映画「MIB3/メン・イン・ブラック3」感想
映画「MIB3/メン・イン・ブラック3」観に行ってきました。
ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのコンビが主演を担うSFアクションコメディシリーズ第3弾。
1作目が1997年、2作目が2002年公開ですから、ずいぶんとまあ息の長いシリーズですね(^^;;)。
人気シリーズということもあり、私も1作目・2作目共に観賞済みです(^^)。
なお、今作はシリーズ初となる3D公開映画でもありますが、私が観賞したのは2D版となります。
物語は、月面に作られた宇宙人専用の刑務所から、ひとりのエイリアンが脱獄するところから始まります。
そのエイリアン・ボリスは、MIBシリーズの主役のひとりであるエージェントKにかつて左腕を奪われ捕縛されてしまった過去がありました。
またボリスは、地球侵略の尖兵的な役割をも担っていたのですが、エージェントKが設置したシステムによって永遠に侵略ができなくなってしまっていました。
そのためボリスは、自分が捕らえられた過去へと戻ってエージェントKを殺害することで、復讐と地球侵略を同時に達成することを考えつくのでした。
ちなみにボリスは、「アニマル・ボリス」と呼ばれることをやたらと毛嫌いする傾向を作中で露わにしていたりします。
一方、シリーズでお馴染みのエージェントJおよびエージェントKのコンビは、1作目と2作目で登場していたものの今作ではいつのまにか死んでいたらしいエージェントZの葬儀に参列していました。
とても追悼の言葉とは思えない死者に対する弔辞?を(一応その死を悲しんではいたようですが)淡々とのたまったエージェントKは、エージェントJを引き連れ中国料理店?のガサ入れを行います。
食材に宇宙生物を使っていたらしいその店を取り締まる中、2人は店内でエイリアン達の襲撃を受けることになります。
エイリアン達を撃退し、騒ぎを聞きつけ集まった周辺住民達にニューラライザーを「ピカッ」とかざして記憶を消去&上書きするという、シリーズお馴染みの光景が展開される中、エージェントKは中国料理店の屋上で月面から脱獄したボリスと対面することとなります。
2人の対決は、途中で割って入ったエージェントJによって、ボリスはエージェントKを殺害できず、エージェント達はボリスの捕縛に失敗するという痛み分けの結果に。
エージェントKの行動に不審を抱いたエージェントJはエージェントKを問い詰めるのですが、エージェントKは機密を盾に情報を教えようとしません。
しかたなくエージェントJは、MIB本部で情報を検索し、屋上で会ったボリスに関する情報を入手するのでした。
さらに情報を得ようとするエージェントJでしたが、やはりそこでも「機密」を理由に途中で情報が入手できなくなってしまい、さらにエージェントOからこれ以上踏み込むことなく帰宅するよう告げられます。
その夜、携帯ゲームに熱中していたエージェントJは、エージェントKから不可解な電話を受けることとなります。
そのことが気になったエージェントJは、エージェントKがひとりで住んでいるビルの「5K」という部屋を訪ねるのですが、何とそこにはエージェントKとは何の関係もない家族がいつのまにか住み着いていたのでした。
MIB本部に行けば何か分かると考えたエージェントJは、MIB本部でエージェントKを探しますが、そこでエージェントOから衝撃的な事実を聞かされることとなります。
何と、エージェントKは40年前にボリスを追跡中に死んだことになっており、さらにはボリスもその時捕縛されることなく逃げおおせていることになっていたのでした。
さらには、エージェントKが本来設置するはずだったシステムが設置されなかったことにより、地球はボリスと同じ異星人であるボグダイト星人達の侵略を受ける事態に発展してしまったのです。
エージェントJの言動を分析したエージェントOから、タイムトラベルによる歴史改変が行われたことを知ったエージェントJは、エージェントKが殺された1969年7月16日の1日前にタイムスリップし、改変させられた歴史を修正するべく奔走することとなるのですが……。
「MIB/メン・イン・ブラック」シリーズでお馴染みとなっている要素は、今作でも全て登場しています。
やたらと饒舌でマシンガントークを繰り出しまくるエージェントJと、逆に寡黙かつ無愛想で淡々と受け流しまくるエージェントKの掛け合い漫才は健在ですし、ニューラライザーに代表される超ハイテク機器やエイリアン達のユニークな造形も相変わらずだったりします。
また今作は1969年が物語中盤以降で舞台になるのですが、いかにも「発展途上」と言わんばかりの巨大なニューラライザーや携帯電話などが登場していたりします。
この辺りはまさに時代の流れを感じさせるものではありましたね。
また1969年7月16日は、奇しくもアポロ11号がNASAのケネディ宇宙センターから発射された当日でもあり、そのアポロ11号が発射される直前のロケット発射場を舞台に、エイリアン・ボリスとの最終決戦が行われることになります。
個人的には、ちょうど近作かつ同じ月面へ向かうロケット発射の描写があり、かつアポロ11号の搭乗者だったバズ・オルドリンが友情出演していた映画「宇宙兄弟」をついつい思い出していましたね。
まあ、今作と「宇宙兄弟」でロケット発射描写がカブったのは単なる偶然ではあったのでしょうけど。
そして、そのアポロ11号発射基地の警備責任者が、何とエージェントJの父親だったという設定は正直かなり驚きではありましたね。
彼が実はエージェントJの父親だったというオチはラストで判明するのですが、彼の死と、幼き日のエージェントJがエージェントKに父親の所在を尋ねるエピソードは、エージェントKのあの性格の起源としてはなかなかに上手い話の持っていき方でした。
いつものお笑いアクションコメディにこの人間ドラマの挿入は、かなり良い意味でも意外感があるのではないでしょうか?
ただ少し疑問だったのは、ボリスとの最終決戦でエージェントJが行ったようなタイムトラベルの手法が使えるのであれば、あそこで死んだエージェントJの父親も救うことができたのではないか、という点ですね。
エージェントJは、ロケット発射台で未来からやってきたボリスと渡り合った際、ボリスの攻撃パターンを記憶した上でボリス共々ロケット発射台から飛び降りを敢行し、ボリスが自分を攻撃する直前にタイムスリップを行いボリスの攻撃を凌ぐという荒業を披露していました。
しかし、あのような荒業が可能ということは、1969年と現代の往復以外でもタイムスリップが可能であるということを意味します。
となるとエージェントJは、父親が死ぬ直前まで再度タイムスリップを行い、死ぬはずだった父親を助けることも充分に可能だったわけです。
何なら、1969年から一旦現代に戻った直後に再度ビルから飛び降り、1969年のあの場所にまた戻ることだってできたでしょうし。
歴史の改変が実は可能であることは、他ならぬエージェントJ自身が追跡していたボリスが実地で証明してもいたわけですしね。
そもそも、本来の史実では月面の牢獄に閉じ込められる予定だったはずの(1969年当時の)ボリスが、父親が殺害された直後にあの場でエージェントKに殺害されていて、それだけでも完全に歴史が変わってしまっていましたし。
作中で登場していた「未来の可能性を観る能力」を持つグリフィンは、その死がまるで避けられない運命であるかのごとき発言を行っていましたが、タイムトラベラーによって歴史が変えられる現実が作中で明示されている中で、それはあまりに説得力がなかったのではないかと。
この辺りは、タイムトラベルをエンターテイメント作品で扱うことの難しさを示すものでもありますね。
タイムトラベルは、その万能性故に何でもできることで「色々な見せ方ができる」という利点があるのと同時に、「こういう使い方もできるのに何故そうしないの?」というツッコミどころも多々生まれるという欠点をも併せ持っているのですから。
「MIB」シリーズのファンという方ならば、まず観に行って損はしない映画ではないかと。