であることに同意しない人がいるにせよ) 私は意図して、静止要塞の「無限の自給自足能力」について記載したのですよ。 文章の流れを理解していますか? 思いつきだけで反論されたのでは、こっちが迷惑ですよ。 念のために補足しておきましょうか。文章添削員として。 「恒久移動要塞」は「静止状態での生産等」および「移動」に際して、「無限の自給自足能力」を有していますね。 ここで、「無限の自給自足能力」という語に、「静止状態での生産等」および「移動」の双方での無限性という意味を与えると、 「恒久移動要塞」と「無限の自給自足能力」とが、ほとんど同一の意味となるではありませんか。対等なものを指して、「そのベースとなる」という表現が、まずおかしくなるのですよ。 そもそも、Kenさんとしては、「恒久移動要塞の現実性」で「移動要塞論」を示し、(静止要塞における)「無限の自給自足能力」の論証が未だ不確実だ、と言いたかったのではないのですか? 私はこのように推測しますがね。 それとも、静止要塞における「無限の自給自足能力」に関しては、同意したのですか? まあ、どう答えても、まずい答えにならざるを得ないですがね。迂闊に回答するから、このようなことになる。 ☆論旨に応じた使い分けか?(例のごとくの不適切な比較例に相当) > 50年無補給で活動できる → 半永久的に機能し続ける → 無限の自給自足能力をもつ → 移動要塞が無限に活動する > > はじめは「50年」だったのが、「半永久」にすりかわり、やがて「無限」の自給能力をもつことになりました。さらには、すべて「静止要塞」の話だったのが、移動のエネルギーなど完全に無視して、「恒常的に動く」要塞でも同じことができることになりました。ひとつの表現から次の表現へ転じるとき、演繹はもちろん帰納すら行われてはいません。すこしだけ意味の似ている言葉に順に置き換え、前提から超絶飛躍した結論へもっていったのです。 はじめは「50年」なんて誰も書いてないでしょう。作中人物の会話により、50年は間違いない、と判断されるというだけで。一体、冒険風ライダーさんが、50年といったような限定をそもそも加えていましたか? ポイントは、「無限の自給能力」と「航行における燃費の皆無」 とがあって、これを組み合わせると、 「移動要塞」ができる、という話です。 冒険風ライダーさんの主張内容(Kenさんが同意するかどうかを別にして)自体を、曲げるのは、およしなさいよ。 また、冒険風ライダーさんは、「移動のエネルギーなど完全に無視」など、していませんよ。この点(移動のエネルギー)に関しては、「艦船の移動に際して、燃費の問題は無視できるものとなっている」といった趣旨の主張をされています。 大体、下で、Kenさん自身が、これに対応する表現として、「2.燃料補給の心配がない艦船の長距離移動」などという引用をしているではありませんか。自分の記載内容を忘れましたか? 冒険風ライダーさんが、「移動のエネルギーなど完全に無視」などしていないことを、Kenさん自身が認めている記述があるだけに、論旨に応じた使い分け、を行っているとか見えませんね。 ☆前提に対する比較例自体はまともだが > 恒久移動要塞の成立に必要な2つの要素、つまり大質量の移動と無補給の長距離移動を「立証」する根拠として、 > > 1.質量234兆トンのイオン・ファゼカス > 2.燃料補給の心配がない艦船の長距離移動 > > が、ことあるごとに持ち出されました。2つの要素の片方だけ成立する事例を1つずつもってきて、それが、2つ「同時に」成立することの証拠にされてしまいました。燃料のいらない帆船で世界を周航したマゼランと、20万トンのタンカーとを例に挙げ、タンカーが風の力で地球を一周できることになりました。 この比喩においては、さしずめ、帆船が2の艦船で、タンカーがイオン・ファゼカス号ですか? そうすると、イオン・ファゼカス号には、燃料補給の心配がある、と。 (イ)イオン・ファゼカス号における「無補給」 銀英伝1巻P15下段8行目 <絶対零度の宇宙空間でドライアイスが気化する懸念はない。動力部や居住部からの熱を遮断することさえできれば、かなりの長期間にわたって飛行が可能である。そしてその間に、星間物質や無人惑星に恒星間宇宙船の材料を求めればよいのだ。何も飛び立った船でそのまま飛びつづける必要はない。> ここで、イオン・ファゼカス号の航行に関して懸念されているのは、熱による船体(ドライアイス)の損壊だけであって、航行の燃料や食料の不足の心配ではありません。 また、恒星間宇宙船の建造に際して、「星間物質や無人惑星」が必要としているだけです。 つまり、長期間飛びつづけるための燃料や食料に関しては、自給できるとしか推測できないのです。そもそも、食料や燃料に限界があるのに、僥倖を期待して勝負に出たのであれば、ここで特筆すべきは(作者が書くべきは)、船体の損壊よりも、補給不足の方でしょう。 この種の記載がないということは、補給を重視する銀英伝の趣旨から考えても、イオン・ファゼカス号が自給自足能力を備えている、という結論に有利です。 (ロ)イオン・ファゼカス号の駆動手段 銀英伝1巻P15下段20行目 <銀河帝国軍の執拗な追撃と捜索をかわして、彼らは無名の一惑星の地下に姿を隠し、そこで八〇隻の恒星間宇宙船を建造すると、銀河系の深奥部に歩を踏み入れた。そこは巨星。矮星、変光星などの危険が満ちた巨大な空間だった。> 以前の投稿で、これを指して、出発したアルタイル第七惑星から「無名の一惑星」までの距離が、半光年以下かもしれない、という仮定を、Kenさんは述べていましたよね。 仮に半光年以下だとしても、それは結果論であって、当初から半光年の距離を予定して旅立ったわけでもありません。 そして、冒険風ライダーさんは、「銀河帝国軍の執拗な追撃と捜索をかわ」す以上は、短距離ワープくらいは可能であったに違いない、と述べていますね。 つまり、イオン・ファゼカス号には、通常航行エンジンに加え、ワープエンジンも備えられていた、と考えるのが妥当となります。 上記1(イオン・ファゼカス号)・2(艦船)のどちらも、同じエンジンを備え、燃料補給の心配がないとしたら、 「2つの要素の片方だけ成立する事例を1つずつもってきて、それが、2つ「同時に」成立することの証拠にされ」た、 には当たらないでしょう。 ☆物理法則の適用? > ところが「肯定派」はそこから大きく踏み出し、銀英伝世界はファンタジーの世界であるとして、否定派が「自分の」仮説を支持するため既知の物理法則を持ち出すのも禁じ、それをやれば「銀英伝世界の破壊」と決め付けました。物理法則に関する記述がないのを幸い、「銀英伝世界は、我々ファンタジー軍が占領統治する」と一方的に宣言したのです。 分かってないようですね。 ワープエンジンの原理も不明な以上、勝手な物理法則の適用もできないではありませんか。 40兆トンのガイエスブルグ要塞がなぜ、12基のワープエンジン(戦艦等にも用いられている汎用?)で駆動できるのか、既知の物理法則とやらで説明がつくわけもないでしょう。 そして、勝手に「既知の物理法則とやら」を適用するとなれば、それは明らかに銀英伝世界からの逸脱でしょう。 これ自体は、大体、銀英伝を舞台に議論を行う上での、客観的な議論の前提に過ぎますまい。 ☆討論者としての態度 > >意図的かどうか知りませんが、記載事実を曲げるのは、歓迎できないですね。 > > 私は、銀英伝の本伝十篇と外伝三篇(外伝2は読んでる途中)を読み、艦船の質量に関する唯一の記述を紹介したのです。「記載事実を曲げる」とは、どういう意味でしょうか?私が数字を改変したといいたいのですか?それとも、より信頼性のある数字を見つけたのですか? > >ちなみに、艦船が(質量数万トン以下の構造物)であるっていうのは、作品中のどこかに記載されていますか。 > > おっしゃるとおり、「数万トン」というのは私の勇み足でした。 > (中略) > どちらも輸送艦で、前者は20万トン、後者は10万トンです。 > (略) 本の相違による記載内容の違いが存在することは、私も存じませんでした。 しかし、この点を除いても、弁護の余地のないことを記します。 艦船が(質量数万トン以下の構造物)である、と書いたKenさんの記述に対して、根拠があるかと私が問えば、「20万トン、10万トン」という例を示したのですよね。 意図的(20万トン等をKenさんが知っていた)か、どうかは知らないが、 記載事実を曲げる(少なくとも一桁低めに質量を見積もる)、と言っているのです。 記載事実に明らかに反することを堂々と主張したことを指して、記載事実を曲げると、言ったのです。ここまで言わないと分かりませんか? そして、私は、こういう「勇み足」をする態度が、信用できないな、と言ったのです。少なくとも、以後、引用は正確に願います、といった意味合いを含めて。 わざわざ自分の傷を抉らなくてもよかろうに。 ☆既知の物理法則を否定? > >そして、質量が重ければ、それに対応して、出力が必要となるだけです。 > >出力が不足すれば、加速に時間を要するというだけの話です。 > > なんですか、これは? > > 既知の物理法則を否定していたのが、一転して肯定することに決めたのですか?それとも、自分の主張の味方をしてくれる物理則なら、よろこんで採用するのですか? 銀英伝3巻P98上段10行目 <ある日、昼食の席で、ラインハルトはヒルダにそう語った。「質量が小さすぎれば、ワープに必要な出力が得られないし、大きすぎればエンジンの出力限界をこえる(以下略)」> 銀英伝3巻P99上段6行目 <「要塞を移動させることに関して、技術上、何ら問題はない。解決すべき点は、質量とエンジン出力との関係、ただそれだけである」シャフト技術大将は自信に満ちて断言したが、(以下略)> これらの記載を参考にして述べたまでのことです。 もしも、これらの記載と反していたならば、書かなかったでしょう。 何か問題がありますか? それから、「既知の物理法則を否定」とはどういう意味ですか? 私はそんなことを一度も述べたことはないが。 No3685 <☆「物理法則の適用を否定」って何? > 証明方法としては、物理法則の適用を否定される以上、 これも具体的には、何を言っているのか、定かではありませんね。 「物理法則の適用」とやらによる「艦船の移動」の証明を、まずやって欲しいものです。 私は例えば、「無補給」=エネルギー保存則の違反、したがって、「無補給」はありえない。といった論理展開に反対するだけです。 例えば、星間物質の取り込みや、観察中・・・さんとの議論からの推論からならば、工作艦によるヘリウム3の捕獲なども可能性として検討できると考えています。 いずれにせよ、「無補給」を可能とするテクノロジーや方法は、存在すると考えられるのです。> 私はNo3685でこのように述べましたが、これに対するKenさんの回答もないでしょう。 具体的に、「物理法則の適用を否定」とか「既知の物理法則を否定」とかで、何が言いたいのです。人に分かるように説明しなさい。 ☆中学生に論破されるあなたは誰ですか? > 大質量の加速には大出力と長時間が必要である・・・当たり前です。そして、そのことこそ、大質量の移動には大きなエネルギーを要するということではないですか。エネルギーは出力と時間の積分だと高校で教わらなかったのですか?それともまだ中学生ですか? これは何がいいたいのです。 私が、何か、上に書いていることに違反するようなことを書きましたか? 根拠なく、言いがかりを言うのはよして欲しいですね。 せめて、かけらでもいいから、根拠を示して欲しいものだ。 そして、私が中学生だとしたら、Kenさん、あなたは何者ということになるのです? つまるところ、小学生ですか? 私が基本的に、Kenさんの投稿内容に対して全面的に回答しているのに対して、Kenさん、あなたは部分的にしか回答していないのですよ。今回などまだましなほうで、まったく回答しないで逃げたことも多々ありますよね。 回答していない部分に関しては、全面的に私の指摘を受け入れたということですか? 自分の言葉(私を中学生という)で、自分が貶められていることを、自覚していますか? ☆エネルギー事情ねえ > 質量40兆トンの要塞と20万トンの輸送船を同じ速度まで加速すると、要塞の方が2億倍も多量ののエネルギーを使うのです。ここまで条件が異なるのに、艦船のエネルギー事情を、要塞に当てはめてなにをしようというのですか? (イ)補給源の補給の対象としては、最小でも一個艦隊とすべき まず、戦艦に関しても、20万トンが妥当かどうか定かでありませんが、この仮定で話を進めてみましょう。というのも、一桁ずれたら、もう話が大きく変わってくる程度の話なのです。 運動エネルギーは、速度の二乗に比例しても、質量の一乗に比例するだけですね。 つまり、質量の比較が、そのまま必要エネルギーの比較になるわけです。 輸送船は、2×10の6乗トン。 要塞は、4×10の14乗トン。 質量比は、2×10の8乗、すなわち、2千万倍ですね。 ここでも、2億倍としたKenさんの計算における、意図的かどうか不明の誤謬が発見されます。 さらに推論を進める必要があります。 艦船は、単艦で運用されるものではなく、艦隊規模で運用されるものです。 後方の補給源における補給の対象としては、艦隊規模のエネルギー消費が問題でしょう。 1個艦隊の隻数は、同盟であれば1万5千隻程度であり、帝国であれば2万隻程度ですね。 輸送船の質量に、1万5千から2万をかけると、 質量比は、1から1.33×10の4乗(10000倍から13333倍程度)まで下がります。 そして、大作戦(アムリッツアやラズナロック)においては、10個艦隊程度が動員されているわけですから、これをさらに10倍引き下げる必要性が生じます。 そうすると、1000倍程度にまでその差まで縮まります。 以上は、20万トンとした輸送船を基準とした場合の話なのですから、戦艦の重量がもっと重いとすれば、また桁が変わる可能性があります。 (ロ)移動化されたガイエスブルグ要塞に関して 銀英伝中では、食料補給の必要は示されていても、燃料補給の必要が示されてないですね。 ガイエスブルグ要塞に関しても、補給に、艦隊の場合に比して、特別困難視された記載が見当たらないわけです。 もし、 「ここまで条件が異なる」ので、「艦船のエネルギー事情を、要塞に当てはめ」ることができない、とでも言うのであれば、銀英伝中に、それに該当する記載があってもよさそうなものですが、そんなものは存在しないのです。 ☆自然科学者にすら要求しないことを 元の文章 <繰り返しますが、冒険風ライダーさんは、無限の自給自足システムに基づく恒久移動要塞を、「ひとつの」可能性として提唱されたのではありません。「唯一」の可能性として提唱されたのです。そして、そのことを根拠にして、銀英伝の二人の英雄を「愚か者」呼ばわりされたのです。このような主張をされる以上は、自分の仮説が銀英伝の記述と矛盾しないことを論ずるだけでは不十分です。自分以外の仮説が決して成立しないことまでも立証する責任があります。> > 私の文章力は貧弱かもしれませんが、いくらなんでも上記は誤読の度が過ぎます。「このような主張」とは、「自分はあることを証明した」という主張です。当然、自分以外の仮説が成立しないことを証明する責任があります。 なるほど、私の「誤読」ですか。認めましょう。 それから、「「唯一」の可能性として提唱」というのは、以前もKenさんの投稿中で見かけた気がしますが、根拠はあるのですか? 冒険風ライダーさんは、「唯一」だ、などと述べていますか。 大体、「自分以外の仮説が決して成立しないことまでも立証する責任があります」って、その根拠は何ですか? 例えば、ニュートンが、「自分以外の仮説が決して成立しないことまでも立証する責任」に基づいて、そんな立証を行いましたか? 個々の事例に当てはめてみて、他の論を打ち破るということはやったとしても。 冒険風ライダーさんは「移動要塞論」を提示したのですから、それに対する反例とでも言うべき事例を提示して、論の成否を問うのが自然ではありませんか? それとも、自然科学者にすら要求しないことを、またもや冒険風ライダーさんには、要求するのですか? |
No. 3732 | |
容積トンの可能性 | |
パンツァー | 2003/02/23 12:52 |
版や刷の違いで、内容が改定されている部分があるとは、まったく考えておりませんでした。 平松重之さんは、よく細かいところまで、気がつかれますね。 私の持っている銀英伝1は、ノベルズ版の53刷で、 該当部分は、 <五〇〇〇万人の九〇日分の食料といえば、穀物だけでも五〇億トンに達するであろう。> それから、今更ながら思い出しましたが、 海洋船舶の世界では、重量トンとは別に、容積トンという表現があって、輸送船等での積載容量の表示は、容積トンで行うのが一般的だったような。 http://www.pref.tottori.jp/doboku/kouwan/sinkoukai/o_mame.html もし、これを準用しているとすると、重量比較は無理ですね。 |
No. 3733 | |
Re:移動要塞の技術問題について 抄訳紹介関係まとめレス | |
古典SFファン | 2003/02/23 13:12 |
追伸: > 普通に考えて辺境流刑惑星でまだしも入手できるエンジンかその技術といえば既に有効利用方法が限定される光速航行エンジンではなく民需でも広域に使用されるワープエンジンじゃないですか? 実際問題として、作中でバサード・ラム・ジェットの技術がどう言うポジションにあったのかは、推定材料が少なすぎてなんとも言えません。 われわれが知っているのは、その技術が 「銀英伝2巻でヤンが使った時点では、特に作中に苦労した記述もなく、すぐに手に入った」 という事だけです。 ヤン達の時代、その技術は特に珍しいものではなく、艦隊の中にそれを扱える人間がおり、すぐにエンジンが建造設置出来る程度のものであったと言う事は、ここから判ります。 翻って奴隷階級が持っていた知識と技術の詳細を推測する材料は与えられていません。 少なくとも彼らには驚くべき短期間にイオン・ファゼカスを建造するだけのスキルがあり、 のちに、誰の助けも借りず恒星間宇宙船(これは前後の状況から判断してワープ船) までも建造する知識・技術があったことは、作中でもわかっています。 アルタイル脱出時に「入手」するのであれば、その辺にワープエンジンがあるはずですから、確かにワープエンジンが有利であったでしょう。 「普通に手に入るワープエンジンでは大質量ワープが出来ない」と、作中の3巻記述から、当方は推定しているのみです。 「建造」する場合、ワープエンジンとバサード・ラムのどちらが困難なのか、推定する方法がないのです。 バサード・ラムについては、現実世界のそれなら基本的にどういうものであるかは判っています。 しかし、それがあの世界で同じものであるかどうかは微妙で、ワープエンジンに至っては「なんだかよく判らん」ので、 どちらが建造困難であるかは「材料不足」と、当方は判断しています。 1.作中での当事の状況については、作者はそれほど細かく書き込んでいない(建国伝説なんですから、寓話的なのは当然かも知れませんな) 2.作中で手に入る材料だけからすると「大質量ワープ不可」の皿に比較的多くの材料が乗っかっている といったところです。 |
No. 3737 | |
Re:異議あり(逆転裁判風) | |
パンツァー | 2003/02/23 13:28 |
こんにちは、RAMさん > しかし、現実世界での言葉の修辞としても例えば軍港は艦船にとっての補給地 > (補給源)です。ですが、日本の場合は燃料を無限に供給することは出来ません。 > 石油自体が有限の物資だからというのであれば、仮に100年間補給出来るかと > いえば、日本自体が輸入をしなれば100年間は備蓄量から考えて無理でしょう。 > 結局、A・C・Dはレトリックでしかありません。本質的には日本における > 輸入=要塞における生産能力によります。でしたら、生産能力が使用量と > 同等もしくは凌駕しているという記述はあるのでしょうか? この部分の記載の意味が、よくわかりません。 艦船は軍港で補給を受けるが、軍港自体を維持するには、例えば石油を軍港に供給してやる必要がある、という趣旨でしょうか。 そうすると、要塞の場合であれば、要塞を維持するための補給源(石油供給源に相当)が別に必要、といった意味ですかね。 > 当時のラインハルトの戦略として同盟側にクーデターを起こしての時間稼ぎ > を行っていました。つまり、ラインハルト側には時間の制約があります。 > ですので、ラインハルト側は兵糧攻めは出来ません。 これは、ないでしょう。 ラインハルトは、リンチを利用してのクーデタ計画に、それほど期待しているわけではなく、これを貴族連合軍との戦争のための必須の条件としているわけではないからです。 状況的に見ても、 この時点の同盟には、クーデタがないとしても、動員可能な艦隊は、3個艦隊ほどしかありません。 (第13艦隊、第11艦隊、第1艦隊) 同盟がこの兵力で、銀河帝国の内紛に介入しても、勝算は乏しいでしょう。 というのも、まず、同盟は、結局、銀河帝国内の2大勢力の双方と、戦う羽目になるからです。仮に、貴族連合軍と一時的に盟を結んだとして、第一にラインハルト軍を打ち破り、次に貴族連合軍を打ち破る必要があります。 そして、兵力の少ない軍が、戦闘の主導権を握ることは困難であり、場合によっては、ラインハルト軍対貴族連合軍との戦闘で、捨石に使われる可能性すら、否定できません。 その他、アムリッツア会戦以降の疲弊による政治的な困難や、国民感情の反発もあるでしょう。 ロイエンタール反乱の際の、イゼルローン軍の態度なども参考になるはずです。 そして、同盟の動静によって、長期戦の気配が濃厚となっても、ラインハルト軍が敗走するわけではありません。オーベルシュタインも、あっけなくガイエスブルグが陥落したことを驚くような感想を述べていますし。 <つまり、ラインハルト側には時間の制約があります。 > ですので、ラインハルト側は兵糧攻めは出来ません。> したがって、これは根拠がないと思います。 ラインハルトはクーデタに過大な期待をしておりませんし、長期戦(兵糧攻め)ができない理由がありません。 |
No. 3739 | |
Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
S.K | 2003/02/23 13:45 |
古典SFファンさん > 追伸: > > 普通に考えて辺境流刑惑星でまだしも入手できるエンジンかその技術といえば既に有効利用方法が限定される光速航行エンジンではなく民需でも広域に使用されるワープエンジンじゃないですか? > > 実際問題として、作中でバサード・ラム・ジェットの技術がどう言うポジションにあったのかは、推定材料が少なすぎてなんとも言えません。 > われわれが知っているのは、その技術が > 「銀英伝2巻でヤンが使った時点では、特に作中に苦労した記述もなく、すぐに手に入った」 > という事だけです。 その通りです、「軍需用」これこそワープ時代の光速航行エンジンの限定された有効利用方法です。 回避が困難で放射能の悪影響が極めて少ない少質量でも大規模破壊が可能な光速実体弾の推進にこそ光ワープ時代の光速航行エンジンの真価があるといえましょう。 だから軍にはそれはあるでしょう。 それでも非武装の流刑民の監視に設置はしないでしょう。 機銃で充分ですよ。 > 翻って奴隷階級が持っていた知識と技術の詳細を推測する材料は与えられていません。 > 少なくとも彼らには驚くべき短期間にイオン・ファゼカスを建造するだけのスキルがあり、 > のちに、誰の助けも借りず恒星間宇宙船(これは前後の状況から判断してワープ船) > までも建造する知識・技術があったことは、作中でもわかっています。 > アルタイル脱出時に「入手」するのであれば、その辺にワープエンジンがあるはずですから、確かにワープエンジンが有利であったでしょう。 だから比較的見本を手に入れる事が容易なワープエンジンを密かに奪取もしくは模倣した方が自然ではという話です。 > 「普通に手に入るワープエンジンでは大質量ワープが出来ない」と、作中の3巻記述から、当方は推定しているのみです。 同じ3巻で艦船の門外漢シェーンコップが極めて真実に近い洞察を見せていますね。 同じ事を考える「長征一万光年」参加者がいてさほど不思議でもないですし、「大規模脱出船」という限定用途が固定観念となればそれは大質量ワープ技術も廃れて忘れられもするでしょう。 「まずは生きること」が最大命題だったからこそ流刑民は逃げ出したのであり、それにくらべたら「新技術の応用、保全」などよほど切迫した必要性がない限り忘れられても仕方がないでしょう。 |
No. 3740 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
古典SFファン | 2003/02/23 14:30 |
> その通りです、「軍需用」これこそワープ時代の光速航行エンジンの > 限定された有効利用方法です。 > 回避が困難で放射能の悪影響が極めて少ない少質量でも大規模破壊が可能な光速実体弾の推進にこそ光ワープ時代の光速航行エンジンの真価があるといえましょう。 ? そのような記述は発見できませんが・・・。 なんに使っていたのか、私には判りません。 作中で、それが軍需用であったのか、そこにあったのか、建造したのかは記述されていません。 「手に入った」という事だけが作中事実で、用途が何であったか、何故あったのかは不明です。 > だから軍にはそれはあるでしょう。 > それでも非武装の流刑民の監視に設置はしないでしょう。 > 機銃で充分ですよ。 それは、私には分かりません。 そう言うことは一切書いていない・・と思うのですが、完璧な記憶となると自信がありません。 そこまでの記述があったのでしょうか? > > アルタイル脱出時に「入手」するのであれば、その辺にワープエンジンがあるはずですから、確かにワープエンジンが有利であったでしょう。 > > だから比較的見本を手に入れる事が容易なワープエンジンを密かに奪取もしくは模倣した方が自然ではという話です。 「自然」かどうかは、作中で利用可能なテクノロジーの詳細に関連した問題では? ワープエンジンの建造コスト、必須資源1つ、判っていないのです。 「模倣した」と言われますが、現代のテクノロジーはそれなりの設備なしには模倣できないものがあります。 われわれは今こうしてコンピュータを使っていますが、CPUの設計製作はそれなりの設備がなければ決して出来ません。 シリコンチップを構成する高品位のシリコンは、原始的な方法では絶対に精製できないのです。 しかし、蒸気機関であれば、鉄と燃料とそこばくの材料があれば、知識と労働力だけで無から建造できます。 作れるのはごく原始的なものですが、それでも蒸気機関としての用を成すものが作れます。 「何が作りやすく、何が作りにくいのか」 を判断するのに「自然・不自然」は、技術的問題に関する限り通用しません。 「キーとなる材料やテクノロジーの利用しやすさ」の方が、遥かに重い意味を持っています。 これは、技術者としての経験による感触ですが。 「自然」「不自然」という感覚的判断に関する限り、私のそれは確かに一般論とは言えないかも知れません。 しかし、基本的にはS.Kさんのそれも、私のそれも、作中に書いていないことに関する推定に過ぎません。 これもまた、突き詰めると正否を判断する材料がないのではないでしょうか? > > 「普通に手に入るワープエンジンでは大質量ワープが出来ない」と、作中の3巻記述から、当方は推定しているのみです。 > > > 同じ3巻で艦船の門外漢シェーンコップが極めて真実に近い洞察を見せていますね。 > 同じ事を考える「長征一万光年」参加者がいてさほど不思議でもないですし、「大規模脱出船」という限定用途が固定観念となればそれは大質量ワープ技術も廃れて忘れられもするでしょう。 > 「まずは生きること」が最大命題だったからこそ流刑民は逃げ出したのであり、それにくらべたら「新技術の応用、保全」などよほど切迫した必要性がない限り忘れられても仕方がないでしょう。 2択です。 「大質量ワープ技術はなかった」(私) 「技術はあったが忘れられた」(S.Kさん) どちらが自然であるか、当方からはなんとも申せません。 これは、どうみても双方とも推定であるからです。 「自然・不自然」ではなく、作中に記述が「ある・ない」の話です。 「その技術はなかった」と言う記述はありません。 「その技術があった」と言う記述もありません。 シェーンコップたちが知らなかった事を示す台詞は存在しますが、それを当該技術が「あったが忘れられた」傍証と考えるか、「なかった」傍証と考えるかは、単なる私とS.Kさんの考え方の違いでありましょう。 S.Kさんが正しければ、当方の提示している推論は崩壊します。 私が正しかったとしても、それは決定論ではありません。 書いてないことですから。 当方としては、今のところ、「大質量ワープは3巻時点までなかった」という考えを変更してはおりません。 |
No. 3742 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
S.K | 2003/02/23 15:39 |
古典SFファンさん では一つ作中事実に基づいたお話で。 「同盟建国史と帝国史の間にウラシマ効果的タイムラグの存在が確認できない」 この命題は「イオン・ファゼガス号はワープ可能だった」なら解決します。 流刑星から資源惑星発見までの期間、最低船内時間で十数年、これと船外の時間経過とのギャップを光速航行はどう解決するのでしょう。 |
No. 3745 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
古典SFファン | 2003/02/23 16:06 |
> では一つ作中事実に基づいたお話で。 > 「同盟建国史と帝国史の間にウラシマ効果的タイムラグの存在が確認できない」 > この命題は「イオン・ファゼガス号はワープ可能だった」なら解決します。 > 流刑星から資源惑星発見までの期間、最低船内時間で十数年、これと船外の時間経過とのギャップを光速航行はどう解決するのでしょう。 少々お待ちください。 ます、当方で提示した、銀河系のこのあたりの恒星間距離の平均的間隔は「数光年から十数光年」です。「最低十数年」などという事はありません。 これに関しては、あの世界の星間地図がわれわれのそれと正確に同じかどうかという問題も絡みますが、前提としてそれが近似しているなら「最大十数年」です。 さらに、「暦年の表記とウラシマ効果」の問題について言うと、あの世界の暦年は標準時間を持っていたはずです(確かこの記述はあったはず・・)。 ローカルな「地方時」に当たるものはあったはずですが、帝国・同盟とも標準時間を持っていたと記憶しています。 帝国標準時か同盟標準時かを問わず、歴史書の表記は外界の時間で成されていると考えてはいけないのでしょうか? 亜光速航行する宇宙船の時間は遅れます。 このギャップを物理的に埋める方法はありません。 が、過大に見積もる必要もありません。 「ギャップが無視できるほどの大きさかどうか」という問題であれば、 長征1万光年の「50年」と言う数字がきっかり50年で、端数がないかどうか(数年の誤差がなかったのかどうか?)。 「誤差十数年」という最大数値を取り、「無視できない差があるからこの論は成り立たない」とお考えなら、それに関してはこれ以上の説明はありません。 当方としては、誤差範囲に収まる程度の差(2、3年)で、しかも歴史書の表記がウラシマ効果を補正したものであった可能性にチップを載せておきます。 この場合「自然」「不自然」という文脈では、ちと私の判断の範囲を超えます。 事が極めて物理的な事情に依存しているからです。 |
No. 3746 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
古典SFファン | 2003/02/23 16:19 |
追伸: 私は、こう発言しました。 >光速に近づけるだけ近づいている場合、物体の時間と外界の時間の流れ方の違いは、「外界では何百年と経っているのに物体のほうでは一瞬」 >という事もあり得るのです。 > >ワープ航法なしでも、他の恒星系に到達するまで中に乗っている人が生きている事は出来るのです。 > >到達に何年か、あるいは10年くらい掛かったとしても、大半が亜光速であったとしたら、他の恒星系に到達するまで、船内の時間はあまり経過しないのです。 ウラシマ効果がどのくらいの時間のギャップを生み出すかと言うのは、 ローレンツ方程式に従い、速度の加法定理と同じ式で算出可能です。 「10光年航行したから10年の時間差が生じる」とお思いなら、それは誤りです。 その算出に使う式は以下の通りです。 http://www-press.hep.phen.mie-u.ac.jp/mievu/butsuri/Lorentz.html 逃走には「亜光速」であれば足ります。 光速にどこまで接近していたかで、時間の遅れの大きさは大きく異なります。 彼らがイオン・ファゼカスにどの程度の期間生き延びられるエコシステムを積み、どの程度光速に近い速度で逃走し、 どの程度の期間船内に居たのか? は、全く分かりません。 しかし、「時間の遅れがかなり少なめで、手近な恒星系に到達するために船内時間で年単位、船外時間で数年単位」 であるオプションを選択できる余地が存在することは、方程式が示しています。 この事情は全て、彼らが到達したい恒星系が適当な距離にあると言う仮定が成立するとしての話ですが・・・ これ以上つっこむと、幾らハードSFが好きでも難しくなりすぎますねえ(笑)。 |
No. 3747 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
S.K | 2003/02/23 17:15 |
確率的にはワープ航行可能時のタイムラグ発生は100%起こりえません。 光速航行時におけるタイムラグが無視可能なレベルである確率はそれより低い事は確かでしょう。 イオン・ファゼガス号がワープ航行可能と見たほうがその後の資源惑星における宇宙船建造の上でも無理がないと思いますが。 流刑星で不可能なワープエンジン建造が資源惑星なら可能というのもいささか確率は低くないですか。 流刑星と違い「見本」が存在しないわけですし。 可能性のレベルで「設計図だけは入手できた。あとは資源と邪魔をされずに組みたてのできる環境だ。開発用エネルギーは光速航行エンジンで充分まかなえる」可能性はありますが絶対ではないですよね。 「イオン・ファゼガス号がワープ可能なら歴史の流れに矛盾は全く起こらない」訳ですからやはり「光速航行で計画的に時間的ギャップを確実に回避する方法」の提示をお願いします。 |
No. 3750 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
古典SFファン | 2003/02/23 17:55 |
> 確率的にはワープ航行可能時のタイムラグ発生は100%起こりえません。 > 光速航行時におけるタイムラグが無視可能なレベルである確率はそれより低い事は確かでしょう。 ローレンツ変換式による解を示します。 [1-(v/c)2]-1/2Tに従い: 光速の90%だと、τ=0.19、ウラシマ効果は31%です。 光速の80%だと、τ=0.36、ウラシマ効果は14%です。 光速の70%だと、τ=0.51、ウラシマ効果は1%です。 どれを選ぶかは、目標恒星系との距離その他の要素によるでしょう。 先の「数光年から十数光年」という範囲内であれば、光速の75%〜85%が得か と思います。 同様にローレンツ変換式が示すんですが、光速に近づくほど加速のためのエネルギー 消費は増大します。 光速の80%前後だと、外界の航行時間で2割増えるんですが、船内時間は15% 遅くなっているので、中に乗っている人間は、見かけ上、光速で航行した場合と 比べて時間差を感じないのです。 > イオン・ファゼガス号がワープ航行可能と見たほうがその後の資源惑星における宇宙船建造の上でも無理がないと思いますが。 > 流刑星で不可能なワープエンジン建造が資源惑星なら可能というのもいささか確率は低くないですか。 > 流刑星と違い「見本」が存在しないわけですし。 > 可能性のレベルで「設計図だけは入手できた。あとは資源と邪魔をされずに組みたてのできる環境だ。開発用エネルギーは光速航行エンジンで充分まかなえる」可能性はありますが絶対ではないですよね。 これは、私の先の推定だと「比較の対象にあらず」と考えております。 「通常のワープ」と「大質量ワープ」を別扱いにしていると言う意味で、その根拠は 3巻におけるシェーンコップやムライの発言に対する、私とS.Kさんの判断の 相違です。 確率論ではなく、作中事実の「ある・ない」に対する判断が分かれているという事で あって、当方からは 「大質量ワープは3巻の時点で開発されたと考えている」 「従ってイオン・ファゼカスは亜光速船である」 という意見に変化はありません。 > 「イオン・ファゼガス号がワープ可能なら歴史の流れに矛盾は全く起こらない」訳ですからやはり「光速航行で計画的に時間的ギャップを確実に回避する方法」の提示をお願いします。 という事で、上記数字で宜しいでしょうか。 追伸: ローレンツ変換式に関する、ハードSFファンの間で有名な話は、その二次曲線的な働き方です。 τ(タウ)というこの変数は、光速に近づくのが次第次第に大変になるという事を示します。 (v/c)においてvは宇宙船の速度です。cが光速ですが、 [1-(v/c)2]-1/2Tという速度の加法定理式は、接近すれば接近するほど、加速が鈍っていくことを示します。 これは、他の変換を通してヤンが使った氷塊の質量増大の原因にもなっています。 E=MC^2が示す通り、同じエネルギーをつぎ込んでいればすぐ光速に達するはずなのに、光速に近づくほど加速が鈍ったり時間が遅くなったりする現象を記述するのが、このローレンツ変換式です。 この現象を突き詰めた作品で有名なのがポール・アンダースンの「タウ・ゼロ」で、 これは「ブレーキが壊れたバサード・ラム船が果てしなく加速していく」と言う話です。 先の式で参照した「τ(タウ)」という値が次第に光速に接近していく主人公たちの、出口のない牢獄に追い込まれていく様子を示しています。 |
No. 3751 | |
Re:今回のKenさんの投稿内容に対して個別に対応 | |
Ken | 2003/02/23 18:24 |
いろいろ指摘されているので、どれから回答しようか思案しましたが、おそらく次の点を最初に論ずるのが妥当と思います。今回の論争の 主要な論点ですから。 >Kenさんの言う「証明」が不完全に終わったからといって、「仮説そのものを撤回」などという話になど、ならないでしょう。 うまくいって、「移動要塞論」は必ず成立するとは断言できない、程度ですよ。 >それから、「「唯一」の可能性として提唱」というのは、以前もKenさんの投稿中で見かけた気がしますが、根拠はあるのですか? 冒険風ライダーさんは、「唯一」だ、などと述べていますか。 要するに、冒険風ライダーさんは、無限の自給自足システムの存在や無補給の航行を「立証」したと主張しているのです。立証するとは、その仮説が唯一の説だということではありませんか。その仮説と矛盾する他の仮説の存在を許す限り、立証したとはいえません。 冒険風ライダーさんの過去の発言を引用します。 (#1896) 私は「要塞にはエネルギー、資源を無限に生産する魔法のようなシステムが付いている」と定義しています。これを立証する状況証拠は、件のユリアンとキャゼルヌの会話以外にもたくさん存在しますし、またそう考えなければ説明できなくなる描写もありますので。(中略)これもイゼルローン要塞に半永久的な自給自足能力が存在することを充分に立証するものです。 (#1912) 一連の議論で懸案となっていた「移動要塞技術確立の問題」はこれで全て解決しますね。 (#1960) 「無限の自給自足能力は実在し、かつ移動しながらの自給自足システムも技術的に可能である」ことを立証するという目的はある程度達成されたわけですから (#3573) 私の方はすでに自説の立証責任を果たしているのですから、これは当然のことです。 特に、私は、冒険風ライダーさんの以下の発言に注目します。 (#3585) これはないでしょう。作品の外から「現代世界の物理法則に基づいた要塞の燃費問題」を持ち出してきたのであれば、その正当性や妥当性の立証責任は100%「持ち出してきた側」にあるのです。そしてその証明が「できるかもしれないし、できないかもしれない」で良いはずがないではありませんか。 そのとおりです。そして恒久移動要塞を「持ち出してきた」のは冒険風ライダーさんですから、その証明が「できるかもしれないし、できないかもしれない」ではいけません。「良いはずがないではありませんか」と自ら言われることしかできないのなら、仮説を撤回すべきと言ったのです。 >論証の根拠が薄弱であること自体は、ダブルスタンダードを用いる卑怯な態度とは、まったく異なるものであって、それ自体を咎める必要はないからです。 論証の根拠が薄弱なだけなら詭弁とは呼びません。「50年」を「半永久」といいかえるたぐいのものを詭弁と呼んだのです。「50年」は有限ですが「半永久」は無限であり、その次にくる「無限の自給自足」への布石になります。 (#1726−1727) 外部からの補給に頼ることができない状態であることを当然承知しているはずのユリアンが「事態の急変には50年の歳月がかかる」と気長な持久戦戦略を述べているのに対して、「イゼルローン陣営における補給の権威」であるキャゼルヌが、孤立無援状態のイゼルローン要塞で50年もの持久戦を行うために必要な諸々の補給物資の調達に関して何ら懸念を抱いている様子がないのです。ということは、イゼルローン要塞で50年もの持久戦を行うに際し、補給事情は何ら問題にはならないということを、イゼルローン陣営の当事者達は当然のように認識していることになります。 このことから、イゼルローン要塞には100万単位の人口を全て養えるだけの食糧自給能力と、軍隊が戦うに際して必要な戦略物資を全て自給自足で調達することができる能力が備わっていることが判明するのです。しかもこの自給自足能力は、孤立無援状態のイゼルローン要塞の人口と軍隊を半世紀以上も余裕で支えることができるというのですから、ほぼ半永久的に機能し続けるものであると言っても過言ではありません。そして、イゼルローン以外の要塞も、ほぼ同じ自給自足能力を保有していると考えて差し支えはないでしょう。 この「無限の自給自足能力」が、(以下略) また、静止要塞に関して述べたものを、移動要塞へ適用すること、艦船に関して述べたことを、要塞に適用することも、根拠薄弱などというものではありません。両者がまったく性質の異なるものであり、それを私が指摘した後もなお続ける以上、これは詭弁のたぐいです。パンツァーさんのいわれる >。「帰納」によって導かれた「結論」を前提として、複数の「帰納」による「小結論」を「前提」として、「大結論」を導いているものです。 の中の「小結論」も、前回挙げられたような「静止要塞」としてのイゼルローンやガイエスブルブについて述べたものでしょうが。さらにパンツァーさんの以下の記述ですが、 >これは、静止要塞のことを指すものではありませんか。 >(静止要塞が無限の自給自足であることに同意しない人がいるにせよ) >私は意図して、静止要塞の「無限の自給自足能力」について記載したのですよ これまた詭弁です。あなたは、私が冒険風ライダーさんや不沈戦艦さんと「移動要塞」について論争しているところへ、割り込んできたのでしょう。前後2回にわたる長大スレッドのテーマも「移動要塞」です。そこへ何の説明もなく「静止要塞」の自給能力を持ち出してどうするのですか。あなたが静止要塞のこと「だけ」を論じたいなら、別スレッドを立ててください。静止要塞で得た「小結論」を恒久移動要塞が可能という「大結論」へもってゆきたいなら、言葉のすりかえではなく、演繹なり帰納をやってください。 エアバスに関する「愚劣」な考察。 あなたが最初に述べたのは、 >同じ艦船であっても、質量の大きなものもあれば、小さなものもあるのです。 >したがって、単純に考えれば、「物体の移動」に関する信頼性に値する理論が存在する上で、「質量」に関する一変数が相違するだけなのです。 というものです。エアバスは「小質量で成り立つことが、大質量で成り立つとは限らない」ことの一例です。あなたはそれに対して、 >もし比較するなら、せめて地上の構造物(例えば戦車とか)、海上の構造物ですね。 と言われたので、私は帆船とタンカーの例を出しました。 ミサイルに関する「愚劣」な考察。 >例えば、太陽電池を積んだ電気自動車などが、比較の対象として適切でしょうね。 おっしゃるとおり、ミサイルがアメリカまで届かないのは、燃料が足りないからです。ここでの論点は、移動要塞の比較対象として、ミサイルとソーラーカーのどちらが適当か、です。そしてここでも要塞の大質量が問題になります。ソーラーカーは、燃料を必要とする車と比べて、小さな質量でしか実現できていないのですから。 >「こんな方法が適用(中略)ありません」の部分は、No3684で、 「☆Kenさんのいう「演繹」について」 という括りで論じている部分の記載ですよね。 どう読んだら、これが「帰納」に関する話だと誤認するのですか? 読解力のなさを自覚してください。 べつに誤認してはいません。あなたが「帰納」と称するものが、帰納になっていないことを指摘するのに、あなたの表現法を借りただけです。 >念のために補足しておきましょうか。文章添削員として。 >「恒久移動要塞」は「静止状態での生産等」および「移動」に際して、「無限の自給自足能力」を有していますね。 だから、その部分が証明されていない、と言っているのです。あなたがどう考えているかしりませんが、冒険風ライダーさんの論点は、 1.ヤンやユリアンがイゼルローンに長期間(50年くらい)篭城できるといっている → 無限の自給自足能力 2.艦船の燃料を誰も心配しない → 無補給航行が可能 というものです。 1は、有限なものを無限とすりかえています。 2は、艦船の話を要塞とすりかえています。 どちらも詭弁です。 >ここで、「無限の自給自足能力」という語に、「静止状態での生産等」および「移動」の双方での無限性という意味を与えると、 「恒久移動要塞」と「無限の自給自足能力」とが、ほとんど同一の意味となるではありませんか。 上記のように、「無限の自給自足能力」も「要塞の無補給航行」も、詭弁の産物ですから、この論は成立しません。 >それとも、静止要塞における「無限の自給自足能力」に関しては、同意したのですか? 上記のように同意しておりません。 >また、冒険風ライダーさんは、「移動のエネルギーなど完全に無視」など、していませんよ。この点(移動のエネルギー)に関しては、「艦船の移動に際して、燃費の問題は無視できるものとなっている」といった趣旨の主張をされています。 大体、下で、Kenさん自身が、これに対応する表現として、「2.燃料補給の心配がない艦船の長距離移動」などという引用をしているではありませんか。自分の記載内容を忘れましたか? 忘れてはいませんが、上は完全な曲解です。ライダーさんが無視していると私がいった「移動のエネルギー」とは、もちろん要塞に関するものです。艦船のそれを論じたからとて、意味がありません。 >この種の記載がないということは、補給を重視する銀英伝の趣旨から考えても、イオン・ファゼカス号が自給自足能力を備えている、という結論に有利です。 これは本発言の冒頭とも関連しますが、「有利」なだけでは立証したとはいえないし、立証責任を果たしたともいえません。だから、パンツァーさんとの論争が始まる前から私は言っているのです。「可能とも不可能ともいえない」という第三の立場を認めますか、と。 >そして、冒険風ライダーさんは、「銀河帝国軍の執拗な追撃と捜索をかわ」す以上は、短距離ワープくらいは可能であったに違いない、と述べていますね。 そして、古典SFファンさんは、索敵距離の短さを考えると、帝国軍がイオン・ファゼカスを発見できる確立は非常に低い、と述べていますね。 >そして、勝手に「既知の物理法則とやら」を適用するとなれば、それは明らかに銀英伝世界からの逸脱でしょう。 >これ自体は、大体、銀英伝を舞台に議論を行う上での、客観的な議論の前提に過ぎますまい。 ちがいます。私の前回の発言をよく読んでください。 冒険風ライダーさんの仮説を否定する根拠として、既知の物理法則を用いるのは、たしかに不当です。不沈戦艦さんいうところの「空想科学読本的突っ込み」です。 しかし、私が「再度整理しました」で挙げた「別の解釈」を否定するのに、既知の物理法則を使っていることを理由にするのも同様に不当です。この二つは全く異なるものです。それを混同していることをもって「巨大な歪曲の三つ目」とよんだのです。 >少なくとも、以後、引用は正確に願います、といった意味合いを含めて。 わかりました。20万トンは、たしかに「数万トン」ではありません。 >それから、「既知の物理法則を否定」とはどういう意味ですか? >私はそんなことを一度も述べたことはないが。 パンツァーさんは、既知の物理法則を否定する人たちと私が論争をしているところへ、「物理法則否定派」に加担する形で入ってきたのです。否定をしないのなら、最初にそれを明言するべきでした。また今からでも、この点については、銀英伝を「ファンタジーの世界」とよぶ人たちとは異なる立場をとることを明らかにするべきでしょう。 >例えば、星間物質の取り込みや、観察中・・・さんとの議論からの推論からならば、工作艦によるヘリウム3の捕獲なども可能性として検討できると考えています。 いずれにせよ、「無補給」を可能とするテクノロジーや方法は、存在すると考えられるのです やはり冒頭部分と関連します。それは未証明の可能性であって、立証ではありません。 >輸送船は、2×10の6乗トン。 >要塞は、4×10の14乗トン。 >質量比は、2×10の8乗、すなわち、2千万倍ですね。 定量考察に誤りがあります。正しくは、 20万トンの輸送船は、2X10の5乗 40兆トンの要塞は、4X10の13乗 質量比は、2X10の8乗、すなわち2億倍です。 >艦船は、単艦で運用されるものではなく、艦隊規模で運用されるものです。 >後方の補給源における補給の対象としては、艦隊規模のエネルギー消費が問題でしょう。 この部分は大切です。 パンツァーさんの論旨は、艦隊に含まれる艦船の質量の総和を考えれば、要塞との差はずっと小さくなる、ということかと思います。しかし、この比較は誤りです。なぜなら、議論の流れの中で問題になっているのは「無補給の航行」だからです。 例えば、マゼランの帆船は100トン程度だったでしょう。20万トンタンカーの2000分の1です。 それでは、同じ帆船を2000隻建造して艦隊を組ませたら、風の力で航行するか? できます。 では、同じ技術を拡大しただけで、20万トンの帆船を作ったら、風の力で航行するか? できません。それをやるには、帆と船体の大きさの比率を全く変えた、別の造船技術が必要です。 パンツァーさんが例に挙げた太陽電池自動車でも同様です。質量50キロのソーラーカーを2000台作って、同時に走らせることは可能です。しかし、質量100トンのソーラーカーを走らせるには、別の技術が必要です。 銀英伝世界の艦船が、たとえ無補給航行をしていても、それをそのまま要塞に適用できない根拠はここにあります。 >ガイエスブルグ要塞に関しても、補給に、艦隊の場合に比して、特別困難視された記載が見当たらないわけです。 ガイエスブルグが移動したのは、おもに帝国本土であり、補給施設をはじめ、あらゆる社会インフラを専制者ラインハルトが自由に使えることからして、「無補給航行」の証明にはなりません。ガイエスブルグの無補給航行の例証として使えるのは、どれだけゆずっても、帝国本土を離れ、イゼルローン回廊に入ってからです。 そしてこのことは、シャフトの言が恒久移動要塞が可能だと証明する根拠になりえないことも意味します。なぜなら、シャフトはイゼルローン攻略用の武器として、ガイエスブルグの移動要塞化を提案したのであり、航続距離の要求仕様もイゼルローンの位置まで到達できれば、満足するからです。 |
No. 3755 | |
Re:移動要塞の技術問題について 抄訳紹介関係まとめレス | |
Night | 2003/02/23 22:06 |
どうも、うまく話が沈静化しないようです。 > Nightさん > >まず、申し訳ありません。下手な自己フォローでかえって皆様を困惑させてしまったようです。 > その点はお気になさらず。 > ただRAMさんの投稿は正しくNightさんを代弁していたのか、勝手に > Nightさんがわかっていないという決め付けだったのかは表明された方が > よろしかったでしょうね。 > >他の関連スレッドも一応読んではいたのですが、あまり私の投稿に関連することが書かれているとは思えなかったので読み飛ばしてしまっていたというのが真実です。以下で、その理由を含めていくつか説明を加えたいと思います。 > >(長くなるので、S.Kさんがまとめて下さった投稿の流れの引用は省略させていただきます。ご了承ください) > > 「思えない」で言われても困る、とはRAMさんにもお話しましたが。 > それでいいなら百万言つくしても「思わない」、事実を突き付けても「錯覚だ」で済ませる事とて可能なのですから。 RAMさんの投稿は読みました。『回答がどれか分からない(回答があったとは全く気がつかなかった)』が正しいです。 前回も書いたのですが、私が肯定派の皆さんから反応をもらってないと思ったのは、直レスがなかったのと、他のスレッドにも私の投稿への回答らしき投稿を(私は)見つけられなかったからです。ここに認識のすれ違いがあったのだと思います。 感情的なことでもめるのは全く、私の本意ではないです。このことでS.Kさんが御不快な思いをしたなら、不用意な事を言ったことをお詫びしたいと思います。 ですが、弁明させていただければ、私も千里眼を持っているわけではないのですから、直レスでないところで特に名前を出されたわけでもないのに、「これはあなたの疑問にも回答したつもりだったのだ」と後から言われても、困ってしまうわけです。まして、その「回答」の内容が私の投稿に回答しているように思えないならなおさらです。 > >(1) イオン・ファゼカスは大質量ワープの実例ではない 繰り返しになるのですが、私がここで主張したかったのは 『時系列の関係上、イオン・ファゼカスがワープしたとすると、非常に強引な作品解釈を持ち込まないといけなくなるので、それはよほどのことがない限り避けるべきだ』 ということでした。 はるか昔のイオン・ファゼカスが大質量ワープできたとすると、じゃあ、銀英伝3巻でシャフトがガイエスブルクのワープを新技術であるかのように自慢しているのは何故だとか、どうして同盟の面々は要塞がワープしてきた事にびっくりしてるんだ、ということになってしまうからです。 これを受け入れるには、文明が「健忘症」になって大質量ワープ技術のことを忘れてしまったとするしかありません。しかも、この健忘は「昔はできたことが、今はできなくなってしまいました」という軽度の健忘ではありません。「昔はできていたということそのものを忘れてしまいました」という重度の健忘です。また、大質量ワープのような「単純な」技術についてはなお苦しくなります。単純な技術は失われにくいからです。結局、この健忘(文明の衰退)という解釈は非常に受け入れ難いものになってしまいます。そのような文明の衰退があったという説明は本文中に全くないのですし。 ですから、作品を理路整然と解釈するためには、よほどのことがない限り、イオン・ファゼカスがワープしたと考えるべきではないのです。そのよほどのこととは、例えば「イオン・ファゼカスはワープした」というような直接的記述や、あるいは「イオン・ファゼカスは1年間で1光年以上を移動した」というようなワープ以外の解釈がありえないような強力な間接的記述の存在です。そのような証拠があるなら、いかに強引な作品解釈(文明の衰退)であっても、受け入れないわけにはいかないからです。 今のところ、そのような記述は見つかっていません。ですから、とりあえずイオン・ファゼカスはワープしなかったとみなすべきではないか……私が主張したかった事はそういうことでした。 ですから、私の上の主張への回答は、『いや、ここにイオン・ファゼカスがワープした証拠となる記述がある』というものや、『いや、お前の言っている論理そのものが間違っているのだ』というものだと思うのです。 > > 「イオン・ファゼカス号はワープできなかった可能性がある」とか「ワープできても航続距離が極めて短かったかも知れない」ということを前提にしてそういうことを言うのなら、それは単に「勇気と無謀を取り違えいる」という類でしょう。「賭け」ではなく「自滅願望」としか言いようがありませんね > (No.3628 不沈戦艦さんレス抜粋) > > > <「新しい技術と言うわけでもない。スケールを大きくしただけのことだろう。それも、どちらかというと、あいた口がふさがらないという類だ」言わずもがなの異論を、シェーンコップが唱える> > > > > シェーンコップでなくても、現代の我々でも、当然の予測ですね。 > > 「艦船の移動」の証明が終わった時点で、「移動要塞」に関しても大半の証明が終わっているのです。 > > そして、(質量を問わぬ)「物体の移動」に関する理論に、ガイエスブルグ要塞のような大質量を代入してみると、この場合も成立した。つまり、「物体の移動」に関する理論は、大質量の場合でも成立した、ということです。 > > > > だから、 > > 「艦船(質量数万トン以下の構造物)」であったにせよ、「物体の移動」に関する理論が構築された段階で、大質量に関しても「原理的に可能」の域に、必然的に達してしまうのですよ。 > > そこに、大質量の実例としての、ガイエスブルグ要塞が、ほとんど問題もなく実現された記載が存在しています。 > > 他にも、「艦船(質量数万トン以下の構造物)」よりも大質量の例としては、例の氷塊もあれば、イオンファゼカス号もありますよね。 > (No.3669 パンツァーさんレス抜粋) > > > また、イオンファゼカス号に関しても、Kenさんの「仮定」を用いても、少なくとも半光年くらいは移動したのだから、大質量体の移動が、「実際的に可能」とされた例となりますね。 > (No.3685 パンツァーさんレス抜粋) S.Kさんにまとめていただいた以上の流れには、確かにイオン・ファゼカスというキーワードは入っているのですが、私が上に書いたような時系列に関する話や、イオン・ファゼカスがワープしたという本文中の証拠について議論しているようには見えません。なので、今もこれが私の投稿に対する回答とは思えないのです。というか、上の投稿の流れがあくまで回答であると仰るなら、どのあたりがどのように私の元の投稿に関係しているのか教えてください。(あまり挑発的なことは書きたくないのですが、嘘偽りではなく本当に私には分からないから教えて欲しいんです。誤解があるなら解いておきたいんです) > 私の抄訳だけご覧になられても目次で本を語るようなものです。 > 「ラグナロック作戦」で双璧が食料の心配はしても燃料の心配はしていない描写がある旨不沈戦艦さんがレスしておられますが見ました? それは、当時見た記憶があります。調べましたが、No.3518の投稿だと思います。 しかし……これはいわゆる「燃費」に関する議論です。つまり、戦艦は「無限大に限りなく近い長大な航続距離を誇るため、燃費は全く問題にならない」という仮説で、その例として原子力空母が引き合いに出されています。戦艦は一回燃料を入れれば銀河の端から端までいけるから、燃料については気にしないんだろうという議論です。 このことに関しては、私は否定していないんです(正確に言えば、否定できるだけの根拠がない)。そのことは元の投稿にも書いてあります。 無限自給自足艦隊というのは、さらにスケールが大きい話なんです。食料その他も宇宙船レベルの魔法の無限自給自足システムで全部賄えるから、そもそも補給なんて不要なんだという主張です。不沈戦艦さんの投稿がこれについて議論しているものとは、やはり思えなかったし、今も思えません。 > これもシャフト技術総監の「大質量ワープ」というひとくくりで「技術的問題はない」と作中述べている旨紹介されておりますが。 > 少し「思わず」「考えて」から御意見を伺いたく思います。 このシャフトの発言については知っています。3巻P45です。引用してみましょう。 > −−イゼルローンに対抗しうる要塞を帝国内に求めるなら、それは昨年の内戦に貴族連合軍の本拠地となった「禿鷲の城」要塞である。放棄されたままのそれを修復し、跳躍と通常航行用のエンジンをとりつけ、一万光年を航行してイゼルローンに要塞どうしの決戦を強いるのだ。現在のワープ・エンジンの出力では、巨大な要塞を航行させることはできないので、一ダースのエンジンを輪状にとりつけ、それを同時作動させることになる。技術上の問題はなく、あとは指揮官の統率力と作戦実施能力の如何による……。 これは軍事上のミッションに関する事前説明という文脈であり、説明を追っていく限り、上でシャフトが保障しているのは、ガイエスブルクをイゼルローンの位置まで持っていく事に技術上の問題はない、ということのように思えます(つまり、発言中にある「巨大な要塞」とは要塞一般という意味ではなく、ガイエスブルクのことを指すと言うことです)。 このただ一言の発言だけを以って、「いかなる要塞も移動要塞化できることのお墨付きである」とするのは違うのではないかというのが私の意見です。(解釈の問題になってしまうかもしれませんが) > いや、別に併行しても問題ない類の準備でしょう。 > 艦隊の主準備はあの時点で再編成と訓練なのですしエンジン工事については > 早い話腕さえあればエルファシルの民間企業に作業面は発注したっていいような話ですから。 > そもそもラインハルトが自ら寛大な処置を条件に降伏を呼びかけヤンがエルファシル独立撤回と引き換えに自身の公正な裁判と他の者の罪状不問を要求して投降していれば最善誰も死ななかったし何の物理的準備も不要だったのですが(まあ社会的な根回しは必要だったでしょうが)。 いや……ですから、そういうことに使う余分のお金なり人手なりがあったら、艦隊整備や兵員訓練にさらに力を入れたり、補給物資を多く用意しておいたりした方がいいんじゃないかということなんですが。あと、テストもなしにワープをすることはできないと思いますが、テストをするためにはイゼルローン内の住人を一度どこかに避難させないといけません。その避難のための準備が必要になることを考えると、やはり、並行で進めるのは無理がある作業だと思います。 また、ヤンが投降してしまうと、民主主義が生き延びる可能性がなくなってしまいます。 |
No. 3756 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
S.K | 2003/02/24 00:02 |
> 古典SFファンさん > ローレンツ変換式による解を示します。 > > [1-(v/c)2]-1/2Tに従い: > 光速の90%だと、τ=0.19、ウラシマ効果は31%です。 > 光速の80%だと、τ=0.36、ウラシマ効果は14%です。 > 光速の70%だと、τ=0.51、ウラシマ効果は1%です。 数学的正当性を認めます。 その上で「光速航行を行ってワープ可能な帝国艦隊に何回も空域哨戒をかけられるメリットは何も無い」事を思い起こしていただきたく思います。 「光速航行エンジンしかないから光速で逃げるしかない」のはその通りなんでしょうが「逃亡犯が物語の整合性のために全速で逃げない」って理由になります? しかも資源惑星に心当りがあって直行したなら80〜85%加速もそれなりに理由がつくでしょうが、どう考えてもあれは「帝国の追及を逃れる為未知の星域にのりだした」のではないですか? 「一刻も早く追跡から逃れ資源惑星を発見する」には可能な限りの速度を出すべきでしょう。 |
No. 3758 | |
Re:Re:イオン・ファゼガス号のエンジン、技術について | |
S.K | 2003/02/24 00:02 |
Nightさん > どうも、うまく話が沈静化しないようです。 だからといって疑問を撤回して抱え込むのも不本意でしょう? それを解決する努力まで否定はしません。 > RAMさんの投稿は読みました。『回答がどれか分からない(回答があったとは全く気がつかなかった)』が正しいです。 > 前回も書いたのですが、私が肯定派の皆さんから反応をもらってないと思ったのは、直レスがなかったのと、他のスレッドにも私の投稿への回答らしき投稿を(私は)見つけられなかったからです。ここに認識のすれ違いがあったのだと思います。 > 感情的なことでもめるのは全く、私の本意ではないです。このことでS.Kさんが御不快な思いをしたなら、不用意な事を言ったことをお詫びしたいと思います。 > ですが、弁明させていただければ、私も千里眼を持っているわけではないのですから、直レスでないところで特に名前を出されたわけでもないのに、「これはあなたの疑問にも回答したつもりだったのだ」と後から言われても、困ってしまうわけです。まして、その「回答」の内容が私の投稿に回答しているように思えないならなおさらです。 弁論大会の壇上の演説者は「貴方に」語り掛けているわけではありませんがその内容は「貴方にも」伝わるはずです。 伝わらない理由は二つあって「弁士の力量」が先に疑問視された様なので片手落ちにならないよう「聴者の姿勢」を問うたわけです > いや……ですから、そういうことに使う余分のお金なり人手なりがあったら、艦隊整備や兵員訓練にさらに力を入れたり、補給物資を多く用意しておいたりした方がいいんじゃないかということなんですが。あと、テストもなしにワープをすることはできないと思いますが、テストをするためにはイゼルローン内の住人を一度どこかに避難させないといけません。その避難のための準備が必要になることを考えると、やはり、並行で進めるのは無理がある作業だと思います。 「余分」ってどう頑張っても戦艦にキャタピラは使えないのですからいちいち材料に戻すより有効活用を考えたらいいじゃないかってレベルの話ですが。 > また、ヤンが投降してしまうと、民主主義が生き延びる可能性がなくなってしまいます。 ヤンのおかげで拾った命で各々が潜伏して思想を守って時を待てばそれでいいのです。 ヤンなしに成立しないのは「ヤン崇拝」というある意味帝政より民主主義から遠い代物だけです。 |
No. 3759 | |
Re3726:前提条件が間違いだらけの戦い | |
冒険風ライダー | 2003/02/24 00:45 |
<「類稀なる僥倖」に関しては前回も説明したので、もう言える事は余り残っていません。重要なのはヤンの善戦の結果、ラインハルトが置かれた状況である。きっかけなど無数にあり、病気も夢もその一つに過ぎなかったということを繰り返すだけです。(その夢にしたところで、たまたま偶然見たのではないのだろうということをヒルダが分析しているのですが) 言うなれば、これは宝くじを買うようなものです。宝くじのどの一枚が当たるかを予測することは、それこそ「類稀なる僥倖」「ご都合主義」でもなければ不可能なことです。ですが、ある程度の量をまとめ買いすれば、この中のどれか一枚くらいは当たるだろうということは予測できます。この時、重要なのは当たるという結果だけであり、どの一枚が当たるかなど、買った人間には分からないし、また、知った事でもありません。私が言いたいのはそういうあたりまえのことに過ぎません。> 宝くじで一等を当てるレベルの「お手軽感覚」で、自分達の命運を左右することになるであろう「戦略構想」を練られては、ヤン麾下の将兵や部下達、およびヤンの軍事活動に命運を託す国および国民にとってはたまったものではありませんね。そもそも、宝くじのようなほとんど「僥倖」に全てを託すしかない「戦略や戦術を十全に整えることなく、運だの天佑だのに全てを委ねる愚行」を否定するところから、先に引用した「戦略には、勘なんかの働く余地はない」云々から始まるヤン・ウェンリー語録が語られていたのではなかったのですか? こんな言い分が通用するというのであれば、たとえば銀英伝1巻でフォークが提言した同盟の帝国領侵攻作戦などについても「勝算があった」と認めなければならなくなるではありませんか。帝国領侵攻作戦でも、その立案時点では、たとえば「ラインハルトが突然心臓発作で急死する」だの「ラインハルト以外の人間が迎撃の指揮に当たり、同盟軍に敗北する」だのといった「類稀なる僥倖」に恵まれなかったとは限らなかったのですから。宝くじレベルの「全てを運に任せた当たり外れ」を期待することを「事前予測として勝算があった」とみなしてもかまわないとするのであれば、当然フォークが立案したような杜撰な作戦でも「勝算があった」と考えても良いはずでしょう。あなたの主張を突き詰めてみれば、最終的にはこんな愚劣な結論にまで行き着かざるをえないのですけど。 「ヒルダの分析」云々も、論としては非常にバカバカしい限りですね。それは単にラインハルトの「夢の中でキルヒアイスが諌めに来たのだ」などという、下手をすると正気を疑われても文句の言えないラインハルトの脳内で行われた思考過程から推測した心理分析を行った「結果として出てきた仮説のひとつ」でしかなく、「その思考過程【自体】が『類稀なる僥倖』ではなかった」ということの証明には全くなりえないのですから。第一、和平の提案を行った時点におけるラインハルト軍は、むしろ物量作戦の実行によってヤン側を一方的に追い詰めてすらおり、和平を提案しなければならない必然性自体が戦術的にも戦略的にも全く存在しなかったのですがね。 こんなヤンとラインハルトの身勝手な戦略構想などに振り回される部下や将兵達はいい面の皮でしかありませんよ。彼らは自分達の部下の生命を何だと思っているのでしょうか。 <次に、『多大な犠牲が出ることを承知の上の相手とは和平が成立しない』ですが、ラインハルトは多大な犠牲を出す事は想定していなかったでしょう。そこまでの意義がこの戦いにはありませんし、イゼルローンにヤンがあろうとも、帝国軍にもラインハルトがあり、何より、彼我の戦力差はとても大きなものでした。> <ラインハルトには「本来、この親征はこうあるべき」という当初計画があったのでしょう。『圧倒的多数の兵力を揃えた上でヤンと一大決戦を構え、用兵の妙を以ってこれを打ち倒す。残存兵力については各個撃破してもいいし、降伏させても良い。いずれにせよ、こちらの圧倒的優勢は揺るがないのだから、大きな犠牲は出ないだろう』というような。また、彼我の戦力差を単純に考えれば、この計画そのものは間違っているわけではありません。> 今までのヤンとの戦いで「多大な犠牲を出さなかった話」などほとんどありえなかったことなど、銀英伝の作中キャラクターのほぼ全員が知悉していることでしかないのに、この期に及んでラインハルトが、イゼルローン要塞に2〜3万隻の戦力で立て籠もったヤンに対して、未だに「多大な犠牲は出さないであろう」などという希望的観測を前提としていること自体がおかしいのですよ。アムリッツァ、第8次イゼルローン要塞攻防戦、「神々の黄昏」作戦と、圧倒的な戦略的優位を確保していたにもかかわらず、戦術の妙を駆使したヤンとの直接対決で、帝国側がどれほどまでに煮え湯を飲まされたかを、まさかラインハルトは忘れてしまっているわけではないでしょうに。 それにラインハルトは、ヒルダやミッターマイヤー・ロイエンタールなどから「皇帝がわざわざ出兵する必要はない」と忠告されていましたし、マリーンドルフ伯からは「回廊の両端を封鎖して孤立を長引かせれば良いではありませんか、あえて急戦を求めて解決を図る必要はないように思われます」と進言されており、それらの忠告が政治的には全く正しく、しかも自軍の損害を最小限に抑えられる事をも全て承知の上で、わざわざ親征を強行しているのですし、「イゼルローン要塞に籠もる敵と戦えば、最終的に勝てるにしてもその過程で数百万の将兵の生命が失われる」などという予測くらい、ラインハルトでなくても簡単に立てることができる類のものでしかないでしょう。もしラインハルトがその程度の予測すらも満足に立てられずに親征を強行していたとでも言うのであれば、ラインハルトを「軍事的天才」などと評価している作中記述自体が恐ろしくトンデモなシロモノでしかありません。 「回廊の戦い」は、ヤン側・ラインハルト側共に、戦いの前提条件自体が根本的に間違っているのです。愚将同士の愚劣な理由による愚かしい戦い、としか評しようがありませんね。 <それから、上で冒険風ライダーさんが出している事例を「回廊の戦い」にあてはめるのは不適切です。この事例やキュンメル事件のような事例から言えることは、ラインハルトは自己保存欲よりもプライドを優先させる傾向があるということだけです。見苦しく生き延びるよりは潔く死ぬことを選択するというような。 「回廊の戦い」でラインハルトが迫られている選択は、あまり意義のない戦いで無闇に将兵を損なうことを続行すべきか否かということです。守るべき対象が自己か他者かという点で、この二つの選択の性質は大きく違っています。> あなたもしつこいですね。そもそもラインハルトは、何度も述べているように、「回廊の戦い」も含めて戦略的・政治的には全く無意味な戦いを、しかも将兵が犠牲になることをも全て最初から承知の上で、何度も「個人的矜持とプライドを賭けた戦い」を行っているではありませんか。この時点で、ラインハルトの個人的矜持とプライドが将兵の犠牲よりも優先されていることは明白なのですし、「回廊の戦い」でもそれは明らかに垣間見られたではありませんか。そして「病気」と「夢」という「類稀なる僥倖」がなかったら、ラインハルトはそのまま将兵の多大な犠牲をものともせずに、個人的矜持とプライドを優先させてヤンを殲滅してしまったことは間違いないのです。 本当にラインハルトが将兵の犠牲に配慮するような人物であったのならば、将兵が犠牲になることが最初から分かっている無意味な戦いを強引に遂行するようなことも、バーミリオンで逃亡すらも拒否するような事態もありえなかったでしょう。前者はもちろんのこと、実のところバーミリオンでさえ、ヤンと全面対決に突入することなく、ただひたすら牽制を兼ねた対峙のみを行い続けていれば、本来決して負けるはずのない戦いだったのですから。ラインハルトの権限をもってすれば、将兵を無為に犠牲の羊に供する道を回避することなど簡単に実行しえたことでしかなかったのですよ? だからこそ、オーベルシュタインや一般将兵からでさえも、ラインハルトの「戦争狂」的性格に対する批判の声が上がっているのではないですか。 ラインハルトには「統治者および最高司令官としての責任」があるのですし、犠牲を回避できる道などいくらでも示されていたのです。それらを全て無視し、あえて大量の犠牲が出る無意味な戦いを選択していること自体が、ラインハルトが自らの個人的矜持とプライドのために将兵の生命を極めて粗末に扱っている、何よりの証なのです。 <『勝勢に乗っている時ではなおのこと、和平交渉を自分から提案してくるなどという事態など、本来ならば到底考えられないこと』に関しては、地形や計略を使った善戦によってその「勝勢」を揺るがし、ラインハルトにとっての「本来ならば」を本来でなくしてしまうことこそがヤンの作戦の目的なのですと申し上げるしかありません。> はっきりと言いますけど、それこそが「根拠のない勘」というものでしかないのですよ。戦略や戦術を万全に構築することなく、「戦い続けていればラインハルトは和平に応じてくれるだろう」だの「犠牲を多く出し続ければ、ラインハルトも翻意してくれるだろう」だのといった「取らぬ狸の皮算用」などを当てにして、普通に戦えば順当に負ける戦争を遂行すること自体、ヤンが全否定する「無能で不誠実な軍人」の所業でしかありません。 「事前予測では勝算が全くなかったのに、奇跡が立て続けに起こって【結果として】勝てるはずのない戦いに勝利してしまった」などという事例は、現実世界にもたくさん存在しますが、それから逆算して事前予測の結果そのものまで捻じ曲げてしまうのは間違っているでしょう。「ラインハルトが翻意したのだから勝算はあったのだ」などという「結果論」から逆算した推論はいい加減に止めにしてはいかがです? <上で冒険風ライダーさんが仰っていることは全くごもっともと思います。というか、ヤンは当然そのような下工作の類はできる限りしたんじゃないでしょうか。してないという記述も特にありませんし。 銀英伝の記述中に上のような話が見当たらないのは、結局、ラインハルトの意思が変わらなかったからでしょう。その後の話の大筋に変化があるわけでもないので、省略されたというだけではないでしょうか。> 「書かれていない」ことを理由に設定を勝手にでっち上げてもかまわない、などということにはならないでしょう。あなたはどれほどまでに恐ろしいことを自分で述べているのか分かっているのですか? あなたのような論法を使っても良いのであれば、たとえば銀英伝の男性キャラクター同士で友好的な関係を維持している人物達(たとえばラインハルト=キルヒアイス、ヤン=ユリアン、ミッターマイヤー=ロイエンタールなど)の存在を取り上げて「実は銀英伝世界における男性キャラクターは皆同性愛者ないしは両刃使いであり、毎夜同姓セックスに勤しんでいる」などというトンデモな裏設定をでっち上げても一向に構わないということになります。仮に反論がきたところで「同性愛者であることを否定する描写もないでしょ?」「書かれていないだけで本当はヤッているかもしれないじゃないか」で全てが正当化できてしまいます。二次創作やヤオイ系同人誌のネタとしては面白いかもしれませんが、仮にも作品論を語る際にこんな愚劣な論法を許してしまったら、作品世界の破綻どころの話ではなくなってしまうではありませんか。 もし私が主張していたような和平戦略工作をヤンが実行していたとあくまで主張すると言うのであれば、それを裏付ける作中記述を引っ張り出して提示するべきです。私は作中記述の裏付けのない「書かれていないところからの推論」に付き合う気など一切ありませんので。 <確かに、全く無力な勢力は、強大な勢力に一方的にいいようにされるしかないでしょう。それが弱肉強食というものだからです。ここで私が言いたいのは『弱小な勢力であっても、その弱小なりの力を示す事で、強大な勢力から譲歩を引き出すことができる』ということです。 分かりやすいので、窮鼠猫を噛むの例えを出したいと思います。窮鼠に噛まれた猫は、それ以後は面白半分では鼠に手を出すことはなくなるでしょう。戦えば勝つ事は分かっていますが、つまらないことで怪我をしても全く割に合わないからです。ここで猫から相応の譲歩を引き出すにあたり、鼠は猫より強くなる必要も、猫と対等の立場に立つ必要もありません。 この時点でのヤンとラインハルトの立場も似たようなものです。ヤンの戦力はラインハルトより小さいとはいえ、運用次第では決して無視できるものではありません(というか、それを示すためにこそヤンは善戦する必要があったのです)。戦いを続行すれば、最後に勝つのはラインハルトですが、その場合、ラインハルトは無償で銀河統一を得られる訳ではありません。さらに数十万、数百万の将兵の命と、おそらく数名の提督の命を支払わなければなりません。 ですから、ヤンにはラインハルトから譲歩を引き出す余地があります。それは、上に書いたような「弱小勢力は弱小なりに宇宙の片隅で勝手にひっそり生きていきますので、その許可を頂きたい」というような形になるわけです。 あと、冒険風ライダーさんはここでヤンの戦力をやたら過小評価している割には、『ラインハルトはイゼルローン要塞に籠もったヤンの手強さも、「回廊の戦い」で自他共に多大な犠牲が出ることをも全て承知の上だった』みたいにも書いていて、今ひとつ首尾一貫しているように思えないのですが、どうなんでしょうか。> だから「イゼルローン要塞に立て籠もったヤンを正面から攻略するのは容易なことではない、最終的に勝てるにしても多大な犠牲を払わなければならない」などということは、過去のヤンの戦績から言っても、今更戦うまでもなく事前に予測できることでしかないでしょう。こんな簡単な予測にすら事前に察知し得なかったというのであれば、ラインハルトは本物の阿呆としか評しようがないのですけど、それで一向に構わないという意見なのですか? それにイゼルローン要塞に立て籠もったヤンの戦力は、回復力がゼロに等しい状態であるに対して、帝国側のそれはほぼ無限に等しい体制にあります。ヤン側は手持ちの戦力がなくなってしまえばそれで全てが終わってしまうのであり、逆に帝国側は最悪でも消耗戦に突入して味方の損失と等量の被害を敵に与えれば、それで勝利は確実に手に入るのです。ただしそれでは、ヤンの戦術手腕と相まって、味方将兵の被害が甚大なものになることが「事前予測としてみても誰の目にも明らかである」が故に、「イゼルローン要塞に立て籠もって強大な戦力を保持しているヤンを【少数の犠牲で】打倒することは困難である」となるわけです。逆に言えば、最初から味方がこうむるであろう甚大な被害を覚悟の上で消耗戦を展開するつもりであれば、いくらイゼルローン要塞が強大で、ヤンが戦術手腕を振るおうが、最終的に帝国側は確実に勝利しえるのです。 そして「回廊の戦い」では、事前予測から多大な犠牲がでることが予め判明していることをも全て承知の上で、ラインハルトは自軍の犠牲を全く厭わずに遠征してきたのですし、実際の戦いでも、最終的には消耗戦を展開してヤンを物心両面から瓦解させるという戦術を取ってヤンを敗北寸前にまで追い込んでいたではありませんか。ヤン側の戦力回復力がゼロに等しい状態であることもまた、帝国側もヤン側も知り尽くしていたのですから、そんな状態で戦う事を選択したヤンの未来には消耗戦と玉砕の道が待っているだけで、その時点ですでに戦略的敗北が確定したも同然なのです。それを「結果として」救ったのが何であったのかについては、もう今更繰り返すまでもないでしょう。 事前予測としてすら誰にでも簡単に理解できる程度の事態すら考えず、希望的観測のみをベースに杜撰極まりない戦略などを構築するヤンとラインハルトは、「戦争の天才」「魔術師」の異名とは程遠い「真の愚将」でしかないのです。 <バーミリオンの時、ラインハルトは生きるか死ぬかの緊急事態でした。だから、ヒルダや双璧の独走も、それがラインハルトを救ったと言うことで許されたわけです。ですが、回廊の戦いではラインハルトは健在ですぐに生命の危険があるわけではありません。指揮系統も失われていません。部下がラインハルトの意向を無視して勝手に兵を動かすのは明確な命令違反です。その部下がラインハルトの激怒を買って終わりです。 ラインハルトが部下の進言を受け入れたらどうするかですが、なおさらお話になりません。バーミリオンの屈辱をもう一度味わってまで小さな勝利(というか、精神的には明らかな惨敗)を得るより、ラインハルトは素直にヤンに停戦と会談を申し出るでしょう。こんなこと、ラインハルトの性格を考えれば余りに明らかだと思うんですが。> バーミリオンの時だって、ヤンはラインハルト以外の要素を排除して策を練った結果があの通りだったのですから、「回廊の戦い」ではその二番煎じにならないような策を練るのは、余計な邪魔をされずに目的を達成するためには当然必要とされることではありませんか。「再びバーミリオンのような事態が再現されることは【絶対に】ありえない」などという「100%の保証」が一体誰にできるというのですかね? 私はそこまで盲目的にラインハルトの性格を信用する気になどなれませんが。 それとあなたは本当に「統治者および最高司令官としての責任」および「非常手段」という概念が理解できない人のようですね。ラインハルトにもヤンにも、本来、個人の性格やワガママを抑制してでも果たさなければならない責任というものがあるのです。たとえ個人の感情がどうであろうと、そんなものとは無関係に政治や戦争を遂行していかなければならない、それがヤンやラインハルトの置かれている立場であり、また国家や国民に対する責任というものでしょう。彼らには「個人としての性格」を抑制してでも、成さなければならない責務というものが存在するのです。そんな立場にあるものの性格がいかに高潔なものであろうが、そんなものを当てにして戦略構想などを立てるのは「根拠のない勘」に基づいた「希望的観測」以外の何物でもありません。 そして、「統治者および最高司令官としての責任」を果たすために、本人や周囲が「非常手段」に手を出すという事態は充分に考えられることなのです。現にバーミリオンの例もあるのですし、ラインハルト自身、オーベルシュタインの策を受け入れてブラウンシュヴァイク公による「ヴェスターラントの虐殺」を宣伝の道具に使ったという「前科」が立派に存在するではありませんか。勝利のためには個人の性格などねじ伏せなければならない、という認識など、ヤンもラインハルトも理解しているはずですし、またそうでなければならないのです。 したがって、個人の性格さえ分析していれば非常事態を予測しなくてもかまわない、などということには全くなりえません。 <何というか、これを読んでるとラインハルトはただただ交渉決裂になる事だけを望んでいるように思えるのですが、だったら何故、会談を申し込んだのでしょうか。 交渉がうまく成立する事で益を受けるのはヤンだけではありません。ラインハルトだって相応に得をするのです。これ以上むやみに将兵や提督を失うことなく共和主義者達から物騒なイゼルローンを取り上げ、辺境に追いやる事ができます。 何かどうも、このあたりの感覚が全くかみ合っていない気がしてなりません。> <そりゃ、ラインハルトは自らが旗を振り上げて始めた親征が中途で終了となれば、面白くはないでしょう。感情を納得させるためにも上のようなことは言いたくなるでしょう。しかし、政略レベルで会談が有効と思ったからこそそれを申し出た訳であり、会談をまとめる気が全くないということにはならないでしょう。> 私が前の投稿で引用した文章の中で、ラインハルト自身がはっきりと述べているではないですか。「予自身が不甲斐なくも発熱したという理由もあるが、将兵も疲労しているし、補給を待つ必要もある。ヤン・ウェンリーとの会談は、そのまま妥協を意味しない。再戦の準備をととのえるため時間をかせがなくてはならぬ」って。 それに何度も言っていますが、事前予測でさえ誰でも一目瞭然に分かることでしかない「多大な犠牲」など最初から承知の上で、ラインハルトは親征を行っていたわけなのですし、実際、消耗戦に移行して勝利する寸前にまで到達しえたのですから、その時点でラインハルトが交渉を提言しなければならない合理的な理由など、「病気」以外にはどこにも存在しないのです。「将兵の疲労」だの「補給問題」だのは、前線と後方の戦力を交代させてしまえばそれで終わる話でしかないのですしね。 あの当時における最善の選択肢は、そのまま消耗戦を続行させてヤンの戦力を殲滅してしまうことだったのです。そうすれば、多大な犠牲と引き換えに、イゼルローン要塞の奪取とヤン一派の殲滅もかなったことでしょう。にもかかわらず、突然「病気」だの「夢」だのに幻惑されて和平をがなりたてるラインハルト。戦場で傷つき、仲間を永遠に失いながら、それでもラインハルトを信じて戦ってきた前線の将兵や部下達にとっては、たまったものではなかったでしょうね。そりゃ「今まで自分達が戦ってきた苦労は一体何だったんだ」と喚きたくもなるでしょう。 こんな愚劣なラインハルトに従わなければならない帝国の将兵達が、私には本当に哀れに思えてならないですね。主君が「戦争狂」などでなければ、死なずにすんだ人もたくさんいたことでしょうに。 <あと、冒険風ライダーさん自身が、最初の方で『あの愚劣な「回廊の戦い」はラインハルトひとりが周囲の反対を押し切って強引に行ったものでしかなく、周囲はことごとくラインハルトの出征に反対していました』というようなことを仰っているのですが……帝国関係者が本当にヤンたちをそんなに障害に思っているなら、当然、親征に賛成する声の方が大きかったでしょう。帝国関係者は親征に賛成だったのか、反対だったのか、いったいどちらなんですか。> 何でこんな簡単なことが理解できないのですかね? 銀英伝7巻後半〜8巻前半を読めば、こんなものはすぐにでも理解できることでしかないでしょうに。 帝国関係者のほとんど全ては、ラインハルトの親征については明確に「反対」の意思表示を行っています。そしてミッターマイヤー・ロイエンタールは「自分達が代わりにイゼルローン要塞を攻めます」と述べていますし、マリーンドルフ伯は「回廊の両端を封鎖して孤立させれば良いではありませんか」と諫言しています。いずれもヤンの強大さを知るがために、そしてそれ以上にラインハルトの身の安全を案じ、政治に専念してもらいたいが故に、彼らはラインハルトの親征に「反対」しているのです。 帝国関係者の大部分が抱いている認識は「イゼルローン要塞は取り戻したいし、ヤンは打倒したいが、だからといってわざわざ皇帝自身が危険を犯して親征して今すぐ急戦までしなければならないほどのものでもない、他の方法で代替することは充分に可能である」というものです。そして、その代替案として、回廊封鎖の持久戦だの、ミッターマイヤー&ロイエンタール指揮によるイゼルローン奪還だの、謀略を使ったヤン一派の無力化構想だのが作中でも浮上しているわけです。 これが答えなのですけど、納得頂けましたか? <ユリアンは未熟だからラインハルトとの交渉を成立させる事ができたのではありません。ヤンの後継者であることを実力で証明してみせたからこそ、それができたのです。また、上記の会話の中でラインハルトは端的に「慈悲をかけるつもりはない」ということを言っています。冒険風ライダーさんの言っている事はまるで正反対です。> お生憎ですけどね、シヴァ星域会戦でユリアンが「ヤンの後継者であることを実力で証明してみせた」からといって、ラインハルトがユリアンらイゼルローン一派を「何が何でも助けなければならない理由」が一体どこに存在したというのですか? ユリアンがラインハルトのところにたどり着こうがどうしようが、そんなものと関係なしに戦闘を継続させてさえいれば、そのままイゼルローン陣営を壊滅させることができたのですし、名実共に銀河統一を達成することができたことは確実なのです。それをわざわざ助けた時点で「慈悲をかけた」「温情を示す余裕があった」と普通は解釈しませんか? しかもユリアンは、ラインハルトのところにたどり着いた際にも、完全武装で、しかも「立ったまま御意をえる」などという、不敬罪と皇帝暗殺未遂にも問われかねない態度で対面に臨んでいたわけですから、その時点で殺されたとしても文句は言えないでしょう。これらの作中事実を無視して「ユリアン達は自力でバーラト自治区の支配権を獲得した」などと言われましてもね〜。 ユリアンらイゼルローン陣営に対してラインハルトが示した態度は、ラインハルト自身の言葉とは裏腹に、まさに「慈悲をかけた」「温情を示す余裕があった」以外の何物でもないのです。 |
銀英伝考察3−Pへ | 銀英伝考察3−Rへ |
トップページへ |
考察シリーズ 全一覧ページへ |
ザ・ベスト一覧へ |