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2011年08月07日の記事は以下のとおりです。

映画「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~」感想

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映画「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~」(以下「こち亀THE MOVIE」)観に行ってきました。
週刊少年ジャンプで長寿連載されている同名の原作漫画を実写化した、2009年TBS放送ドラマ版をベースとする映画作品です。
原作については最近のものは読んでいないものの、以前はかなり面白く読んでいたクチだったので、基本的な設定などは把握した上での映画観賞となりました。
TBSで放送されていたという実写ドラマ版の方は全く観ていませんでしたが。
なお、今作で私の1ヶ月フリーパスポート使用による映画無料観賞は終了となります。

映画「こち亀THE MOVIE」では、前半と後半で作品の雰囲気がガラリと変わります。
前半はSMAPの香取慎吾が演じる主人公・両津勘吉の初恋物語と、日常風景を中心とする一種のコメディタッチなストーリーが主に展開されます。
冒頭は、東京都中央区の隅田川に架けられている勝鬨橋を、自転車通勤をしている両津が眺めつつ、少年時代の回想に入るところから始まります。
勝鬨橋には、大型の船舶を通行させるために橋の中心部が跳開する機能があり、少年時代の両津は、当時片思いだった少女・沢村桃子にトリビアネタとして語りまくります。
しかし沢村桃子はその話を信じることなく、親の都合で転校する別れの際に「そのウソのこと絶対に忘れないから」というセリフを残し去ってしまうのでした。
昔の思い出を思い出しながら、自分の勤務地である葛飾区亀有公園前派出所へと向かう両津の前に、その日が給料日ということでたまりに溜まったツケの支払いを求める亀有商店街の店主達が包囲、狭い路地を駆使した逃走劇が始まります。
逃走劇は結局、川辺で再び包囲された両津が、唯一の活路とばかりに川に向かって疾走し自転車を半壊させてとっ捕まった挙句、せっかくの給与を残金45円まできっちり削られて終了となります。
さすがに意気消沈して壊れた自転車を持ち歩いて派出所へ向かう両津は、横断歩道で通学児童達の誘導を行っている顔見知りの横田泰三にメシ代をたかります。
バナナを買ってもらい、喜び勇んでほおばっている両津は、通学している児童の中にひとり見慣れない少女を発見します。
後の話で出てくるのですが、両津は小学生相手にアイスの当たり棒を精巧に偽造して1本30円で売るなどというセコい商売をやっていたりするため、その方面でもかなり顔が広いみたいなんですよね。
そして、その少女のことが気になった両津は、川辺でひとり縮こまっていた少女に声をかけます。
両津がしばらく少女と会話していると、やがてその少女の母親らしき人物が現れ、少女に声をかけるのですが、その姿に両津は驚きの声を上げます。
その母親こそ、少年時代の両津の初恋相手だった沢村桃子その人だったのです。

沢村桃子は親の代から続いているらしい旅芸人の一座の座長を勤めており、仕事の都合で期間限定ながら再び東京に戻ってきていたのでした。
2人にとっては小学校の頃以来の再会となったわけですが、沢村桃子も当然のように両津のことを覚えており意気投合します。
娘がいるということは当然父親もいるはずなのですが、そのことについて両津が問い質したところ、父親となるべき人物は元々一座の人間だったものの結婚はしておらず、また娘が生まれる前に沢村桃子の前から突如自分の意思で姿を消してしまったのだとか。
いわゆるシングルマザーという沢村桃子の立場に「自分が付け入る隙はある」と言わんばかりに心をときめかせた両津は、沢村桃子が運営している一座に入り浸るようになり、持ち前の機転とコミュニケーション能力でたちまち一座に溶け込んでしまいます。
また、転校の繰り返しで友達も作れず暗く沈みがちだった沢村桃子の娘であるユイともあっという間に仲良くなり、彼女に友達を作るように促すのでした。
ユイが通っていた小学校のクラスでも、ユイと友達になりたいと考えるアプローチをかける少女がいたこともあり、ユイは母親が興行をしている舞台に他の同級生達を誘うことに成功するのです。
全ては順調に進んでいるかのように見えました。
しかし、ユイと積極的に友達になろうとしていた少女が警察庁長官の孫娘であったことから、ユイは誘拐事件に巻き込まれてしまいます。
そして、この誘拐事件を境に、物語はそれまでのコメディタッチな路線からシリアスな刑事ドラマ的路線へと一挙に変貌するのです。

映画「こち亀THE MOVIE」は、作品のタイトル名を見ても分かるように、2003年公開映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」が相当なまでに意識されています。
捜査戦略上、勝鬨橋を封鎖しようと画策するにもかかわらず、都知事の許可が必要なのに都知事と連絡がつかないとの理由から「勝鬨橋封鎖できません!」という場面が登場したりしますし、他ならぬレインボーブリッジも移動場面でしっかりと映し出されていたりします。
また、実は警察庁長官の孫娘が誘拐されていなかったことが判明するや否や、いかにも官僚的に通常の捜査体制に戻ろうとする警察上層部に対し、両津と中川が半ば脅迫同然の手法で強引に非常体制を維持させる描写なども、「踊る大捜査線」本家の流れに近いものがありましたね。
今作後半の両津と「踊る大捜査線」の青島俊作は、行動も結構似ているところがありましたし、「踊る大捜査線」のパロディと割り切ってみるとそれなりに楽しめる部分があるのではないかと。

前半までの両津はとにかくオーバーアクションばかりが目立っていて、序盤は「原作の両津ってこんなんだったっけ?」という疑問ばかりが頭をよぎったものでした。
TBSの実写ドラマ版でも、両津ってあんなパターンばかり披露していたのでしょうかね?
小学生相手に当たり棒のセコい商売をしていたり、大原部長の禿頭をネタにしまくった劇を作ったりした辺りの描写は「確かに原作でもこういうことやりそうだよなぁ」と頷いていましたが。
少年時代の話については、原作の話もそこそこにシリアスな構成になるので、その辺は特に違和感は覚えていなかったですね。
あと、白黒がメインの原作マンガではあまり印象に残らなかった中川圭一と秋本・カトリーヌ・麗子の制服は、実写で見ると凄く目立つシロモノになっていましたね。
両津も含めた他の警察官の制服がごく普通の標準的なものだったのに対し、中川の制服は黄色ベース、麗子のそれは赤ベースで、一目で誰なのかがすぐに分かるのですから。
これは実写ドラマ版の頃から一貫してそうだったのでしょうけど、マンガの方ではあまりカラー版を見た記憶がないこともあって、これはかなり印象が強かったですね。
実写になったことで初めて分かる意外な特徴、といったところでしょうか。

大作が目白押しの夏の映画事情から考えると、宣伝やファーストインパクトという点では、正直他の大作映画と比較してかなり遅れを取りそうな作品ではあります。
ただ、予測に反して作りは意外にしっかりしていたというのが私の感想ですね。

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