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カテゴリー「田中芳樹関連」の検索結果は以下のとおりです。

2012年4月上旬における田中芳樹発言いろいろ

https://twitter.com/adachi_hiro/status/185914632643420160
<うちの田中さんも同じコトを言ってます。「引き出しは出来るだけ多くしておきなさい」という表現ですが。 とRT @kemo: "田中氏:  うちの若い奴には,こう言うんです。「デビューのときまでに,もの凄く大きな袋を背負っておけよ」と。..." http://bit.ly/HsdcCw

https://twitter.com/adachi_hiro/status/185917252212752385
<@yukimiz @kemo そうですね。あと田中さん語録では「自分の好きなモノだけ観ていては、結局はその好きなモノの縮小再生産にしか出来ないよ」「今までまったく知らなかった分野の専門家から話を聞くのは楽しいね」「映画は心の栄養です」なんてのが(笑)。>

なるほど、だから昨今の田中芳樹は「好きなモノの縮小再生産」しかできなくなっているわけですね(爆)。
ここ10年程の間に刊行された田中作品を見ても、「権力亡者な女性を不必要なまでに祭り上げる」ような腐臭の漂う話ばかりが幅を利かせるようになってしまっていますし。
1990年代前半頃の田中作品は、似たような傾向があってもそれでもまだ「普通に読める」者が多かったのですが、最近は本当に「見るに耐えない」レベルにまで堕しているありさまです。
田中芳樹が「強い(と自分で思い込んでいる)女性を描く」ことが好きなのは間違いなく、その「好きなモノの縮小再生産」にしか最近の作品は全くなっていないわけで。
「好きなモノの縮小再生産」でしかない今の自分の惨状を見据えた上での自戒だったのでしょうかね、この発言って(苦笑)。

そして、「映画は心の栄養です」に至ってはもう爆笑ものでしかないですね。
そんなことをのたまう人間がこんなタワゴトをかつてくっちゃべっていたとは、にわかには信じ難いのですが↓

イギリス病のすすめ・文庫版 P185~P186
<田中:
 政権交代があることを当然と思ってるところと、現実にないところではね、意識が全然違う。
ぼくは映画の「インディペンデンス・デイ」に見られるようなアメリカ人のセンスをなにかと言うと笑い話のネタにしてるけども……。(笑)
土屋:
 うん、ぼくもそうだから。(笑)>

薬師寺シリーズ7巻「霧の訪問者」 講談社ノベルズ版P104上段
<「現実世界は、ハリウッド製アクション映画の世界と、すこしばかりちがうからです」
「どうちがうのさ」
ハリウッド映画では正しい者が勝ちますが、現実世界では強い者が勝つんです」
 だからこそ、イラクやイランが国際ルールを破れば制裁されるが、アメリカを制裁できる者など存在しない。各国軍隊の戦争犯罪をさばくために国際刑事裁判所というものが存在するが、アメリカは参加していないのだ。わが祖国はといえば、もちろん親分にさからうはずもない。>

こんなごくごく一部のハリウッド映画にしか当てはまらないタワゴトを、あたかもハリウッド全体の傾向であるかのごとくのたまっている辺り、田中芳樹は確実にハリウッド映画の愛好家などではないのでしょうが、では普段は一体どんな映画を観ているというのか、是非とも知りたいところではあります。
邦画の愛好家であるようにも見えませんし、ひょっとして中国映画や韓流にでものめりこんだりしているのでしょうかねぇ、田中芳樹は(苦笑)。

https://twitter.com/adachi_hiro/status/186838236457472000
<田中芳樹さんが「もし風水が正しかったら、歴代中国王朝で、滅んだ王朝は無かっただろうね」って言ってた。 RT @akagitsuyoshi: まあ、フルシチョフぐらいになると、風水なんて鼻の先で笑いとばすわな。

田中芳樹が個人として風水を信じないのは勝手ですが、他ならぬ自分自身の作品でオカルト要素を登場させておきながら作中で迷信扱いするという、ある種の病気でも患っているとしか思えないようなことを小説内で書き殴るのは止めましょうよ。
アレだけ公衆の面前で超常現象や怪物などが跳梁跋扈している光景が大々的に展開されていながら、未だにオカルトが一般社会に認知されてすらいないという作中事実の方こそが「非科学的な怪奇現象」以外の何物でもないのですから。
ネットが飛躍的に発展して個人でも情報発信が可能となり、YouTubeなどのような動画まで一般的なものとなっている現代で、一昔前の情報統制など不可能なのですが、作中の「非科学的な怪奇現象」が一体どのようなやり方で実現されているのについて、田中芳樹には是非とも「科学的に」説明してもらいたいところなのですけどね。

銀英伝2次創作「亡命編」におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン考察4

「亡命編」におけるヴァンフリート星域会戦自体は、転生者たるエーリッヒ・ヴァレンシュタインの原作知識に基づいた介入によって原作と異なり同盟側の勝利に帰するのですが、それに対するヴァレンシュタインのリアクションが、吉本新喜劇もビックリの真剣お笑いギャグそのもので、私がヴァレンシュタインを完全にネタキャラ扱いするようになったのも実はここからだったりするんですよね(苦笑)。
あまりにも桁外れな「狂人キチガイ」ぶりを発揮しすぎていて、正直、作者氏がヴァレンシュタインというキャラクターについて一体どのような役柄を託しているのかについても考えざるをえなかったところです。
もし一連の考察で私が述べている通りのイメージ(「狂人や精神異常者の魅力を描く」とか)をベースに作者氏がヴァレンシュタインを造形しているというのであれば、「亡命編」のみならず「エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝」という一連のシリーズは、二次創作どころか小説としての最高傑作としか評しようがないのですが、現実はどう考えても違うと思いますしねぇ(爆)。
それでは前回に引き続き、今回も「亡命編」におけるヴァンフリート星域会戦におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタインの思考と言動について追跡していきます。
なお、「亡命編」のストーリーおよび過去の考察については以下のリンク先を参照↓

亡命編 銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
http://ncode.syosetu.com/n5722ba/
銀英伝2次創作「亡命編」におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン考察
https://www.tanautsu.net/blog/archives/weblog-entry-570.html(その1)
https://www.tanautsu.net/blog/archives/weblog-entry-571.html(その2)
https://www.tanautsu.net/blog/archives/weblog-entry-577.html(その3)

ヴァンフリート星域会戦を勝利に導くことができたヴァレンシュタインでしたが、彼には大きな不満がありました。
キルヒアイスは戦場で戦死したものの、彼が個人的に最大の目的としていたラインハルトの抹殺が達成できなかったのです。
正確に言うと、戦場においてラインハルトの死体が確認できなかった(キルヒアイスの死体はヴァレンシュタイン本人が確認した)ことと、当時のラインハルトの乗艦だったタンホイザーがヴァンフリート4=2から無事に脱出したことが確認されたため、そのように推測されたというわけなのですが。
この事態に発狂したヴァレンシュタインは、「偉大なる俺様の作戦案は神の采配のごとく完璧だった」というありえない前提の下、愚かしくも自分の作戦にケチをつけることになった「絶対神たる自分への反逆者」を糾弾することに全力を傾けることになります。
前回の考察でも述べたようなおよそ見当ハズレな推理からシトレとヤンに白羽の矢を叩きつけたヴァレンシュタインは、常識的に見て到底考えられないほどに愚劣な論理でもってヤンを上から目線で八つ当たり同然に罵り倒すこととなるわけですが……。

このヴァレンシュタインの考えは、今更言うまでもないでしょうが全く正当なものではありえません。
ヴァンフリート星域会戦における勝敗の帰趨が決した後、ヴァレンシュタインはこんなモノローグを心の中で語っています↓

http://ncode.syosetu.com/n5722ba/16/
> どう考えてもおかしい。第五艦隊がヴァンフリート4=2に来るのが俺の予想より一時間遅かった。原作ではミュッケンベルガーがヴァンフリート4=2に向かうのが三時間遅かったとある。三時間有れば余裕を持って第五艦隊を待ち受けられたということだろう。
>
> 艦隊の布陣を整えるのに一時間かけたとする。だとすると同盟軍第五艦隊は帝国軍主力部隊が来る二時間前にはヴァンフリート4=2に来た事になる。だがこの世界では同盟軍が来たのは帝国軍主力部隊が来る一時間前だ。
>
> 二時間あればヴァンフリート4=2に停泊中のグリンメルスハウゼン艦隊を殲滅できた。行き場を失ったラインハルトも捕殺できたはずだ……。だが現実にはラインハルトは逃げている……。
>
> 俺の記憶違いなのか? それともこの世界では同盟軍第五艦隊が遅れる要因、或いは帝国軍が原作より早くやってくる何かが有ったのか……。
気になるのはヤンだ、俺が戦闘中に感じたヤンへの疑惑……。俺を殺すために敢えて艦隊の移動を遅らせた……。
>
> 否定したいと思う、ヤンがそんな事をするはずがない。
しかし俺の知る限り原作とこの世界の違いといえば第五艦隊のヤンの存在しかない……。奴を第五艦隊に配属させたのが失敗だったという事か……。

このヴァレンシュタインの「推理」には致命的な間違いがひとつあります。
それは「ミュッケンベルガーがヴァンフリート4=2に向かうのが三時間遅かった」という原作の作中事実が、「亡命編」でも無条件にそのまま適用されると考えていたことにあります。
実はヴァレンシュタインは、「ビュコックの第五艦隊にヤンを配属させた」ということ以外にもうひとつ、原作には全くなかったことをやっているんですよね。
それがこれ↓

http://ncode.syosetu.com/n5722ba/13/
> 戦闘が始まって既に十二時間が経ちました。基地からは同盟軍に対して悲鳴のような救援要請が出ています。“帝国軍が大規模陸上部隊をもって基地を攻撃中。被害甚大、至急救援を請う、急がれたし”
>
(中略)
>
> もう分かったと思います。あの救援要請は嘘です、被害甚大なのは帝国軍のほうです。救援を欲しがっているのも帝国軍でしょう。実際、この救援要請を出した通信オペレータは笑い過ぎて涙を流していました。今年最大の冗談だそうです。
実際今も一時間おきに救援要請を出しますがその度に司令室には笑い声が起きます。

作中では、4月3日の時点でヴァレンシュタインの決断により最初の救援要請通信が送られており(12話)、以後、4月7日に基地に攻め込んできた帝国軍が撤退して以降も通信が続けられていたであろうことから、総計すると最低でも総計30~40回、4月3日時点から「1時間おきに…」出していたと考えると実に100回以上もの救援要請通信が行われていたと考えられます。
では原作ではどのような形で救援要請を行っていたのかというと↓

銀英伝外伝3巻 P73下段
<「ヴァンフリート4=2の後方基地からの緊急通信です」
 それが最初であった。ヴァンフリート4=2の奇怪な状況が、味方である同盟軍のもとに、通信となってもたらされたのは。それまで、用心しつつ
幾度か発した通信波は、ヴァンフリート4の巨大なガス体やその影響によって、遮断されていたのである>

原作のビュコック艦隊が緊急通信を受け取ったのは4月5日ですので、これ以降も当然「味方が受信してくれることを期待した通信」は行われていたでしょうが、それでも「慎重に行わざるをえなかった」と記載されているわけですから、すくなくとも「亡命編」のそれよりは発信回数が少なかったであろうことは確実です。
しかも基地での戦闘中に至っては、記載がない上に同盟軍劣勢でゴタゴタしていたこともあり、そもそも救援要請通信がきちんと出されていたのか否かすらも不明というありさま。
どう贔屓目に見ても、「亡命編」におけるヴァンフリート4=2から発信されていた救援要請通信は、原作のそれよりも圧倒的に多いであろうことが推察されるわけです。
何しろヴァレンシュタインは、敵に通信が傍受される危険性などおかまいなしに、とにかくビュコック艦隊を当てにして通信を乱発させていたのですから。
では、そこまで通信回数が多いと一体どのような事態が起こりえるのか?
そこから想定される最悪の予測は、「ミュッケンベルガー艦隊がビュコック艦隊よりも先に救援要請通信を傍受してしまう」というものです。
そもそも原作のヴァンフリート星域会戦からして、通信波によって自軍の所在が帝国軍に知られるとマズイという理由から、連絡が慎重に行われていたという事情があるのに、その状況を無視してのこの通信の乱発は、それだけで原作の歴史を変えてしまうのに充分過ぎる要素です。
実際、同盟軍が発した救援要請通信は、ヴァンフリート4=2に駐屯しているグリンメルスハウゼン艦隊の司令部でもしっかり傍受されていましたし、彼らが無能で味方にそのことを知らせなかったにしても、何らかのまぐれ当たりでミュッケンベルガー艦隊がその通信を「原作よりも早く」【直接に】傍受してしまった可能性だってありえるのです。
そうなればミュッケンベルガーとしては当然のことながら「救援要請通信を受けた同盟軍はヴァンフリート4=2にやってくる」と察知できるでしょうし、そうなれば「救援にやってくるであろう同盟軍に先んじてヴァンフリート4=2に先着し、逐次投入でやってくる同盟軍を各個撃破しよう」という発想へと普通に行き着くはずです。
実際、原作でも第五艦隊の動きを察知したミュッケンベルガーは、まさにそういう決断を下していたわけなのですから↓

銀英伝外伝3巻 P86下段~P87上段
<一万隻をこす戦力が、外縁部から星系内部へ移動してきたのである。多少の時差はあっても、気づかれないはずがなかった。両軍ともに、敵の動向を探るための努力はしていたのである。ミュッケンベルガー元帥も、けっして無為無能な男ではなく、同盟軍の行動が、ヴァンフリート4=2宙域を目標としてのものであることを見ぬいた。
 帝国軍首脳部、ことにミュッケンベルガー元帥にしてみれば、あえて危険を犯して、グリンメルスハウゼン艦隊を救出するだけの価値など認めてはいない。だが、
叛乱軍こと同盟軍の動向が、かなりの確度で明白になった以上、それに対応せずにすむはずがなかったのである。
 ミュッケンベルガーは、ヴァンフリート4=2の宙域に、全軍の主力を集中移動するように命じた。この命令は、戦術上、ほぼ正しいものであったが、残念なことに、ややタイミングが遅かったであろう。
彼が三時間ほど早くこの命令を出していれば、まず同盟軍第五艦隊を正面から邀撃して壊滅させ、つぎつぎとやってくる同盟軍を各個撃破して、全面勝利を手に入れえたはずである。だが、そうはならず、帝国軍主力は、第五艦隊の動きに追随する形で、ヴァンフリート4=2宙域へと進撃していった。>

戦場とは不確定要素に満ちた「生き物」なのであり、それは原作知識のごとき「未来の預言書」的なものがあっても例外ではありません。
ましてや、その「未来の預言書」と少しでも違うことをやっている時点で、戦場に与える影響も原作からのズレも充分に多大かつ未確定なものへとなりえるではないですか。
救援通信要請を乱発しまくっている時点で、ヴァレンシュタインは「原作よりも早くミュッケンベルガーが動くかもしれない」という危険性に気づくべきだったのです。
もちろん、これはあくまで可能性の問題ですから、「亡命編」におけるミュッケンベルガーが、ヴァレンシュタインによって乱発されまくった救援要請通信を【幸運にも】全く傍受することなく、原作と寸分の狂いもなく動いていた可能性も決して考えられないことではないでしょう。
正直、いくら近いとは言え、グリンメルスハウゼン艦隊司令部や現地の地上軍がああも簡単に傍受できかつ内容も完全に把握できてしまうような通信を、ミュッケンベルガー艦隊が暗号解読も含めて全くキャッチできなかったとは非常に考えにくいのですが……。
ただいずれにしても、被害妄想に満ち満ちた愚劣な推論でもってヤンとシトレを罵倒しまくっていたヴァレンシュタインの立場的には、本来この可能性【も】一緒に、あるいはそれ以上に考慮しなければならなかったはずなのですがね。

そして、実はこちらがより致命的な問題なのですが、そもそもヤンがビュコック艦隊にいること自体がヴァレンシュタインの要求によるものである、という作中事実があります。
ヴァレンシュタインにしてみれば、ヤンとビュコックは原作でもお互い信頼が厚く頼りになる戦友的な間柄にあったので、ヤンにビュコックを補佐させておけば間違いは生じない、という考えだったのでしょう。
しかし、2人がそのような関係になったのは、銀英伝1巻の第7次イゼルローン要塞攻防戦でヤンがイゼルローン要塞を無血奪取して以降の話です。
それに先立つヴァンフリート星域会戦時点では、2人は未だ面識すらもなく、お互いの名声を聞き及んでいた程度の関係に過ぎませんでした。
当然、この時点では互いに相手の人格や性格すらも全く知らないわけですし、ビュコックにしてみればヤンは単なる新参の一作戦参謀でしかなく、ヤンから見たビュコックも「おっかない親父さん」程度の存在でしかなかったでしょう。
また、アスターテ会戦以前のヤンが「3回忠告を受け入れられなければ『給料分の仕事はしたさ』であっさり引き下がってしまう」ような人間だったことも、これまたヴァレンシュタインは原作知識から当然熟知していたはずです。
お互い初対面で相手のことも「過去の名声」以上のものは分からず、原作1巻以降のような確固たる信頼関係が構築されているわけでもない。
そんな状態で「ビュコックにヤンをつければ確実に上手く行く」などと考える方が変というものでしょうに。
間違った原作知識の使い方をしている自分自身のことを一切顧みず、ひたすら「自分を見捨てにかかった!」などという被害妄想をベースにヤンとシトレを罵り倒すヴァレンシュタインの滑稽な惨状が、私には何とも笑えるシロモノに見えて仕方がなかったのですけどね。

こんな被害妄想と視野狭窄と責任転嫁に彩られたバカげた「迷推理」を開陳しまくった、ヴァンフリート星域会戦におけるヴァレンシュタインの狂気に満ちたお笑いひとり漫才劇は、いよいよそのグランドフィナーレに向けて最大戦速で突撃を敢行することになります。
その全容については、「亡命編」におけるヴァンフリート星域会戦編最後の考察となる次回で明らかにしたいと思います。

銀英伝2次創作「亡命編」におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン考察3

「亡命編」の8話で、ヴァンフリート星系に存在する同盟軍の補給基地へ赴任するよう命じられたエーリッヒ・ヴァレンシュタイン。
原作ではラインハルトとリューネブルクによって壊滅に追い込まれることになっているそこへ赴任する羽目となったヴァレンシュタインは、自らが生き残るために歴史を改変することを決意、そしてここが「亡命編」における重要なターニングポイントとなるのです。
そして同時に、「亡命編」におけるヴァンフリート星域会戦は、ヴァレンシュタインの愚劣な発想・醜悪な性根・滑稽な空回り、およびそれに基づいた思い上がり・責任転嫁・自己正当化・八つ当たり・厚顔無恥と、ヴァレンシュタインの負の側面と本性がこれでもかと言わんばかりに前面に出ているストーリーでもあります。
こんな精神異常と人格破綻を同時にきたしているような「狂人」を無条件で受け入れる同盟って、何と寛大な(それ故に低能かつ御都合主義な)政体なのかと、つくづく痛感せずにはいられなかったですね(笑)。
今回はこのヴァンフリート星域会戦におけるヴァレンシュタインの思考・言動について検証してみたいと思います。
なお、「亡命編」のストーリーおよび過去の考察については以下のリンク先を参照↓

亡命編 銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
http://ncode.syosetu.com/n5722ba/
銀英伝2次創作「亡命編」におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン考察
https://www.tanautsu.net/blog/archives/weblog-entry-570.html(その1)
https://www.tanautsu.net/blog/archives/weblog-entry-571.html(その2)

「亡命編」におけるヴァンフリート星域会戦絡みの話を読み進めていて、まず最初に爆笑せざるをえなかったのはこの記述ですね↓

http://ncode.syosetu.com/n5722ba/12/
> 此処までは特に原作との乖離は無い。両軍が繞回運動を行なった事、混乱した事、原作どおりだ。酷い戦だよ、ヴァンフリートのような戦い辛い場所で繞回運動だなんて帝国軍も同盟軍も何考えてるんだか……。
>
> 特にロボス、同盟軍の総司令官なのに基地の事なんて何も考えていないだろう。
目先の勝利に夢中になってるとしか思えん。こいつが元帥で宇宙艦隊司令長官なんだからな、同盟の未来は暗いよ。

これを読んだ瞬間にすぐさま入れたツッコミは「お前が言うな!」でしたね(苦笑)。
そもそもヴァレンシュタインがヴァンフリートに赴任せざるをえなくなった最大の原因は、「帝国への逆亡命計画」なる未来図を構築していながら、目先の復讐感情を満足させることに夢中になり、不要不急に自身の有能さを発揮して注目の的になってしまったことにあるわけでしょう。
目先のことばかりに目を奪われて大局的な視野が欠落しているという点では、ヴァレンシュタインもまたロボスと同レベル以下でしかないのです。
そしてさらに笑えるのは、そんな過去の自分の言動を顧みて「あそこでは自分の行動が拙かった」的な自責や自省の類どころが、そもそも「自分の行動が間違っていた」という自覚や認識すらも全くないことです。
ヴァレンシュタインの頭の中では、自分の行動は全て正しく、自己一身の得手勝手な都合でしかない「帝国への逆亡命計画」を妨害するかのような人事を繰り出す他者は人類の敵であるかのごとく全て悪い、ということにでもなっているのでしょう。
その辺りの無反省・自己正当化な性格は、ロボスどころかフォークにすら通じるものがあります。
帝国にせよ同盟にせよ、こんな人間が重鎮になる陣営の未来は、はっきり言って「暗い」どころの騒ぎではないのではないですかねぇ(苦笑)。

さて、原作知識からヴァンフリート4=2の補給基地に赴任することを渋りつつも命令として行かざるをえなくなったヴァレンシュタインは、交換条件とばかりにキャゼルヌに対し大量の物資と人員を要求します。
(すくなくとも同盟軍的には)過剰とすら言える戦力を配備し、来襲するであろう帝国軍を圧倒することで原作の歴史を改変しようとしたわけです。
そして一方、大量の物資を要求されたキャゼルヌもまた、シトレの了承の下、ヴァレンシュタインの要求に応えてくれました。
少佐に昇進したばかり、それも亡命者であるヴァレンシュタインの立場では本来とても要求できるような物量ではないレベルの融通を、ヴァレンシュタインは通してもらったわけですね。
実際、物資を要求されたキャゼルヌは、様々な方面から苦情や嫌味を言われていたみたいですし(10話)。
ところがヴァレンシュタインは、このことに対してキャゼルヌやシトレに感謝するような素振りすら全く示さないばかりか、「こんな程度のことでは足りない」と言わんばかりの態度を貫き通す始末だったりするんですよね。
挙句の果てには、自分に物資を融通することを承認してくれたシトレ一派に対して、こんな疑心暗鬼なことを考えるありさま↓

http://ncode.syosetu.com/n5722ba/15/
> 残念だが基地の安全は未だ確保されたわけではない。味方艦隊がヴァンフリート4=2に来ない。本当なら第五艦隊が来るはずだが、未だ来ない……。第五艦隊より帝国軍が先に来るようだと危険だ。いや、危険というより必敗、必死だな……。
>
> 原作では同盟軍第五艦隊がヴァンフリート4=2に最初に来た。第五艦隊司令官ビュコックの判断によるものだった。念のためにヤン・ウェンリーを第五艦隊に置いたが、失敗だったか……。原作どおりビュコックだけにしたほうが良かったか……。
>
> それとも
ヤンはあえて艦隊の移動を遅らせて帝国に俺を殺させる事を考えたか……。帝国軍が俺を殺した後に第五艦隊がその仇を撃つ。勝利も得られるし、目障りな俺も消せる……。有り得ないことではないな、俺がヤンを第五艦隊に送った事を利用してシトレあたりが考えたか……。
>
> ヤンは必要以上に犠牲を払う事を嫌うはずだ。そう思ったから第五艦隊に送ったが誤ったか……。信じべからざるものを信じた、そう言うことか……。慌てるな、此処まできたら第五艦隊が来る事を信じるしかないんだ。

……自分が融通してもらった物資や戦力の数々をすっかり忘れてしまっているとしか思えない発想ですよね、これって。
本気でシトレが、ヴァレンシュタインが考えているようなやり方で見殺しにしたいと考えるのであれば、そもそもヴァレンシュタインのために物資を融通するなんてことをするはずもないでしょう。
ヴァレンシュタインの要求など一切認めず、そのまま身ひとつでヴァレンシュタインをヴァンフリート4=2の補給基地に赴任させて、後は知らん顔を決め込んでいれば良かったわけですし。
第一、たかだかヴァレンシュタインひとりを殺すために基地を丸ごと見捨てるなんて、払うべきリスクが高すぎる上に壮大なコストパフォーマンスの浪費でしかありません。
基地が失われた時点で軍上層部に対する非難は避けられないのですし、それはシトレにとっても手痛いダメージとして返ってこざるをえないのですから。
ましてや、その前にヴァレンシュタインに大量の物資と戦力を送りしかもそれが全て失われたとなれば、「何故わざわざそんなことをしたんだ!」と更なる責任問題にまで発展してしまうことは必至です。
何しろ、ヴァレンシュタインの過剰な要求を認めたのはキャゼルヌであり、それを最終的に承認したのはシトレなのですから、当然火の粉も盛大に降りかからざるをえないわけで。
ヴァンフリートの補給基地に新規配備された大量の物資と戦力を見ただけでも、「今自分を見捨てることはシトレにとっても損失になる」という常識的な結論に、いとも簡単に思い至るはずでしょうに。
せっかく過大な物資や戦力を融通してもらったことも忘れてこんな被害妄想にふけっているのでは、ヴァレンシュタインは「忘恩の徒」「鶏のような記憶力の欠如」のそしりを免れないでしょう。

それでもあくまでヴァレンシュタインが「シトレは自分を抹殺したがっている」と考えるのであれば、本来何よりも最優先で警戒しなければならなかった人物がいます。
それは自身の監視を行っているバグダッシュとミハマ・サアヤです。
この2人は「シトレの承認の下で」ヴァレンシュタインの監視と報告を行っているわけですし、いざとなればすぐにでもヴァレンシュタインを暗殺することができる位置に【常時】いるのです。
この位置的な問題に加え、バグダッシュは原作でも救国軍事会議クーデター側の手先としてヤンを暗殺しようとした作中事実がありますし、ミハマ・サアヤはその彼の部下。
他にも原作には、用兵では不敗を誇ったヤンがあっさりと暗殺に倒れた作中事実や、ラインハルト&キルヒアイスがベーネミュンデ侯爵夫人の刺客によってしばしば生命の危機に晒された事例、さらにはブルース・アッシュビーが会戦の帰趨が決した直後に不可解な戦没を強いられた歴史などもあり、かつそれらの知識を当然ヴァレンシュタインは知っているのですから、それと自分の境遇を重ね合わせることくらい簡単に行えたはずです。
ヴァレンシュタインが抱え込んでいる諸々の原作知識から考えても、バグダッシュとミハマ・サアヤの2人は真っ先に警戒対象にならなければおかしいのです。
当時のバグダッシュとミハマ・サアヤが実際にどんなことを考えていたのかはこの際何ら問題ではなく、ヴァレンシュタインの立場から見てこの2人がどれだけ危険な位置にいるのかだけが問われるのですから。
そもそも「亡命編」におけるヴァレンシュタイン自身、第5次イゼルローン要塞攻防戦の最中に自分の生命を暗殺者に直接狙われた過去があったりするわけですし、「同じことを二度と繰り返させない」ためにも、自分の身辺に対する警戒心は本来過剰過ぎても良いくらい身についていて然るべきはずではありませんか。
戦場のドサクサに紛れてヴァレンシュタインを直接暗殺し「名誉の戦死」的な扱いにでもすれば、会戦の帰趨に関わりなくヴァレンシュタインを「効率良く使い潰す」こともはるかに容易となりますし、その方がコストパフォーマンスも払うべきリスクも大幅に安くて済みます。
ヴァレンシュタインの被害妄想的な思考パターンから言っても、不確実極まりないシトレやヤンの動向などよりも、むしろこちらの可能性にこそ思いを致さなければならなかったはずです。
アレだけ「自分が生き残る」ということに固執しているにもかかわらず、また暗殺者に狙われた過去があるにもかかわらず、自分の身辺に対する警戒心が能天気も極まれりなレベルで甘くかつ薄すぎると断じざるをえないですね。
原作知識も相変わらずロクに使いこなせていないですし、これでは宝の持ち腐れもいいところです。
それともまさか、「基地を丸ごと見捨てでもしない限り、偉大なる不死身の俺様を殺すことはできない」とでもヴァレンシュタインは考えていたりしていたのでしょうか?

まだまだ続きますが今回はここまで。
次回の考察でも、ヴァンフリート星域会戦におけるヴァレンシュタインの言動と思考を追跡します。

田中芳樹のサイン会が大阪で開催

数年ぶりに、田中芳樹のサイン会が行われるみたいですね。
何でも、銀英伝舞台版の大阪公演と「アルスラーン戦記」の再販を記念してのものなのだとか。

http://www.tsogen.co.jp/news/2012/03/12032318.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
> 『銀河英雄伝説』舞台化と『王都炎上 アルスラーン戦記1』(光文社文庫)の発売を記念しまして田中芳樹先生のお話し会&サイン会を開催いたします。
>
> ■『銀河英雄伝説』舞台化 &『王都炎上 アルスラーン戦記1』刊行記念
> 田中芳樹先生 お話し会&サイン会
>
日時:2012年4月29日(日)10:30〜
>
場所:阪急グランドビル26階 会議室番号8・10
> お問い合わせ:紀伊國屋書店梅田本店 TEL:06-6372-5821(10:00〜22:00)
>
> 対象商品:『銀河英雄伝説』全10巻
『銀河英雄伝説 外伝』全5巻(以上、創元SF文庫)
> 『王都炎上 アルスラーン戦記1』
(光文社文庫)
> ※当日イベント会場にて書籍を購入されたお客様には、もう1冊のみサインをお入れします。イベント会場にて購入された書籍には『銀河英雄伝説』特製ポストカードをお付けします。(1冊につき1枚)
>
> 参加方法:紀伊國屋書店梅田本店にて、『銀河英雄伝説』をお買い上げのお客様、もしくは4/12発売の『王都炎上 アルスラーン戦記1』をご予約のお客様先着80名様に整理券を配布いたします。
> お電話でのご予約も受け付けております。整理券はお一人様1枚までとさせて頂きます。

しかしまあ、相も変わらずツッコミどころが多々ある作品情報ですねぇ(苦笑)。
銀英伝外伝は全5巻として【公式に】告知され、アルスラーン戦記はまたしても再販ときているのですから(苦笑)。
銀英伝外伝については、他ならぬ田中芳樹自身が非公式ながら「もう書けない」発言を繰り出していますし、もう書く気は全くないのでしょうけど、それならそれで何故そのことを【公式に】宣言しないのか、つくづく理解に苦しむものがあります。
もう全5巻と公示されてしまっているわけですし、今更何の障害もないでしょうに。
読者だって、ここまで間が空いてしまえば、いっそ続巻凍結を発表してもらった方が諦めもつこうというものです。
続巻を出さないなら出さないで、作家としてのケジメくらい自分でつけるべきなのではないのですかねぇ(-_-;;)。
ましてや、徳間ノベルズ版の銀英伝10巻であんなあとがきを書いていたはずの田中芳樹ならなおのこと。

あと、アルスラーン戦記に限ったことではないのでしょうが、「らいとすたっふ」も出版社も本当に田中作品を再販しまくりますね。
この出版不況ですし、カネになるものはとにかく利用しまくってカネを捻出しなければならないのでしょうが、アレだけ政治家や企業のカネ儲け主義を罵りまくり、他者に「貧乏のススメ」なるものまで持ち出してお説教しておきながら、田中芳樹もよくまあ「らいとすたっふ」や出版社のアゴキなカネ儲け至上主義を肯定できるものです。
今回光文社文庫で再販されるアルスラーン戦記も、近い将来に今度は電子書籍化されてまた……という流れになるのは既に目に見えていますし。
まあ、自分の作品をポルノ以上に悪い噂が絶えないパチンコに売り飛ばした前科を持つ田中芳樹的には、そんな程度のことに今更罪悪感を覚えるようなことも既になくなっているのでしょうけど。
自身がこういう惨状であっても、今度の薬師寺シリーズ新刊では相変わらず政治家や企業のカネ儲け至上主義を罵りまくったりするのでしょうかねぇ(苦笑)。
東京電力や橋下徹大阪元府知事&現大阪市長なんて、確実にネタになりそうではあるのですが(爆)。

田中芳樹が愛読する「日刊ゲンダイ」

社長氏のTwitterアカウントで面白ツイート発見↓

https://twitter.com/adachi_hiro/status/182722352218513408
田中芳樹さんは、笑えるネタを集めるため、と言って「日刊ゲンダイ」を愛読してる。一度、奥さんがゲンダイと間違えて「夕刊フジ」を買ったことがあって。たいして違わないじゃない、と言った奥さんに田中さんは「君はゲンダイへの愛が足りない」、と。いやいや、ふつうは愛、ないから。>

田中芳樹が「日刊ゲンダイ」を愛読しているって初めて聞きましたよ、私は。
これまでの著書で披露されてきた田中芳樹の思想傾向から考えれば、笑いのネタにしているのは「日刊ゲンダイ」の記事で槍玉に挙げられている政治家や企業などであって、間違っても「日刊ゲンダイ」の記事そのものではないのでしょうけど。
ちなみに「日刊ゲンダイ」といえば、以下のような有名なネタが掲載されたこともあったりするのですが↓

日刊ゲンダイ 2006年9月13日付記事
> 人前でブーッとやらかす恐怖におびえているサラリーマンが急増しているという。
> お腹の中のガスの発生を抑えるオナラ解消薬も売れている。
おなら恐怖症が増えているのはなぜか。まずストレス。緊張すると、唾液と一緒に空気をのみ込み、その一部が腸にたまる。便秘にもなりやすくなり、ますますガスがたまる……ああ、これも小泉失政のツケか――。

「おなら恐怖症の増大」から「小泉失政」へと話の流れを無視してでも強引に繋げるような記事を掲載するような新聞を、田中芳樹は愛読しているわけですね(爆)。
田中芳樹ががなり立てる社会評論も「日刊ゲンダイ」と似たりよったりなレベルですし、やはりシンパシーはそれなりにあるのでしょうねぇ(苦笑)。
次回の薬師寺シリーズ新刊でも、やはり「日刊ゲンダイ」を元ネタにした社会評論が盛大に開陳されたりするのでしょうか?

あと、社長氏のツイートでは「奥さん」という単語が登場していますが、実は私が知っている限り、Web上で社長氏が「田中芳樹の奥さん」について言及したのは今回が初めてだったりします。
何しろ21世紀に入って以降、「田中芳樹の奥さん」という存在は、田中芳樹サイドから「最初からいなかった」かのごとく扱われているのですからねぇ(苦笑)。
ブログ記事だけでなく社長氏の同人本を読んでみても、「田中芳樹の奥さん」に対しては一言たりとも言及された形跡がなく、それどころか今現在の田中芳樹は一人暮らしをしているとまで明言されているわけですし。
まあ「田中芳樹の奥さん」は過去の回想話として持ち出されただけで、今現在の情報が含まれているわけではないのですが。
以前は幾度となく話に出てきた「田中芳樹の奥さん」が、何故21世紀以降はここまで言及されなくなったのかについては、真相が公表されれば十中八九、ごくありふれた他愛もない話でしかないのでしょうが、田中芳樹サイドがここまで何も言及しないことが逆に興味をそそるんですよね。
下手に秘密にすれば、たとえ何ら後ろ暗い所業ではないことであっても「秘密にすること自体」によって結果的に自分の弱みになってしまう、といった主旨のことをアルスラーン戦記8巻で作中キャラクターに語らせていた田中芳樹が、自分の身内のこととなると途端に無為無用な秘密を抱えようとする辺りが何とも笑えてならないところなのですが。
別に発表しても何ら問題ないことだろうに、何故そこまで田中芳樹サイドは「奥さん」のことについて言及を避けようとするのかなぁ、と。

銀英伝舞台版公式サイト更新&田中芳樹トークショー開催

銀英伝舞台版公式サイトで、第二章「自由惑星同盟編」で登場人物を演じるキャストが新たに公開されました。
今回公開されたキャストが演じるキャラクターは、ジョアン・レベロとコーネリア・ウィンザー。

銀英伝舞台版公式サイト
http://www.gineiden.jp/
第二章 自由惑星同盟編 トップページ
http://www.gineiden.jp/doumei/
第二章 自由惑星同盟編 キャストページ(1ページ目)
http://www.gineiden.jp/doumei/cast.html
第二章 自由惑星同盟編 キャストページ(2ページ目)
http://www.gineiden.jp/doumei/cast2.html

キャスト内容は以下の通り↓

ファイル 572-1.jpg
ファイル 572-2.jpg
ファイル 572-3.jpg

あと、紹介されているキャスト毎に公式サイト&ブログのURLリンクが貼られていますね。
以前はなかったので、後付で追加したのでしょうけど。

しかしコーネリア・ウィンザー役って、何故2人が演じることになったのでしょうか?
タイムスケジュールが云々と述べているところから見ると、たとえば14日はキャストAが、15日はキャストBが演じるとか、そういった形になるのでしょうけど。
あるいは東京公演と大阪公演でキャストが交代するとか。
キャスト側の都合なのでしょうけど、何とも変な配置をするものですね。

あと、銀英伝舞台版に絡み、2012年3月24日~4月4日にかけてニコニコ本社で開催される銀河英雄伝説カフェの最終日に、田中芳樹がトークショーに登場するそうです。

銀河英雄伝説カフェ
http://www.gineiden.jp/sp_cafe.html
ニコニコインフォ
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2012/03/030813.html

熊本在住の私には関係ないかと思っていたら、トークショーの前半はニコニコ生放送で配信されるのだとか。
まあちょっとしたネタで見てみるのも良いかもしれませんね。

銀英伝2次創作「亡命編」におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン考察2

「心の内に飼っている獣」の命じるがまま衝動的に動くが故に、一般的な「忍耐」「我慢」という概念とは全く無縁な存在であるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン。
よほどに自己顕示欲が旺盛なのか、ヴァレンシュタインという人物は、目立ってはいけない局面ですら無為無用に目立った言動を披露し周囲からの注目を集め、結果的に自分を危険な方向へと追い詰めてしまう傾向が多々あるんですよね。
「亡命編」の4話~8話辺りまでのストーリーは、そんなヴァレンシュタインの性癖が致命的な形で裏目に出ている回であると言えるのですが、今回はそれについて検証をしてみたいと思います。
なお、「亡命編」のストーリーおよび過去の考察については以下のリンク先を参照↓

亡命編 銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
http://ncode.syosetu.com/n5722ba/
銀英伝2次創作「亡命編」におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン考察
https://www.tanautsu.net/blog/archives/weblog-entry-570.html(その1)

「帝国への逆亡命計画」などという同盟への裏切り行為をありえないほど楽観的に画策していたヴァレンシュタインは、しかしその妄想に反して3話の終わりにアルレスハイム星域へと向かう第四艦隊での前線勤務を命じられることになります。
自身の妄想を妨害されたと早合点した挙句に被害妄想じみた怒りに囚われたヴァレンシュタインは、自分に前線勤務することを画策した者達に報復することを考えつきます。
そして、原作知識を利用した助言を行い、自分を監視しているミハマ・サアヤに報告書を書かせることで、ヴァレンシュタインは見事に報復を行うことに成功するのですが……。

一見するとヴァレンシュタインの有能性を示すかに思えるこのエピソードは、しかし実際には、ヴァレンシュタインの無思慮さとヒステリックな性格を露にしているだけでしかないんですよね。
そもそもヴァレンシュタインは、原作知識に基づいてラインハルトに協力すべく「帝国への逆亡命計画」を画策している身であったはずです。
そのために軍に入って職を得た、という選択自体が前回の考察でも述べているように既に間違っているのですが、それにあえて目を瞑るとしても、帝国へ逆亡命するためには必須とも言える絶対条件がひとつ存在します。
それは「自分が同盟内で目立つ存在になってはいけない」
ただでさえヴァレンシュタインは、亡命してきた経緯から「スパイ疑惑」をかけられ監視されている上、「帝国への逆亡命計画」という他者にバレるとマズい秘密を抱え込んでいるわけです。
であれば、その監視の目に対して「自分は無害な存在である」とアピールし続け、仕事についても無難かつ平穏にこなして「こいつは安全だ」と騙し込ませつつ、「決行の日」に向けて密かに準備を進める、という手法を取る必要がヴァレンシュタインには確実にあったはずでしょう。
もし何らかの形で自分が目立ってしまうと、ますます疑いの目で見られて監視の目が強くなったり、逆に「有能」と見做されて注目を浴びたりこき使われたりすることで、「帝国への逆亡命計画」が非常に難しくなる危険性があるのです。
実際、アルレスハイム星域の会戦後も、監視役であるミハマ・サアヤに対して「ヴァレンシュタインを引き続き監視し、どんな小さなことでも報告するように」との命令が、上司たるバグダッシュから伝達されています。
同盟軍に深く関わるようになればなるほど、同盟は「帝国への逆亡命」などを許しはしないでしょうし、一挙手一投足が注目されるような状況下でそんなことが可能なわけもないのです。
にもかかわらずヴァレンシュタインは、目先の報復感情を満足させるためだけに他者からの注目を浴びるような言動を披露することで、結果的には「帝国への逆亡命計画」を自分から破綻させる方向へと舵を切ってしまったわけです。
一般常識で考えるだけでも簡単に理解できる程度のことすら勘案できないほどに、ヴァレンシュタインは考えなしのバカだったのでしょうか?

さて、アルレスハイムでの1件で自業自得的に一際目立つ存在となってしまったヴァレンシュタインは、ほとぼりを冷ますことも兼ねてフェザーンへ行くことを命じられます。
そして、ここでも大人しくしていれば良いものを、またしてもヴァレンシュタインは考えなしの行動に走ってしまうんですよね。
これみよがしに同盟の高等弁務官事務所に届けられた、帝国の高等弁務官府で行われるパーティの招待状に応じ、パーティ現場へノコノコと足を運んでしまうのです。
そして、ここでヴァレンシュタインは旧友であるナイトハルト・ミュラーとの邂逅を果たし、ミハマ・サアヤを介して情報交換をしてしまうんですね(7話)。
自身がスパイ疑惑で未だに監視されている身であり、かつミハマ・サアヤ自身が自分の監視役であることを、他ならぬヴァレンシュタイン自身も充分過ぎるほど承知だったはずでしょうに、どうしてこんな短慮かつ危険な行為に及んだのか理解不能と言わざるをえません。
一般常識はもちろんのこと、スパイアクション映画の類な付け焼刃な知識だけで考えても、自身に危険が及ぶことが余裕で理解できるシチュエーションでしかないのですが(苦笑)。
実際、一連の行為はミハマ・サアヤに仕込まれていた盗聴器の存在(13話で判明)によって軍上層部の耳に入り、それがヴァンフリート4=2への前線勤務命令へと繋がることになるのですし(8話と10話)。
ヴァレンシュタインから原作知識がなくなると、ここまで近視眼かつ判断力皆無な人間にまで成り下がるという好例ですね。

ヴァレンシュタインが密かに考えている「帝国への逆亡命計画」からすればあまりにも「考えなし」の言動丸出しなヴァレンシュタインですが、しかし彼の立場でこういった危険性を予測することはできなかったのでしょうか?
実は一般常識やスパイアクション映画の知識などがヴァレンシュタインに全くなかったとしても、ヴァレンシュタインの立場であればこのことを充分に予測できる材料があるはずなんですよね。
それはもちろん、原作知識。
何しろ原作には、銀英伝1巻でイゼルローン奪取後に辞表を提出したヤンを、発足間もない第13艦隊をネタにシトレが却下するという作中事実が立派に存在するのですからね。
当然、この「シトレの法則」はヴァレンシュタインについても全く同じように適用されるわけで、軍内で有能さを示せば示すほど、その有能さを見込んだシトレがヴァレンシュタインを引き止めようとすることなんて、原作知識があるヴァレンシュタインにとって簡単に予測できるものでしかなかったわけですよ。
ヴァレンシュタインが本当に「帝国への逆亡命」をしたかったのであれば、むしろ逆に「自分は全く使えない人間である」という演出でもすべきだったのです。
にもかかわらず、わざわざ同盟軍に入ってしまった上に自分の有能さをアピールしてしまい、自分で自分の首を絞めているヴァレンシュタイン。
自分が何をしているのかすらも理解できず、周囲に誤解を振りまきまくって勝手にどんどん追い込まれている惨状が、私には何とも滑稽極まりないシロモノに見えてならなかったのですけどねぇ(笑)。

かくのごとく、そもそものスタートからして致命的に間違っているものだから、その後ヴァレンシュタインがシトレ一派を憎む描写があっても「それはただの八つ当たり」「お前の自業自得だろ」という感想しか抱きようがないんですよね。
しかもヴァレンシュタインは、自分が帝国に帰れなくなった最大の原因が「他ならぬ自分自身にある」という事実すら直視せず、ひたすら他人のせいにばかりして自分の言動を顧みることすらしないときているのですから、ますます同情も共感もできなくなってしまうわけです。
「本編」でヴァレンシュタインが批判していたヤンやラインハルトでさえ、自分達の言動を顧みる自責や自省の概念くらい「すくなくとも原作では」普通に持ち合わせていたはずなのですけどねぇ(苦笑)。
何でもかんでも全て他人のせいにして生きていけるヴァレンシュタインは、ある意味凄く幸せな人間であると心から思いますよ、本当に。

何故序盤におけるヴァレンシュタインが、こうまで先の見えない近視眼的な人物として描かれているのか?
身も蓋もないことを言えば「そうしないと作者がストーリーを先に進めることができないから」という事情に尽きるのでしょう。
しかしその結果、ヴァレンシュタインは「考えなしのバカ」というレッテルが貼られることになってしまった上、そのレッテルには「あれだけの原作知識がありながら…」というオマケまで付加される羽目となったわけです。
せめて、何らかのトラブルに巻き込まれて「有能さを発揮しないと自分が死んでしまう」という状況下で「やりたくもないけど才覚を発揮【せざるをえなかった】」という形にすれば、まだヴァレンシュタインの「考えなしな言動」も何とか取り繕えないこともなかったのですけどねぇ。
「能ある鷹は爪を隠す」という格言がありますが、その観点から言えば、全く必要性のない無意味なところで有能さを発揮し、そのくせ肝心なところで最も重要なことを隠蔽してしまうヴァレンシュタインは、到底「能ある鷹」とは言い難く、せっかくの強力な武器であるはずの原作知識すらもロクに使いこなせていない低能であるとしか評しようがありません。

さて次回は、そのヴァレンシュタインの醜悪極まりない本性がこれ以上ないくらい最悪な形で露呈しているヴァンフリート星域会戦について述べてみたいと思います。

銀英伝2次創作「亡命編」におけるエーリッヒ・ヴァレンシュタイン考察1

「銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)」(以下「本編」)の作者が、同じキャラクターを主人公とした更なるIF話として新規に書き綴っている「亡命編」。
銀英伝世界に転生した日本人の佐伯隆二(25歳)ことエーリッヒ・ヴァレンシュタインが、諸々の事情で帝国から同盟に亡命し、銀英伝の原作知識を駆使して大活躍を演じるという転生物2次創作小説です。
小説一覧はこちら↓

亡命編 銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
http://ncode.syosetu.com/n5722ba/

「本編」でも桁外れなまでの人格破綻と対人コミュニケーション能力の致命的欠如ぶりをこれでもかと言わんばかりに誇示しまくり、設定改竄&御都合主義という「神のお導き」による超展開によって何度も救われていたヴァレンシュタインの惨状は、「亡命編」ではさらに磨きがかかっていて、もはや一種のネタキャラと化している感すらあります。
2012年3月19日現在でアップされている42話時点では、「本編」でしばしば見られていた「原作に対する考察」も皆無なため、正直ヴァレンシュタインの「狂人」「キチガイ」としか評しようのない性格設定やトンデモ言動ばかりが鼻に付くシロモノと化している始末なのですが、個人的にはその支離滅裂な言動にツッコミを入れまくるという、恐らくは作者が全く意図していないであろう形で楽しませて頂いております(苦笑)。
今回は、その作中におけるヴァレンシュタインの問題点について少し。

「亡命編」は、「本編」の第9話から分岐したストーリーとなっており、第五次イゼルローン要塞攻防戦の最中、門閥貴族の一派に生命を狙われたヴァレンシュタインが、庇護を求めて同盟へと亡命することからスタートします。
「本編」でも如何なく発揮されていたヴァレンシュタインの得手勝手ぶりは、2話の時点で早くも顕現します。
ヴァレンシュタインの亡命を受けて、同盟側は「帝国があえて送り込んできたスパイの可能性」を勘案して様々な取調べを行ったり、軍人としての能力を試すために軍事シミュレーションをヴァレンシュタインに課したりしているのですが、それに対するヴァレンシュタインの感想がイキナリ振るっています。

http://ncode.syosetu.com/n5722ba/2/
> ようやく情報部から解放された。これで俺も自由惑星同盟軍、補給担当部第一局第一課員エーリッヒ・ヴァレンシュタイン中尉だ。いやあ長かった、本当に長かった。宇宙では総旗艦ヘクトルで、ハイネセンでは情報部で約一ヵ月半の間ずっと取調べだ。
>
> 連中、俺が兵站専攻だというのがどうしても信じられないらしい。士官学校を五番で卒業する能力を持ちながらどうして兵站なんだと何度も聞きやがる。前線に出たくないからとは言えんよな、身体が弱いからだといったがどうにも信じない。
>
> 両親の事や例の二十万帝国マルクの事を聞いてきたがこいつもなかなか納得してくれない。俺がリメス男爵の孫だなんて言わなくて良かった。誰も信じないし返って胡散臭く思われるだけだ。
>
> おまけにシミュレーションだなんて、
俺はシミュレーションが嫌いなんだ。なんだって人が嫌がることをさせようとする。おまけに相手がワイドボーンにフォーク? 嫌がらせか? 冗談じゃない、あんまり勝敗には拘らないヤンを御願いしたよ。
>
> どうせ負けるのは分かっているからな、最初から撤退戦だ。向こうも気付いたみたいだ、途中で打ち切ってきた。いや助かったよ、あんな撤退戦だなんて辛気臭いシミュレーションは何時までもやりたくない。
>
> しかし、なんだってあんなに俺を睨むのかね。やる気が無いのを怒ったのか? あんただって非常勤参謀と言われているんだからそんなに怒ることは無いだろう。
俺はあんたのファンなんだからもう少し大事にしてくれ。今の時点であんたのファンは俺、アッテンボロー、フレデリカ、そんなもんだ。ユリアンはまだ引き取っていないんだからな。

この一連のモノローグを見てまず愕然とせざるをえなかったのは、自身の亡命を受け入れてくれた同盟に対する感謝の念が全くないことです。
ヴァレンシュタインはあくまでも個人的な都合で同盟に亡命してきただけであり、それを無条件に受け入れなければならない義務など同盟側には全くありません。
もちろん、同盟は昔から帝国からの亡命者を受け入れてきた国是があるのですから最終的に拒否されることはなかったかもしれませんが、それでも自分を受け入れてくれたことに対する感謝の念は当然あって然るべきではあるでしょう。
ヴァレンシュタインが同盟に亡命してきた経緯を考えれば、最悪、ヴァレンシュタインの身柄を帝国との取引材料として利用する、という手段を選択肢のひとつとして検討することも同盟としては充分に可能だったわけなのですから。
そして一方、同盟側がスパイの可能性を懸念してヴァレンシュタインを取り調べるのもこれまた当然のことなのに、それに対して理解を示そうとすらもしない始末。
挙句の果てには、ヴァレンシュタイン個人のことなど知りようもない相手に対して「俺のことを知っていて当然だ」と言わんばかりの不平不満を並べ立てるありさまです。
ここからはっきり読み取れるのは、ヴァレンシュタインが極めて自己中心的な性格をしている上、自分が置かれている立場を自覚&自己客観視することすら満足にできていないという事実です。
この性格設定は、銀英伝原作における門閥貴族達のあり方やアンドリュー・フォークの小児転換性ヒステリーと五十歩百歩なシロモノでしかないではありませんか。
ヴァレンシュタインと彼らの違いは、ヴァレンシュタインに原作知識があるという、ただそれだけなのです。
自分の利害が絡んだり、自分の気に食わないことがあったりすると、周囲の事情も鑑みず暴走しまくるところなんて、他ならぬヴァレンシュタイン自身が罵りまくっているフォーク辺りと全く同じ症状を発症している以外の何物でもないのですし。
あの2人を見ていると「同族嫌悪」や「近親憎悪」という言葉を想起せずにはいられないですね(苦笑)。
それを「亡命編」や「本編」では「心の内に獣を飼っている」などという装飾過剰もはなはだしい美辞麗句を並べ立てて絶賛しているわけですが、普通に考えるならば「狂人」「キチガイ」以外の評価しか与えようがないでしょうに。

ヴァレンシュタインの自己中心主義と同盟をないがしろにする態度は、3話における次のようなモノローグにもよく表れています。

http://ncode.syosetu.com/n5722ba/3/
> 第四艦隊? パストーレ中将かよ、あの無能の代名詞の。しかもアルレスハイム? バグダッシュの野郎、何考えたんだか想像がつくが全く碌でもないことをしてくれる。俺は前線になんか出たくないんだ。
>
> 後方勤務で適当に仕事をしながら弁護士資格を取る。大体三年だな、三年で弁護士になる。その後は軍を辞め弁護士稼業を始める。そして
帝国がラインハルトの手で改革を行ない始めたらフェザーン経由で帝国に戻ろう。そして改革の手伝いをする。それが俺の青写真なんだ。

http://ncode.syosetu.com/n5722ba/3/
> 変更の余地無しか……随分と手際がいいじゃないか。覚えてろよ、この野郎。バグダッシュ、お前もだ。俺はやられた事は数倍にして返さないと気がすまないんだ。俺を第四艦隊に放り込んだ事を後悔させてやる。

原作知識から「近い将来に同盟が滅ぶ」という未来を知っているヴァレンシュタインにしてみれば「どうせ滅ぶ予定の同盟がどうなろうが知ったことか」といったところなのでしょう。
しかしその同盟は、ヴァレンシュタインの個人的都合に基づくものでしかない亡命を受け入れ、軍内に職まで用意してくれたわけです。
原作で幼少時のシェーンコップが同盟に亡命してきた際の経緯などを見ても、亡命者に対する偏見や差別が同盟内に存在することは明らかであり、そんな環境下で亡命早々に職を確保できるヴァレンシュタインが相当なまでに恵まれた境遇にあったことは確実です。
ところがそのヴァレンシュタインは、自身の境遇に感謝することすらもせず、それどころか将来的には帝国に戻るとまで公言する始末。
亡命を受け入れた同盟側にしてみれば、ヴァレンシュタインの計画は自分達に対する裏切り行為も同然ですし、そもそも逆亡命の際に同盟の重要な機密の類まで持ち去られてしまう危険性だってありえます。
「恩を仇で返す」とはまさにこのことですし、ヴァレンシュタインの計画は同盟としては到底許せるものではないでしょう。
また、帝国から同盟への亡命は数多けれど、その逆が極めて微少でしかないことは、それこそ原作知識から容易に理解できることでしかないはずです。
同盟の体面から考えても、機密保持の観点から言っても、同盟はヴァレンシュタインの逆亡命計画を何が何でも阻止せざるをえないわけで、その実現可能性は極めて困難なシロモノであると言わざるをえないのですが。
まさか、原作にも全くない逆亡命計画を原作知識とやらで乗り越えられる、などとはいくらヴァレンシュタインでも考えてはいますまい?

もしそれでもヴァレンシュタインがあくまで逆亡命にこだわるのであれば、彼はそもそも同盟軍内で職を得るべきではありませんでした。
軍に入った時点で機密を外に漏洩しないことを誓約させられるのですし、それに反する動きをしようとするだけでも罰せられるのですから。
本当に逆亡命がしたかったのであれば、同盟にある程度の情報を提供した後に軍に入らず一般人として活動するか、あるいはフェザーンへの亡命斡旋でも頼むべきだったのです。
しかもそれでさえ、同盟の当局から監視の目が向けられることはまず避けられなかったでしょう。
同盟に限らず、国家の安全保障や防諜というのはそうやって保たれているものなのですから。
こんなことは原作知識とやらを持たなくても普通に理解できそうな一般常識でしかないはずなのですが、同盟の実情と未来を熟知しているであろうヴァレンシュタインがそんな簡単なことすらも理解できていないとは、その頭の中身は相当なまでの濃密な香りが漂うお花畑が広がっているとしか評しようがありませんね。
あんなバカげた逆亡命計画が成功するなどと、まさか本気で考えてでもいたのでしょうか、ヴァレンシュタインは。
挙句、「俺は前線になんか出たくないんだ」「俺はやられた事は数倍にして返さないと気がすまないんだ」などと軍上層部に怒りを抱くのに至っては、もはや理屈もへったくれもない単なる逆恨みの類でしかありません。
この後、ヴァレンシュタインは同盟軍から抜けるに抜けられない状況に陥るわけですが、そうなった最大の元凶はヴァレンシュタインの自己中心的な思考と感情的な言動、そして何よりも原作知識さえをも黙殺した見通しの甘さによる自業自得以外の何物でもないのです。
その辺りのことを、ヴァレンシュタインはきちんと理解できているのでしょうかねぇ(-_-;;)。

「亡命編」におけるヴァレンシュタインの珍道中はまだまだ始まったばかり。
この後も延々と続くことになるヴァレンシュタインのトンデモ言動とその他作中キャラクターの「現実を一切直視しない装飾過剰な美辞麗句の数々」は、読者である我々に多種多様なツッコミの楽しみを提供してくれています。
その点でエーリッヒ・ヴァレンシュタインという人物は、高度に熟成された天然サンドバッグお笑い芸人であるとすら言えましょう(爆)。
この面白キャラクターの軌跡を、当ブログでは今後も追跡していきたいと思います。

薬師寺シリーズ9巻の2012年3月15日時点執筆状況

https://twitter.com/wrightstaff/status/180176399456411648
<田中芳樹情報です。『薬師寺涼子の怪奇事件簿』新刊の原稿受け渡しがおこなわれました。あとひと息です。順調なら、今月中に脱稿できるかもしれません。

これまた物凄く早い進展ですね。
去年の年末時点でわずか第一章が完了していただけという進捗状況だったことを考えれば、わずか3ヶ月で飛躍的に筆が進んだことを意味するわけですから。
まあ筆が早いのは良いことですし、最近は「病気&後遺症」を口実に筆が遅くなっていた感も多々ありましたから、これはこれで歓迎すべきことではあるのですけどね。
「髑髏城の花嫁」の脱稿から半年程も一体何をしていたんだとか、そんなに早く完成するなら最初からエンジンかけとけよとか、ツッコミどころは多々あるのですが。

ただ、仮に3月中に脱稿したとしても、出版社の対応が遅い昨今の事情から考えると、著書の刊行は早くても7月~8月といったところにならざるをえないのではないかと。
まあ脱稿すれば、すくなくとも薬師寺シリーズに田中芳樹がかかりきりになるという状況から解放され、次回作「タイタニア」の執筆をいよいよ開始することができるのですから、すくなくとも今回の場合は出版社の対応自体は二の次以下の問題でしかないのですが。
極端なことを言えば、出版社が田中芳樹の原稿を全部紛失して薬師寺シリーズが流産したとしても、田中芳樹サイドや出版社としては大事件であっても読者的には大した問題ではないのですしね(苦笑)。
いっそのこと、垣野内成美女史に原作の権利を全部移譲して続きを書いてもらった方が、読者のみならず薬師寺シリーズそのものにとっても幸せなのではないかとすら思いますし(爆)。

ところで今回の薬師寺シリーズ新刊では、サーベルタイガーが何らかの形で登場するらしいですね。
社長氏がこんなツイートと画像をアップしているようなのですが↓

https://twitter.com/adachi_hiro/status/180107098888216576
<田中さんが「今度の『薬師寺…』の資料に使うんだ。」と言って持ってきたサーベルタイガーの人形。わざわざ買ってきたらしい。 http://twitpic.com/8weyi5
ファイル 566-1.jpg
ファイル 566-2.jpg

相も変わらず「オカルトに依存しながらオカルトを全否定する」という構図が繰り広げられることになりそうで(-_-;;)。
非常に不思議なことに、薬師寺シリーズにおける警察機構やマスメディアなどは、自分の目の前で超常現象が繰り広げられていてさえ、ただひたすらに「そんなことは科学的にありえない!」の一点張りだったりしますからねぇ(苦笑)。
薬師寺シリーズ4巻「クレオパトラの葬送」で、オカルトの存在がマスメディアによって世界的に報じられて以降でさえ、相変わらずの反応なのですから。
お前らの反応の方が科学的にありえないよ、と一体何度ツッコミを入れたことやら。
こういうバカな反応を何度も見せつけられると、田中芳樹はオカルト小説向きの人間ではないし、いっそミステリー小説でも書いていた方が却って良かったのではないかとすら思えてならないのですけどね。

銀英伝舞台版第二章の宣伝用POP絵&新規ブログ公開

ファイル 559-1.jpg

銀英伝舞台版第二章「自由惑星同盟編」の宣伝用POP絵が公開されたようです。

http://a-hiro.cocolog-nifty.com/diary/2012/03/pop-5982.html

しかしまあ、相も変わらず「外伝5巻」がさりげなく強調されているPOPですね(苦笑)。
前回の第一章「銀河帝国編」のPOP絵でも同じことを強調していましたし。
銀英伝外伝6巻については、当の田中芳樹自身が社長氏相手に「すまん、もう書けない」宣言をやらかしていましたし、本当に書かれることはないのでしょうかねぇ。
こうなると、もういっそのこと、アニメ版や舞台版のオリジナルストーリーをベースに、誰か他の作家に以前やっていたような丸投げでもして書かせた方が却って良いような気がしてならないのですが(苦笑)。
さすがにそれは作家としてのプライドがズタズタになるから、田中芳樹的にはやりたくないのでしょうかねぇ(爆)。

それと、銀英伝舞台版の公式ブログがアメーバブログで新規に開設されたようですね。
内容的には、製作スタッフによる舞台版関連のニュースや日々の出来事について綴っていくとのことです。
URLはこちら↓

銀英伝舞台版公式ブログ
http://ameblo.jp/gineiden-stage

しかし、公式ブログ自体は以前にも公式サイト内に設置されていたはずなのですが、今回何故わざわざアメーバブログに場所を移して開設したのでしょうか?
あのブログは確かにド素人が作っているのが丸分かりな杜撰極まりないレイアウトではありましたが、せっかく独自ドメインの公式サイトがあるのですから、サイトの1コーナーとして設置した方が、すくなくともアクセス数の集約という点でははるかに合理的なはずなんですよね。
アフィリエイトの類も全く表示させずに済みますし。
アメーバブログはサブドメイン仕様ですらないので、SEO的な効果も上げにくいところがありますし。
まあ、独自ドメインのサイト内でブログを設置するとなると、CGIやPHPその他諸々の専門知識やカスタマイズなども必要不可欠となりますし、かといって業者などに頼むとカネがかかるし面倒だからという理由から、既に機能が充実しているアメーバブログに設置した、というのが実情ではあったのでしょうけど。
プログラミングどころか設置だけでも結構苦労するものですからねぇ、CGIやPHPは。

それと、以前のブログと違って、トラックバックを表面的にすら受け付けない仕様になっているのは、やはりトラブルを回避したかったからなのでしょうか?
あの当時はサイト運営自体があまりにも笑える惨状を呈していて、私も片っ端からブログのネタにしていたくらいですからねぇ(苦笑)。
コメント欄の方は書き込み可能となっている記事もあるみたいなのですが、多分、書き込みをしてもすぐには反映されず、事前検閲を経た上で表示されるような仕様になっているのではないかと。
こういうのって「公式」という名がつくところのデフォなんでしょうねぇ、やっぱり。

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