映画「相棒-劇場版Ⅱ- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」感想
映画「相棒-劇場版Ⅱ- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」観に行ってきました。
警視庁の窓際部署である「特命係」の係長である杉下右京を主人公とするテレビ朝日系列放送の刑事ドラマ「相棒」の劇場公開映画第2弾。
なお、今作が私の今年最後となる映画観賞作品となります。
物語は、公安が中国系マフィアのアジトである船舶に強行突入するシーンから始まります。
強行突入は、マフィア側が自爆を敢行したことにより、マフィアの人間3人と公安の警察官1名の死という結末で表面的には決着し、これが本編で発生する警視庁占拠事件の発端となります。
それから7年後、警視庁の11階にある第11会議室では各部署のお偉方による定例の部長会議が行われていたのですが、その最中、警視庁内の12~14階で火災騒ぎが発生。
その混乱に乗じて、ひとりの男が拳銃を持って第11会議室に乱入。
定例部長会議に出席していた12名の幹部達を人質に立てこもる篭城事件が発生してしまいます。
警視庁内で特に担当する事件もなく暇をもてあましていた杉下右京と、その相棒でたまたま拳銃を持った犯人の姿を目撃していた神戸尊は、いち早く事件に対応。
杉下右京は、足にロープを繋いでビルの外壁を降下していき、会議室の外からデジタルカメラを使い、防弾ガラス越しに犯人の写真を撮ることに成功します。
その写真画像の分析から、篭城犯は元組織犯罪対策課の刑事だった八重樫哲也という人物であることが判明。
篭城犯がひとりであることが分かった警察上層部は、杉下右京が唱える慎重論を排して強行突入を決断。
一方、会議室に篭城し人質を取っているにもかかわらず、外に対して何故か何も要求することなく、人質達を問い詰めていく犯人。
そんな中、人質のひとりだった通信部長がおもむろに苦しみ倒れこみ、篭城犯がそれに駆け寄った一瞬の隙を突いて他の部長が一斉に篭城犯に襲い掛かり会議室内はもみ合いに。
ほぼ同時に強行突入も行われ、何とか人質は全員無事に確保されるのですが、混乱の中で篭城犯の八重樫哲也は自らの拳銃の弾に被弾して即死という結末に。
犯人の動機が一切不明、事件後の事情聴取でも人質となっていた幹部達は曖昧な証言しかしないなど不審な点が多いこの事件を、「相棒」の主人公である杉下右京と神戸尊が調査に乗り出す、という形でその後のストーリーは進行していきます。
残念ながら私はこれまでのTVドラマシリーズ「相棒」や劇場版1作目の映画はほとんど観ていないのですが、今作の「相棒-劇場版Ⅱ-」では警察組織の闇がテーマになっていますね。
警察を改革するために陰謀や謀殺に手を染めるという犯人側のスタンスは、同じく警察組織の問題点を扱っているTVドラマ&映画版「SP 警視庁警備部警護課第四係」シリーズともかぶるところがあります。
ただ、「SP」シリーズがアクションや危機感知等の超能力を駆使して犯人の意図を挫くのがメインの作品なら、「相棒」はひたすら冷静な推理と調査で犯人を追い詰めていくのが醍醐味といったところでしょうか。
一端捜査が行き詰まりを見せても、主人公である杉下右京はすぐさま次の手を考えて捜査を進展させてしまいます。
ストーリーのテンポは結構速いと言って良いですね。
物語のラスト付近では意外かつ突発的な大どんでん返しがあります。
全ての黒幕と言わんばかりの雰囲気をかもし出していた警察庁の大物と主人公が言い合いになり、いかにもこれから「見えない戦争」の開幕的なシーンで、それは誰も予想できない唐突な形で終わりを告げるのです。
その伏線自体は事前にきちんと張られていただけに、アレには全く良い意味で意表を突かれてしまいましたね。
あの展開は全くの「一見さん」である私でさえ驚いたくらいですから、古くからの「相棒」ファンは驚愕も良いところだったのではないでしょうか。
また、その結末も含めて、この映画は「次回に続く」的な終わり方をしています。
長年続いているシリーズ物作品の映画版ということもあり、作品の出来は問題ない水準と言って良いレベルかと。