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2012年06月25日の記事は以下のとおりです。

映画「LOVE まさお君が行く!」感想

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映画「LOVE まさお君が行く!」観に行ってきました。
テレビ東京系列で2010年3月まで放映されていた番組「ペット大集合!ポチたま」に出演していたラブラドール・レトリバー犬の「まさお君」と、番組開始当時は売れないお笑い芸人だった松本秀樹に纏わる実話を元にした映画作品。
作中の松本秀樹役は香取慎吾が演じているのですが、松本秀樹本人も友情出演的な扱いながら登場していたりします。
また、「ペット大集合!ポチたま」と同じくテレビ東京系列の番組「ちゃたろうの旅」に出演しているエアデール・テリア犬「ちゃたろう」と篠山輝信も、同じくチョイ役ながら出演しています。
この辺りは、同一テレビ局ならではのシャレが効いたサプライズ企画と言えるところでしょうね。

東京タウンテレビ(TTV)では、新番組企画として浮上した「犬と人間が全国各地を旅する番組」の進行役を探していました。
製作費を極力抑えるという番組ディレクター・河原茂雄の意向により、犬は動物プロダクション「WAN NYAN」で貸し出しを行っている犬の中で最も安い価格がつけられていたラブラドール・レトリバーの「まさお君」が、人間はとある芸能事務所で仕事もなくクダを巻いていた売れない芸人・松本秀樹が抜擢されます。
この1匹とひとりの珍妙なコンビが、今作における実質的な主人公となります。
漫才コンビとしてデビューしたのは良いものの、芸人として大成できず、漫才コンビ解消の危機にまで直面していた松本秀樹は、番組進行役の抜擢を受けて当初は当然のごとく大喜びします。
しかし、肝心の相方が犬で、しかも犬が主役の番組であることを知らされたことで、松本秀樹は一転して不満を抱くことになります。
松本秀樹的には、自分の1日当たりのギャラが「まさお君」の貸し出し料金より低いことも不満の種であったようですが(苦笑)。
番組収録自体も最初はボロボロで、ボールを投げて犬がそれを追いかける定番のシーンで「まさお君」が寝そべっていたり、商店街の取材で果物屋?に商品を陳列している置き台に「まさお君」が突っ込んで果物類をバラバラに転がしてしまったりと、ひたすらトラブル続き。
しかもそれでいて番組の評判は全く芳しいものなどではなく、寄せられてくるFAXなどの手紙は苦情やクレームのような反応ばかりという惨状を呈する始末。
しかし、「まさお君」と松本秀樹が互いにじゃれあっているように見える光景を見て、スタッフ達は一縷の希望をそこに見出すのでした。

一方、松本秀樹は私生活面でも問題を抱え込んでいました。
「まさお君が行く!」の番組に出演している最中に、黒人だったらしい漫才コンビの相方がアメリカに帰国してしまい、漫才コンビが正式な解消を余儀なくされてしまいます。
しかも追い討ちをかけるように、長年同棲してきた須永里美には「実家でホテルの稼業を継ぐから」との理由で別れを告げられてしまいます。
松本秀樹は、芸人として大成する夢と伴侶の双方を一挙に失ってしまったも同然の事態に陥ってしまうのでした。
そんなある日、海岸で行われた「まさお君が行く!」番組収録の際、松本秀樹は崖下に落ちていったフリスビーを取ろうとして崖から落っこちてしまいます。
番組スタッフ達が慌てて現場へ向かおうとする中、誰よりも早く反応して松本秀樹の下へと駆けつけたのは、常日頃はなかなか言うことを聞かずに寝そべっている「まさお君」だったのです。
これがきっかけとなり、松本秀樹は「まさお君」に親愛と友情に近い感情を抱くようになり、コンビとして上手く機能するようになっていきます。
それに伴い、番組に寄せられる反応も、苦情やクレーマーじみたものから少しずつ好意的なものが混ざるようになっていき、番組開始から1年後には全国ネットでの放映が決定するにまで至りました。
そして、松本秀樹と「まさお君」の関係は、誰もが羨む理想のものとなっていくのですが……。

映画「LOVE まさお君が行く!」に登場する「まさお君」は、悪性リンパ腫により2006年12月9日に7歳で死去しています。
今作では、「まさお君が行く!」の番組スタートから「まさお君」が亡くなり次代の旅犬が「まさお君」の後継になるまでのエピソードが綴られており、作中ではギャグ要素も少なからず盛り込まれていたものの、基本的には感動物のストーリーとして描かれているわけです。
ただ正直、この映画でそれをやるのは、結果として少々間が悪かったのではないかと評さざるをえないところなんですよね。
現実世界で「まさお君」が亡くなった後にその後を継いで「ペット大集合!ポチたま」の顔となったのは、「まさお君」の末っ子の息子の「だいすけ君」で、彼もまた「まさお君」並の人気を博したのですが、その「だいすけ君」もまた、2011年11月29日に胃捻転による緊急手術後に容態が急変して死去してしまっています。
ところが、エンドロール後に出てくる映像では、須永里美がアパートの扉に「だいすけ君と旅をしています」という貼り紙を貼るシーンが映し出されているのです。
映画の収録時点では「だいすけ君」は生きていたでしょうから、このシーンも妥当なものではあったのでしょうが、映画が公開される時点では、「だいすけ君」が死んでいることは既に周知の事実であったはずでしょう。
「だいすけ君」の死の際にも、作中の「まさお君」の死の際と同様に多くの人達が献花のためにテレビ局を訪れ、その様子が特別番組としてテレビでも大々的に放映されていたのですから。
にもかかわらず、この映像をわざわざそのままにしておく、というのは正直理解に苦しまざるをえないところなのですが。
ちなみに、現在の旅犬は「まさお君」の母犬が産んだ「まさはる君」が3代目を襲名し、2012年6月6日にBSジャパンの番組「まさはる君が行く!ポチたまペットの旅」にてデビューを果たしています。
「だいすけ君」も亡くなってしまった今となっては、あのエンドロール後の映像は完全に削除するか、でなければラストの映像を差し替えて「まさお君とだいすけ君に哀悼の意を表します。現在はまさはる君と旅をしています」的なものにでも改めた方が良かったのではないかと思えてならないのですけどね。
それとも、実はこの後に今度は「だいすけ君」をモデルにした「LOVE だいすけ君が行く!」的な続編でも企画されていて、それにバトンタッチをする意味合いで、あの映像をあえてそのまま残していたりするのでしょうか?
続編構想が明確なものになっていない現状であの映像は、ファンにとってもかなりのミスマッチ感が否めないのではないかと。

それにしても、この手の犬やネコなどの動物(というかペット?)を扱う話では、必ずと言って良いほどに「動物の死とそれに直面する人間」というものが描かれますね。
去年観賞した映画「わさお」「星守る犬」「ロック ~わんこの島~」などでも、何らかの形で「犬の死」が描かれていましたし。
確かに現実問題として、人間よりも寿命が短い犬やネコは、人間側が不慮の事故等で早死にしない限りは人間よりも早く死ぬことが運命付けられているわけですから、そんな事態が起こること事態にはある種の必然性というものはあるでしょう。
犬猫好きが揃っている私の実家や親戚一家でも、飼い主に先立って様々な要因で他界していったペット達を少なからず看取ってきた歴史があるのですから。
しかし、映画作品でそういう要素を盛り込むのは、確かに涙なくしては語れない感動的な話にできるという側面もある一方で、爽快感を求める観客を遠ざけてしまうという諸刃の剣的な一面も多々あるのではないかと思うんですよね。
他ならぬ私自身、かつてはこの「動物の死」が必ず盛り込まれている構図がイヤだったことから、ペット物の映画作品を敬遠していたことがあるのですし、同じことを考える人は意外に少なくないのではないかなぁ、と。
「動物の死」を描くことなく動物を扱った作品を描くというのは決して不可能ではないと思うのですが、そういう作品がなかなか出ないのって一体何故なのでしょうかねぇ(-_-;;)。

ペット好きな人や番組および「まさお君」ら旅犬シリーズのファンの方々であれば、問題なく観賞できる作品だと思います。
実写版「こち亀」シリーズにおける香取慎吾のハイテンションなオーバーアクションぶりにドン引きしたという人でも、今作ならば問題なく観賞できそうな気がしなくもないのですが(^^;;)。

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