映画「ラスト・ターゲット」感想(DVD観賞)
映画「ラスト・ターゲット」をレンタルDVDで観賞しました。
日本では2011年に公開されたアメリカ映画で、マーティン・ブースのミステリー小説「暗闇の蝶」を原作とするクライムアクション・ドラマ作品。
劇場公開当時、この映画は熊本では例によって全く上映されておらず、観賞を見送った経緯がありました。
作中には複数の濡れ場シーンや女性が裸になる描写があることから、映画館ではPG-12指定されていました。
物語は、雪に覆われたスウェーデンのダラルナの針葉樹林地帯にひっそりと建っている小さな一軒家が映し出されるところから始まります。
一軒家の中では、やることでもヤッていた後なのか、裸になっている女と服を着ている髭面の男の2人がじゃれあっていました。
やがて夜が明け、2人は外に出て会話を交わしながら散歩を始めます。
2人がしばらく歩いていると、見渡す限りの雪原に人間のものとおぼしき足跡が見つかります。
それを見た男は顔色を変え、女を岩陰まで引っ張り走り始めます。
そして岩陰に隠れた途端に響く銃声。
男は直ちに銃を発砲した人間の所在を確認すると、隠し持っていた拳銃で反撃し、発砲者を始末することに成功します。
発砲者を始末した後、男は女に「警察を呼びに行け!」と命令し、何が何だか分からない状態で女はその命令に従い、男に背を向けて歩き始めます。
すると男は、女の背後から銃を発砲し、女を殺してしまったのでした。
さらに男は、少し離れたところで待機していたらしいもうひとりの襲撃者をも奇襲的に始末します。
男は襲撃者の車を奪いその場を後にし、付け髭を取って一路イタリアのローマへと向かうのでした。
ローマに到着すると、その男ジャックは、組織の連絡役であるパヴェルと接触します。
ジャックから事のあらましを聞いた後、パヴェルは事態の全容が把握されるまでしばらくローマから遠く離れたカステルヴェッキオという町に身を隠すよう指示を下します。
誰とも話さず、ましてや友人も作るな、と忠告した上で。
指示の通りにカステルヴェッキオの町に到着したジャックなのですが、しかし何か気に入らないことでもあったのか、カステルヴェッキオの町を出てそこからさらに先にあるカステル・デル・モンテへと向かうことになります。
しかもその途中で、連絡用にと渡されていたはずの携帯電話をも投げ捨てて。
そしてジャックは、カステル・デル・モンテで小さな部屋を借り、アメリカ人カメラマンのエドワードという仮の身分と偽名を使い、その地で身を落ち着けることになるのですが……。
この映画は、メインストーリーの元となるプロローグに上映時間の大部分を使ってしまっているように思えてなりませんでしたね。
ストーリー前半は「カステル・デル・モンテでの日常生活」というひたすら退屈な描写が延々と続きますし、アクションシーンもほとんどありません。
一般人の日常と違うところと言えば、せいぜい組織から依頼された銃を製造するエピソードくらいですね。
ストーリーが本格的に動き始めるのは、物語開始から何と80分以上も経過した頃で、売春宿で知り合った女と一緒になるために組織から足を洗うと決意することから、ようやく本当の物語が始まるんですよね。
物語後半で若干展開されるアクションシーンも派手さはなく、むしろ静かに淡々と進行していく感じです。
よって、ハリウッド映画的な派手な描写を期待してこの作品を見ても、得られるものはまずありません。
どちらかと言えば、静かな雰囲気とイタリアの田舎町の風景を楽しむための作品、といったところではないかと。
ただ、こういう映画を見ると、全国上映されない映画というのにはそれ相応の理由があるのだなぁ、とは思わずにいられないところですね。
映画の内容がこれでは、仮に全国上映されたとしても興行的に失敗するのは目に見えています。
映画館や配給会社にしてみれば、スクリーン数も限られているわけですし、上映しても売上が見込めない映画よりも、成功する公算が高い映画を導入した方が利益になるのですから、そちらを優先的に注力したいというのが本音でしょう。
東京などのような大都会であれば、それでも客入りはそこそこあるでしょうからまだ利益も出せるかもしれませんが、熊本のような地方ではそれも無理なわけで。
この構図を何とかしないと、映画の地域格差というのはそう簡単になくなることはないでしょうね。
地方在住の人間としては何とも残念なことではあるのですが(T_T)。