映画「マイウェイ 12,000キロの真実」感想
2012年映画観賞のトップを飾る作品は「マイウェイ 12,000キロの真実」。
1944年のノルマンディー上陸作戦時に捕虜になったという東洋人の証言を元に作られた韓国映画です。
韓国映画は、2001年に日本で公開された映画「リベラ・メ」以来、実に11年ぶりの観賞であり、さらに今作が2作目の作品となります。
しかも「リベラ・メ」は元々「ハリウッド系」と勘違いして観に行った映画でしたし、最初から韓国映画と承知の上で観賞した作品としては、実は今作が初めてだったりするのですが(^^;;)。
さて、その出来の程は如何に?
物語は、1948年のロンドンオリンピックにおけるマラソン競技が映し出されるところから始まります。
競技の終盤になったところで突如、265番のゼッケンを付けた選手が他の先頭走者をごぼう抜きしていく描写が展開されます。
競技を実況していたアナウンサーが叫んだ、ここでは後ろ姿しか描写されないその選手の名前は「韓国のキム・ジョンシク」。
そしてここから、舞台は1928年の日本へと移っていくのです。
日本の併合下にあった1928年当時の朝鮮。
その中心地であった京城(現在のソウル)に、現地の憲兵隊司令官の孫である長谷川辰雄が親に連れられてやってきました。
まだ少年だったこともあってか、両親と一緒に乗っている車の中でこれからの生活に不安を抱く長谷川辰雄。
しかし窓から外を見ると、自分のことを見つめながら車を一緒に走っている自分と同年齢くらいの少年の姿が。
そして憲兵隊司令官である祖父の家に着くと、長谷川辰雄は門の前まで出迎えに出ていた祖父に使用人の兄妹を紹介されます。
その兄こそがキム・ジョンシクであり、長谷川家の使用人をやっている朝鮮人の息子だったのです。
同じ「足が速い」ことを特技としている2人は、その場で競争を開始。
以後、2人は様々なマラソン競技大会で競い合うようになり、自他共に認めるライバル関係となっていきます。
ところが、そんな2人の良好な関係は、とあるマラソン大会の直後に行われた祝賀パーティーで一変します。
長谷川辰雄の祖父が、朝鮮人によるものと思われる爆弾テロによって殺されてしまったのです。
そのありさまを目の当たりにした長谷川辰雄は、以後、朝鮮人を激しく憎むようになってしまい、同じ朝鮮人であるキム・ジョンシクに対しても「二度と俺の前に現れるな、その時は殺す」という脅し文句を叩きつけて絶交してしまうのでした。
その後、キム・ジョンシクは人力車の仕事で生計を立てていくのですが、その走りがベルリン・オリンピックに「日本代表」として出場し金メダルを獲得した朝鮮人のソン・ギジョン(孫基禎)の目に止まり、彼に1940年開催予定の東京オリンピック出場者を選考するためのマラソン大会に出場する権利を与えてくれます。
もちろん、そのマラソン大会には、あの長谷川辰雄も当然出場することが決まっており、当然のごとく2人はマラソン大会で雌雄を決することになります。
結果的に言えば、マラソン大会を1位で制したのはキム・ジョンシクだったのですが、彼はレース終盤で日本人選手の妨害を受けた上、その選手を転ばせたということで失格扱いを受けてしまいます。
その裁定に不満を持ったキム・ジョンシクは審査員達に胸倉を掴むレベルの直談判をやらかし、それに刺激された現地の朝鮮人達も一斉に暴動を展開。
もはやマラソン大会どころではなくなる騒動にまで発展してしまいます。
キム・ジョンシクをはじめとする暴動に参加した朝鮮人達は裁判にかけられ、刑罰として日本軍への強制徴用を言い渡され、望まぬ軍での戦いを強いられることになるのですが……。
ここまでの展開を観た際に最初に出た私の感想は、「ああ、やっぱりこの映画は反日的な韓国人が作ったものなのだなぁ」というものでしたね。
日本の併合下にあった当時の朝鮮人達が、その出自を巡って日本人から差別を受けていた、という事例は確かにあったでしょう。
しかし、暴動を起こした朝鮮人に対して日本軍への強制徴用を言い渡す、などというようなことは、当時の朝鮮における政治・経済的事情から考えてもありえません。
というのも、当時の朝鮮人にとって日本軍に入ることは「金と名誉が得られる」ことと同義だったのであり、1938年に志願兵募集が開始されて以降、その倍率は常に高い水準を維持していたのです。
朝鮮で日本の国民徴用令が適用されたのは1944年な上、その前年の志願兵募集では、6300人の募集に対して30万人以上が殺到する事態となっており、倍率は実に48倍にも達していました。
朝鮮人にとって当時の日本軍というのはそれほどまでの垂涎の職種でもあったわけです。
それが暴動を起こしたことへの刑罰として得ることができる、というのであれば、誰でも進んで暴動を起こし、喜んで徴用されていったことでしょう。
それをわざわざ「強制連行された」と言わんばかりの主張に置き換えてしまう辺りに、昨今の日韓で揉めている従軍慰安婦問題と全く同じ構図があったので、「いかにも韓国だよなぁ」という感想を抱かざるをえなかった次第で(笑)。
また、当時の日本軍側にとっても、軍内における朝鮮人の管理・扱いは頭の痛い問題でした。
日本軍に入った朝鮮人達は、日本軍の権威を笠に着てやりたい放題なことばかりやらかしており、大東亜戦争時においても「占領地で最も残虐な行為をやっていたのは朝鮮人だった」などと現地の人間にすらも言われていたりします。
作中でも、ノモンハン事件で捕虜になった日本人に対して、ソ連の威光を笠に着て残虐に扱った挙句に暴動を引き起こされた朝鮮人が登場していましたが、あの朝鮮人が媚び諂っている対象を日本軍に置き換えると話が分かりやすくなるのではないかと。
朝鮮人の「強者の権威を背景にした弱者に対する残虐非道ぶり」は、ベトナム戦争でも現地住民からアメリカ軍以上に恐れられていましたし、当時にも全く同じ問題が存在していたわけですね。
また当時の日本陸軍も、朝鮮人の扱いにはかなり手を焼いていたようで、こんな通達まで出していたりするほどでした↓
一、いつ、いかなる時でも唐辛子粉を食事に際し好きなだけ使わすこと。
一、絶対に頭、体を叩いてはいけない。怨みを持って復讐する気質があり、脱走の原因となる。
一、清潔な食事運搬用バケツと雑巾バケツの区別をよく教えること。
一、危険な状況下では銃を投げ捨てて哀号!と泣き出す習癖があるから、日本兵二名で一名の朝鮮兵を入れて行動せよ。
こんなに管理が大変な朝鮮人を押し付けられれば、当の日本軍だってウンザリせざるをえないところでしょう。
ましてや作中のケースでは、日本に対し反感を抱き、暴動まで起こすことも辞さない朝鮮人達が相手です。
意に沿わないことをやらされているのですから当然のごとく士気も低く、また脱走やサボタージュその他諸々の問題を引き起こす可能性も濃厚に存在するのです。
現に作中でも、強制徴用された朝鮮人達は不平タラタラでやる気が全くありませんでしたし、実際に軍を脱走までしていました。
こういう面々では当然、志願した朝鮮人達よりもはるかに管理が難しくなりますし、そもそもマトモな兵力として使用できるかどうかすらも、大いに疑問符と言わざるをえないところです。
そして、もし万が一にも軍内の朝鮮人達が問題を起こせば、それは当然、軍を管理している上層部が責任を取らされることになるのです。
そんな「厄介事」を自ら好き好んで抱えようとする「日本人」が一体どこにいるというのでしょうか?
ただでさえ、朝鮮人の入軍志願者が多すぎて困っているくらいなのに。
そんな朝鮮人達を効率よく扱うにはどうすれば良いのか?
それについては、皮肉なことに作中のソ連が見事に実践していますね(苦笑)。
作中におけるソ連軍は、ノモンハン事件で捕虜にした日本人と朝鮮人達に対して「自分達の命令に従うか、死ぬか」という選択を、銃口を突きつけて強要していました。
逆らう者は反抗の余地も与えずにその場で即刻射殺。
そこまでやられれば、別に朝鮮人でなくても人は動かざるをえないわけです。
残念ながら、現実どころか作中の日本軍でさえも、朝鮮人に対してそこまで徹底した管理を行うことはできませんでした(爆)。
ソ連のやり方は、スターリン統治下では3000万人以上もの自国民を粛清し、独ソ戦争では2000万以上もの自国の国民を完全武装したドイツ軍相手に万歳突撃させまくった国ならではの手法ではあったのでしょうけど。
なので、ソ連が日本軍の捕虜達に軍服を着せてドイツ軍相手に万歳突撃をさせた、という話の方は充分にありえそうなエピソードではあるんですよね。
自国の国民すらも粗末に扱うような国が、他国、しかも「敵国ドイツと同盟を締結している日本」の捕虜に対して容赦するとは到底考えられない話なのですし。
しかしまあ、ソ連に捕虜にされた朝鮮人達は、作中のような過酷な扱いを受けながら「日本の方がソ連よりはまだマシだった」とは寸毫たりとも考えなかったのですかねぇ。
同じ捕虜になった日本人に対してボロクソに罵ったり暴力を振るったりしているにもかかわらず、ソ連の将校に対しては陰口すらも全く叩いていませんでしたし。
それだけソ連軍の「調教」が凄まじかったのかもしれませんが、ああいうのを見ていると「当時の日本もソ連と同じくらいのことを朝鮮人に対して行った方が良かったのではないか?」と逆説的に思わなくもなかったですね(爆)。
中途半端に扱っているから作中のような造反や暴動を朝鮮人に起こされたりもするわけで(苦笑)。
戦争映画としては、去年観賞した映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」よりも「戦争をやっている」的な派手なシーンや「戦場の残虐な現実」が上手く描かれていますね。
負け戦の連続なので、物語的にはかなり暗いと言わざるをえませんが。
また、「リベラ・メ」で問題になった「アクションシーンなどのメイン描写そっちのけの心理描写乱発」も、今作では比較的抑え目で、また作中の戦争描写とも程よくマッチしている感じです。
日本絡みの歴史考証ではツッコミどころが多々ありまくりますが、「戦争描写がメインの戦争映画」「日本人と朝鮮人の友情物語」として観る分にはそれなりの出来なのではないかと思います。