エントリー

2012年04月01日の記事は以下のとおりです。

映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」感想

ファイル 583-1.jpg

映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」観に行ってきました。
1960年代におけるアメリカの田舎町を舞台に、白人家庭で仕事をする黒人メイド達の実態を暴いた、実在する同名の本が出版されるまでの経緯を描いたヒューマン・ドラマ作品。
今作はアカデミー賞3部門にノミネートされ、オクタヴィア・スペンサーが助演女優賞を受賞しています。

物語の舞台は1960年代、アメリカ南部のミシシッピ州にあるジャクソンの町。
今作の主人公ユージニア・スキーター・フェラン(以下「スキーター」)は、黒人メイドであるエイビリーン・クラークを取材していました。
エイビリーンから黒人メイドの実態について聞き、それを「THE HELP」という著書にまとめるためです。
ここから物語中盤頃までは「エイビリーンの回想」という形で物語が進行していきます。

エイビリーンは、白人の家庭で家事や子育てをこなしつつ生計を立てる黒人メイド。
彼女によって育てられた子供は実に17人にも及び、その筋のプロであることは疑いの余地がありませんでした。
当時の彼女はヒリー・ホルブロックエリザベス・リーフルトという女性の家で仕事をしており、出産後に産後鬱を起こして事実上育児放棄をしてしまったヒリーエリザベスの娘の子育てを代わりに行う日々を送っていました。
そんなある日、ヒリーエリザベスは自宅で友人達を招いて開いたパーティで、彼女の友人であるスキーターと再会することになります。
既に結婚して子供がいる他の女性達と異なり、大学へ進学し、ニューヨークの出版社で作家としてデビューする夢を叶えるべく、地元の新聞社に就職して経験を積むべく奔走するスキーター。
新聞社で面接したスキーターは、女性だからという理由で家事コラムの代筆を任され、コラムの穴埋めをするために友人達に協力を依頼。
結果、スキーターはエイビリーンを紹介され、コラム欄を埋めるためのツテを手にすることとなるのでした。

エイビリーンと接触を続けていく中で、スキーターは友人達の黒人メイド達に対する仕打ちに不快感を抱くようになってきます。
特に友人のひとりであるヒリー・ホルブロックは、「黒人メイドが自分の家にあるトイレを使うと病気に罹ってしまう」などという迷信から、黒人メイド専用のトイレを別に作り、あまつさえそれを法案としてミシシッピの州知事?に採用させようと働きかけたりするありさま。
一方、スキーターの実家では、自分を親代わりに育ててくれたコンスタンツェンが何故か大学在学中にいなくなっており、スキーターはそのことについても不信感を覚えるようになります。
それらのことから、やがてスキーターは、黒人メイドの実態をまとめた本を出版することを考えるようになり、エイビリーンに情報提供を依頼します。
当時のアメリカ南部州には「人種分離法(ジム・クロウ法)」と呼ばれる人種差別を正当化する法律があり、スキーターの依頼内容がその法律に抵触しかねないものであったことから、最初はエイビリーンも協力に難色を示します。
しかし、ヒリーの人種差別と潔癖症のない混ざった狂気の反応と、自身が育てた白人の子供達が成長すると結局親と同じになってしまうという苦い経験から、やがてエイビリーンはスキーターに協力するようになるのでした。
さらにエイビリーンの友人&同業者で、ヒリーの自宅内のトイレを使ったためにヒリーからクビにされたミニー・ジャクソンも加わり、「THE HELP」を構成する黒人メイド達の赤裸々な実話が語られていくことになるのですが……。

映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」では、登場人物の大部分が女性のみで占められています。
男性も全く登場しないわけではないのですが、出番はほんのわずかであり、しかもほとんど「女性の引き立て役」的な役割しか与えられていません。
その上で今作は、1960年代におけるアメリカの女性差別と黒人差別、そして女性だけの世界ならではの人間模様が大きくクローズアップされています。
女性差別については当時のアメリカのみならず日本でも、いや世界各国全てで似たような光景が繰り広げられていたのでしょうが、黒人差別の実態についてはアメリカならではの「差別伝統」に基づいた偏見と悪意の産物ではありました。
当時のアメリカで公民権運動が盛んだったのも当然の帰結ではあったのでしょうね。
今作で面白いのは、その女性差別・黒人差別を、あくまでも女性の視点のみからスポットを当て、ともすれば暗い雰囲気に陥りがちなテーマを、可能な限り明るくコミカルに描写したところにあります。
この手の話って、これまでの作品で語られたにしても、男性オンリーか男性&女性の視点が半々ずつというのがほとんどでしたし、その点では結構斬新な視点であると言えるのではないでしょうか。

たた、個人的に一番印象に残ったのは女性差別でも黒人差別でもなく、女性同士で繰り広げられる陰湿なやり取りの数々でしたね。
外で嵐が荒れ狂い外に出られない中、自分達が使うのと同じトイレで用を足したという理由から黒人メイドのミニーにクビを宣告した挙句、再就職すらできないように他の白人家庭に手を回すヒリー。
そのヒリーに対し報復すべく、自分の糞便を混ぜ込んだチョコパイをヒリーに食べさせてしまうミニー。
さらに、まんまとウンコ入りチョコパイを食わされてしまった自分を嘲笑ったという理由で、母親ミセス・ウォルターズを老人ホームにぶち込んでしまうヒリー。
女性の報復手段は陰湿極まりないシロモノだという事例をこれでもかとばかりに披露していったこの描写は、女性に対するある種の幻想を木っ端微塵に破壊してくれるだけの要素はありましたね。
ヒリーは他にも、元恋人を取られたなどという個人的な理由で、シーリアという女性を村八分状態にしてしまうというイジメな行為にも及んでいたりしますし。
女性って怖いわ、と改めて感じさせてくれる一幕でした。

しかし、ヒリーやエリザベスはアレだけ黒人をほとんどバイ菌扱いしているにもかかわらず、その黒人メイドに自身の娘の子育てをほとんど一切合財委ねてしまうというのは一体どういう感覚をしているのか、その辺は少々疑問ではありましたね。
普通、ああまで黒人に対する差別意識を持ち、かつおかしな迷信まで信じてしまうような人間であれば、むしろ自分が差別している黒人を子供には近寄せまいとするのではないのでしょうか?
にもかかわらず、ヒリーやエリザベスは自分達の娘がアレだけ黒人メイドに触られたり抱き締めあったりしても何ら反応してすらいませんでしたし。
作中でもヒリーエリザベスは「産後鬱にかかって以降はほとんど子育てを放棄して気難しくなっている」という説明がありましたが、立派なネグレクトをやらかして平然としていた辺り、自分の子供を少しも愛してはいなかったのだろうなぁ、とは考えずにいられませんでしたね。
物語のラストでエイビリーンをクビにした際、娘が別れを嫌がって泣き叫んでいたのでさえも、ヒリーや母親であるはずのヒリーエリザベスは完全に無視していましたし。
黒人差別以上に悪質な犯罪も同然のことを、ヒリーやエリザベスはよりにもよって年端もいかない子供に対して行っているように思えてならなかったのですが。

アクションもサスペンスもSFX的な描写の類も一切ないため、一般受けは結構難しいものがある作品ですね。
アメリカでは安い制作費ながらも口コミで大ヒットを記録したとの話なのですが、さて日本ではどういう結果になるのでしょうか?

※取消線と青字部分は間違いとの指摘を受けましたので修正しております。

熊本市が全国20番目の政令指定都市に正式移行

ファイル 582-1.png

2012年4月1日0時をもって、熊本市は正式に政令指定都市へと移行しました。
九州では北九州市・福岡市に次いで3番目、全国では20番目に誕生した政令指定都市となります。
2012年時点で73万人以上の人口を抱える熊本市は、中央区・東区・西区・南区・北区の5つの行政区が設けられ、市内在住者の住所が一律で変更となる他、各行政区毎に区役所が設置され、市の権限が大幅に強化されます。

熊本市の政令指定都市化は長年叫ばれ続けていただけに、熊本在住の人間としてはようやく実現したかという感はありますね。
まあ政令指定都市化の恩恵が受けられるのは熊本市在住者だけですし、その在住者にしても、当面は住所の変更と役所の手続き関係以外で特に生活面で変わるものはないのでしょうけど。
政令指定都市化によって、熊本市および熊本県全体がより発展していくことを願いたいものですね。

ところで熊本市といえば、田中芳樹の実家も政令指定都市化で影響を受けることになるのでしょうかね?
田中芳樹の出身学校(熊本市立黒髪小学校・熊本市立桜山中学校・熊本学園大学付属高等学校)を見る限りでは熊本市に実家があるみたいですし、今でも時々帰郷しているという社長氏の報告などがあることを鑑みると、すくなくとも熊本県内に今でも実家があることは確実です。
ただ、その後引越しをして熊本市外の市町村へと転出した可能性はありますから、今でも熊本市在住であるとは限らないのですが。
まあ、東京&軽井沢暮らしが長い田中芳樹にとって、熊本という場所は「自分の出身県」という以上の認識と感情はもうないのかもしれませんけどね。

2012年4月5日追記:
田中芳樹の実家は今現在も熊本市内にあるそうです。
ソースは「らいとすたっふ」社長氏のツイート↓

https://twitter.com/adachi_hiro/status/187727033588137986
<田中さんが、「実家の住所が変わったよ」と。へ?と思って聞き返したら、熊本市が政令指定都市になったのですね。>

熊本市以外の熊本県内に住んでいて2012年4月1日に住所が変わるわけもないのですから、これで確定でしょう。
しかしそうなると、田中芳樹の実家って今でも熊本市の黒髪地区近辺にあるのでしょうかねぇ。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2012年04月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ページ

  • ページが登録されていません。

新着画像

新着トラックバック

Feed