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2012年06月09日の記事は以下のとおりです。

育児休暇取得忌避に見られる「男女平等」の歪み

「妊娠した女性は、育児休業を取らずに退職して欲しい」と考えている企業が25%に昇るとする求人広告アイデムの調査結果が波紋を呼んでいます。
背景には、社員が育児休暇を取得すること疎んじる企業経営側と、交代要員もなく過重労働を強いられる社員側の利害があるとのことで、かなり根深い問題ではありますね↓

http://megalodon.jp/2012-0609-0349-31/www.j-cast.com/kaisha/2012/06/08135021.html?p=all
>   「妊娠した女性は、育児休業を取らずに退職して欲しい」と考えている企業が25%にのぼるとした調査結果に、波紋が広がっている。求人広告のアイデムが、正社員が6人以上いる1439社からインターネットを通じて回答を得たものだ。
>
>  
男性正社員の育休取得を「容認できない」とした企業も16%あった。急速に進む高齢化が社会不安を高めている中で、働きながら出産や子育てを行う女性や、それを支えようとする夫を疎んじる会社があるのが実態のようだ。
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> ムカつく独身OL「育休取った同僚のせいで婚期遅れた」
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>  ネットにはこの結果に対し、実際にはもっと多くの企業が育休取得を快く思っていないはずだ、という書き込みが見られる。
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> 「『本音』を言ったのが25%のみ、という調査結果」
> 「むしろ正直な企業が25%しかないってことだろう」
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育休取得を冷ややかに見ているのは、人の穴埋めに苦心する経営者や管理職だけではない。交代要員が配置されない場合、職場では仕事量が増えてフラストレーションが高まる。連続して子どもを産むと、産休、育休で何年も姿を見ないこともある。
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>  ネットメディア「ガウ!マガジン」は、「『育児休暇を取らないで』が25%!子持ち同僚にムカつく事4選」という記事を掲載し、職場に残る独身OLの苛立ちを紹介している。
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>  まっさきにあがっているのは、「婚期が遅れるのも“育児休暇”のせい」という声だ。同僚が自分より先に結婚・出産したために仕事が激増し、出会いが遠のいて婚期が遅れてしまったと嘆く31歳女性(保険会社勤務)の声を紹介している。
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> 「のんきに子どもの写メールを送ってくるA子に腹が立ってしかたありません。復職後、仲良くやっていけるか心配です」
>  こういう人に限って、自分が出産するときには「目いっぱい休まなければ損」とばかり、育休を最大限に活用する気がするのだが…。

企業の育児休暇に対する忌避傾向は、女性の社会進出を「安価な労働力が確保できる」と安易に賛同・推進してきたツケが回ってきた結果でもあります。
女性に出産の問題があり、女性の労働力を取り込むためには出産に纏わる様々な事象に配慮する必要があることなど、企業側も最初から分かっていたことのはずです。
にもかかわらず、「利益は享受したいがリスクは背負いたくない」と言わんばかりに育児休暇を忌避し、その挙句に社員にそれを押し付けるという構図は正直どうかと言わざるをえないところです。
そもそも、子育ての観点から見ると、現行の育児・介護休業法で定められている1年の育児休暇ですら実は不十分もいいところなのです。
「三つ子の魂百まで」という格言にもあるように、生まれてから3年以内の育児は、その子供の性格形成や成長、ひいてはその後の一生に重大な影響を与えます。
それを考えれば、出産から始まる育児休暇の期間は最低でも3年、できれば5年は必要と見るのが妥当なところでしょう。
もちろん、現行の育児休暇にすら難色を示す企業にそんな負担が耐えられるわけもないのですが。
人間の育児というのはそれほどまでに手間暇がかかるものである、という事実自体を知らない人というのはそうそういるものではないでしょう。
しかし一般社会では、その大変な子育ての実態をどうにも甘く見過ぎているような風潮が多々あるのではないかと思えてなりませんね。
だから安易に女性の社会進出が叫ばれたり、今回のような育児休暇に対する忌避感が露呈したりといったギャップが生まれたりもするわけなのですが。

社員による育児休暇の取得を忌避する傾向があるのは、性別で見ると意外にも女性の方が多いとのことです。
何でも、育児休暇で生じた穴を埋めるために過重労働を強いられる傾向があるからなのだそうです。
しかしこういう話を聞くと、「女性にとっての最大の敵は女性自身である」という言葉は案外真実を突いているのかもしれないとつくづく思えてきますね。
育児休暇によって他の社員の負担が増大するというのは、基本的には企業側の責任であるはずです。
育児休暇によって空いた人材の穴を埋める体制を整えず、現行の社員だけで回していくような負担を強いる企業こそが、本来最も責められるべき対象なのです。
にもかかわらず、その企業は全く責めることなく、同じ被害者であるはずの女性を目先の事象で責める辺りは、何とも短絡的と言わざるをえないところです。
そんなことをしたところで、物事の本質は何も解決しないのですし、それで本当にほくそ笑むのは、自身の責任追及を免れるばかりか正当化すらされる企業でしかないのですが。
あまつさえ、今の会社や社員の間では、女性の出産や育児休暇を非難する「空気」すらあるのだとか。
出産は本来めでたいことであるはずなのに、それを歓迎しないどころか白い目で見たり退職の圧力をかけたりするなど、社会として何か間違っているとしか思えないのですが。
子供ってそこまで害悪であり、社会にとって邪魔な存在だというのでしょうか?

現在叫ばれている女性の社会進出や男女平等という概念に、私がどうにも懐疑的・否定的にならざるをえないのは、結局のところその副作用が一番弱い立場にある子供を直撃するからです。
この手の問題はとかく「男女間の対立」や「女性の権利伸張」という観点のみで語られる傾向が多く、物言わぬ子供の問題は軽視・無視どころか、下手すれば「女性の敵」「社会のお荷物」であるかのごとき扱いすら受けることがあります。
特に育児の問題などは、性差から来る適性の違いをも無視して、女性が男性にその負担を無条件に押しつけようとする傾向すら垣間見られる始末ですからね。
そりゃ少子化だって改善どころかさらに悪化もしようというものです。
男女それぞれの適性と個性に合致し、かつ子供にも負担をかけることのない「本当の男女平等」のあり方というものを模索することはできないものなのでしょうかねぇ……。

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