「らいとすたっふ」の社長氏が、田中芳樹について何やら面白いことをTwitterで呟いているようです↓
http://twitter.com/adachi_hiro/status/27577897689
<『銀河英雄伝説』を読み直している友人が、「いまの政治って、本当に衆愚だよね。田中さんは、この状況を予見して書いた?」と言っていた。田中さんは単なる作家だから、政治的な意図はないと思うよ。でも、過去の歴史に題材をとっているから、きっと昔も似たような国があったということだと思うなあ。>
田中芳樹的には、「自民党政権をモデルに」思いつくまま悪し様に日本の政治や社会の悪口を書き殴っていた、というのが真相でしょう(苦笑)。
それが田中芳樹が敵視しているであろう自民党政権や保守派には全くと言って良いほどに当てはまらず、政治思想的には「同志」とすら言えるであろう民主党政権、および田中芳樹をも含めた民主党支持者に「結果として」当てはまってしまっているというのは皮肉もいいところなのですが(爆)。
創竜伝13巻に記載されている政策提言をはじめとするこれまでの田中芳樹の言動を見る限り、田中芳樹は反自民&民主党支持、そして反日反米思想の持ち主以外の何者でもないのですからねぇ(^-^)。
http://twitter.com/adachi_hiro/status/27578024928
<ちなみに田中芳樹さんを「親中派」という人もいるけど、これは誤り。田中さんが好きなのは中国大陸を舞台に花開いた文化だから。で、その文化を「文化大革命」で破壊したのが現在の中国を治める政府。ここからでも、田中さんが持つ現政権へのイメージが判ると思うけど。>
田中芳樹がいつ文化大革命を否定的に論じたというのでしょうか?
文化大革命については、創竜伝7巻で、その首謀者である毛沢東のことを、よりにもよって竜堂続に「毛主席」とまで呼ばせた上、さらに別の中国人キャラクターに「その正当な評価は死後50年まで待つべき」などというタワゴトさえもしゃべらせる始末だったのですけど↓
創竜伝7巻 P125上段~P126上段
<「……狂気というやつは個人をとらえることもあるが、時代をとらえることもある。そして、そのほうがはるかに始末が悪い。日本人もドイツ人も、本来、とりたてて残忍な人々ではないはずだが、自分たちは優秀な民族だと思いあがったとたんに、狂気にとりつかれてしまったのじゃろう」
しんとして竜堂兄弟は聞きいっている。
「ま、中国侵略は日本の恥だが、中国には中国の恥がある。なかなか一党独裁政治からぬけだせないという、な」
黄老が話題を変えたのは、日本人である竜堂兄弟を底なしに落ちこませないための配慮であったのだろう。毛沢東のことを彼は話しはじめた。
「毛沢東には偉大な理想と巨大な野心とがあった。そのふたつの流れが合流するところで彼は魚を釣りあげた。中国という巨大な魚をな」
黄老は複雑すぎる溜息をつき、それを頸すじで受けた続は、あやうく老人を放り出すところだった。
「毛主席は思想的には世界の半分を釣りあげましたね」
「そう、だが釣糸が途中ではずれてしまった。まあ、たぶん、全人類にとっては幸運なことだったろう。彼は大きな男でな、人類がささえるにはちと重すぎたよ」
黄老は晩年の毛沢東やその後継者たちにさからって、何度めかの獄中生活を送ることになったのだ。
「彼に対する正当な評価は、せめて死後五〇年を待つべきじゃろうな。だが、その後継者どもときたら……」>
文化大革命のみならず、大躍進で自国民を数千万単位のオーダーで死に追いやったり、5人にひとりを虐殺したとされるチベット侵攻を敢行したりと、田中芳樹的価値観からすれば全否定されるべき愚行を幾度もやらかした毛沢東に対してこれなのですから、田中芳樹の毛沢東に対する思い入れが充分過ぎるほどに分かろうというものではありませんか(苦笑)。
ちなみに、毛沢東と同じように「大虐殺者」として名を馳せているヒトラーやスターリンについては、かくのごとき留保的な評価を田中芳樹が行ったことはありません。
これ一事だけでも、田中芳樹の「親中」どころか「媚中」ぶり、そして対中ダブルスタンダードぶりが分かろうというものでしょう。
また、田中芳樹が現在の中華人民共和国をほとんど唯一否定的に論じているのは、文化大革命ではなく天安門事件です。
しかもその内容は、
「自国民を思想のゆえに強制収容所に閉じこめるような国家には、存続する価値はない」
という、田中芳樹が信奉する民主主義真理教の教理である「言論・思想の自由を認めろ!」的なものでしかありません。
さらにそうやって過去に天安門事件を元に中国を批判しておきながら、創竜伝13巻になると今度は一転、中国経済の礼賛論をぶっ放す始末です。
創竜伝13巻 P77下段~P78上段
<ヴィンセントの声がさらに高まる。
「やつらにあるとすれば、経済力や技術力でチャイナやコリアに追いぬかれる恐怖感だ。いったん追いぬかれたら、二度と追いつくことができず、置き去りにされてしまうという恐怖感。ふふふ、自信喪失が後ろ向きのヒステリーに結びついたあげく、この国の保守派どもにできることは、チャイナやコリアの悪口をいいたてることだけになってしまった。コリアは永遠にジャパンに追いつけない、チャイナは五年以内に崩壊する……」
身ぶり手ぶりをまじえて、大統領補佐官の演説はさらに熱を加えていく。
「毛沢東が死んだときにも、トウ小平が地上から去ったときにも、チャイナは五年以内に崩壊するはずだった。だがそうはならなかった。いまや、チャイナが五年以内に崩壊するなら、それより二年早くジャパンの経済が壊滅するだろうといわれておる」
総領事は力なくうなずいた。もはや口をはさむことを断念してしまっている。
「ジャパンを肥え太らせる時代は終わった。今度はチャイナを肥え太らせる。肥えて、太って、ふくらんで……血色よくふくれあがったところで……」
いきなりヴィンセントは両手をひろげた。
「バン!」
大声を上げると、ようやく口を閉じた。>
しかも、ここで中国経済を礼賛しているヴィンセントなる人物は、創竜伝の作中では四人姉妹における対中国破壊工作の総責任者であり、人民解放軍同士の内戦勃発を画策・実行させた人物として描かれています。
そんな人物が、自分が過去に中国に対して何をしていたのかを忘却し去ってまで、こんなタワゴトを吹聴していたりするわけです(爆)。
創竜伝13巻を何度読んでも、ヴィンセントが何故こんな発言をやらかしたのかについて作中には全く描かれていませんし、そもそも創竜伝12巻までの作中における現代中国は「権力闘争による内戦が勃発してまもなく崩壊するだろう」的な扱いだったはずなのですが(苦笑)。
まさに「作者である田中芳樹自身がこういうことを言いたかったから」以外の何物でもなかったわけで、こういう辻褄の合わないアホなことをするから、「親中派」どころか「媚中派」「【中国の】国粋主義者」などというレッテルを読者から貼られたりしてしまうのですけどね、田中芳樹は。
他にも、夏の魔術シリーズ3巻「白い迷宮」で「無主の地」であったはずの1930年代の満州地方を「中国の土地」などと定義していたり、台湾について「中国(中華人民共和国)に帰属するだろう」などとのたまっていたりと、「中国大陸を舞台に花開いた文化」だけでなく、現代中国の政治や経済についても数限りなくヨイショしているサマが、田中芳樹の言動からは伺うことができます。
そして、その対中国のスタンスが、罵詈雑言を叩きつけまくっている日本の政治や社会と比べてあまりにも正反対&ダブルスタンダードと言って良いほどに礼賛調、または犯罪正当化的な論調で固めているのが、田中芳樹が「親中派」とされる最大の理由なのです。
私などよりもはるかに田中芳樹と長い付き合いであろう「らいとすたっふ」の社長氏ともあろう者が、そんな基本中の基本的なことを知らないはずはないと思うのですけどねぇ~(-_-;;)。