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カテゴリー「映画観賞関連」の検索結果は以下のとおりです。

映画「エアベンダー」感想

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映画「エアベンダー」観に行ってきました。
中国的な世界観を舞台にした冒険アクション物。
この映画、元々は「Avatar:The Last Airbender」という名前のTVアニメ作品だったのですが、実写映画化する際、ジェームズ・キャメロン監督製作映画「アバター」が先に公開されたために「The Last Airbender」に作品名が改名されたという経緯があります。

映画「エアベンダー」の世界には、少林寺拳法を想起させる構えと踊りで気・水・土・火それぞれの力を操る「ベンダー」という存在がいます。
そして、4つの力全てを操る能力を持つものは特に「アバター」と呼ばれ、何度も転生を繰り返す上、精霊と会話し、世界を調和する「唯一の」存在であるとされています。
これから分かるように、作品的に重要な位置付けになっているのはあくまでも「アバター」の方で、「エアベンダー」というのは単に「気の力を操るベンダー」という意味しか持ち合わせていません。
作中では主人公を除き絶滅状態で文字通り「ラスト」な存在になってしまっている「気(エア)」は除外するにしても、「ベンダー」ならば作中には水・土・火の力を操る者がたくさん存在しているわけですし、「気」単体にはことさら他の力を圧倒できるだけの要素が特に秘められているわけでもないのです。
にもかかわらず、変に名前が他作品とかぶってしまったために、サブ的な位置付けに過ぎない「エアベンダー」を作品名として強調しなければならなくなったわけで、作品的には何とも不幸な話ですね(T_T)。

気・水・土・火それぞれの力を操るベンダー達の構えと踊りの描写は、少林寺拳法のそれがすぐさま連想されるようなシロモノ。
力が発動される描写も相まって確かに派手といえば派手ではあるのですが、ハリウッド映画的なスピード感&迫力という点では今ひとつでしたね。
まあ、ある意味スローモーションで流暢な動きを売りにしているような中国系の描写に、ハリウッド映画的なものを要求するのは酷なのかもしれませんが。

ストーリーは、100年前に突然アバターがいなくなった混乱に乗じて好き勝手やりはじめた火の国の侵略行為を、アバターである主人公の力を使って撃退するというもの。
実はその「100年前のアバター」というのはまさに主人公自身のことで、主人公はアバターの責務に耐えられなくなって逃亡し、自らを氷で固めて100年以上もの眠りについていたという設定だったりします。
そのせいで火の国の侵略行為が始まり、世界が混乱することになったわけですから、作中の世界的な混乱はまさに主人公のせいである、という論理も実は成り立ってしまうんですよね。
実際、そのせいで主人公の師匠的な人物も敵に殺される非業な結末を迎えたりしているわけですし。

物語後半の城塞戦はどことなく映画「ロード・オブ・ザ・リング」のそれを髣髴とさせるものがありましたね。
あれを中国的な建造物に変更し、かつ少林寺拳法を導入した感じ。
ラストは火の国の王が自分の娘に時間稼ぎを命じるところで終わっており、明らかに続編が作られることを前提にしています。

Wikipediaで調べてみた限りでは、どうもこの作品は3部作構成のようなのですが、この不況のご時世にちゃんと続編が製作できるのか、不安に駆られるところはありますね。
何しろ映画「エアベンダー」は、前評の高い映画「借りぐらしのアリエッティ」と同日の公開なわけですし、他にも「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」「トイストーリー3」といった人気映画を相手取って客の争奪戦を勝ち抜かなければならない立場です。
作品の出来を見ても、何とも間の悪い時期に公開された映画、という感は正直言って拭えませんね。

映画「プレデターズ」感想

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映画「プレデターズ」観に行ってきました。
過去2作品が製作された「プレデター」シリーズの続編。
作品の性格上、当然のように残虐シーンが存在するため、この映画はPG-12指定されています。
こちらも「踊る大捜査線」シリーズと同様に知名度の高いシリーズかつ初日ということもあってか、スクリーン内は満席状態でした。

作中では、南米グアテマラで「プレデターと戦い、ただ一人生還した特殊部隊の男」のエピソードが語られています。
これは1987年公開映画「プレデター」に繋がるもので、シリーズを通しで観ている人は過去作との連続性を確認することができます。
ただ、過去のシリーズ作品である「プレデター」「プレデター2」は、公開日時が古いこともあって私は観たことがないんですよね。
私が「プレデター」の存在を知ったのは、「プレデター」の派生作品である「エイリアンVSプレデター(AVP)」シリーズで、こちらは過去2作品共に観ています。
ちなみに「エイリアンVSプレデター」と今作品は全く無関係。

ストーリーは、世界各国から選ばれたプロの軍人やヤクザ・死刑囚達が、地球とは異なる惑星に謎の閃光によって飛ばされ、プレデター達と戦っていくというもの。
アメリカではお約束なのか、刀を振るってプレデターと戦う日本人もいたりします。
プレデター達の武装や特徴については「プレデター」「エイリアンVSプレデター」いずれかのシリーズを観ていれば事前に分かるので、「未知の恐怖」というのはあまり感じられませんでしたね。
まあこれはシリーズ作品の宿命なのでしょうけど。

実写版「宇宙戦艦ヤマト」のポスター6万枚、学校に配布

SMAPの木村拓哉が主演する2010年12月公開予定の映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」。
この映画の製作元である東宝が作成した宣伝広告用のポスター約6万枚が、文部科学省の承認の下、全国の小中高校・大学4万校に配布されるとのことです。

毎日新聞記事
http://www.mainichi.jp/select/science/news/20100707k0000e040034000c.html
>  文部科学省が東宝とタイアップし、12月1日公開の映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(山崎貴監督)のポスターを6万枚作製した。全国の小中高校、大学など約4万校に配布し、掲示を求める。事業仕分けで「巨額の投資の割に効果が見えない」などと批判された宇宙開発の重要性を若い世代に訴える狙いがある。
>
>  映画は70年代に大ヒットしたアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の実写版。主人公の古代進を人気俳優の木村拓哉さんが演じる。ポスターは、木村さんを大写しした写真の横に「宇宙の未来、つくるのは君たち。」とのメッセージを入れた。
>
>  作製に当たり、
映画の内容が好戦的でないかなどを文科省職員がシナリオで確認した上で採用を決めたという。両者は昨年にも、仲間由紀恵さん主演の学園ドラマ「ごくせん THE MOVIE」を使った薬物乱用防止ポスターを共同で製作している。
>
>  各学校での掲示は、東宝にとっては映画のPRになるとあって、文科省によるとポスター製作費は全額東宝持ち、発送費用の多くも東宝が負担するという。【山田大輔】

この記事で個人的に引っかかったのは、「映画の内容が好戦的でないか」を文部科学省の職員がチェックして採用を決めたという箇所。
いかにも反戦(以上に反日)至上主義で凝り固まっている日教組に配慮したかのごとき対処ですし、そもそも「好戦的な内容の映画」というのは一体どのように定義されているものなのでしょうか?

戦後60周年記念作品と銘打たれ、監督的には反戦がテーマだったという映画「男たちの大和/YAMATO」なども「日本海軍を賛美している」などと左翼&サヨクな方々は訴えまくっていましたし、その基準から判断すれば、ヤマトの実写版がそれに該当しないはずがないのですけどね。
何しろ、ヤマトは原作からして「特攻」が当然といわんばかりに肯定的に描かれている作品なわけなのですし(爆)。

ヤマトの実写映画化は銀英伝舞台版と同じくらい不安だらけなシロモノなのですが、ポスターは良いとして果たして映画の出来はどうなることやら。
2009年12月に公開されたアニメ版映画「宇宙戦艦ヤマト・復活篇」は、すくなくとも原作にあまり思い入れがない私的にはそれほど悪くない映画だったのですが、実写版とアニメは全く異なりますからね~。

ちなみにこの映画、私は映画館へ観に行く予定です。

映画「アデル/ファラオと復活の秘薬」感想

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映画「アデル/ファラオと復活の秘薬」観に行ってきました。
1911年のフランスを舞台にした作品。
作中に微妙な入浴シーンがあるためか、この作品はPG-12(12歳未満は親または保護者同伴必須)指定されています。

この作品は、双子の妹を救うべく奮闘する、破天荒で型破りな性格の持ち主である女性ジャーナリスト・アデルの物語となります。
妹の名前はアガット。
姉とのテニスの試合中にボールが頭にぶつかり、その際にアデルから借りていた髪留めが外れて後頭部から額まで貫通し、以来5年近くも植物人間と化したという設定です。

全体的にはアクションよりもコメディ色が強いストーリー進行。
特にアデルが物語の重要な鍵を握っている教授を収監されている刑務所から救うべく、色々な変装を行って何度も刑務所に潜入しては失敗を繰り返すシーンは、なりふり構わぬアデルの性格とコメディタッチなノリが上手く融合していましたね。
……刑務所の人間も、アデルが同じ日に同じ手段を何度も繰り返している段階で、いちいち中に潜入を許していないで少しは門前で変装について疑えよと(苦笑)。

そして物語の最後に、アデルはとある船に乗り込むのですが、その船というのが「誰もが知っている【悲劇で有名な】あの豪華客船」。タイタニック号。
序盤でアデルにしてやられた悪役達が港で「良い旅を」などと皮肉をつぶやいたところで終わっているところから考えても、この作品、続編を匂わせるものがありますね。
次があるとしたら一体どんな物語になるのか、少々気になるところではあります。

映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」感想

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映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」観に行ってきました。
人気TVドラマ映画化シリーズ第3弾。
主人公である青島俊作を演じる織田裕二と室井慎次役の柳葉敏郎には一時期不仲説も囁かれ、映画の成立自体が危ぶまれる報道もありましたが、とにもかくにも映画が公開されて何よりです。
人気シリーズ作品かつ初日ということもあってか、スクリーン内はほぼ満席状態でしたね。

「踊る大捜査線」の映画は前作もそうでしたが、今作もとにかくギャグが満載。
湾岸署の引越し本部長に任命された青島俊作の「作戦会議」から始まり、その引越しのゴタゴタにまぎれて発生した事件と不祥事の数々、そして湾岸署外部に不祥事が発覚した後、身体を張っていかにも衰弱しているかのごとき過剰演出な3文芝居を繰り出しつつ、自己保身だらけの官僚答弁的な言動を披露しまくるスリーアミーゴスの公式会見シーンの辺りまではまさにギャグとツッコミのオンパレード。
その手のギャグが出てくる都度、スクリーン内のあちこちから声を潜めた笑い声が頻出していましたし、かくいう私も同じように笑っていたクチです。

ただ、今回の映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」は、過去2つのシリーズ作品とも内容がリンクしており、そちらも観ないと登場人物の相関関係が把握しにくいところも多々ありますね。
私も映画観賞後、Wikipediaを読んで過去作の登場人物を確認したりしていましたし。
今回の映画を観る際には、過去作である、
「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」
「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」
を事前に観ることをオススメしておきます。

それ以外で個人的に気になったのは、湾岸署を閉鎖状態に追い込んで囚人の釈放を要求してきた犯人に対し、室井慎次以外の警察の首脳陣達全てが「犯人の要求を呑む」という意見で完全に一致し、しかもそれが日本国首相の公式声明として発表されてすらいたこと。
作中でも「人道的見地」だの「人の命は地球より重い」だのといった類の発言が飛び交っていましたが、アメリカであれば映画でも現実でも絶対にありえないこの描写が、日本だと「うん、普通にありえる話だよね」と素直に頷けてしまう嫌な実態がありますからね~(T_T)。
ましてや今の売国民主党政権、特にその頭目が「あの」カンガンスであれば、これ幸いと嬉々として要求を呑むどころか、下手すれば国家としての無条件降伏すら本気でやりかねないところがありますし(-_-;;)。
あのヘタレ過ぎて情けない日本の首脳陣達の描写を「ありえないフィクション」として本当に笑い飛ばせる日が来て欲しいものなのですけどね。

「踊る大捜査線」はハリウッド映画と異なり、特にこれといった直截的な恋愛描写やアクションシーンがないにも関わらず、巧みなストーリー進行とギャグによる独特のテンポを駆使して観客を魅了する非常に優れたシリーズ作品ですね。
今作も、邦画の中では今年度最優秀作品の最有力候補として数えられることになるのではないでしょうか。

「邦画の復権」を象徴する映画「ホワイトアウト」

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2000年8月公開映画「ホワイトアウト」。
織田裕二主演のこの映画は「日本版ダイ・ハード」という宣伝文句が謳われ、邦画では珍しいハリウッド映画ばりのアクションシーンや迫力あるストーリーで人気を集めました。
興行収益で見ても、2000年度の邦画の中ではトップとなる42億円を記録しており、充分に成功した映画作品であると言えるでしょう。

私的にも映画「ホワイトアウト」は、映画観賞史上最悪の反戦教材動画「きけ、わだつみの声 Last Friends」以来、実に5年ぶりに観た「邦画」となります。
そして、
「こういう作品がきちんと作れるのであれば、邦画の未来にも希望が持てるのではないか」
と強く印象づけられた映画として記憶に残っていますね。

逆に言えばその評価は、それまでの日本映画がいかに絶望的なシロモノであったかを証明するものでもあるわけなのですけどね(-_-;;)。
「きけ、わだつみの声 Last Friends」は論外にしても、それ以外の映画も「『ハラキリ・ゲイシャ・フジヤーマ』的ステレオタイプな日本のイメージを持つ外国人相手に賞を取るために制作された作品」というイメージが定着していましたし。

映画「ホワイトアウト」は、その宣伝文句のごとく、ストーリーも設定も「ダイ・ハード」そのもの。
テロの襲撃に不運にも巻き込まれつつ自分はたまたま難を逃れ、地の利や奇襲戦法を使ってテロリストをひとりずつ倒していき、最後に敵によって追い詰められた際は奇策を使って一発逆転と、その構成はまさに「日本版ダイ・ハード」と言える作品です。
そのため「ホワイトアウト」には、そのパクリな作品構成を批判する向きも多分にあります。

しかし、それまでの日本映画の惨状を知る私としては「オリジナルな超駄作よりは、パクリ&テンプレートでも面白い売れ筋作品の方がまだマシ」という評価でしたね。
「ダイ・ハード」と比較しながら観るのであればともかく、それ単体として評価する分にはストーリーも構成も良く出来ており、観て損はしない作品です。

2010年7月3日からは、映画「ホワイトアウト」で主役を演じた織田裕二がこれまた主人公として活躍する映画「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」が公開されます。
前作からまた年月が経ち、主人公が係長に出世しているこの映画が如何なる出来なのかも期待が寄せられますね。

映画「ザ・ウォーカー」感想

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映画「ザ・ウォーカー」観に行ってきました。
北斗の拳のごとき秩序なき滅亡後の世界を舞台に、1冊の本を西へ運ぶ男の物語。
テーマが複雑なためか、流血はないものの残虐シーンがあるためか、この映画はPG-12指定されています。

世界が滅びたのは、戦争中に空に大きな穴が開き、大量の紫外線が降り注いで地表にあるもの全てが焼き尽くされたため、という設定。
一昔前ならば核の応酬で、ということになったのでしょうけど、そこは現在の環境問題とリンクさせたのでしょうか。
長いこと荒廃した時代が続いているためか、作中に登場する人間の大多数は文字も読めなくなっているようで、「文字が読める」というだけで重要な人材扱いされています。

本の正体は「大多数の日本人には馴染みがないけど誰もが知っている」有名な書。聖書。
戦争の原因とされ、その1冊を除いて全て処分された本、という設定となっています。
物語中盤頃に、主人公の発言内容からその正体と中身が明らかになります。
あの世界における一般庶民の識字率および教養レベルであれば、確かに使い方次第で世界の命運を握れる本とは言えますね。

ちなみに男の最終到達地はアメリカ本土西部。カリフォルニア州。
こちらも「そこそこには名の知れた有名な場所」ですね。アルカトラズ島。

映画「タイタニック」の現実逃避な恋愛劇

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1912年4月10日にイギリスのサウサンプトン港を出航し、5日後に氷山にぶつかって沈没した豪華客船「タイタニック」。
この事件を扱った映画は数多いのですが、中でも一番有名なのは、やはり何と言っても1997年に公開されたジェームズ・キャメロン監督製作による映画でしょう。

1997年公開映画「タイタニック」は、史実のタイタニック沈没事件を扱ったのみならず、悲劇の恋愛映画としても大いに喧伝された作品。
主演男優だったレオナルド・ディカプリオの名を世界的に有名にしたのみならず、映画を製作した同監督による2009年公開映画「アバター」に抜かれるまでは、興行収益がギネスブックにも登録されていた作品としても有名です。
2012年にはこの映画の3D版も公開されるとのことで、その人気の根強さが伺えます。

映画観賞といえばSFX・アクション物が中心で、普段は恋愛映画になど見向きもしない私も、周囲で「面白い」と評判だったこともあり、この作品については映画館へ観に行っていたりします。
男女の恋愛をメインテーマとした映画で私が映画館で観た作品というのは「タイタニック」が初めてとなりますね。

ただ、この映画に対する私自身の評価はというと、

「確かに絵になるシーンが多いし演出は上手いが、肝心の恋愛描写にはほとんど感情移入ができなかった」

というのが正直なところ。
許婚との結婚を嫌がるヒロインのローズの「主人公ジャックに惚れる過程」が、一種の「目の前にある嫌な現実からの逃避」に見えて仕方がなかったんですよね。

自分の意思に反した結婚が嫌だったローズにしてみれば、その嫌な現実を忘れさせてくれる存在が「たまたま」ジャックだったのであって、現実逃避ができるのであれば相手は誰でもよかったのではないか?
また現実から目を背けているからこそ、2人は背徳的な恋愛に快感を覚えて大いにのめり込んでいたのではないか?

そんな負の印象と疑惑を、この2人の出会いのシーンからずっと感じずにいられなかったため、物語終盤でタイタニックが沈没して海水温度零下2度以下の海に投げ出され、ローズを助けて海に沈んでいったジャックの悲劇のシーンでも、

「ああ、これで2人の現実逃避な思い出は永遠に美しく記憶に残るね。今後2人の関係が現実の壁にぶつかって迷走した挙句に破綻する可能性が完全になくなって結構なことだ」

などと私は冷淡そのものだったんですよね。
もし「タイタニックの沈没」がなく、2人の関係がそのまま進んでいたら、いずれ遠からぬ未来に「現実の壁」にぶつかり、逃避もできなくなってあっさり関係が破綻してしまったのではないでしょうか。

画家志望の貧乏青年であるジャックと、上流階級の娘であるローズでは身分が全く異なりますし、ローズには(親が勝手に決めたこととはいえ)許婚もいたわけですから、2人の恋愛は、世間一般的には一種の「不倫関係」と見做されても文句が言えないシロモノです。
現にジャックとローズの関係を知ったローズの許婚相手は、ジャックに対して明確な物理的攻撃を行っていますし、もし「タイタニック」が沈没することなく彼らが無事に船から降りられていたら、それに社会的な制裁まで付け加えられた可能性が極めて高いと言わざるをえないのです。

それに何よりも、あの2人は互いに出会ってから死別するまで最大でもたったの5日間しか付き合いがなかったのですが、たったそれだけの時間で相手の「表面的な美点だけでなく短所も含めた全て」を知り尽くすことができるものなのでしょうか。
どんな恋愛や夫婦関係でも、長く付き合っていればいずれ必ず「相方の幻滅すべき現実」を知ることになります。
互いのことを知り尽くしたかに思える昔馴染み同士の恋愛や結婚でさえ、それまで自分が知らなかった相手の短所や欠点に否応なく気づかされて激怒するといった事例は充分に起こりえることです。
ましてや一目惚れに限りなく近いところから始まった恋愛関係ならばなおのこと、その後の付き合っている時間が長ければ長いほど、自分の理想と食い違っている相手の現実に気づいて幻滅する、という事態は容易に発生しえるでしょう。

そもそもの動機が「現実逃避」から始まっている恋愛が、果たしてやる気や腕力だけでは決して解決できないそれら「現実の直視と対処の問題」に耐えられるものなのか、はなはだ心許ない限りなわけです。
そう考えると、あの結末も実は悲劇ではなく「2人が永遠に幸せになれるハッピーエンド」であったとさえ言っても過言ではなかったのではないでしょうか。

こと恋愛描写については、「タイタニック」と同じジェームズ・キャメロン監督製作による2009年公開映画「アバター」の方がはるかに上手かったですね。
「アバター」では、最初は異星人達に対する一種のスパイ活動を命じられ、命令のままに異星人達と接触したはずの主人公が、次第に異星人達の社会および異星人のヒロインに惹かれていく過程と、主人公の「ヒロインや異星人達と共に自分が属していた組織&人間と戦う」という不退転の決意がしっかりと描写されています。
主人公にとって、特に自分を虐げていたわけでもない、これまで自分が属していた組織および人間社会を結果として裏切ることになるその決断を下す際には、相当な抵抗や葛藤があったことは想像に難くありません。
それでも異星人のヒロインと一緒になることを選び、かつての仲間達と戦う決断をあえて下したところに、「タイタニック」の現実逃避な恋愛とは比べ物にならない「人間的な強さ」というものが表現できているわけです。

カップル毎に様々な結ばれ方や相手に対する想い・依存度といったものが千差万別に存在する恋愛というものに「正しい結ばれ方」「正しい結末」といったものはないでしょう。
しかし「タイタニック」という映画は、その千差万別な恋愛における「老若男女問わず万人が共感できるあり方」というものについて、私的には色々と考えさせられる作品でしたね。

映画「アイアンマン2」感想

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映画「アイアンマン2」観に行ってきました。
同名のアメコミ実写映画化作品シリーズ第二弾で、前作から半年後が舞台。

前作もそうでしたが、主人公トニー・スタークの自宅で展開されている人工AIや空間3D投影などといった超先進技術は凄いの一言に尽きますね。
作中で、他の国や企業がアイアンマンを製作するには5~10年はかかる、という主人公の発言がありましたが、あの自宅の描写を見ればそれも頷けるというもの。

それに対し、一応主人公トニー・スタークが経営するスターク社のライバル企業という設定らしいハマー社の実態は、それと比較してもあまりに悲惨としか言いようがありません。
アイアンマンに対抗するための兵器を製造している工場は、現代でも普通に見られるようなパソコン端末でシステム管理されている上に、「アイアンマンもどき」を製造するために牢獄から脱獄させたトニー・スタークの敵であるイワン・ヴァンコに、いともあっさりとセキュリティを破られている始末。
ライバル社がこの惨状ではスターク社の経営は安泰もいいところで、あまりに桁外れな両者の技術格差は悲劇を通り越して喜劇的とすら言えるほど。
あの映画の世界では、スターク社に技術的に対抗しえるだけの企業は世界中どこを探しても存在しえないようです(T_T)。

まあその割には、企業の後ろ盾もない個人の技術者があっさりと「アイアンマンもどき」を造れてしまったりしていますし、そもそも「アイアンマン」自体がトニー・スタークひとりで造ったようなものでしたけど(苦笑)。
ひとりの天才の前には国や企業の存在意義など儚いものだ、という気分を味わいたい方は、「アイアンマン」シリーズはオススメな映画と言えそうですね。

映画「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」感想

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映画「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」観に行ってきました。
時間を巻き戻す禁断の秘宝「時間の砂」を巡る物語。

作品世界の舞台は一応ペルシャとはなっているものの、アケメネス朝なのかパルティア王国&ササン朝なのか、はたまたイスラム教系のアッバース朝なのかは作中の描写からは全く読み取ることができません。
また一方では「ハッサンシンの城」という、明らかに11世紀末期以降の十字軍時代に恐れられた暗殺者集団の根城が登場していることなどを考えると、作品世界の歴史考証は相当なまでにデタラメなレベルと言って良いでしょう。

それと、あの終盤付近のラスボス、あの時点ではすでに邪魔者は完全に消え去っている状態だったのですから、わざわざ「時間の砂」にこだわる必要はなかったのではないかと思うのですが。
主人公が「時間の砂」を使うのを止める、というのであればともかく、何か必死になって自身で時間を巻き戻そうとしていましたし。

しかし、貧民街出身の主人公が街中を逃げ回る際に披露していた曲芸を想起させるアクションシーンと、冒頭シーンのモノローグがラストシーンに繋がる演出はなかなか上手かったですね。
まあ駄作ではない出来の映画ではあろうと思います。

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