映画「サンクタム(3D版)」感想
映画「サンクタム(3D版)」観に行ってきました。
「タイタニック」「アバター」のジェームズ・キャメロン製作総指揮のアドベンチャームービー。
この作品は私の行きつけの映画館では3D版しか上映されておらず、当然のごとく3D版での観賞となりました。
圧倒的大多数の3D映画と同じく、3D特有の演出や描写は相変わらず皆無と言っても良いレベルでしかないので、もし2D版を選択できるのであればそちらを観賞することをオススメしておきます。
物語の舞台は、パプアニューギニアの密林地帯の真っ只中にぽっかりと空いた大穴のような外形を持つ巨大洞窟エスペリト・エサーラ。
そこでは、青年実業家カールの援助の下、ベテランの洞窟探検家として名を馳せているフランクをリーダーとする数人の調査隊が大掛かりな機材を持ち込み、地下水路のダイビング調査を行っていました。
物語は、カールが恋人のヴィクトリアを連れ、フランクの息子であるジョシュの案内で洞窟にやって来たところから始まります。
しかし、彼らが着て早々に、フランクはジュードという女性と一緒に地下水路へと潜り、大空洞を発見することに成功するのですが、その直後にジュードの酸素ボンベに異変が生じ、ジュードはそのまま窒息死という末路を辿ってしまいます。
一挙に暗い雰囲気に包まれてしまう調査隊一同。
しかもそこへ追い討ちをかけるがごとく、エスペリト・エサーラ周辺にサイクロンが襲来。
大雨による鉄砲水に、洞窟唯一の出口を塞がれてしまい、さらに調査隊メンバーのひとりが鉄砲水の犠牲となってしまいます。
生き残った調査隊のメンバー達は、地下水路が海に繋がっているのではないかというフランクの意見に従い、洞窟から脱出すべく、先刻発見した大空洞のさらに奥へと向かっていくことになるのですが……。
映画「サンクタム」の登場人物達は、状況判断の甘さから災難を招いているところが多々あります。
サイクロンが近づいていると事前に警告されていたにもかかわらず、「まだ数日は大丈夫」と早期退去の決断を下さず事なかれ主義に徹するフランク。
洞窟に閉じ込められるという非常事態にもかかわらず、「死人が着用していた潜水用スーツなど着たくない」とワガママばかり主張し、物語中盤でもフランクからの忠告を無視して結局死んでしまうヴィクトリア。
彼らに降りかかった災難には、自業自得的な要素もかなりあったのではないかと思えてなりませんでした。
特にフランクは、過去の洞窟探検でも「自動車のサイドブレーキをかけ忘れる」という「うっかりミス」をやらかして窮地に陥っていたというエピソードが語られていましたし、こいつがもっとしっかりしていたらそもそも調査隊が危機に陥ること自体が避けられたのではなかったのかと。
まあ今作のストーリーは、ジェームズ・キャメロンの仕事仲間で洞窟探検家でもあるアンドリュー・ワイトの「洞窟に閉じ込められた体験談」を元に作られたそうなので、良くも悪くも「現実的」ではあるのでしょうけど。
また、映画「サンクタム」は、日本では本来2011年4月22日に劇場公開となるはずだったのですが、映画「世界侵略:ロサンゼルス決戦」と同じく、東日本大震災に伴う「自粛」という名の人災によって5ヶ月近くもの延期を余儀なくされています。
今回の場合は、予告の内容からして「水難事故」や「水にまつわる死」というものが描写されるであろうことが事前に予測できたわけで、「世界侵略:ロサンゼルス決戦」の時と違って理由自体は最初から明確だったのですが。
実際、作中ではしばしば水死体が出てきますし、致命傷を負い手の施しようもなく苦しんでいる仲間を楽にするために【あえて】窒息死させるという場面も2回ほどあったりします。
今作が「自粛」のターゲットにされたのは、そういった描写が嫌気されてのことだったのは想像に難くないでしょう。
ただ、それでも私的には、そんなある意味「キツい」描写を盛り込んでいながら作品自体がPG-12やR-15指定されなかったことに疑問を感じることはあっても、やはり「自粛」まですべきではなかったと思えてならないのですが。
今作は、ジェームズ・キャメロン製作作品の中ではかなり暗い部類に入る映画と言えるのではないかと。
「タイタニック」「アバター」のような恋愛要素も全くありませんし。
ただ、洞窟の脱出劇自体は手に汗握る展開が続くので、アドベンチャー的な冒険活劇が好みという方にはオススメですね。