映画「SP THE MOTION PICTURE 野望篇」感想
映画「SP 野望篇」観に行ってきました。
フジテレビ系列で放送されたテレビドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」の映画版。
この映画の正式名称は「SP THE MOTION PICTURE」で、今回の「野望篇」、および来年3月12日公開予定の「革命篇」の二部作で構成される作品となります。
今回は劇場公開日(10月30日)と映画の日が比較的近かったこともあり、月曜日の映画観賞となりました。
ストーリーは、六本木ヒルズで演説を行っている政治家の生命を公衆の面前で消さんとするテロリストを、主人公が持ち前の予知能力で事前に感知するところから始まります。
いざ実行の直前になった正体を見破られテロに失敗した犯人はその場から逃走し、主人公と仲間のSP達が追撃を開始します。
ここからしばらく、逃げるテロリストと主人公による追跡劇が繰り広げられるのですが、この追跡劇は、銃弾が飛び交わないことを除けばハリウッド映画と比較しても遜色のない、緊張感と迫力に溢れたアクションシーンに仕上がっています。
映画の長さ自体が1時間38分しかないこともあってか、アクションシーンはほとんど主人公の独壇場で、他のSP達は皆引き立て役も同然でしたね。
ただ、あえてツッコミを入れれば、特に後半におけるテロリスト達の襲撃方法があまりにもチャチ過ぎる印象を受けました。
映画の冒頭で傘に仕込んだ高性能爆薬を使い、ターゲットを六本木ヒルズごと吹き飛ばそうとしたテロリストのテロ手法に対し、後半は七福神?の覆面を被ったテロリスト達が、ナイフ・消火器・クロスボウ・ダイナマイトなどといった武器を手に直接ターゲットを襲撃するという、何とも地味かつコストパフォーマンスも悪そうな稚拙な作戦が3度にわたって繰り広げられます。
しかもそのうち2回はわざわざ車を使って主人公達の眼前に派手に登場しておきながら、その車そのものを武器ないし爆薬として主人公達に突撃をかますといった類の「はるかに効果的な襲撃方法」は全く使用されることなく、ただひたすら「手作業」の襲撃に専念する始末。
第一、ビルの屋上から主人公を狙撃するためのスナイパーと狙撃銃まで襲撃者達は「最後の切り札」としてきちんと用意しているのですから、襲撃者ひとりひとりに銃やマシンガンの類をわたす程度の準備くらい、普通にできそうな気もするのですけどね。
それができていれば、あの程度のSPの奮闘など鎧袖一触で蹴散らすことも充分に可能だったでしょうに。
夜中の襲撃だからら誰にも気づかれず隠密裏にことを運ぶための措置だった、というのであれば、作中でも大音響の大爆発を引き起こしていたダイナマイトのチョイスが理解不能になってしまいますし、あの襲撃作戦は根本的なところに塞ぎようのない大穴が最初から開いていたのではないかと。
作品自体が二部作構成ということもあり、黒幕達の真の目的や思惑などが今作ではまだ伏線として提示されているだけで謎も解明されておらず、ストーリーについてはまだ評価できる段階にはないですね。
起承転結の「起」としてはまずまずの出来ではありますが。
また、この映画は「テレビドラマ版の続き」的な位置付けのため、テレビドラマ版も事前に把握しておかないと作中の設定や演出が分からなくなる部分も少なからず存在します。
テレビドラマ版を知っているのであれば問題ありませんが、そうでない場合はテレビドラマ版も事前事後いずれにせよ確認することを是非オススメしておきます。