九州・熊本ラーメン事情
- 2010/06/21 19:08
- カテゴリー:その他色々, 九州・熊本ローカル事情
ラーメンという料理ほど、地域毎に多種多様かつ独自の味と特色を持つものも珍しいのではないかと思うのですが、九州におけるラーメンは、私が住んでいる熊本も含め、ほぼとんこつラーメン一色で占められています。
九州でとんこつラーメン以外を専門に扱っているラーメン店というのは相当なまでにレアな存在です。
九州におけるとんこつラーメン発祥の地は福岡県久留米市。
1937年に創業した屋台「南京千両」が、関東地方の支那そばと長崎ちゃんぽんのスープをヒントに「豚骨スープ」を考案したのがその始まりとされています。
このラーメンが九州各地に広まり、地域毎に様々な改良がなされた結果、九州一円全てがとんこつラーメンで占められるという、九州独自の特色が生まれたわけです。
しかし、同じ「とんこつラーメン」として括られてはいても、その中身も味も特色も、地域によって大きく異なります。
たとえば一般的に有名な博多ラーメンは細麺であっさりとした薄味スープをベースに作られ、また他の地域ではあまり見られない「替え玉」があるのが特徴。
それに対し熊本ラーメンは、麺が太く、それに合わせる形でスープもこってり濃く作られており、また好みに合わせてニンニクチップを振りかけるようになっています。
当然、この2つは同じ「とんこつラーメン」でも味は全く異なります。
生まれも育ちも熊本で、長年熊本ラーメンに慣れ親しんできた私は当然のように熊本ラーメン贔屓だったりします。
福岡に親戚がいることと、以前に福岡で働いていた関係から、私は博多ラーメンを味わう機会も少なからずあったのですが、熊本ラーメンの濃い味に慣れている私に、全体的に薄味風味の博多ラーメンはどうにも舌に合わないものでしたね。
特に小さな頃は「何でこんなものが熊本ラーメンを差し置いて九州ラーメンの代表面しているのだろう」などと個人的嗜好丸出しかつ思い入れたっぷりな不満を抱いていたものです(-_-;)。
ちなみに、我らが田中芳樹御大も熊本出身だからなのか、やはり熊本ラーメンには相当な思い入れがある模様↓
http://a-hiro.cocolog-nifty.com/diary/2007/06/post_814d.html
ことラーメン話に関する限り、私と田中芳樹は大いに意気投合できそうですね(苦笑)。
その熊本ラーメンの代表格といえば、熊本県民的にはやはり何と言っても味千ラーメン。
2009年末時点で総店舗数450を誇る熊本ラーメン随一のチェーン店で、まさに熊本ラーメンを象徴するラーメンとなっています。
味千ラーメン以外の熊本ラーメンはあまり積極的なチェーン店展開を行っておらず、チェーン店展開しているところも全体で10店舗にも満たないところがほとんどです。
これだけを見れば、味千ラーメンが熊本県民にとって最も馴染みが深いラーメンになるのも当然といえば当然の話ですね。
その一方で、TV番組やカップラーメン等のコンビニ商品化などを通じて全国区に名前が知られることになった老舗の熊本ラーメンもあり、「黒亭」「こむらさき」「大黒ラーメン」などがそれに該当します。
店舗数は少ないものの、老舗というブランドや宣伝、そして熊本市中心地という立地条件の良さから、全国のラーメン通には知名度の高い熊本ラーメンとなっています。
ただ私的には、熊本市中心地とあまり縁がないこともあり、未だ店舗には直接食べに行ったことがない熊本ラーメンだったりします(-_-;;)。
熊本ラーメンの種類はこれ以外も多種多様で、過去2回、熊本県内の主なラーメンを集めた「ラーメン祭り」という催しが、グランメッセ熊本という産業展示施設で開催されています。
九州のラーメンを十把一絡げに「とんこつラーメン」と括るのではなく、カテゴリ的には同じ「とんこつラーメン」の千差万別な違いを食べ比べてみるのも、たまには良いのではないでしょうか。