映画「ツーリスト」感想
映画「ツーリスト」観に行ってきました。
ハリウッドのトップスターである、ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーが初共演するということで話題を集めた、2005年公開のフランス映画「アントニー・ジマー」のリメイク作品です。
この作品序盤の舞台はフランスのパリ。
アンジェリーナ・ジョリー扮する謎の美女エリーズ・クリフトン・ワードと、彼女の動向を密かに監視するイギリス警察との駆け引きから物語は始まります。
イギリス警察はとある組織から大量のカネを盗み、かつ7億4400万ポンドもの脱税行為を働いたアレクサンダー・ピアースという男の行方を追っていました。
エリーズはアレクサンダー・ピアースの恋人と目されており、彼女を通じてアレクサンダー・ピアースの行方を探る目的から、彼女が警察からマークされていたわけです。
そんなある日、彼女は朝食を取っていたレストランで、配達人からアレクサンダー・ピアースからの手紙を受け取ります。
そこには、8時22分のリヨン駅発イタリア・ヴェニス(ヴェネツィア)のサンタルチア駅行の列車に乗り、自分と良く似た体格の人間を探し自分の身代わりにしろとの指示が書かれていました。
手紙を燃やして監視の目を何とか撒いて問題の列車に乗ったエリーズは、そこでジョニー・デップが演じるアメリカ人教師でイタリア旅行の途上にあったフランク・トゥーペロと出会い、声をかけることになります。
エリーズとフランスは列車内の食堂室?の中で楽しく会話を交わしますが、その様子を、手紙の燃えカスを回収・分析し先回りしていた警察によって携帯画像に収められ、フランクは「アレクサンダー・ピアースではないか?」という疑いの目を向けられることになります。
列車から降りたところを取り押さえるべく、終点のサンタルチア駅ですぐさま非常線を張るイギリス警察。
しかしその後、警察本部が採取されたフランクの画像を照合していった結果、フランクの身元が確認されたため、2人が駅に着く直前になって非常線は解除されます。
しかし、この一時的な嫌疑を真に受けた警察内部のスパイが、「フランクはアレクサンダー・ピアースである」と外部に連絡したことが、物語をさらに進展させていくことになります。
スパイから連絡を受けたのは、アレクサンダー・ピアースによってカネを奪われた組織のボスであるレジナルド・ショー。
彼が率いる組織は、早速エリーズとフランクが宿泊するホテルの監視を始め、エリーズがフランクにキスした場面を目撃したことから、勘違いが事実であると確信するようになります。
そして翌日の朝、エリーズがいなくなったホテルの部屋で、フランクは組織からの襲撃を受けることになるのですが……。
映画「ツーリスト」は、主人公をも含めた登場人物達に謎があり、それを暴いていく過程を楽しむことをメインとしている点で、今作と同じくアンジェリーナ・ジョリーが主役を演じた映画「ソルト」を想起させるものがありますね。
ただ「ソルト」と異なり、「ツーリスト」ではアクションシーンが作中でほとんど展開されず、終始ミステリー的な頭脳戦や駆け引きをメインにストーリーは進行していきます。
フランクがホテルから逃げるシーンと、ヴェニスの街を舞台に繰り広げられた水上ボートの逃走劇が、作中で展開されたアクションシーンと言えるものではありましたが、時間が短い上にハリウッドお得意な迫力とスピード感はゼロに近いシロモノでしたし。
私がアンジェリーナ・ジョリー主演作品で観賞したことのある作品と言えば、「ソルト」以外にも「トゥームレイダー1&2」「Mr.&Mrs.スミス」「ウォンテッド」といったものがあるのですが、全部アクションシーンがバリバリに出てくる作品ですし、そういう作品をメインに活動している女優というイメージがあったので、かなり意外な感は禁じえなかったところですね。
一方で、ジョニー・デップ主演作品の方は今まで1作も観ていなかったので、こちらはそういう印象などそもそも抱きようがありませんでした(^^;;)。
ミステリーの醍醐味とも言える物語終盤には驚愕の真相が待ち構えています。
その真相が分かるための伏線は一応物語後半に用意されていたのですが、私の場合、映画観賞時はその伏線に注意を払っていなかったこともあって、突然の急展開に一瞬話についていけなかったクチだったりします(^^;;)。
映画観賞終了後に内容を思い返し、「ああ、あそこにああいう伏線があったなぁ」とようやく合点が行き、話の全体像が見えてくるというありさま。
アレクサンダー・ピアースを追っていたジョン・アチソン警部が、ことの真相を知って茫然自失しつつ空を眺めているシーンは、私もついつい共感せずにはいられませんでしたね(T_T)。
映画「ツーリスト」はアメリカ本国では興行的に失敗しているとのことで、また第68回ゴールデングローブ賞では何故かミュージカル・コメディ部門にノミネートされて批判を受けるなど、何かと醜聞が付き纏う映画だったようです。
作品を見る限り、確かにアメリカ人受けはしないような内容でしたが、果たして日本ではどのような評価を受けることになるでしょうか?