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2011年02月20日の記事は以下のとおりです。

映画「ヒアアフター」感想

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映画「ヒアアフター」観に行ってきました。
クリント・イーストウッドが監督を、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮をそれぞれ担っている、マット・デイモン主演作品です。

映画「ヒアアフター」では、人の死と死後の世界をテーマに、それぞれ3人の人物にスポットを当てたストーリーが展開されます。

1.インドネシアで彼氏と旅行中、大津波に巻き込まれて臨死体験をし、死後の世界のヴィジョンを垣間見たフランス人女性のマリー・ルノ
2.幼少時の臨死体験がきっかけで、他人を霊視することできる能力に覚醒したアメリカ人男性のジョージ(マット・デイモン演じる主人公)
3.ドラッグ中毒の母親を抱えながらも一緒に生活していた双子の兄ジェイソンを、突然の交通事故で亡くしてしまったイギリス人少年のマーカス

この3人はそれぞれ全く面識がなく、3つのストーリーは何の関連性も絡みもない状態からスタートすることになります。
ストーリーの核となる3人の登場人物は、それぞれ生活面で問題を抱え込んでいます。
フランスのテレビ局でアナウンサーとして出世し、恋人もいながら、大津波に襲われて以後は長い休養が続き、結果アナウンサーとして干された上に恋人にも浮気され別れる羽目になったマリー・ルノ。
かつては他人を霊視する能力を使ったビジネスで荒稼ぎをしていたものの、能力に振り回されて疲れきって引退してしまい、通常の生活を送れずに苦しむ中、霊視ビジネスの旨味が忘れられない兄から何度も復帰を促されるジョージ。
依存していた兄を失い、ドラッグ中毒の母親から引き離されて里親に引き取られるも、兄のことが忘れられず、「死者との会話」を夢見て里親のカネを持ち出し自称霊能力者に会うための旅に出てしまうマーカス。
個人的には、せっかく料理教室で知り合った女性と良い雰囲気になっていたにもかかわらず、兄からの電話で能力のことが知られてしまい、彼女の実の父と母のことをズバリ言い当ててドン引きされ、そのまま別れる羽目になってしまったジョージが哀れでならなかったですね。
ジョージもあの場で「適当なウソをついてその場を誤魔化す」的な選択肢を取れなかったのだろうか、とは思わずにはいられませんでしたが。

それぞれ独立していた3つのストーリーを1つに収束することになったきっかけは、マリー・ルノが自身の臨死体験と独自調査から執筆した1冊の本にあります。
その本の名前は、映画のタイトルにもなっている「ヒアアフター(来世)」。
元々「ミッテラン大統領のことについて書け」と言われていたにもかかわらず全く違う本を書いてしまったマリー・ルノは、上司から変人扱いを受けてしまうのですが、その本の内容に興味を持った出版社がマリー・ルノに打診。
結果、めでたく「ヒアアフター(来世)」は出版されることになり、それを記念して、マリー・ルノはイギリスのロンドンで開催されるブックフェアで講演&サイン会を行って欲しいと依頼されます。
そこに、元からイギリス在住だったマーカス、傷心旅行?でイギリスに来ていたジョージが足を運び、かくして3人は1つの場所に集うことになるわけです。

映画「ヒアアフター」は、ハリウッド映画にありがちな派手なアクションシーン的なものは微塵もなく、ただひたすら登場人物達の心の内面を描くことに徹しています。
また、実際にあった事件も作中で絡めており、冒頭で出てくるインドネシアの大津波の他に、ロンドンの地下鉄爆破テロ事件も登場します。
3人の登場人物達が抱える問題点が前面に出てくるため、序盤から終盤近くまで作品の雰囲気はとにかく暗いのですが、それでも最後はハッピーエンド的な結末がきちんと用意されています。
あれで結末まで悲惨な内容だったら「勘弁してくれ」と言いたくなるところではあったので、ラストシーンではついホッとしたものでした。
この辺りはやはり、製作総指揮を担ったスピルバーグの意向によるものなのでしょうか?

作品のテーマがかなり重く、ストーリーも単純な構成ではないだけに、映画「ヒアアフター」は今作と同じくスピルバーグが製作した映画「A.I.」ばりに哲学的な作品と言えます。
その点では映画「A.I.」と同じように、この作品もまたアメリカ人ではなく日本人向けと言えるのかもしれませんね。

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