男女間の賃金格差縮小は誰の利益になるのか?
厚生労働省が発表した、2011年の賃金構造基本統計調査(全国)によると、男女間の賃金格差が過去最小になったとのことです。
http://megalodon.jp/2012-0226-2234-58/www.j-cast.com/2012/02/23123151.html
> 2011年のパートを除く一般労働者の平均賃金で、男女間の賃金格差が過去最小となったことが、厚生労働省が2012年2月22日に発表した賃金構造基本統計調査(全国)でわかった。
>
> 11年の男性の賃金は前年と同じ32万8300円だったが、女性は前年比1.9%増の23万1900円。女性の賃金は2000年以降もおおむね増え続けており、賃金格差は縮まっている。女性の賃金は、20年前は男性の6割にとどまっていたが、10年前は65%程度、昨年は70.64%になった。
>
> 医療・福祉分野に勤める女性の賃金が大きく伸びた。産業別でみると、教育・学習支援業が前年比2.6%増の30万7400円、医療・福祉は同1.5%増の24万7000円で、成長分野のサービス業で働く女性が増えていることが賃金の伸びにつながっている。
>
> なお、全体の賃金も前年比0.2%増の29万6800円で2年連続のプラス。ただ、リーマン・ショック前の07年より5000円程度低い。
>
> 調査は10人以上の常用労働者を雇う約6万2000の事業所が対象。11年6月分の所定内給与を調べた。
しかし、これを「男女平等が推進された」「女性の社会的地位が向上した」などと評価するのは短絡過ぎるというものでしょう。
記事の赤文字部分をよく読むと分かるのですが、女性の賃金が伸びている一方で、男性の賃金が全く伸びていないんですよね。
そもそも、給与所得者全体で見た平均賃金からして、10年以上の長きにわたって横ばいか減少が続いている始末なのですし↓
平成22年分民間給与実態統計調査結果について(国税庁)
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/minkan/index.htm
さらには、こんな調査結果まで出ている始末ですし↓
http://megalodon.jp/2012-0227-0005-15/www.j-cast.com/2012/02/23123111.html
> 「貯蓄がない」と答えた世帯の割合は2011年は28.6%で、調査開始の1963年から最も高くなったと、日銀が事務局の金融広報中央委員会が12年2月22日に調査結果を明らかにした。
>
> それによると、貯蓄の平均は1150万円で、前年より19万円減となった。貯蓄残高が1年前より減ったと答えたのは、40.5%にも達した。減った理由は複数回答で「収入が減ったので取り崩した」が43.3%と最も多く、不況の影響が出ているとみられている。
これから考えても、男女間の給与格差の縮小は、女性の社会的地位が向上し男女平等が推進されたからもたらされたのではなく、単に男性の給与水準が低迷を続けているだけのことでしかないわけです。
かつて「男性は外で働き、女性は家で家事を一手に担う」が当たり前だった時代は、当然男女間の賃金格差どころか労働人口比率でさえも圧倒的な開きがあったわけですが、一方では「男性が働いてさえいれば女性は外で働く必要がない」という恩恵もありました。
ところが、男女平等が推進され男女間の賃金格差が下がったはずの現代では、男性が働くだけでは一家の家計を支えることができず、女性も外へ働きに「行かざるをえない」家庭が激増しているわけです。
これって共産主義と同じ「一番下に合わせた経済的平等」「皆で不幸になりましょう」的なシロモノでしかないのではないかと。
しかも、この構図で一番利益を得ているのが女性ではなく、労働力を安く買い叩くことが可能となった企業だというのですから、資本主義の一番悪い部分まで取り入れてしまっているわけで。
結果的に男性のみならず大多数の女性でさえも不幸になっているだけでしかないのに、そこまでして「男女平等」なるものは推進しなければならないものなのか、ついつい考えたくもなってしまいますね。
今現在推進されている「男女平等」の基本理念も、「機会の平等」ではなく「結果の平等」を求めるシロモノにまで堕してしまっていますし、いいかげん抜本的な見直しが必要な時期に来ているのではないかと思えてならないのですけどね。