映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2(3D版)」感想
映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」観に行ってきました。
「ハリー・ポッター」シリーズ最終章2部作後編。
ハリー・ポッター一行とラスボスであるヴォルデモードとの最終決戦が、「ハリー・ポッター」シリーズの原点であるホグワーツ魔法魔術学院を舞台に繰り広げられます。
この作品は3Dと2D版が同時公開されており、個人的には2D版を観たかったのですが、不幸にも2D版の上映スクリーンが満席だったため、泣く泣く3D版を観る羽目に(T_T)。
1ヶ月無料のフリーパスポートも、3D版の追加料金については適用されないんですよね~(-_-;;)。
今作も前作「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」に引き続き、ラスボスであるヴォルデモードの死命を制する分霊箱の探索および破壊がメインとなります。
物語序盤では、ゴブリン達が運営する魔法界唯一の銀行グリンゴッツの金庫に保管されていたハッフルパフの金のカップが目標となります。
様々な罠や裏切りまで発生する中、何とか首尾良くカップを奪取することに成功したハリー・ポッター一行。
そして、次にハリー達が探す目標として選んだ分霊箱は、同じくホグワーツ魔法魔術学院内に隠匿されているレイブンクローの髪飾り。
そのホグワーツ魔法魔術学院は、前々作「ハリー・ポッターと謎のプリンス」で校長ダンブルドアを殺害したセブルス・スネイプが新校長として支配する恐怖政治が行われており、またハリー・ポッターも当然のごとく指名手配犯的な扱いを受けていました。
秘密の通路を辿ってホグワーツ魔法魔術学院に潜入したハリー・ポッターは、生徒・教師を一同に集めてハリー・ポッターの情報提供を強要するスネイプの前に現れ糾弾を開始。
セブルス・スネイプはハリーを倒そうとしますが、そこに立ちはだかったミネルバ・マクゴナガルが炎の魔法を連発してスネイプを圧倒、スネイプは校長の地位を追われ逃走する羽目になります。
そして、自分の弱点でもある分霊箱が次々と壊されていく事態にようやく気づいたヴォルデモードが、これ以上の分霊箱破壊を阻止すべく、大軍を率いてホグワーツ魔法魔術学院へ侵攻を開始するのです。
分霊箱が破壊されるまでの時間稼ぎを目的に、ホグワーツ魔法魔術学院側もマクゴナガルの指揮の下、防戦態勢を整えることになるのですが……。
映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」でひとつ疑問なのは、「死の秘宝」のひとつで前作「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」のラストにおいてヴォルデモードがダンブルドアの墓から掘り出したニワトコの杖の所有権についてですね。
このニワトコの杖の所有権というのがなかなか面白いもので、所有者が変わると古い持ち主を捨てて新しい持ち主に忠誠を近い、新しい持ち主に所持されている場合にのみ最強の力を発揮するというものです。
作中では、この杖の忠誠心をヴォルデモードが獲得した場合、ハリー・ポッター達の敗北は確実であるとまで言われていました。
シリーズにおけるニワトコの杖の所有権は、前々作「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の終盤近くまではダンブルドアが保持していたのですが、ダンブルドアは物語終盤でドラコ・マルフォイの不意打ちを受けた際に所有権を失い、ドラコ・マルフォイに所有権が移動します。
その直後にダンブルドアはセブルス・スネイプに殺害されたため、ヴォルデモードはスネイプを殺害してニワトコの杖の忠誠心を得ようとするのですが、スネイプは当然のことながら杖の所有権者ではなかったので目論見は失敗します。
その一方で、何も知らずニワトコの杖の所有権者になっていたドラコ・マルフォイは、前作「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」でハリー・ポッターと戦った際に杖を奪われてしまい、その際にニワトコの杖の所有権をもハリーに渡してしまうのです。
さて、そんな状態でハリー・ポッターとヴォルデモードには、今作の物語後半、森の中で1対1で対峙する局面が発生します。
そんな事態が発生した理由は、ハリー・ポッターがヴォルデモードすらも知らないうちにヴォルデモードの分霊箱になってしまったという出生の秘密を知ったことにあるのですが、それはさておき、ここでハリー・ポッターを葬る絶好の好機と見たヴォルデモードは、ハリー・ポッターに呪文を叩きつけて倒してしまいます。
この時、たとえ一時的であるにせよ、ヴォルデモードはハリー・ポッターに勝利したことになるわけですから、この時点でニワトコの杖の所有権移動は発生しないのか、という疑問を私は抱かざるをえませんでした。
何しろ、ドラコ・マルフォイの場合は、直接相手を倒すのではなく武装解除させただけで所有権の移動が成立したわけなのですから。
ましてや「所有権者を倒した」となればハリー・ポッターからヴォルデモードへの所有権移動は当然起こりえるのではないのかと。
Twitterでの返答ツイートやwikipediaで調べてみた限りでは、ニワトコの杖の所有権は「計画された死」では移動することがなく、またあの場面におけるハリー・ポッターは実際には死んでいなかったとのことで、杖の所有権が移動する条件を満たさなかったというのが真相だったとか。
しかしそういった設定は、映画を観ていた限りでは全く説明らしいものがなく、ハリー・ポッターの復活も唐突に行われていた感が否めなかったというのが正直なところでしたね。
ヴォルデモードがドラコ・マルフォイの母親にハリー・ポッターの死を確認するよう命じ、母親は「死んでいます」と報告してもいましたし、対決の直前には「死の秘宝」のひとつである「蘇りの石」をハリー・ポッターが取り出す描写があったので、てっきりそれの効果で復活でもしたのかと最初は考えていたものでした。
せっかく原作をわざわざ二部作構成にしたのですから、この辺りはもう少し説明が欲しかったところではあります。
ただヴォルデモードについても、死の確認方法が甘すぎるとしか言いようがないところではあるのですけどね。
わざわざ他人に確認させないで、自身の魔法を使ってハリー・ポッターの身体を粉砕するとか両手両足ないしは首を切り落とすなどといった方法で、ハリー・ポッターの生死を実地で確認すれば良かったのに(苦笑)。
これなら万が一生きていたとしても戦闘能力を削ぐことができますし。
あと、ヴォルデモードを倒した後、ニワトコの杖を手に入れたハリー・ポッターは、ニワトコの杖をへし折って谷底に捨ててしまうのですが、そんな程度のことでニワトコの杖って無効化できるようなシロモノだったのでしょうか?
ニワトコの杖の処遇についてダンブルドアはかなり苦労していたようでしたし、そんなに簡単にケリがつけられるのならば最初からやっておけば良かったのに、としか言いようがなかったのですが。
しかしこの「ハリー・ポッター」シリーズって、小説でも映画でもやはり全作品通して観覧しないと人物関係や作品相互の関連性が非常に分かりにくいですね。
すくなくとも単独で楽しめる映画作品では全くありえません。
原作を通読するなり過去の映画作品のDVDを借りるなりして、全作品を観ることによって初めて全体像が分かる作品であると言えそうです。