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2012年01月08日の記事は以下のとおりです。

とある新人女性社員とマネージャーに纏わるエピソード

J-CASTニュースのサイトに面白い記事が掲載されていました。
詳細は以下の通り↓

http://megalodon.jp/2012-0108-2158-50/www.j-cast.com/kaisha/2012/01/06118160.html?p=all
> マネジャー激怒「新人のくせに無責任だ!」
> ――小売チェーン本部の人事です。この春、10数名の新入社員を採用したのですが、この中の女性社員の1人が妊娠したようだ、とマネジャーから報告がありました。
>
>  A子さんは高校卒業後、入社して意欲的に仕事を覚えていましたが、冬に入って体調不良で休みがちになっていました。マネジャーが心配して電話したところ、「産婦人科に行ったら妊娠3か月だった」と明かされたそうです。
>
>  予想外の妊娠だったようですが、これを機に結婚し、夫と力を合わせてやっていくつもりということでした。ただ、親からの経済的支援は期待できず、夫もまだ若いため、会社を辞めず働きたいという意思を持っているようです。
>
>  その意欲はいいのですが、実際には妊娠後の体調不良が強く、医師の勧めもあって当面は私傷病休職を取得し、さらに出産が近くなれば出産・育児休職を取得したいとのこと。これを聞いたマネジャーは、
>
>
「会社に入ったばっかりの新人で仕事も一人前にできないくせに、自分らの勝手で避妊しないなんて無責任だろ。最近の若い奴は何を考えてるんだよ、ふざけるな! 休職だと代わりの人員を補充できないし、採ったお前のところでクビにしてくれ」
> と私を怒鳴りつけてきました。
>
>  確かに、戦力になっている中堅社員なら、復帰に期待が持てますが、入って1年も経たない社員に復帰してもらっても、次の新人を抱えた現場では足手まといになるのは目に見えています。こういうとき、どう対処したらいいのでしょうか――

こういうケースって、一体誰が一番悪いのでしょうか?
まだ仕事を完全には覚えていないのに、無計画な妊娠をしてしまった上、長期休暇を申し出て現場に多大な負担をかけることになった新人の女性社員でしょうか?
それとも、せっかくのおめでたを祝うどころか逆ギレした挙句、人事にクビを迫ったマネージャーでしょうか?
はたまた、無計画な妊娠をするような女性であると見破ることができずに会社の社員として採用を決めてしまった人事が問題なのでしょうか?
どこに一番大きな問題と責任があり、かつどこに落としどころを持っていくべきなのか、なかなかに解決が難しく悩ましい話と言えますね。

個人的には、一番問題なのはやはりマネージャーではないかと思います。
女性社員が要求している育児休暇自体は法的にはもちろんのこと、会社内でも認められている規定であり、虚偽の理由で申請しているわけではない以上、その要求は充分な正当性を持つものではあるわけです。
それに対して怒るというのは、気持ちは分かるにしても不当もいいところですし、またそのような暴言を吐いたことで自身の評価ばかりか、下手をすれば会社全体の評価をも下げることにも繋がりかねないでしょう。
「新人だから」というのも多分に口実でしかなくて、仮に仕事ができるバリバリのキャリアウーマンであったとしても、いやむしろそちらの方が「抜けたことによる穴と負担」が大きくなる分、却って暴言が酷くなることだってありえるわけですし。
さらには、件の新人女性社員がマネージャーの暴言内容を知ることになれば当然ショックを受けざるをえない(その可能性は極めて濃厚)でしょうし、今後復職するとしても元通りの関係に収まるとは到底考えられません。
マネージャーが軽率であったという点については否定のしようがないかと。

ただ一方で女性社員の方にも、自身の無計画な妊娠のために、結果として会社および現場に負担をかけることになるという問題は当然あります。
自分が抜けたことによる穴で同僚や上司に迷惑をかけることになるのは確実なのですから、妊娠するにしても計画的に、かつ後顧の憂いがないようにするべき、というのは社会人としての心得と言うものでしょう。
また、申請した育児休暇の内容次第(たとえば休暇中の有給が認められるとか)では、今回のことである種の「旨味」を覚えた他の女性達が、ここぞとばかりに「模倣」に走るという懸念もないとは言い切れないでしょう。
そうなれば最悪、会社自体が立ち行かなくなってしまうという事態も考えられなくはありません。
無計画性と権利の濫用はやはり慎むべきではあるでしょう。

あと、こういうのは個人や一部署レベルでは対応できないので、会社全体でサポート体制を構築する必要も出てくるでしょう。
今回ほどに極端な事例でなくても、日本の会社では普通一般に認められているはずの有給休暇の申請すら躊躇われる「空気」がありますし、突発的な冠婚葬祭の類でさえも申し訳なく休暇申請せざるをえない雰囲気があったりします。
何らかの理由でまとまった休暇をとったり休職せざるをえなくなったりすることなんて珍しいことでもないのに、それがないという前提で人ひとり抜けただけで立ち行かなくなってしまうようなギリギリの仕事環境を維持していること自体、本来ならば論外もいいところなのですが。

妊娠・出産は本来めでたいことであり、さらに出生率の低下による少子化の問題が囁かれる日本であれば、それはなおのことであるはずです。
にもかかわらず、今回の事例におけるマネージャーのような暴言が飛び出し、しかもそれが一定の支持すら得てしまうところに、今の日本の社会的な病理があるのかもしれませんね。

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