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カテゴリー「映画観賞関連」の検索結果は以下のとおりです。

「ゴーストバスターズ」シリーズ最新作が2011年5月に製作開始

1980年代の名作映画「ゴーストバスターズ」シリーズの最新作が、来年5月より撮影開始されるそうです。
劇場公開は2012年を予定しているとのこと。

http://www.cinematoday.jp/page/N0028132

前作「ゴーストバスターズ2」から実に20年以上も経過しての続編となります。
私個人としても、「ゴーストバスターズ」シリーズは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズとほぼ同時期にハマッた思い出深い映画作品だったりします。
それだけに、続編製作はファンとして嬉しい限りですね。

ただ、往年の登場人物達もすっかり年を取ってしまっていて、さすがに昔と同じアクション系の役柄を演じるのは無理そうな気配ではあるのですが。
主人公であるピーター・ヴェンクマン博士を演じるビル・マーレイなどは、外見からして白髪の爺さんになってしまっていますし↓

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「ゴーストバスターズ3」では、往年の登場人物の他、新たに若いメンバーが登場するとのことですが、果たしてどのような作品になるのか、注目ですね。

映画「SP THE MOTION PICTURE 野望篇」感想

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映画「SP 野望篇」観に行ってきました。
フジテレビ系列で放送されたテレビドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」の映画版。
この映画の正式名称は「SP THE MOTION PICTURE」で、今回の「野望篇」、および来年3月12日公開予定の「革命篇」の二部作で構成される作品となります。
今回は劇場公開日(10月30日)と映画の日が比較的近かったこともあり、月曜日の映画観賞となりました。

ストーリーは、六本木ヒルズで演説を行っている政治家の生命を公衆の面前で消さんとするテロリストを、主人公が持ち前の予知能力で事前に感知するところから始まります。
いざ実行の直前になった正体を見破られテロに失敗した犯人はその場から逃走し、主人公と仲間のSP達が追撃を開始します。
ここからしばらく、逃げるテロリストと主人公による追跡劇が繰り広げられるのですが、この追跡劇は、銃弾が飛び交わないことを除けばハリウッド映画と比較しても遜色のない、緊張感と迫力に溢れたアクションシーンに仕上がっています。
映画の長さ自体が1時間38分しかないこともあってか、アクションシーンはほとんど主人公の独壇場で、他のSP達は皆引き立て役も同然でしたね。

ただ、あえてツッコミを入れれば、特に後半におけるテロリスト達の襲撃方法があまりにもチャチ過ぎる印象を受けました。
映画の冒頭で傘に仕込んだ高性能爆薬を使い、ターゲットを六本木ヒルズごと吹き飛ばそうとしたテロリストのテロ手法に対し、後半は七福神?の覆面を被ったテロリスト達が、ナイフ・消火器・クロスボウ・ダイナマイトなどといった武器を手に直接ターゲットを襲撃するという、何とも地味かつコストパフォーマンスも悪そうな稚拙な作戦が3度にわたって繰り広げられます。
しかもそのうち2回はわざわざ車を使って主人公達の眼前に派手に登場しておきながら、その車そのものを武器ないし爆薬として主人公達に突撃をかますといった類の「はるかに効果的な襲撃方法」は全く使用されることなく、ただひたすら「手作業」の襲撃に専念する始末。
第一、ビルの屋上から主人公を狙撃するためのスナイパーと狙撃銃まで襲撃者達は「最後の切り札」としてきちんと用意しているのですから、襲撃者ひとりひとりに銃やマシンガンの類をわたす程度の準備くらい、普通にできそうな気もするのですけどね。
それができていれば、あの程度のSPの奮闘など鎧袖一触で蹴散らすことも充分に可能だったでしょうに。
夜中の襲撃だからら誰にも気づかれず隠密裏にことを運ぶための措置だった、というのであれば、作中でも大音響の大爆発を引き起こしていたダイナマイトのチョイスが理解不能になってしまいますし、あの襲撃作戦は根本的なところに塞ぎようのない大穴が最初から開いていたのではないかと。

作品自体が二部作構成ということもあり、黒幕達の真の目的や思惑などが今作ではまだ伏線として提示されているだけで謎も解明されておらず、ストーリーについてはまだ評価できる段階にはないですね。
起承転結の「起」としてはまずまずの出来ではありますが。
また、この映画は「テレビドラマ版の続き」的な位置付けのため、テレビドラマ版も事前に把握しておかないと作中の設定や演出が分からなくなる部分も少なからず存在します。
テレビドラマ版を知っているのであれば問題ありませんが、そうでない場合はテレビドラマ版も事前事後いずれにせよ確認することを是非オススメしておきます。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの続編製作が公式に否定

今年で1作目の製作から25周年目を迎えた名作映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ。
その続編製作の可能性を、シリーズ製作ロバート・ゼメキス監督が完全に否定したとのことです↓

http://www.cinematoday.jp/page/N0027869
<「3というのは、終わりにはちょうどいい数字だよ、3で十分だ」とゼメキスはキッパリと断言。また、シリーズ脚本を共同執筆したボブ・ゲイル氏も「ストーリーはあれで完結しているし、何よりマイケル・J・フォックスのいない続編なんて、誰が観たいんだ?」と語った。>

ちなみに、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで主人公のマーティ・マクフライ役を演じたマイケル・J・フォックスは今年49歳。
1990年代前半頃からパーキンソン病を患い、病を隠して俳優業を続けますが、1998年に病を公表し、2000年には俳優としての活動を引退。
その後は主にアニメ映画の声優として活動しながら闘病生活を続けているとのことです。
今年の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」製作25周年に当たり、マイケル・J・フォックスはアメリカのTVCMで往年のマーティ役を演じ、再び話題の人となりました。
これがそのTVCM動画です↓

とても49歳とは思えない若さですね。
1985年当時のマーティと比較しても違和感がありませんし。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズはハリウッド映画を代表する名作ですし、私個人としても映画観賞が趣味となるきっかけとなった思い出深い作品であるだけに、もし続編が製作され公開されたならば確実に映画館へ観に行っていたことでしょう。
それだけに製作者サイドによる続編製作の否定は少々残念な部分もあるのですが、まあ1作目が名作だったのに続編が駄作だったという事例も映画の世界ではよく見られますので、そうなる可能性も失われたという点では歓迎すべきことなのでしょうか。
映画ファンとしては何とも複雑な心境にならざるをえない話ですね。

放火犯の心理描写満載の韓国映画「リベラ・メ」

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2000年に韓国で製作され、翌年日本でも公開された映画「リベラ・メ」。
題名の意味はラテン語で「我を救いたまえ」。
街を襲う連続放火事件を巡り、狂気に取り憑かれた放火犯と、消防隊員とのアクション&知略戦を描いた作品です。
日本ではそれほど振るわなかったものの、韓国では累計100万人の観客動員数を記録したのだとか。

映画「リベラ・メ」は、大都市の連続放火事件を描いていることもあり、火災シーンやアクションシーンについては、ハリウッド映画にも引けを取らないと言って良い出来を誇っています。
しかし後半に近づくにつれ、連続放火犯の心理描写がメインの描写そっちのけで挿入され、物語の進行を阻害しています。

特にクライマックス付近の描写はほとんど連続放火犯の心理描写オンリーな展開で、せっかく好印象だった前半の迫力満点な描写がここで全てチャラになるほどのウザさと酷さに満ち溢れていました。
この期に及んで放火犯の心情なんてどうでも良いから、迫力ある対決シーンをキッチリ見せてくれと何度もイライラさせられましたね。
ここはハリウッド映画ばりに単純なストーリーにした方が却って映画全体の評価も良くなったのではないかと。

私にとって映画「リベラ・メ」は、映画館で観た最初で最後の韓国映画だったりします。
この映画、そもそも始めからして、紹介内容等から「ハリウッド映画だろう」と思い込んで映画館に行き、映画開始時点になってようやく韓国映画であることに気づかされたという経緯があったりします(-_-;;)。
最初から韓国映画と分かっていたら、この映画はすくなくとも映画館まで観に行ってはいなかったと思うんですよね(苦笑)。
そして、この映画を観て以降は「韓国映画は何となく馴染めない」というイメージが定着してしまったものでした。

今年の9月から日本で公開が始まった映画「TSUNAMI -ツナミ-」も、その題名から「日本映画ではないか?」と考え面白そうだと映画観賞リストに加えていたものの、製作元が韓国であると分かった途端に観に行くのを止めたという経緯があったりします(^_^;)。
韓国映画への偏見は日本映画以上ですね。

映画「きけ、わだつみの声 Last Friends」から始まる日本映画全体に対する偏見からして解消されるのに10年近くもの時間が必要でしたし、それ以上に偏見が根強い韓国映画の評価が覆るのは正直容易なことではないんですよね。
そもそも韓国映画が日本に来ること自体、極めて稀な事例であるわけですし。
それでも、韓国映画に対する偏見を吹き飛ばすだけの面白さを持つ映画というものを期待したいところなのですけどね。

映画「桜田門外ノ変」感想

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映画「桜田門外ノ変」観に行ってきました。
江戸幕府の権威を失墜させ、幕末動乱の発端となった井伊直弼暗殺事件「桜田門外の変」を映画化した作品。
何故PG-12やR-15指定されなかったのか疑問に思ってしまったほど、作中は流血シーンが満載でしたね。

ストーリーは、襲撃を指揮したとされる水戸藩士・関鉄之介の視点で展開されており、桜田門外の襲撃から関鉄之介の斬首までが描かれています。
どちらかと言えば、「桜田門外の変」の襲撃者達のその後の逃走過程を描いた作品と言って良く、その発端となる桜田門外の襲撃は序盤で早くも発生します。
襲撃内容は史実通りで、季節外れの大雪となった当日、まず井伊直弼の大名行列の先頭に駕籠訴を持った刺客が刀を振るい、護衛の注意を前方に引き付けます。
前方に護衛が集中したタイミングで、井伊直弼の駕籠めがけて短銃が発射され、本隊への襲撃が行われることになります。
この際、何の偶然だったのか、発射された弾がたまたま井伊直弼の腰部から太腿にかけて直撃し、井伊直弼は動けなくなってしまいます。
護衛側は狼狽しながらも健闘し、特に二刀流の使い手であった河西忠左衛門が駕籠脇を守って襲撃者達を手こずらせます。
それでも奇襲によって機先を制した効果は大きく、襲撃者側はついに抵抗を排除、井伊直弼の駕籠に刀を突き立てます。
そして井伊直弼を引きずり出して首を取り、襲撃者達は勝鬨を上げることとなるわけです。
しかし、この映画の本当の物語は実はここから始まるのです。

襲撃者達の内、最初に井伊直弼の駕籠に切り込んだ稲田重蔵は河西忠左衛門に斬られて討死。
その他、井伊直弼の首を獲った有村次左衛門を含む半数ほどの襲撃者達が、護衛側の猛反撃で重傷を負い、自刃または捕縛の一途を辿ります。
残りは大坂方面へと逃走を続けていくのですが、その途中で「桜田門外の変」が行われるに至る(ペリー来航から安政の大獄辺りまでの)過程が描かれていくことになります。
この辺りは、昔の回想と現在進行形の逃走過程の区別がつけにくく、描写的に「これ昔と現在、一体どちらの話?」と少々分かりづらいところがありましたね。
何とか大坂まで逃げ延びた襲撃者達も、幕府からの追捕を受けて自刃したり、捕縛・獄死・処刑の一途を辿ったりしてどんどんその数を減らしていきます。
主人公である関鉄之介は、打開策を探るべく旧知である鳥取藩や薩摩藩を頼ろうとしますが、そこでも門前払い。
やむなく水戸藩に戻り、日本三大瀑のひとつ「袋田の滝」に入ってそこで匿われ、底で中央の政情を聞きながら逃亡の日々を過ごします。
しかし、やがてそこにも追捕の手が迫り、今度は越後へ逃走。
そこから蝦夷へ渡り、再起を図ろうとしたのですが、蝦夷行きの船を待っている間にとうとう捕縛されてしまい、文久2年5月11日(1862年6月8日)、斬首されることと相成るわけです。

全体的には、歴史的事実を忠実に再現したノンフィクション作品で、ハッピーエンドとは全く無縁の映画ですね。
襲撃者達の末路は全員「悲惨」の一言に尽きますし、また主人公である関鉄之介の妻子(内縁関係だったらしいですが)も、「桜田門外の変」後、追捕によって家を荒らされて捕縛されています。
さらに主人公と関係があった愛人?らしき女性に至っては、捕縛された挙句、拷問にかけられて死亡するにまで至っています。
犯罪者の逃亡生活の悲惨さを描く、というのがテーマの作品なのでしょうか、これって。

映画「エクスペンダブルズ」感想

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映画「エクスペンダブルズ」観に行ってきました。
シルヴェスター・スタローン監督&主演のアクション物。
作中では、手足や首がもげたり、銃弾に当たった上半身が吹き飛んだり、流血がドバドバ流れまくったりする等のバイオレンスなアクションシーンがふんだんに盛り込まれているため、当然のごとくR-15指定されています。

この作品の特徴は、何と言ってもハリウッドを代表する新旧のアクションスター達が多数出演していることですね。
主人公バーニー・ロスを演じる、「ロッキー」「ランボー」シリーズでおなじみのシルヴェスター・スタローン。
主人公の相棒であるリー・クリスマス役のジェイソン・ステイサムは映画「トランスポーター」シリーズ、映画「デス・レース」でそれぞれ主人公を演じています。
作中のストーリーはこの2人を中心に進んでいくのですが、他の脇役ばかりか悪役まで含めた登場人物達も他の作品で主役や悪役を担当して有名になっている俳優が演じています。
たとえ俳優の名前を知らなくても、「この人どこかで見たことがあるような……?」と映画ファンでなくても首を捻ること請け合いですね。
俳優の顔ぶれは、まさに「史上最強の消耗品軍団(エクスペンダブルズ)」と呼ぶにふさわしい豪華さを備えていると言えます。

また、映画「エクスペンダブルズ」では、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーやブルース・ウィリスが友情出演することでも話題となりました。
両者が登場するのは主人公に対する仕事の依頼が行われるシーンで、アーノルド・シュワルツェネッガーは仕事を依頼される主人公のライバル候補として、ブルース・ウィリスは依頼を行うCIAの人間として登場しています。
出演時間はほんの2~3分程で、まさに文字通りの友情出演でした。
ただ、特にアーノルド・シュワルツェネッガーについては、ここ最近は映画「ターミネーター4」で顔だけCG合成した演出のみの友情出演でしか映画では見ていなかっただけに、本物が出てきた際には「おおー、本物だ」と感動もひとしおでしたね(苦笑)。
ブルース・ウィリスの方は、今年最初に観た映画「サロゲート」で演じていた主人公とイメージが全然違っていましたので最初全く気づかなかったのですが(-_-;;)。

ストーリーは、ソマリアのアデン湾で大型タンカーを占拠した海賊達を一掃するところから始まり、南アメリカの小さな島国ヴィレーナの独裁者ガルザ将軍の暗殺を依頼され実行していくという、ハリウッド的にはスタンダードなシナリオで進行していきます。
主人公バーニー・ロスと相棒役のリー・クリスマスのコンビによる掛け合いはなかなか味があって良かったですね。
この両者、演じている俳優の間には実に20歳以上もの年の差があるにもかかわらず、全くそれを感じさせない会話と演技をこなしていましたし。

作品そのものの全体的な評価としては、R-15なバイオレンス描写が多発することを除けば、「良くも悪くも安心して観れるアクション系ハリウッド映画」といったところですね。

映画「ナイト&デイ」感想

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映画「ナイト&デイ」観に行ってきました。
トム・クルーズとキャメロン・ディアス共演のアクション物。

ストーリーは、空港で「運命の出会い」を果たした男が実は組織から追われている人間で、女がそれに巻き込まれるというシチュエーションから始まります。
妹の結婚式の準備から自宅があるボストンへと帰るため、飛行機で移動するためカンザス州のウィチタ空港に来ていた、キャメロン・ディアス演じるジューン・ヘイヴンス。
空港内を移動中、トム・クルーズ扮するロイ・ミラーと2度もぶつかり、運命の出会いと言わんばかりの出会いを果たし、二言三言会話をします。
実はこの出会いは、とある目的からロイが意図的に仕組んだものだったのですが、当初はジューンがそんなことに気づくわけもなく、両者は同じ飛行機に乗ることになります。
ジューンが飛行機内の化粧室に入っている間にロイは飛行機の乗員に扮した工作員達と戦闘を行い、パイロットも含め全員を殺してしまいます。
結果、飛行機は墜落。
混乱するジューンにロイは薬を飲ませて昏倒させ、次に目覚めた時、彼女はボストンの自宅で寝かされていました。
不審に思いながらも、妹の結婚式に出席するためのドレスを新調していた彼女の前に謎の集団が現れ、彼女を車に乗せてどこかへ連れて行こうとし、その後を追ってきたロイとの間でカーチェイスが展開される……、という形で、序盤の物語は進行していきます。

この映画は、全体的に女性であるジューンの視点を中心に展開されています。
ジューンはロイによって何度か薬を投与され意識を失うのですが、その間のストーリーは断片的にしか描写されることなく、目覚めることになる舞台まで一気に物語が進みます。
アクション以上に、いわゆるコメディ的な描写や「大人の会話や雰囲気」的なものが前面に押し出されていますし、アクション物はアクション物でも、この映画はどちらかと言えば「女性向け」に作られているという印象がありますね。
物語の序盤ではロイのお荷物&足手まといだったジューンが、後半では逆にロイを引っ張っていっていましたし。
特にラストの男女逆転なオチは結構笑いましたね。

何でもこの映画、日本に先立って6月に公開されていたアメリカとカナダでは、トム・クルーズ主演のアクション映画としては過去20年の中で最低の興行収益だったのだとか。
ただ、アメリカで大赤字を記録した映画が日本では大ヒットしたという事例も少なからず存在しますので、日本もアメリカの後追いをするとは限りません。
日本でも少なからぬライバル映画がひしめく中での劇場公開となったわけですが、結果は一体どうなりますかねぇ。

映画「大奥」感想&疑問

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映画「大奥」観に行ってきました。
男女逆転の江戸時代を舞台に繰り広げられる男性版「大奥」を巡る物語。
ちょうど映画の日ということもあり、今回は金曜日の映画観賞となりました。

この作品は当然のことながらアクションやSFX系の映画などではなく、私の好みとなる映画のジャンルからは大きく外れるものでした。
それを承知の上であえてこの映画を観に行ったのは、ひとつにはこの映画のテーマのひとつである「男女逆転」がどのような歴史的背景の元、どのような過程を経て成立しえたのか、という命題に興味を抱いたからです。
作中では徳川幕府第3代将軍家光の時代に、男性にしか発症しない、真っ赤な発疹が全身に広がり高熱を発して死んでいく「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」という原因不明の奇病が日本中で爆発的に蔓延したことにより、男性の人口が女性の4分の1以下になったことが明示されています。
この病の致死率は80%、つまり「5人にひとりしか助からない」という設定です。
この結果、人口で女性の占める割合が圧倒的となったことにより男女逆転が発生し、男性が一種の「種馬」として珍重される女系社会へと変わっていった、とされているわけです。

しかし、ここで大きな疑問が出てきます。
まず、「赤面疱瘡」という奇病は、作中の舞台となっている第7代将軍家継~第8代将軍吉宗の時代に至るまで治療法が全く確立されていないということ。
そして「赤面疱瘡」は、その時代に至っても相変わらず猛威を振るい続けており、それによって男性の多くが昔ほどではないにせよ死に至っている状態にあることが作中でも明示されているのです。
致死率80%の病気が80年以上にわたって猛威を振るい続ける、という設定では、「男女逆転」どころか、下手をすれば「男性絶滅」などという事態にすら至っても何ら不思議なことではありません。
しかも作中では、「赤面疱瘡」の患者に対する隔離政策すらもあまり行われていないようで、男性版「吉原」で「赤面疱瘡」を患っている十代の少年が主人と思しき人間から仕事を言い渡されて街中へと向かう描写が普通に描かれていました。
また一方、数少ない男性達にも特に「赤面疱瘡」対策としての外出規制等が行われている様子もありません。
「赤面疱瘡」の恐怖がおどろおどろしく描かれ、治療法も確立されていない割には、予防対策的なものが全くなく、また病に対する偏見や社会的迫害・隔離といったものも存在しないときているわけです。
これでよくもまあ、「男性絶滅」という事態に至らないものだと逆に感心すらしてしまいましたね。

次に疑問に思ったのが、男性版「大奥」の存在意義そのものです。
前述のように、映画「大奥」の世界では、希少種となっている男性が子種の供給源として重宝されているという設定があります。
作中では、主人公が子種を欲しがる女性達を相手にボランティアで性行為を行っている描写がありますし、男性版「大奥」に入っている男性のひとりもまた、親から命じられてカネを取り多くの女性と性交を行っていたと主人公に告白しているシーンがあります。
男性が女性の4分の1しかいないわけですから、厳格な一夫一妻制では女性の大半が子作りどころか結婚すらもできないわけで、子種獲得が目的の「売春婦」ならぬ「売春夫」的な商売が成立するのは自然の流れです。
というより、普通に考えれば「一夫多妻制」が成立したって何らおかしなことではないどころかむしろ合理的ですらありえますよね、この世界って。

それに対して、ひとりの女性に多くの男性を侍らせる「一妻多夫制」としかいいようがない男性版「大奥」を成立させなければならない理由というのは一体何なのでしょうか?
史実の「大奥」に限らず、諸外国で見られる「後宮」の類であれば、多くの女性を侍らせることで、世継ぎを多く産ませることができるという大きなメリットがありますし、そもそもそれが存在意義でもあるわけです。
しかし男性版「大奥」では、いくら男性を多く増やしたところで、子供が産めるのはあくまでも女性側の将軍ただひとりだけなのですから、世継ぎ対策としては全く使い物になりません。
もちろん、作中の「大奥」には世継ぎ対策だけでなく、将軍の身の回りの世話や護衛をするなどの役目もあり、そのための人員も少なくないのですが、それは別に男性版「大奥」が特に担わなければならない理由はなく、女性でも充分に代替が利くものでしかありません。
最大の存在意義がないも同然であるにもかかわらず、何故「大奥」という一種の「後宮システム」があの世界で成立し存続しているのか? その疑問こそが今回、私が映画「大奥」を観に行くことを最終的に決断するに至った最大の動機だったりします。
残念ながら、作中における男性版「大奥」も、その点については「無駄な贅沢だからこそ存在する」ということが強調されているだけで、私が抱いていた謎は解けるどころか却って深まるばかりでしたが(-_-;;)。

あと、作中における支離滅裂な慣習もいいところの設定として、「ご内証の方」という概念が挙げられます。
映画「大奥」における「ご内証の方」というのは、未婚の女将軍に対する初めての相手となる男性を指す言葉で、「ご内証の方」は将軍を破瓜させる罪人として死を与えられる定めにあります。
そして主人公は、8代将軍となる吉宗に見初められ「ご内証の方」として選ばれてしまうわけです。
……何と言うか、これほどまでに「女性としての潔癖症」丸出しの慣習というのも非常に珍しい限りですね(苦笑)。
史実の「大奥」にも「内証の方」という言葉があるのですが、こちらは「将軍のお手つき」、つまり「将軍と直接性交した女性」という意味合いの言葉に過ぎず、ましてや「初めて性交した者には罪人としての死が与えられる」的な慣習などありません。
正直、あまりにも意味不明過ぎる慣習で、「ひょっとしてこれは時の政敵を抹殺するだけのために勝手にでっち上げられたものが放ったらかしにされているだけなんじゃ……」などという疑惑まで浮かんでしまったほどです。

かくのごとく、世界設定面ではあまりにもツッコミどころ満載で、それ故に設定検証は逆に楽しめる作品ですね。
かく言う私自身、半分はそれが目当てだったようなものでしたし(苦笑)。
ただ、そこまで設定面で深く考える人もあまりいないでしょうし、もっと手軽に18禁エロゲー「恋姫無双」の江戸時代男女逆転版とでも解釈しておいた方が素直に作品を楽しめるかもしれません。
まあ「恋姫無双」は社会システムまで改変されてはいませんでしたけど。

世界設定面以外の作中描写で特に強く印象に残ったシーンは2つ。
ひとつ目は「大奥」の男同士で何度も繰り広げられた男色描写、特に主人公による「男同士」のキスシーンで、このシーンはさすがの私も少々ビビりました。
男女同士の濃厚なキスシーンや残虐シーンなどは特にハリウッド映画で何度も見慣れていたのでそれなりに免疫もあるのですが、男同士のキスシーンはすくなくともこれまで私が観てきたハリウッド映画には全く存在しなかったので完全に意表を突かれたというか(^^;;)。
この間観に行った映画「十三人の刺客」にもオマケ程度の扱いながら男色描写がありましたし、この辺りはキリスト教圏に比べて同性愛を罪悪視していない日本ならではのものと言えるのかもしれませんね。
二つ目は第8代将軍吉宗の初登場シーン。
緑の草原を舞台に白馬にまたがって疾走する初登場シーンは、明らかに時代劇TVドラマ「暴れん坊将軍」のオープニングテーマを意識している以外の何物でもありませんでした。
そりゃ「吉宗」と聞いて連想する第一印象と言えば確かにアレではあるのですけど、あまりにあからさま過ぎるパロディで、心の中で笑わずにはいられませんでしたね。

それと、銀英伝舞台版でアンネローゼ役を担当する白羽ゆりが「大奥」でも出演しているという事前情報があったので確認したところ、確かに主人公の姉役として作中で登場していました。
作中における出番は序盤と終盤のわずかな時間しかなかった上、台詞もほとんどありませんでしたが。

時代劇と男性同士による同性愛が好きという方、または世界設定面にツッコミを入れまくりたいという方には、映画「大奥」は間違いなく一押しの作品と言えるでしょう。

映画「十三人の刺客」感想

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映画「十三人の刺客」観に行ってきました。
1963年に公開された同名の時代劇映画のリメイク作品。
作中に切腹シーンがあったり、手足を切り落とされた裸の女性が映し出されるシーンがあったりすることもあり、この作品はPG-12指定されています。

ストーリーは、将軍の弟という地位にものを言わせて残虐の限りを尽くす明石藩主・松平斉韶(まつだいらなりつぐ)を13人の刺客が討ち取るというもの。
松平斉韶の暴虐ぶりは映画の序盤で明示されているのですが、手始めに、尾張藩の木曽上松陣屋詰である牧野靭負(まきのゆきえ)の息子の妻を犯した上、犯行現場で妻の惨状を発見し嘆き悲しむ息子を背後からなぶり殺しにするという行為に及びます。
次に、名もなき娘の手足を切り落として性奴隷として扱った挙句、その親族一同を全て皆殺しにするなど、現代どころか当時から見てさえも狂人扱いされて当然の所業が明らかになっていきます。
確かにこれは殺されても文句は言えないよなぁ、と観客および主人公に示されたところで、いよいよ松平斉韶を暗殺するための刺客が集められることになります。

ちなみに、この作品に登場している松平斉韶にはモデルが2人いて、ひとり目は全く同姓同名かつ明石藩第7代藩主の松平斉韶(1803年~1868年)。
そして二人目で、映画「十三人の刺客」の松平斉韶にまつわるエピソードの大部分の元ネタとなっているであろう人物が、明石藩第8代藩主の松平斉宣(まつだいらなりこと)(1825年~1844年)。
尾張藩とゴタゴタを引き起こしている経歴や、作中で舞台となっている年代とほぼ同じ1844年頃に死んでいることから考えても、映画「十三人の刺客」の松平斉韶は後者のエピソードを元に作られた人物と言って良いでしょう。
……名前だけ適用されてしまった明石藩第7代藩主の人が可哀想ではありますが(苦笑)。

松平斉韶の暗殺を成功させるため、主人公にして「十三人の刺客」のリーダー格である島田新左衛門(しまだしんざえもん)は、参勤交代で自分の藩に帰る松平斉韶を中山道の木曽落合宿を要塞化し、そこで待ち伏せ襲撃する計画を立てます。
松平斉韶が絶対に落合宿を通るという保証はなく、作中でもその部分は「賭け」と言われていましたが、主人公達が事前に手を打った尾張藩封鎖と、何よりも松平斉韶の自滅的な性格に助けられ、松平斉韶の一行は見事に落合宿を通ることになります。
かくして、映画の後半では落合宿を舞台とした壮絶な戦いが繰り広げられることになるわけです。

落合宿で襲撃された明石藩藩主・松平斉韶一行が引き連れている人数は、尾張藩封鎖に伴う分断効果で本来75名前後しかいないはずでした。
ところが落合宿に差し掛かった際、途中で人数を増強したのか200人以上も引き連れているという情報が「十三人の刺客」達に明示されています。
Wikipediaで元作品を調べてみた限りでは「13人対53人の殺陣シーン」しか行われていなかったようなので、この人数増強はリメイク作品のオリジナル設定なのでしょう。
しかも実際に映画を見ていると、明石藩側の人数はその200人よりもさらに多いとしか思えない描写ばかり出てくるんですよね。
落合宿序盤戦では、「十三人の刺客」達が落合宿に張り巡らせた罠の数々と、高みから一方的に放たれる矢戦によって、明石藩側の70人ばかりがほとんどワンサイドゲームで一方的に潰されています。
にもかかわらず、主人公の「斬って斬って斬りまくれ!」の号令で白兵戦に移行後、明石藩側は刺客ひとりにつき10人以上で取り囲んでいる上、どう見ても無傷にしか見えない新手の援軍が何回も登場していました。
松平斉韶自身の護衛に15~20人前後が付いていたにもかかわらずです。
当初は刺客の内3人くらいが待ち伏せ要員だったことを考えても、「明石藩側の人間、どう見ても300人近くいたんじゃないの? 残存130人にしては多すぎないか?」と考えざるをえなかったところです。
まあこの辺りは、時代劇の1対多数の殺陣シーンを見慣れている現代人向けに、人数を増やさざるをえなかったという事情もあるのでしょうけどね。

主人公を演じる「三匹が斬る!」の役所広司や、その補佐役で「遠山の金さん」でも御馴染みの松方弘樹など、時代劇では有名どころの俳優さんを揃えているだけあって、殺陣シーンはさすがに良く出来たものです。
時代劇が好きという方にはオススメできる映画ですね。

映画「-ザ・ラストメッセージ- 海猿」感想

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映画「-ザ・ラストメッセージ- 海猿」観に行ってきました。
同名の漫画原作作品の映画第3弾にしてシリーズ完結編。
ただ、「シリーズ完結編」といっても、それは前作に当たる2006年公開映画「LIMIT OF LOVE 海猿」でも、続編製作が発表されるまでは同じことを言っていたので、本当にこれで完結するのか否かは分かりませんが。
今作は3D版としても公開されているのですが、私が観に行ったのは通常版となります。

今作の舞台は、福岡県玄界灘沖に建設された天然ガスプラント「レガリア」。
このプラントには韓国とロシアも出資しているという設定で、そのためなのか、序盤で展開される救助活動では韓国人やロシア人らしき救助部隊の姿も見られます。
「レガリア」で火災事故が起こったのは、「レガリア」に変わり一時的に掘削作業を行っていたドリルシップが高波に煽られて制御を失い、「レガリア」に激突したことによるもの。
救助活動は順調に進んでいたものの、救助活動終了寸前になって「レガリア」が爆発の危機に晒された挙句、そのための安全措置として下ろされたシャッターに、主人公である仙崎大輔を含めた5人の人間が閉じ込められてしまいます。
おりしも台風が接近していたこともあり、海上保安庁の救助隊は一時現場から退避。
その後、たびたび危機的状況に見舞われる「レガリア」の問題に主人公がもうひとりの海上保安庁隊員と共に対処しつつ、ストーリーが進行していくことになります。

仙崎大輔は前作「LIMIT OF LOVE 海猿」の後、ヒロインである伊沢環菜と結婚、今作までの間に男の子が生まれています。
男児出生の際には、男児が未熟児だった上に母体も危機的事態に晒されるなど色々と問題もあったとのこと。
作中では「結婚3周年記念の日」に仙崎大輔が救助活動に向かっていることが示されており、前作からすくなくとも4年近くは経過している計算になりますね。

前作もそうでしたが、映画「-ザ・ラストメッセージ- 海猿」は人間ドラマの作り方が上手いですね。
主要人物全員分のエピソードが用意されていて、一定の感情移入ができるようになっています。
あと、主要人物が誰も死なないのも大きな特徴ですね。
同じ題材をハリウッド映画が扱ったら、誰が一人くらいはピエロ役として死ぬ人間が確実に出そうなものなのですが(苦笑)。

紆余曲折の末、「レガリア」はそのまま待てば破滅確定という最悪の事態に陥り、最終的には主人公達の手によって自沈させられることになります。
「レガリア」の建造には1500億円もの費用と韓国・ロシアの出資もあったことから、日本政府の上層部はゴーサインを出し渋っていましたが、あの状況で「レガリア」を自沈させなかったら、「レガリア」に取り残された5人全員死亡はもちろんのこと、「レガリア」破滅に伴う大火災や海洋汚染も発生するという最悪の結末を迎えただけでしょう。
作中では「たかが5人の生命を救うためにレガリアを放棄するのか!?」的な主張を政府高官が行っていましたが、何故か「大火災や海洋汚染の可能性」は無視されていて、その辺りは少し違和感を覚えたところですね。
「ガスタンクにいつ引火するか分からない」という報告は、主人公によって対策本部にも充分に伝わっていたわけですし。

映画「-ザ・ラストメッセージ- 海猿」は、人間ドラマ以外にも、手に汗握る緊迫感漂うシーンが結構続いたりするので、そういう映画が好きな人であれば、映画館へ直接観に行っても損はしない作品ですね。

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