男女逆転「大奥」の続編がTVドラマ&映画で制作決定
すっかり見逃していましたが、2010年に劇場公開された男女逆転「大奥」の続編製作が決定したそうですね。
原作の2巻~4巻に当たる「有功・家光篇」がTBS系列のTVドラマとして2012年10月から、ドラマ終了後の12月に、原作の4巻終盤~6巻前半頃までの物語となる「右衛門佐・綱吉篇」が劇場公開になる予定とのことです↓
http://megalodon.jp/2012-0123-1746-26/www.cinematoday.jp/page/N0038526
> [シネマトゥデイ映画ニュース] 2010年に公開された映画『大奥』の続編が、映画とテレビドラマで製作されることが発表され、その両方で堺雅人が主演を務めることが明らかになった。原作2~4巻にあたるテレビドラマ「大奥[有功・家光篇]」では多部未華子が3代将軍・家光を、同4~6巻にあたる映画『大奥[右衛門佐・綱吉篇]』では菅野美穂が5代将軍・綱吉を演じる。堺が、多部、菅野と共演するのは今回が初めてだ。
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> 2004年に連載開始されたよしながふみの原作は、謎の疫病により男女の立場が逆転した江戸時代の大奥を舞台にしたマンガ。二宮和也と柴咲コウが共演した映画第1作では、8代将軍・吉宗の時代を描き、興収23億円というヒットを記録した。待望の続編で描くのは、第1作以前の時代だ。テレビドラマが10月よりTBS系列で放送された後、12月22日より映画版が公開という一大プロジェクトになる。
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> ドラマ版では汚れなき心を持つ院主・有功(ありこと)、そして映画版では胸に野望を秘めた、有功にうり二つの男・右衛門佐(えもんのすけ)という一人二役に挑戦する堺は「大河ドラマに参加するときのような、意気込みと緊張感で臨みたいと思っています」とコメントすると、大奥総取締役という役柄に掛けて、「華やかな世界ですが、あくまでも裏方。いい作品になるよう、(将軍役の)お二人を支えながら粉骨砕身力の限りを尽くす所存です」と明かしている。
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> その堺に「運命を見据えた、強いまなざし」と評されたドラマ版の多部は、初の女将軍という役どころについて「大きなプロジェクトで重要な役柄を担うことに、とても緊張していますし、不安でいっぱいです」と語れば、「かなしげな、悩ましい吐息」と評された映画版の菅野も「まさか自分が、将軍の役をやらせていただく機会があるなんて、夢にも思いませんでした」と驚きを隠せない。
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> 現在、すでに衣装合わせは終わったといい、菅野は「将軍の葛藤(かっとう)、孤独、やり切れない運命を、そして、生きている人間だからこそのどうにもならない弱さ、愚かさを、エンターテインメントとして演じられたら良いなと思います」と意気込んでいる。前作に続き、監督は金子文紀が務める。(編集部・福田麗)
あの男女逆転「大奥」の映画版1作目は、それ単体で自己完結するように出来ており、かつ続編を匂わせる描写も全くなかったので、続編が出るかどうかは正直微妙なところではあったんですよね。
特に映画となると、「有功・家光篇」にせよ「右衛門佐・綱吉篇」にせよ、1作目の「水野・吉宗篇」よりもはるかに長い話になりますから、かなりエピソードや途中経過を端折って一種の「ダイジェスト」的なものにでもしないと、せいぜい2時間前後くらいしかない上映時間枠内にはとても収められないという問題もありましたし。
何よりも、延々と江戸城内における政治的駆け引きや陰湿な人間模様ばかり描かれることもあって、映画を盛り上げる派手なアクションやSFX的な描写がまるでないときていますからねぇ。
映画版1作目も、原作にない夜中の決闘の描写を無理矢理に挿入していたくらいなのですから。
そういった条件を鑑みると、続編を制作するならば映画よりもTVドラマの方がはるかに向いていることは確かで、その点では妥当な選択と言えるでしょうか。
しかし、右衛門佐に「有功とうり2つの男」などという設定なんてありましたっけ?
一応、同じ京の出身で、かつ自分のところ挨拶にやってきた右衛門佐の姿に桂昌院が有功の面影を見たという描写はあるのですが、直後に桂昌院は「奴と有功様は似ても似つかない」などと全否定に走っていますし、それ以前にコミック版における両者の顔はそれほど「似ている」という感じでもなかったのですが。
有功と右衛門佐双方と面識があった村瀬とかいう「大奥」の歴史書「没日録」を綴っていた老人も、右衛門佐が有功そっくりとは全く述べていないのですし。
原作で明確に「有功とうり2つの男」と謳われているのは、徳川4代将軍家綱の父親となった「お楽の方」こと捨蔵であって、右衛門佐ではないはずなのですが。
映画&TVドラマ版のオリジナル設定なのでしょうかね、これって。
ちなみに私は、男女逆転「大奥」について映画感想以外にもこれだけの記事を書いていたりするのですが↓
実写映画版とコミック版1巻の「大奥」比較検証&感想
コミック版「大奥」検証考察1 【史実に反する「赤面疱瘡」の人口激減】
コミック版「大奥」検証考察2 【徳川分家の存在を黙殺する春日局の専横】
コミック版「大奥」検証考察3 【国内情報が流出する「鎖国」体制の大穴】
コミック版「大奥」検証考察4 【支離滅裂な慣習が満載の男性版「大奥」】
コミック版「大奥」検証考察5 【歴史考証すら蹂躙する一夫多妻制否定論】
コミック版「大奥」検証考察6 【「生類憐みの令」をも凌駕する綱吉の暴政】
コミック版「大奥」検証考察7 【不当に抑圧されている男性の社会的地位】
コミック版「大奥」検証考察8 【国家的な破滅をもたらす婚姻制度の崩壊】
今回の映画&TVドラマ化で、これら私が提起した問題点の中の何かが補完・解消される、ということが果たして起こりえるでしょうか?
個人的には、作中における女性の男性蔑視思想が醸成されていく過程がきちんと描かれれば、結構面白い上級シャーロキアン的な設定補完になるのではないかと思うのですけど。
健康的な男性が働こうとするのを「赤面疱瘡」の名の下に意図的かつ強引に「押し込め」てしまったり、幼い男子に無理矢理「ジェンダーフリー教育」モドキな女性化教育を施して男性的な要素を取り除こうとしたりとか、そういった「女性による組織的な男性の去勢化」が普通に横行しているような世界でもなければ、そもそも「男女逆転」なんて発生のしようもないのですからねぇ。
目先の女性受けと視聴率狙いに狂っている上に思想自体も左がかっている昨今のテレビ局であれば、鼻に付きまくる女性至上主義的な描写を乱発することで案外簡単に実現してしまいそうな気もしなくはないのですが(苦笑)。