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2011年04月18日の記事は以下のとおりです。

映画「エンジェルウォーズ」感想

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映画「エンジェルウォーズ」観に行ってきました。
精神病院に収容された少女が、幻想的な世界で自由に手にするため戦っていくアクション・ファンタジー作品。
「エンジェルウォーズ」というのは日本の映画配給会社が名付けた邦題で、原題は「Sucker Punch(サッカーパンチ:予想外の殴打)」というのだそうです。

この映画は、主人公である少女の母親が死に、遺産相続を巡って義父との間で家庭内トラブルが発生するところから始まります。
「自分の遺産は全て2人の娘に与える」という遺言書の内容に激怒した継父は、主人公を部屋に閉じ込め、妹であるもうひとりの黒髪の少女をその手でくびり殺してしまいます。
さらに継父は主人公に妹殺しの濡れ衣を着せてレノックス精神病院に隔離し、病院の用務員であるブルーという男にカネを渡し、ロボトミー手術を施すよう依頼します。
ブルーは当初1400ドルのカネを提示されるものの、秘密が漏れる可能性を示唆して金額を2000ドルにつり上げ継父に無理矢理承諾させると、5日後に医者を来させて手術を行わせると約束します。
そしてロボトミー手術が行われ、医者に銀製の杭を頭に打ち込まれるまさにその寸前、突如世界が変貌します。
舞台となっているはずの精神病院は、訳有りの女性ダンサー達が売春婦として客を取る秘密クラブとなり、ブルーはその秘密クラブのオーナーということになってしまうのです。
何故そのような変貌が起こったのかは物語終盤でおぼろげながら見えてくるのですが、全般通じて作中では具体的な説明がなく、その場面だけでは何が何だか全く分からぬまま物語は進行していきます。
とにかく、この秘密クラブに連れてこられた(という設定に変わっているらしい)主人公の少女は、クラブ内における「源氏名」としてベイビードールという名前が与えられ、以後、作中ではこの名前で主人公は呼ばれていくことになります。

ベイビードールはダンサー達のまとめ役的な存在であるベラ・ゴルスキーに、皆が集まっているダンスルームでダンスを踊るよう指示されます。
最初は全く動けないでいるベイビードールですが、ベラ・ゴルスキーの奇妙な語りかけによってやる気になり、再び流れてきた音楽に合わせてダンスを踊り始めます。
するとその瞬間、目の前の光景が日本の寺院のような場所に変わり、ベイビードール自身もまたヘソ出しのセーラー服を纏った姿となります。
寺院の中に入っていくと、そこには日本刀を磨いているひとりの男の姿が。
その男ワイズマンに「何を求める?」と問いかけられたベイビードールは「自由を手にしたい」と回答。
するとワイズマンは、ベイビードールに必要となる5つのアイテムを教えると共に日本刀を手渡し、「この刀を手にした時、戦いが始まる」と告げます。
5つのアイテムの内容は、地図・火・ナイフ・鍵、そして最後のひとつは謎で、その答えは自分で見つけなければならないとされています。
そして、日本刀を手にすると同時に背後から現れる3つの巨大鎧武者。
マトリックス的なアクションシーンがひとしきり繰り広げられ、ベイビードールが勝利を収めた後、またも世界が変転し、最初に踊っていたダンスが終わった直後の状態でベイビードールは佇んでいます。
周囲からは「素晴らしいダンスだ」と拍手と賞賛の嵐が起こり、どうやらダンスを踊っている間、架空の世界で戦いが繰り広げられるらしいことが明示されます。
ベイビードールはワイズマンが挙げた5つのアイテムを獲得し自由を得るために、自分と同じ境遇を持つスイートピー・ロケット・ブロンディ・アンバーという4人の少女達と共に、秘密クラブ内ではダンスを踊りつつ、その最中に展開される幻想の世界で戦いを遂行していくことになるのです。

映画「エンジェルウォーズ」の世界は3重構造となっています。
その世界の構成は以下の通り↓

第1層:現実世界(レノックス精神病院)
↓↑
第2層:現実世界で主人公が空想している世界(ダンサー達の秘密クラブ)
↓↑
第3層:ベイビードールがダンスを踊っている最中に展開される戦いの幻想世界

第2層と第3層の往来は、ベイビードールのダンスが始動キーになっていることもあり結構分かりやすいのですが、第1層と第2層の変わり目が非常に分かりにくいんですよね。
しかも第1層と第2層の行動はカブっている部分があるみたいですし。
物語終盤に主人公はロボトミー手術が施された状態で再び第1層に戻ってくるのですが、その直前に第2層で起こしていた破壊活動の痕跡が第1層の精神病院にも残っていたりします。
また、第2層で秘密クラブからの逃亡に成功したスイートピーは、第1層でも逃亡生活を送っています。
これから考えると、第2層は第1層で実際に起こった事件および各キャラクターの言動を元にして主人公の頭の中で構築された世界である、という仮説が成り立つのではないでしょうか。
第1層で具体的に何が起こったのかについては作中で全く語られないため、そう推察するしかないのですが。
ただ、第3層で主に登場していたはずのワイズマンは、物語の最後にスイートピーの逃亡を手助けするバスの運転手として第1層でも登場しており、この辺が何とも微妙な謎を残すところではあります。

第3層で繰り広げられるアクションシーンでは、日本のマンガやアニメが元ネタと思しき兵器や敵が多数登場しています。
主人公が手にする日本刀や最初の戦いの巨大鎧武者もその類ですし、前面に日本語が書かれているロボットのような兵器も登場します。
敵もナチス・ドイツもどきのゾンビ兵団だったりドラゴンだったりターミネーターもどきだったり、FFシリーズに登場するような未来都市や列車も出てきたりと、もう何でもありの世界です。

作中のストーリーは最初から最後までかなり暗い部類に入ります。
冒頭部分からして母の死・妹殺しの冤罪・精神病院収容・ロボトミー手術と暗い要素が目白押しですし、その第1層を元に作られた第2層もまた、残虐非道なブルーによって仲間達が殺されていったりしています。
延々と殺し合いが続いているはずの第3層が、主人公含むヒロイン達が一番生き生きしているように見えるのも何だか皮肉ですね。
これで結末が明るければまだ救いもあるのですが、その結末もやっぱり暗いの一言ですし。
5人のうち生きているのは2人だけで、しかも主人公はロボトミー手術で廃人状態、スイートピーもひたすら逃亡生活を続ける羽目になる、というラストは、結局「自己満足」以外の何の救いがあったというのでしょうか?

アクションシーンは良く出来ていると思うのですが、基本的にバッドエンド嫌いの私としては評価が低くならざるをえない作品と言えますね。

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