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2012年06月18日の記事は以下のとおりです。

映画「スマグラー おまえの未来を運べ」感想(DVD観賞)

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映画「スマグラー おまえの未来を運べ」をレンタルDVDで観賞しました。
2011年10月に劇場公開された邦画作品で、月刊アフタヌーンの2000年5月号~8月号まで連載されていた真鍋昌平原作の同名漫画の実写映画化作品。
作中では殺し合いや拷問描写などが延々と続くこともあり、映画館ではPG-12指定されていました。

今作の主人公……のはずの砧涼介は、かつてとある劇団に所属して役者を志していたものの、劇団を辞めて今では自堕落な生活を送っているフリーター。
その自堕落な生活が災いし、彼は多額の借金を背負わされた挙句、その返済のために「スマグラー」という名の運び屋の仕事を強制的にやらされることとなります。
「スマグラー」は、ヤクザ同士の組織抗争の際に発生した死体などを、人の目の届かない場所に運んで処理をしたり、指定された場所まで運送したりする「非合法的な裏稼業」を主な生業とするグループです。
「スマグラー」の構成員は、「スマグラー」のリーダー格で凄腕のプロ的な雰囲気を醸し出している花園丈(通称「ジョー」)と、そのジョーの下で働く塚田マサコ(通称「ジジイ」)に砧涼介を加えた総計3名。
この「スマグラー」に、同じく裏家業の便利屋を営んでいる山岡有紀が運び屋の依頼をするという形で物語は進行していきます。

砧涼介の「スマグラー」での初仕事となったその日も、「田沼組」と呼ばれるヤクザの組長を含めた集団を襲撃し皆殺しにした中国人の凄腕殺し屋2人組の後始末をするよう依頼が舞い込んできていました。
輸送する荷物の中身をこっそりと確認し、刺青がびっしり入った死体と対面する羽目になってショックを受ける砧涼介。
しかし、既に多額の借金を背負っている身としては今更引き返すこともできず、彼は嫌々ながらも「スマグラー」としての仕事に従事することに。
人気の無い場所で死体を処理すべく移動し、やがて目的地に到着するという段になって、「スマグラー」に試練が訪れます。
不法投棄がないかパトロールしていた警官達に、ふとしたことから職質を受ける羽目になってしまったのです。
荷物の確認を行うから中身を見せろと迫る警官達に対し、懐から密かに銃を取り出し始末しようとするジョー。
しかし、そこで砧涼介の役者としての経験を生かした機転が功を奏し、警官達は荷物の中身を確認することなく、その場を後にするのでした。

一方、組長を殺されてしまった田沼組では、組長の仇を取らんと組織子飼いの組員達が気勢を上げていました。
彼らは死体処理を「スマグラー」に依頼していた山岡有紀の事務所に殴りこみをかけ、3日以内に組長を殺した下手人を捕らえろ、さもなければ……と脅迫するのでした。
仕方なく山岡有紀は、下手人である中国人殺し屋の2人組である「背骨」と「内臓」を捕縛すべく作戦を展開。
2人が所属する中国系マフィア「死海幇」の構成員で、砧涼介を借金地獄に陥れた元凶でもある張福儀の協力を得、2人に毒を飲ませると共に仲間割れさせることに成功します。
結果、「内臓」は死亡し、「背骨」も捕縛されることに。
そして山岡有紀は、2人の護送を当然のごとく「スマグラー」に依頼するのでした。
護送する際に何故か一緒に乗り込んできた組長の妻・田沼ちはるも同乗する形で、「スマグラー」は運び屋としての仕事を始めることになるのですが……。

映画「スマグラー おまえの未来を運べ」は、とにかく最初から最後までバイオレンスな描写のオンパレードですね。
「背骨」と「内臓」の殺し屋2人組が田沼組を壊滅させるところから始まり、「背骨」と「内臓」の仲間割れ、田沼組組員の拷問描写と、バイオレンスな描写が満載です。
特に、自らの失態から「背骨」を逃がしてしまった砧涼介が「背骨」の身代わりとして田沼組に引き渡され、拷問されるシーンに至っては、物語後半のかなりの時間を割いて延々と描写されていました。
色々とカメラアングルを駆使して具体的な描写ははっきりと映し出していなかったとはいえ、よくもまあPG-12指定で済んだよなぁ、と逆に感心させられてしまったところでした。
また、作中では「伝説の殺し屋」と称されている「背骨」の強さがおよそ尋常なものではなかったですね。
いくら奇襲をかけたからとはいえ、田沼組と死海幇という2つの裏稼業組織を1人で壊滅させてしまっていますし(前者の際は「内臓」も一緒でしたが、「内臓」は「背骨」のサポートに徹していてあまり目立っていませんでした)、物語終盤でマシンガンを持ったジョーと対峙した際には、マシンガンの弾を微速度撮影のごとき驚異的な動作で全てかわしきっていました。
殺し屋なのですから、人間を一瞬で殺せる技能自体は持ち合わせているにしても、至近距離でぶっ放されるマシンガン相手にあの動きというのは、さすがに人間の領域を超越しているとしか評しようがないのではないかと(苦笑)。

人間ドラマ的に見ると、主人公であるはずの砧涼介を、言葉が荒く無愛想な花園丈ことジョーが食ってしまっているような感がありありでしたね。
カッコ良さから言えば、ラストくらいしか見せ場がない砧涼介よりも、山岡有紀や田沼ちはるとの駆け引きじみた会話を何度も展開している上に「背骨」との対決シーンもあるジョーの方に圧倒的な軍配が上がりますし。
また、物語後半に砧涼介を延々と拷問にかける田沼組の組員・河島精二も、拷問役としてはなかなかに良い味を出していました。
拷問を進める過程でわざわざ服装を変えてきたり、拷問行為自体にエクスタシーを感じたりする「壊れたキャラクター」ぶりを完璧に演じきっていましたし。
他にも、実は組長殺しの元凶でもあり常に冷徹な態度を崩さないながらも、誰も見ていないところで素の自分を見せる田沼ちはるや、悪人であるが故に逆に信用できるとジョーが評価する山岡有紀など、映画「スマグラー」の登場人物は「悪であるが故の魅力」というものを前面に出しているキャラクターばかりですね。
だからこそ、主人公である砧涼介がそれらに埋もれて目立たなかったりもするのですが。
彼にもラストには一応見せ場もあるのですが、どうにも今ひとつな感がねぇ……。

日本映画では結構珍しいバイオレンス作品なので、観る人が観たら結構楽しめるのではないかと思います。

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