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2011年12月24日の記事は以下のとおりです。

映画「ワイルド7」感想

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映画「ワイルド7」観に行ってきました。
1969年~1979年にかけて週刊少年キングで連載された同名の原作マンガを、現代に舞台を替え実写映画化したアクション物。

物語は、マシンガンを持った武装集団が銀行強盗をやらかした挙句、人質のために警察が手を出せない中、人質を一方的に虐殺して逃走するところから始まります。
凶悪犯達を取り逃した警察は、7人の(元?)犯罪者達で構成される超法規的警察組織に対し全権限を移譲、凶悪犯達の抹殺を命令します。
命令を受けると同時に、海上に架けられた高速道路の立橋?とおぼしきところを走っている大型トレーラーから7台のバイクが現れ、犯人が逃走している現場へと急行します。
一方、凶悪犯達は、襲撃と逃走の際に使用したクルマを爆破し、予め用意していた別のクルマに乗り換えると共に、逃走のための保険としてただひとり連れていた人質の女性を、自分達の安全が確認されたとしてまさに射殺せんとしていました。
そこへ突然、猛スピードで突っ込んできたトレーラーの直撃を受け、乗り換え用のクルマを大破されてしまう凶悪犯達。
かろうじてクルマから脱出した凶悪犯達は、各々が手に持っていたマシンガンをトレーラーに対してぶっ放し反撃を開始しますが、トレーラーは頑丈な上に運転席も蛻の空状態。
そこへ、先ほどトレーラーから出てきた7台のバイクが、これまた猛スピードで凶悪犯達へと向かってくるのでした。
もちろん、敵以外の何者でもない彼らに対しても、凶悪犯達は躊躇することなくマシンガンを乱射するのですが、7台のバイクは卓越したバイクテクニックを駆使して銃撃をかわしていきます。
そして逆に、7台のバイクからの発砲により、凶悪犯達は次々と致命傷を被り倒れていくのでした。
かろうじて生き残った数名の凶悪犯達を、7台のバイクは完全包囲し「お前達を【退治】する」と言い放ちます。
「退治? 逮捕の間違いだろ」と言い返しつつ、クルマの中に潜んでいた人間と共に反撃の機会を伺う凶悪犯達。
彼らには当然、日本の警察が発砲にとにかく慎重であり、ましてや犯人を射殺するなどよほどのことでもない限りはできないという事実を知っているからこそ、簡単に反撃できると考えていたのでしょう。
しかし彼らは凶悪犯達の抹殺を命じられた超法規的警察組織であり、そんな考えが通用するわけもありません。
かくして、凶悪犯達は反撃どころか、その場で躊躇なく超法規的警察組織の7人によってあっさりと全員「逮捕」ではなく「退治」されてしまうのでした。

一連の事件は、公的には「凶悪犯達が逃走の途中で事故を起こした」として処理され、超法規的警察組織の存在は一言半句も表に出てくることはありませんでした。
しかし、一連の事件を追っていた東都新聞社のジャーナリストにして重度のヘビースモーカーでもある藤堂正志は、事故として片付けられてしまった事件の結末に疑問を抱きます。
ここ1年ほど、凶悪犯達が突然事故で全員死亡するという事件が頻発しており、7人の元犯罪者達で構成される超法規的警察組織の存在も、通称「ワイルド7」と呼ばれる真偽の程が疑わしい都市伝説として密かに語られていました。
そして藤堂正志は、偶然撮影されたらしい「ワイルド7」が凶悪犯達を始末している現場が映っている動画を持っており、「ワイルド7」が実在しているとの確信を持つに至ったのです。
ところが東都新聞社の上層部は、警察から圧力を受けている影響もあるのでしょうが、藤堂正志の言うことをマトモに取り合おうとしません。
東都新聞社の新人記者である岩下こずえは「ワイルド7」の存在に懐疑的で、何かと暴走しがちな藤堂正志のサポートに回るのですが…。
ちなみに、この岩下こずえの出自が、物語後半の展開に大きく関わってくることになります。

一方、「ワイルド7」はその後も凶悪犯達を「退治」していく任務に従事していくのですが、その「退治」の最中に本来「ワイルド7」が始末すべき凶悪犯を遠距離から抹殺してしまう謎のスナイパーが出現します。
当然「ワイルド7」もスナイパーを追跡するのですが、「ワイルド7」と同じくバイク使いであるスナイパーはよほどに逃げ足が早いのか、それとも周囲の地理を知悉しているのか、「ワイルド7」の追跡力でも力及ばず、あえなく取り逃がしてしまいます。
「ワイルド7」には、過去にも同じスナイパーによって獲物を掻っ攫われた経緯があり、また射殺されている凶悪犯が全て「広域指定犯罪グループM108号」のメンバーであるという共通点を持つことから、「ワイルド7」内でも謎のスナイパーの掌握が優先事項となっていきました。
そんなある日、「ワイルド7」の一員にして物語の主人公である飛葉大陸(ひばだいろく)は、謎のスナイパーの手がかりを掴むため埠頭のクラブに立ち寄った際、ひとりの女性を目撃します。
その時はただすれ違っただけのその女性がどことなく気になった飛葉大陸は、後日街中をバイクで疾走している最中、偶然にもバスに乗り込んだその女性を再び目撃する機会に恵まれます。
バイクで強引にバスを止め、バスから降りてきた女性に「どこかで見たことがあるような…」と話しかける飛葉大陸。
会話を交わした末に「人違いだった」とその場を離れようとする飛葉大陸でしたが、その時女性の方から「あなたのせいでバイトに遅れそうだから送って行って」と主張してきます。
彼女の名前は本間ユキといい、とあるレストランでウェイトレスのバイトをしていたのでした。
彼女の要求通り、レストランまでバイクで送って行った飛葉大陸は、さらに「レストランの売上に貢献して」と言われ、これまた要求通りに色々なものを注文して飲み食いしていくことになります。
そして気がつくと、飛葉大陸は本間ユキが住んでいるとおぼしきアパートの一室で裸になって眠っていたのでした。
本間ユキの話を聞く限りでは、どうも描写されない部分で男女の濡れ場シーンでもあったようなのですが、その割に本間ユキはどことなく淡々としていますし、飛葉大陸もあっさり服を着てその場を後にします。
時を同じくして、制約会社が極秘裏に開発を進めてきた致死性90%以上を誇るウィルスが盗まれるという事件が発生します。
ウィルスを強奪した犯人達は、政府に対し2億ドルの指定口座振込みを要求し、要求に応じない場合は、ウィルスを積んで東京を飛行している飛行船を爆破してウィルスをばら撒くとの脅迫を行ってきたのです。
要求に応じても犯人側が飛行船爆破を止めるという保証はないと確信した警察側は、バイオテロを阻止すべく「ワイルド7」の出動を命じるのですが……。

映画「ワイルド7」では、現代日本が舞台とはとても思えないほどに敵味方問わず銃や重火器の類を乱射しまくるシーンが頻繁に登場します。
犯罪のためならば手段を問わない凶悪犯達や、その凶悪犯を抹殺するよう命じられる「ワイルド7」の面々が発砲に躊躇しない、というのはむしろ当然のことでしょう。
ところが作中では、SATや機動隊などといった警察所属の一般的な警察官ですら、発砲に全く躊躇している様子がないんですよね。
物語後半では、黒幕によって「7人の犯罪者集団」として指名手配された「ワイルド7」の面々に対し、SATや機動隊が公安調査庁内で派手に銃撃を浴びせまくるシーンが存在します。
しかし、そもそも日本の警察にそんな強硬手段を行うことができる権限が事実上無いに等しいからこそ、「ワイルド7」のような超法規的な存在が必要になったのではないのでしょうか?
「踊る大捜査線」シリーズや現実世界における警察絡みの報道に象徴されるように、日本の警察は銃の乱射どころか「1発発砲した」というだけでもマスコミや世間一般から多大な非難を浴び、正当な理由があってさえも警察官が始末書を書かされるというほどに、世界的に見ても銃の扱いについてとにかく異常なまでにうるさく言われる組織なのです。
「ワイルド7」が武装した凶悪犯であるという事実が周知されていてもなお、作中で見られたような銃撃戦を警察が行うためには、どれほどまでの法的な手続きと時間が必要となることか……。
現実どころか、フィクションの中でさえも、最近の警察はただの1発でも発砲することについてすら慎重な姿勢を示すのは当たり前、それどころか現場からの悲鳴のような要請があってさえも、官僚答弁的な対応で現実を無視した真逆の命令が下ったりするのがすっかりスタンダードと化している感すらあります。
「SP」シリーズ映画「DOG×POLICE 純白の絆」 などでも「自己保身に邁進する硬直しきった官僚機構としての側面を持つ警察機構」が作中人物によって問題視されていますし、それを破天荒な形で破る主人公の姿が爽快感として描かれていたりするわけです(まあ後者の場合は掟破りをしすぎて逆に問題になっていますが)。
それらの現実と過去の作品を見慣れてきた人間としては、「ワイルド7」における警察の過激としか評しようのない銃撃戦は、大いに違和感を覚えざるをえないところでして。
警察にあんなことができるのであれば、そもそも「ワイルド7」なんて必要ないのでは?などという根源的な疑問まで出てくるありさまでしたし(^^;;)。

もちろん、原作の「ワイルド7」の出自を考えれば、銃撃戦をも含めた問答無用とも言える派手なアクションシーンが頻発するのはむしろ当然のことではあるでしょう。
1970年代頃の警察を扱っている作品では、今から考えればとても信じられないレベルの荒唐無稽な派手なアクションや銃撃戦を、犯人どころか警察側も披露していたりするのがむしろ当たり前だったわけですし。
また、作中のような世界観だからこそ、ハリウッドばりのアクションシーンや銃撃戦が展開できるという利点も当然あるわけで、そこはまさに「フィクションならではの約束事」として割り切るべきではあるのでしょうけど。
ただそれにしても「思い切ったことをやっているなぁ」とはついつい考えざるをえないですねぇ、私としては。

また、「ワイルド7」の構成員である7人は、その全員がバイク使いで、作中でも高度なバイクテクニックを使って敵を翻弄しています。
何故全員がバイク使いなの? と原作を知らない私は当然疑問に思ったのですが、どうも「ワイルド7」メンバーのひとりであるセカイが他の仲間達にバイクテクニックを教え込んだ結果だったようですね。
今作におけるバイクに対する思い入れは相当なもので、物語後半では建物の中にまでバイクを持ち込み疾走するシーンまであったりします。
この作品、バイクに対して相当なまでの思い入れがあるのだなぁ、と観ていて思った次第です。
これもまた1970年代当時とは事情が異なるのでしょうが、現代は完全なクルマ社会であり、自転車や原付・オートバイなどの自動二輪車は軒並み冷遇される傾向にありますからねぇ。
「不安定で危ない」という宣伝効果による悪しきイメージも手伝って、バイクに乗る人は減少の一途をたどっていますし。
作中のようにバイクにこだわる人も、今では少数派なのではないかなぁ、と。

作中では、ハリウッドばりのアクションシーンや銃撃戦、それにバイクテクニックなどが大いに披露されていますので、そういう系統の作品が好みという方には文句なしにオススメできる映画ですね。
ラストを見る限りでは続編もありそうな雰囲気だったのですが、続編が作られることは果たしてあるのでしょうか?

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