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2012年03月25日の記事は以下のとおりです。

映画「僕達急行 A列車で行こう」感想

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映画「僕達急行 A列車で行こう」観に行ってきました。
松山ケンイチと瑛太が演じる鉄道マニアの2人が、ふとしたきっかけから出会い意気投合し、仕事に恋愛に精一杯生きる様を描いたコメディ・ドラマ作品。
作品タイトルを見て、アートディンクの鉄道経営シミュレーションゲーム「A列車で行こう」シリーズを真っ先に連想したのは、多分私だけではないのではないかと(^^;;)。
かくいう私自身、最初に作品名を知った際には、ゲーム版「A列車で行こう」の実写映画化作品に違いないとついつい考えてしまったクチでしたし(^_^;;)。

この映画では、九州北部と東京近郊他を走る総計20路線80モデルもの列車が作中で登場します。
その最初のトップバッターを飾る鉄道は「わたらせ渓谷鐡道」。
その路線を走行している列車「わ89-315号」の車内で、一組の男女のカップルが向き合って座っていました。
列車の外の景色を見ながらイヤホンで音楽を聴くのに熱中している男性と、何かに耐えるようにじっとしている女性。
女性は男性に対し「座席のシートが硬い」と訴えるのですが、男性は全く聞こえていないのかイヤホンを外すことすらなく外の景色に夢中になっています。
そんな男性の態度に耐えかねたのか女性は怒り出してしまい、「次の駅で降りる」と席を立ちその場を離れてしまいます。
後を追うに追えない男性は、そこで黒人?2人と一緒にいた優男風の男性と目が合い、互いに何か感じるものがあったのか、2人はアイキャッチだけの会釈を交わします。
女性にフラれた男性は、鉄道風景を見ながら音楽を聴くことを趣味とする小町圭(松山ケンイチ)。
黒人と一緒にいた男性は、やや堅物で鉄道の列車そのものを好む小玉健太(瑛太)
同じ「鉄道オタク」でもその中身は若干異なる2人の、これが最初の出会いでした。

小町圭は、東京に本社を持つ大手不動産会社「のぞみ地所株式会社」に勤めるサラリーマン。
どちらかと言えば「イケメン」の部類に入る彼は、女性達にも相応に注目されていたりする人物です。
ある日、彼が居住していたマンションで水道管の構造的な問題が発覚し、全面的な立替工事が行われることが決定され、小町圭はマンションから退去を余儀なくされてしまいます。
しかたなく小町圭は新しい住居を探し始めるのですが、なかなか気に入った住居が見つかりません。
しかしそんな最中、彼は冒頭の「わたらせ渓谷鐡道」で会釈を交わした小玉健太と偶然にも再会することになります。
小玉健太は、町工場レベルの規模しかない有限会社コダマ鉄工所の2代目跡取りで、社長である父親・小玉哲夫と共に会社を切り盛りしていました。
同じ「鉄道オタク」ということで小玉健太と意気投合した小町圭は、コダマ鉄工所の寮を借りることとなったのです。
趣味が合うもの同士で鉄道絡みの会話を楽しみながら日々の生活を送る2人。
ところが小町圭は、会社の会議の中で「都心に高層ビルを建設し、都心を見下ろせる景観を客に提供する」という会社の方針に対し反対の声を上げたことから、会社の女性社長に目をつけられてしまいます。
「彼はどちらかと言えばベンチャー向きね」という、褒めているのか貶しているのか微妙な女性社長の評価と決定により、小町圭は福岡にある九州支社への転勤(という名の一般的には左遷)を命じられることになってしまうのでした。
とはいえ、元来が「鉄道オタク」である小町圭は、「九州の鉄道巡りができる」とむしろそのことを喜んですらいたのですが(苦笑)。
福岡のシーサイドももちの一角にある高層ビルの住居が与えられた小町圭は、九州支社の社員達と仲良くやりつつ、「鉄道オタク」としての鉄道めぐりを満喫することになるのですが……。

映画「僕達急行 A列車で行こう」に登場する名前は全て鉄道の特急の名称がつけられています。
主人公2人の苗字である小町・小玉、および会社名である「のぞみ地所」の「のぞみ」は明らかに新幹線のそれですし、他の登場人物もまた、苗字と名前のいずれかに全国各地の特急の名称が冠せられています。
物語後半に登場する九州地元企業「ソニックフーズ」も、元ネタは福岡-大分間を結ぶ日豊本線を走る特急の名称「ソニックにちりん」だったりしますし。
また作中では、いかにも「鉄道オタク」的な会話が盛んに繰り広げられています。
主人公2人がコダマ鉄工所で働く外国人とキャッチボールをしている場面では、ボールを投げながら列車の速度についてのウンチクが披露されていたりしていますし、物語後半では、後でソニックフーズの社長・筑後雅也と判明する鉄道オタクな人物が、どう見ても鉄道に興味なさげな付き人の女性2人に「スイッチバック」についての解説を行っている描写があったりします。
久大本線の豊後森駅にある「豊後森機関庫」では、主人公2人が筑後雅也と出会い意気投合する様が描かれていたりしますし。
作中の描写のあちこちでも様々な列車が風景の一部として走っていてその存在をアピールしまくっており、「鉄道オタク」の方々にとってはこれだけでも一見の価値があるのではないかと。

ちなみに私は生まれてこの方一貫して九州在住なので、作中で走っていた九州北部の列車には見覚えのあるものが多数ありましたし、いくつかの列車には実際に乗ったこともあったりします。
作中に登場しているもので私が実際に乗ったことのある路線は鹿児島本線・日豊本線・福北ゆたか線の3つで、列車はソニック(日豊本線)・813系100番台(福北ゆたか線)ですね。
鹿児島本線の列車で作中に登場したものについては、見たこと自体は何度もあるのですが、不思議と乗ったことは一度もなかったですね。
一方で、元々熊本出身の人間としては、熊本-大分別府間を結ぶ豊肥本線が出てこなかったのが少々惜しいところではありました。
作中でも言及され説明が行われていた「スイッチバック」が存在する全国的にも珍しい路線なので、ひょっとすると出てくるのではないかと期待していたのですが。

物語に目を向けてみると、主人公2人が「鉄道オタク」という趣味を持っていることが、仕事と恋愛で見事に正反対の結果をもたらしているような感がありましたね。
仕事面では、「のぞみ地所」の九州支社が長年懸案として抱え込んでいたソニックフーズとの交渉が、主人公2人とソニックフーズ社長が同じ趣味で意気投合したことにより前進を見せ、結果的に懸案を解消することに成功しました。
ところが恋愛面では、主人公2人が鉄道にばかり熱中する様を相方の女性が戸惑う様が描かれていますし、特に小町圭の場合はそれが原因で相方の女性にフラれたようなものでした。
ああいうのを見ていると、恋愛や夫婦生活などでは「相手の趣味を理解し許容する」という要素は結構重要なものなのだなぁ、とついつい考えさせられてしまいますね。
ちなみにこのエピソードを見ていて、私はかつて2chの生活板でネタにされていたという以下の話を思い出していました↓

【ストレス】家族が「物を捨てられない病」3【ジレンマ】
ttp://life7.2ch.net/test/read.cgi/kankon/1128500852/802-
> 802 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2006/03/10(金) 17:32:24 ID:s2RHsW2o
> 上にコレクションについての話がありましたけど
>
私は夫のコレクションを捨ててしまって後悔した立場でした
>
鉄道模型でしたけど
>
> かなり古い模型がまさに大量(線路も敷いてて一部屋使っていた)という感じでした
> 結婚2年目ぐらいから
「こんなにあるんだから売り払ってよ」と夫に言い続けたのですが
>
毎回全然行動してくれずに言葉を濁す夫にキレてしまい
>
留守中に業者を呼んで引き取ってもらえるものは引き取ってもらいました
>
> 帰ってきた夫は「売り払ったお金は好きにしていい」「今まで迷惑かけててごめん」と謝ってくれました
> 残っていた模型も全部処分してくれたのですごく嬉しかったです
>
> でも
その後夫は蔵書をはじめ自分のもの全てを捨て始めてしまいました
> 会社で着るスーツとワイシャツや下着以外は服すらまともに持たなくなり
> 今では夫のものは全部含めても衣装ケース二つに納まるだけになってしまって
>
> あまりにも行きすぎていて心配になり色々なものを買っていいと言うのですが
>
夫は服などの消耗品以外絶対に買わなくなってしまい
>
かえって私が苦しくなってしまいました
>
> これだけ夫のものがないと夫がふらっといなくなってしまいそうですごく恐いのです
> こういう場合ってどうしたらいいんでしょう

> 828 名前:802 投稿日:2006/03/11(土) 12:21:02 ID:ImOgEUVz
> 皆さんありがとうございます
>
> 今朝出勤前の夫と話をしました
> 謝ろうとしたのですが
> 「君の気持ちに気づけなかった僕が悪いんだから」
> という答えしか返ってこなく謝らせてもらえませんでした
>
> 取り戻すか新しいのを買おうとも言ったのですが
> 「もういいんだ」を繰り返すばかり
>
> 考えてみれば
夫のコレクションは結婚以来ほとんど増えてません
> 昔からのものばかりだったのでしょう
> 夫の部屋の中だけでしたし掃除もしていました
> (共働きのため家の掃除は殆ど夫がしています)
>
> ただ
新婚の家に既に夫のコレクションが沢山あったので
>
私は結構苛ついていたんだと思います
> 別に部屋に籠っているというわけでもなく
> 二人で映画を見たりご飯を作ったりしている時間の方が遥かに長かったのに
> なぜか私は苛ついていました
>
> 本も読まなくなってしまいました
> 私が見ているテレビを後ろからボーと見ているだけ
>
> 謝らせてもくれないぐらい傷つけてしまったんだと思います

夫と妻との間でそれぞれの趣味に対する理解というものがないと、こういう惨劇が実際に起きかねないわけで、こういうのを見ていると、作中の小町圭も「今の時点で別れることになって却って良かったじゃないの」という感想すら出てきたりもするんですよね(苦笑)。
あの女性はまさに、小町圭の「鉄道オタク」な趣味を理解するどころか反発すらしていたわけですし。
あの主人公2人の場合、「自身も鉄道オタクである」という女性を選んだ方が後々のことを考えると良いのではないか、とついつい考えてしまいましたね(^^;;)。

物語の雰囲気は全体的にほのぼのとしていて、御都合主義的な展開はあるものの安心して楽しめる構成となっています。
鉄道オタクな方々や、ほのぼの系のストーリーを楽しみたい方向けの作品と言えるでしょうね。

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