映画「Black & White/ブラック&ホワイト」感想
映画「Black & White/ブラック&ホワイト」観に行ってきました。
仲の良いCIAエージェントの2人が、ひとりの女性を巡ってスパイ能力とハイテク兵器の限りを駆使して恋の争いを演じるアクションコメディ作品。
物語はまず、今作の主人公となるCIAエージェントの2人、FDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)・フォスターとタック・ヘンソンの仕事ぶりが披露されていきます。
2人は、カール・ハインリッヒという国際指名手配が大量破壊兵器を入手するのを阻止すると共に、彼を隠密裏に捕獲または殺害するという任務に従事していました。
大量破壊兵器の取引が行われる予定となっている香港の高層ビルに先回りして潜入し、その最上階で開催されていたパーティーの会場で女性を口説きつつ様子を伺う2人。
やがて予定通り、部下兼護衛および弟を引き連れてハインリッヒはやってくるのですが、ハインリッヒは取引相手を射殺しその場から逃走を図ります。
ここでFDRとタックは、ハインリッヒを逃がしてはならじと衆人環視の中でハインリッヒ一派に発砲を開始。
結果、ハインリッヒの部下と弟を殺すことには成功するものの、肝心のハインリッヒにはビルから飛び降りられパラシュートで逃げられてしまい、結局任務は失敗に終わってしまいます。
彼らの上司に当たる黒人女性CIA長官のコリンズは、任務に失敗したばかりか衆人環視で目立つアクションに走りマスコミの注目の的となった事実に激怒し、2人に対し謹慎処分を下すこととなります。
CIAエージェントとしての仕事が一時的にできなくなってしまった2人は、しかし良い機会だからとプライベートな生活を満喫することに。
タックは職業柄、CIAエージェントとしての自分の正体を隠し「旅行代理店の会社員」と身分を偽っているのですが、それが祟って子供も作ったはずの奥さんと離婚する羽目になった経歴を持っています。
今回の謹慎処分で時間を得た彼は、良い機会だからと、日本の柔道?を学んでいる子供の様子を観に行っていました。
しかし、父親の目の前で、相手の子供にボコボコにやられてしまうタックの息子。
タックが息子に話しかけても、息子は父親に隔意あり気な反応しか返すことがなく、そこへ息子を迎えに来た元奥さんと鉢合わせることに。
タックの元奥さんは、「これから別の男性とデートなの」とタックに言うと、息子を連れてその場から去ってしまうのでした。
自分の居場所がないことを思い知らされたタックは、FDRと相談した末、新しい恋に生きるべく、たまたまTVで宣伝されていた出会い系サイトに自分の名前を登録するのでした。
そのタックの出会い系サイトの登録に反応したのは、キッチン用の調理器具や電化製品などを取り扱う会社の重役を担っているローレン・スコット。
正確には、ローレンの女友達であるトリッシュが、ローレンに無断でローレンの名前を出会い系サイトに登録していたのがたまたまヒットしてしまい、最初はトリッシュに激怒したローレンが、タックを見て「この人カッコいい」とあっさりやる気になっただけなのですが(苦笑)。
ローレンは、かつて何もかも捨ててまで付き合っていた元カレに振られた挙句、新しい彼女まで紹介されてしまったことにショックを受け、その傷を癒している最中でした。
そこへ来てのタックの登場は、ローレンにとってもまさに「渡りに船」だったのでしょう。
彼女はすぐさまタックとデートすることを決意するに至ります。
一方、めでたくローレンと会うことになったタックは、親友のよしみでそのことをFDRに報告。
FDRはタックを支援するためにデートの様子を見張っていようかと提案しますが、さすがに「プライベートの侵害だから」とタックの方が拒否します。
その代わり、デートの現場に程近い場所でひそかに待機しておくことFDRは考えつきます。
しかし、このFDRの余計な気の回しがその後の騒動の元凶になるとは、この時一体誰が考えたでしょうか(笑)。
タックとローレンの初めてとなる出会いデート(喫茶店での会話だけ)そのものは特にトラブルもなく、むしろ互いに好感触を得るというベストな形で終了します。
しかし、タックと分かれたローレンがレンタルビデオショップに立ち寄った際、たまたまそこで張っていたFDRにナンパされてしまうのです。
ローレンは「軽薄なナンパ男」としてしかFDRを評価せず、すげなくあしらってその場を去ってしまうのですが、逆に興味を惹かれたFDRは、彼女の個人情報を調べて職場にまで押し寄せることに。
あまりにもしつこいFDRにキレかかるローレンでしたが、間の悪いことにそこへ新彼女を連れたローレンの元カレと鉢合わせしてしまいます。
変に見栄を張ろうとした彼女は、何とその場でFDRと濃厚なキスを交わしてしまい、元カレに「自分の新しい彼氏」としてFDRを紹介してしまうのでした。
そして、それがきっかけとなって、ローレンとFDRの関係も一転して良好なものとなっていきます。
しかし、互いに親友の間柄名上に共に同じ女性と仲良くなっているタックとFDRが、意中の相手がカブっている事実に気づくのにさしたる時間がかかるわけもありません。
2人はたちまちのうちに自分こそが相手を獲得すべく、CIA所属の諜報員やハイテク兵器を駆使した全面戦争に突入してしまうのでした。
映画「Black & White/ブラック&ホワイト」は、どちらかと言えばアクションよりも、下ネタ満載の会話と掛け合い漫才によるコメディタッチな部分に重点を置いている映画であると言えます。
ローレンとトリッシュの会話では、「FDRは手が小さい」「タックは英国人だから」などという、セックス的な問題を表すらしい陰語が登場しますし、トリッシュは「2人と寝て男性器の大きさや快楽の度合いを比較しろ」などとローレンを煽り立てる始末。
ローレンはローレンで、トリッシュの恋愛相談モドキな言動をいちいち真に受けて実行していたりしますし(苦笑)。
ちなみに、「手が小さい」の意味は作中でも説明されていて、「男性器(ペニス)が小さい」ということを婉曲に表現した陰語なのだとか。
一方で「英国人だから」については具体的な説明がなかったのですが、少し調べてみたらこんな記事が引っかかりました↓
イギリス人は遅漏、セックス耐久時間調査で明らかに。最短は6秒
http://digimaga.net/2009/10/british-men-have-more-stamina-in-bed
> オランダ、ホラント州の研究者たちの調査によると、イギリス人男性はほかの国の男性と比べてセックスの耐久時間が長いことが分かりました。
>
> この調査は5ヶ国、500人の男性に対して行われたもので、イギリス人男性は平均して10分間保てることが分かり、これが第1位。第2位はアメリカ人男性で、コチラは8分。三番手にはオランダ人男性の6分30秒が続きます。
>
> そして4番手はスペイン人男性の4分54秒。最後はトルコ人男性で4分24秒とこれが最短でした。なお、調査に協力したユトレヒト大学では最短で6秒という結果の男性もいました。残念ながらこの男性の国籍は分かっていません。最長は52分間頑張れたそうです。
>
> スポークスマンは、イギリスの大衆紙ザ・サンに対して「研究ではイギリス人男性が最も長いことが分かりました。コンドームの有無やサイズの大小による違いはありませんが、アルコールを飲んだ男性は通常よりも長く頑張れる傾向にあるようです」と語っています。
>
> 性医学ジャーナルで発表されたこの研究は、早漏のことを調べていました。早漏は、医学的には1分以上持続できない状態のことと定義されています。およそ40%のイギリス人男性が早漏に苦しんでいるそうですが、この結果を見るにほかの国の男性はもっと苦しんでいることでしょう。ぜひ日本人男性も調査して欲しいところです。
この場合における「英国人」が指している意味合いというのは、FDRの件との整合性を考えると大体こんなところに落ち着くのではないかと。
念願叶って(?)FDRとセックスした際も、ローレンはわざわざトリッシュに感想を報告したりしていますし、それを受けたトリッシュはさらに煽り立てるしで、この辺りは本当に女性ならでは赤裸々かつ生々しい会話のオンパレードでしたね。
こんな少年少女の教育に悪影響を与えそうな会話が延々と繰り広げられている今作が、よくもまあPG-12指定にすらされなかったよなぁと、笑いと同時に奇妙なところで感心すらしてしまったほどです(苦笑)。
そして、それ以上に笑えたのは、FDRとタックに率いられたCIA下っ端諜報員達の活躍ですね。
たとえば作中では、絵画が趣味のひとつであるローレンを相手に、FDRが絵画のウンチク話を始めるシーンがあるのですが、そのウンチク内容はFDRの下っ端諜報員達が読み上げている文章を、FDRが通信機を介して聞き取ってしゃべると言う形で進行していました。
ところがそこで、タックに属する諜報員達が通信を乗っ取ってしまい、絵画についてデタラメな話を並べ立て始めてしまいます。
その内容がまたぶっ飛んでいて、「筆を使わず手で直接絵を描く」とか「手が塞がっている時はペニスで絵を描く」とか、ほとんど笑いを取りに行っているとしか思えないことをFDRにしゃべらせようとするんですね。
ローレンとFDRがセックス行為に及んでいる際には、その光景を興味津々で眺めていた上に(これは仕事だからですが)その全容をしっかりDVDに収めていたみたいですし。
FDRとタックは、下っ端諜報員達にローレン獲得のための作戦に従事させる際、動機と目的については「最高機密」を盾に口を濁しているのですが、下っ端諜報員達は早々に2人の対立構図に気づいていたみたいですからねぇ。
作中における下っ端諜報員達の描写を見ても、何もかも分かっていた上での確信犯で楽しんでいた感がありありでしたし。
FDRとタックの「当事者達は至って真剣なお笑い喜劇」以上に、彼らのコメディチックな活動にも笑えるものがありましたね。
今作は、過去作で言えば、映画「Mr.&Mrs.スミス」「ナイト&デイ」、「キス&キル」などに相当する「コメディ重視のアクション作品」であろうと観賞前から当然のように考えていたので、その結果も案の定といったところでしたね。
全部、タイトル名に「&」がついている点も共通していますし(笑)。
逆に、恋愛やアクションメインで見ようとすると、今作は少々厳しいものがあるのではないかと。
その点では、映画「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」の路線に近い作品であるとも言えるのかもしれません。
全体的な評価としては、コメディ作品が好きな人にオススメ、といったところになるでしょうか。