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「邦画の復権」を象徴する映画「ホワイトアウト」

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2000年8月公開映画「ホワイトアウト」。
織田裕二主演のこの映画は「日本版ダイ・ハード」という宣伝文句が謳われ、邦画では珍しいハリウッド映画ばりのアクションシーンや迫力あるストーリーで人気を集めました。
興行収益で見ても、2000年度の邦画の中ではトップとなる42億円を記録しており、充分に成功した映画作品であると言えるでしょう。

私的にも映画「ホワイトアウト」は、映画観賞史上最悪の反戦教材動画「きけ、わだつみの声 Last Friends」以来、実に5年ぶりに観た「邦画」となります。
そして、
「こういう作品がきちんと作れるのであれば、邦画の未来にも希望が持てるのではないか」
と強く印象づけられた映画として記憶に残っていますね。

逆に言えばその評価は、それまでの日本映画がいかに絶望的なシロモノであったかを証明するものでもあるわけなのですけどね(-_-;;)。
「きけ、わだつみの声 Last Friends」は論外にしても、それ以外の映画も「『ハラキリ・ゲイシャ・フジヤーマ』的ステレオタイプな日本のイメージを持つ外国人相手に賞を取るために制作された作品」というイメージが定着していましたし。

映画「ホワイトアウト」は、その宣伝文句のごとく、ストーリーも設定も「ダイ・ハード」そのもの。
テロの襲撃に不運にも巻き込まれつつ自分はたまたま難を逃れ、地の利や奇襲戦法を使ってテロリストをひとりずつ倒していき、最後に敵によって追い詰められた際は奇策を使って一発逆転と、その構成はまさに「日本版ダイ・ハード」と言える作品です。
そのため「ホワイトアウト」には、そのパクリな作品構成を批判する向きも多分にあります。

しかし、それまでの日本映画の惨状を知る私としては「オリジナルな超駄作よりは、パクリ&テンプレートでも面白い売れ筋作品の方がまだマシ」という評価でしたね。
「ダイ・ハード」と比較しながら観るのであればともかく、それ単体として評価する分にはストーリーも構成も良く出来ており、観て損はしない作品です。

2010年7月3日からは、映画「ホワイトアウト」で主役を演じた織田裕二がこれまた主人公として活躍する映画「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」が公開されます。
前作からまた年月が経ち、主人公が係長に出世しているこの映画が如何なる出来なのかも期待が寄せられますね。

邦画への偏見を助長した映画「きけ、わだつみの声 Last Friends」

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私が映画館に行って観る映画というのは、その大部分が洋画の、特にアクション物とSFX系によって占められています。
元々私は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」から映画観賞が本格化したという経緯がありますし、また観ていて爽快感が伴う映画というのが好きなこともあって、ハリウッド映画は自分の好みに合うものが多いんですよね。

一方、邦画はどうかというと、こちらは長いこと

「アニメや特撮を除けば、エンターテイメント性を捨て去り、外国向けのステレオタイプ的な日本の宣伝広告を目的にしている、映画というものを根本的に勘違いしているジャンル」

などという偏見に満ち溢れた評価ばかり叩きつけていた時期がありました。

私の場合、元々その偏見は漠然とながら存在していたものなのですが、それが深刻なまでに確たる評価として確立してしまうきっかけになった映画が存在します。
それは、1995年に戦後50周年記念と銘打って公開され、戦時中における最前線の悲惨な実態を描いた「きけ、わだつみの声 Last Friends」という映画です。

この映画は最初から最後までとにかく雰囲気が暗く、また日本側はやることなすこと全面的に悪として描かれている反面、アメリカ軍がまるで正義の使徒であるかのように描写されています。
ラストも主人公を含めた日本軍側の登場人物全員死亡という何の救いもない結末で、爽快感を楽しむためのエンターテイメントとしてはゴミもいいところ。

「反戦平和」というものを強調し宣伝広報したいがあまり、肝心要なエンターテイメント性をかなぐり捨てていたそのスタンスは、映画作品というよりも「反戦平和のための教材」とでもいうべきシロモノ。
一応は映画作品なのだから、エンターテイメントとして面白い物にはなっているだろうという私の期待は完膚なきまでに裏切られました。

この映画以後、「邦画は駄作の代名詞」という評価が完全に確立してしまい、邦画自体を再び観るようになるまで5年、その評価が覆るのには実に10年近くもの時間が費やされました。
これまで観てきた映画の中でも「時間を無駄にした、カネ返せ」とまで思った映画は、これともうひとつの作品だけですね。

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