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2012年04月15日の記事は以下のとおりです。

映画「ジョン・カーター(3D版)」感想

ファイル 599-1.jpg

映画「ジョン・カーター(3D版)」観に行ってきました。
ジョージ・ルーカス監督の「スターウォーズ」シリーズや、ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」の原点になったとされる、エドガー・ライス・バローズの小説「火星」シリーズの最初の作品「火星のプリンセス」を映画化したファンタジー・アドベンチャー大作。
ウォルト・ディズニー生誕110周年を記念して製作された映画でもあります。
今作は3D版しか上映されていなかったので、しかたなく3D版での観賞となりましたが、例によって例のごとく「あるのかないのか注意して見ないと分からない申し訳程度の3D映像」が披露されていただけでした(T_T)。
わざわざ観客から余分にカネを取っておきながらそういう映像ばかり見せつけるから、3D映画は多くの観客から愛想を尽かされてしまうことになるのですけどねぇ(-_-;;)。

物語は、地球とは異なる惑星バルスームで、とある飛行船が襲撃されているシーンから始まります。
飛行船の持ち主は、惑星バルスームの国のひとつであるゾダンガ王国の皇帝サブ・サン。
襲撃に際して勇猛果敢に戦う彼でしたが、突如圧倒的な力によって配下の兵達が襲撃者もろとも壊滅。
呆然とするサブ・サンの前に、その圧倒的な力を見せつけたサーン族の教皇マタイ・シャンが、どこからかワープでもしてきたかのごとくその姿を現します。
マタイ・シャンはサブ・サンに対し、自分達が駆使した驚異的な力を誇る破壊兵器を提供し、サブ・サンに惑星バルスームの支配者となるよう促すのでした。

ところは変わって、1881年のアメリカ・ニューヨークでは、ジョン・カーターという名の大富豪が亡くなったとの報が駆け巡っていました。
ジョン・カーターは「死」の直前、自身の甥で原作小説の原作者と同名(本人?)でもあるエドガー・ライス・バローズを呼び出し、全財産を譲り渡すよう弁護士に依頼していました。
呼び出されたエドガー・ライス・バローズは、弁護士からジョン・カーターから「エドガー・ライス・バローズ以外の人間には誰にも読ませないように」と指示されて預かったという日記を提示されます。
その日記を読み始めたエドガー・ライス・バローズの前に、ジョン・カーターが体験したとされる想像を絶する冒険譚が開陳されていくことになります。

その発端となる最初のエピソードは、ジョン・カーターが死んだとされる今現在から13年前に遡ります。
今作の主人公であるジョン・カーターは、アメリカのヴァージニア州出身でかつては戦争で勇名を誇った元兵士でしたが、今ではただひとり孤独に生き、黄金の洞穴を探しているらしい一匹狼。
酒場兼質屋?で問題を起こした彼は、現地の騎兵隊にその名声を見込まれてスカウトされるのですが、ジョン・カーターは暴力を行使して拒絶し、彼は牢獄に繋がれることになります。
しかし、ジョン・カーターは自力で見張りを倒し、騎兵隊の隊長パウエルの馬を奪いその場を逃走。
騎兵隊はただちにジョン・カーターの追撃を開始しますが、追撃の最中、ジョン・カーターがアパッチ族と接触。
ジョン・カーターとアパッチ族との間で話し合いが行われましたが、交渉の最中に騎兵隊の1人がアパッチ族に向けて銃を発砲。
この事態に怒り狂ったアパッチ族と騎兵隊の間で戦闘が始まってしまい、パウエルはアパッチ族が撃ち放った銃弾で脇腹を負傷。
混戦に紛れてそのまま逃げても良さそうなものだったのですが、ジョン・カーターは何故か負傷したパウエルを見捨てることなく彼を抱え一緒に逃走を開始します。
逃走した2人は、追跡してきたアパッチ族から逃れるため、逃走途上で発見した洞穴へ身を隠すことになります。
何とかアパッチ族をやり過ごした2人でしたが、洞穴の奥から人の気配がしたため、ジョン・カーターが調べてみることに。
そこで待ち受けていたのは、法衣のようなものを纏ったひとりのスキンヘッド男でした。
スキンヘッド男は後ろから不意打ちを仕掛けてきました、ジョン・カーターは運良く難を逃れスキンヘッド男を返り討ちにします。
銃弾を受けて倒れたスキンヘッド男は、右手に光るメダルのようなものを持って何かを唱えていました。
ジョン・カーターがそれを奪い取ると、彼は光に包まれ、次に気づいた時には見たこともない砂漠のど真ん中に倒れこんでいたのでした。
体を起こして歩いてみた途端、ジョン・カーターの身体は自分の意図に反して大きく浮き上がってしまいました。
戸惑いを覚えつつ試しにジャンプしてみると、本来考えられないほどに大きく飛翔できてしまうではありませんか。
しばらく調子に乗ってジャンプを繰り返しつつ、ジョン・カーターは砂漠の只中にあるひとつの山に辿り着きます。
そこでは奇妙な卵から、これまで見たこともなかった生物が飛び出してくる光景が展開されていました。
驚いたジョン・カーターがしかしその余韻に浸っている暇もなく、彼にまるで狙いを定めるかのごとく、これまた見たこともない生物の集団が突如砂漠の向こうから急速に接近してきて……。

映画「ジョン・カーター(3D版)」は、ジェームズ・キャメロン監督製作の映画「アバター」の原点になったというだけあって、話の構成も「アバター」とよく似ていますね。
「アバター」に登場した異種族ナヴィと似て体格が大きな「サーク族」という種族が登場しますし、そのサーク族の支配権を獲得してラスボスに挑む構成が全く同じだったりします。
主人公が軍人出身で、かつ異世界の先でヒロインと出会い彼女のために戦う構図も同じですし。
まあ、元々は「アバター」の方が今作の原作小説をヒントに作られたとのことですから、構成が似ているのもある意味当然なのかもしれないのですが。
一方「スターウォーズ」は、作中に登場していた「光で動く飛行船」と「銃と剣が戦闘の中で入り混じった世界観」辺りをモチーフにしていたのではないかと。
ストーリー展開が「アバター」そっくりで、使用している小道具が「スターウォーズ」とカブるとなれば、作品独自のオリジナリティという点ではややパッとしない部分がありますね。
製作費だけで2億5000万ドルもかけているだけあって、迫力あるSFX映像や演出はさすがに良く出来ていますし、決して見劣りするわけではありません。
ただ今作は、そこまで製作費をかけたのが災いしたのか、超大作の割には興行収益がイマイチ伸びていないことから、最終的には2億ドルもの赤字を抱え込む可能性すら囁かれているのだそうで↓

http://megalodon.jp/2012-0414-2102-14/jp.reuters.com/article/entertainmentNews/idJPTYE82L02D20120322
> [ロサンゼルス 20日 ロイター] ウォルト・ディズニー生誕110周年記念の超大作「ジョン・カーター」が、映画史上最も興行赤字の大きい作品になる可能性が出てきた。
>
米ウォルト・ディズニー(DIS.N: 株価, 企業情報, レポート)は19日、同作品が約2億ドル(約166億円)の赤字になるとの見通しを示したが、それが現実になれば、ギネスブックに「最も興行赤字の大きい映画」として登録されている1995年の「カットスロート・アイランド」を超える赤字作となる。ウィキペディアによると、「カットスロート・アイランド」の赤字額は1億4700万ドル。
>
> 過去の不発作品としては、エディ・マーフィ主演の「プルート・ナッシュ」や、ペネロペ・クルスとマシュー・マコノヒーが出演した「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」、ロバート・ゼメキス監督の「少年マイロの火星冒険記」などがあるが、ウィキペディアの情報を基にすると、いずれも赤字額は1億4000万ドルを超えている。
>
> ただ、ハリウッド映画の赤字額については、不明瞭な部分が多いのも事実。映画情報サイトIMDbの編集長キース・シマントン氏は「ハリウッドはあまり数字をオープンにしないので、これらの作品の本当の予算を知ることはできない」と述べた。
>
> 複数の業界筋は、「ジョン・カーター」には制作費と販促費で3億5000万ドル以上がつぎ込まれていると指摘。調査会社ハリウッド・ドット・コムのポール・ダーガラベディアン氏は、
同作品が収支を合わせるには、世界興行収入6億ドル以上が必要だとしている。

過去のハリウッド映画では、アメリカでは不振であっても日本の興行収益だけで製作費を楽々回収した事例もありますから、今作が本当に史上最高額の赤字を抱えるのか否かは今後にかかっているのですが、状況的には結構厳しいものがありますね。
「ジョン・カーター」は今作も含めて3部作構成とのことなのですが、1作目時点で多額の赤字を抱えてしまうとなると、続編が本当に製作されるのか、はなはだ心許ない限りとしか評しようがないですし。
作中ではまだ第9光線や遺跡の機能、サーン族についてなど、まだ未解明の謎が少なからず残っているのですから、個人的には続編を作ってもらいたいところではあるのですけど……。

作中で意外に「なごむ」存在だったのは、物語後半で実は火星であることが判明した惑星バルスームの犬(キャロット)であるウーラですね。
このウーラ、外見上は「巨大なカエル」みたいな容貌をしているのに超高速で素早く動き回り、主人公達の危機の際には大きな助けにもなってくれる頼もしい動物です。
惑星バルスームでは「ジャスーム」と呼ばれている地球上の犬のごとく、「飼い主」に懐き甘えてすらくる愛嬌のある一面も見せていたりします。
一見不気味な外見なのに、物語が進むにつれて可愛らしくすら思えてくるのですから、何とも不思議なキャラクターです。
日本で言うところの「ゆるキャラ」的なものを意図して作ったのでしょうかね、これって。

ところで少し疑問だったのは、物語終盤、何故マタイ・シャンは自身の目論見を打ち砕いたジョン・カーターを、わざわざ地球に送り返すだけに留めてしまったのか、という点ですね。
あれだけの変装能力を持ち不意打ち同然に接近できるのであれば、地球に送り返すよりもジョン・カーターをその場で殺害してしまった方が、今後のことも考えると後腐れがなくて良かったのではないかと思えてならなかったのですが。
何しろジョン・カーターは、マタイ・シャンとサーン族のことを知る(あの世界では)数少ない人間のひとりだったわけですし、下手に生かしておけば今後の自分達にとって邪魔になるであろうことも最初から目に見えています。
地球に送り返して以降も、ジョン・カーターにはマタイ・シャンの手の者と思われる監視がついていたみたいですし、そんな手間暇などをかけるくらいなら最初から殺しておいた方が面倒もなくて良かったでしょうに。
あの変装能力や、序盤で見せつけていたテレポート能力があれば、たとえあの場でジョン・カーターを殺したとしても悠々と姿をくらますことだって簡単にできたでしょうし。
マタイ・シャンには何かジョン・カーターを殺せない理由でもあったのでしょうか?
地球にいた手下のひとりは、序盤で普通にジョン・カーターを殺そうとして返り討ちに遭っていましたから、そんな理由があるようにはとても思えなかったのですが……。
今後続編が製作されることがあれば、この辺の謎についても解答が与えられるかもしれないのですけどねぇ。

映画の内容だけを見れば普通に良作ではないかと思うのですが、それで赤字の危機に直面せざるをえないとは何とも不幸な作品ですね。
個人的には、もう少し評価が高くても良いのではないかと思えてならないのですが。

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