CNN東京支局の奇妙な言い訳
昨日の記事の続報ですが、例の動画を郵送されたCNN東京支局がスクープを報じなかったのは、SDカードが入った封筒に差出人名が書かれておらず、データの内容も明記されていなかったことにより「警備上の指針に従って廃棄した」からなのだとか。
http://megalodon.jp/2010-1126-0327-42/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101125-00000917-yom-soci
しかし、「差出人名が書かれておらず、データの内容も明記されていなかった」からといって、中身を「安全に」調べる方法などいくらでもあるでしょうに。
一番スタンダードな手法としては、ネットワーク接続を全く行わないスタンドアロンの隔離PCでファイルを開くという方法があります。
別にハイスペックのPCである必要はなく、最低限の環境さえあれば良いのですから中古のパソコンでもOKですし、購入費用も安く設置も容易に行えます。
また、SDカード対応の再生専用メディアプレーヤーを使えば、PCを全く介さずに中身を確認することも可能です。
第一、「偽名の差出人&ウソの内容説明文と一緒に送付されたウィルス混入SDカード」が郵送された場合だってありえるわけですし、そんな中でも大スクープが向こうから飛び込んでくる可能性は極少にしてもあるというのに、「中身を確認せずに捨てた」ってジャーナリストとしては間違いなく失格の部類に入らざるをえないでしょう。
こんないくらでも対処可能な理由でせっかくの大スクープの可能性を自ら捨て去るとは、CNN東京支局はマスメディアとして全く話にもならないレベルとしか言いようがありませんね。
まあ実のところ、CNN東京支局はスタッフの数が少ないという事情もあるようなのですが↓
http://www.tv-asahi.co.jp/hai/contents/100/088/
<東京支局は、1982年に開局。スタッフは5人。日本人のプロデューサーや技術スタッフ4人。
そして、ただひとりのアメリカ人が特派員のアティカ・シューベルトさんです。>
しかしその一方で、CNN東京支局はテレビ朝日の中にありますし、両者は提携関係にあるわけですから、情報の共有化やSDカードの確認作業等でテレ朝の人間に協力を求めることは充分に可能だったはずでしょう。
正直、「報道しなかった言い訳」にしても「職務怠慢」として充分に酷すぎる話ですし、万が一にも「表向きな言い訳で本当は知っていながら握り潰していた」だったりしたら、いよいよマスコミの信用は失墜するしかなくなります。
内部告発は既存の大手マスコミを使うべきではない、というのが今回の事件で得られた最大の教訓だったでしょうね。
それにしても、最近よくあるこの手のマスコミの「報道しない言い訳」を聞いていると、「マスコミって一体何様のつもりなんだ」と考えてしまうことが多いですね。
数千人単位で行われた尖閣デモが、海外で盛んに報じられながら日本のマスコミが全く報じなかった件におけるマスコミの言い訳は、「理由についてはお答えできません」などはまだマシな部類で、ひどいのになると「告知が目に留まらなかった」などというシロモノまで飛び出す始末。
こういう言い訳を聞いていると、日本のマスコミはジャーナリスト精神が欠落しているばかりか、「俺たちが報道してやるから黙って取材されていろ」と言わんばかりの傲慢な態度が滲み出ていてウンザリするんですよね。
情報を提供しても自分達で握り潰し一切報じない挙句、それでも隠蔽できなかったら「取材されたかったら俺達を満足させろ」的な開き直りに終始する。
これでマスコミが信用を失わない方が変というものです。
「取材は足で書くもの」「報道は『させて頂く』もの」という基本中の基本を、日本の特に大手マスコミは一から学び直す必要があるのではないでしょうか?