垂直離着陸機V-22オスプレイが沖縄の米軍基地に配備される問題で、日本国内では激烈な反対運動および報道が行われています。
この手の反対派によるオスプレイ配備反対の理由としては、「事故率が高い」「騒音が酷い」といったものがよく掲げられています。
しかし実際のところは、「その性能が他国、特に中国にとって脅威となるのが、他国および他国の利益を代弁する人達にとって都合が悪い」というのが、彼らの偽らざる本音だったりするのではないのでしょうか?
そもそも、垂直離着陸機V-22オスプレイは、その事故率からしてドーピング紛いの報道が行われている始末です。
今回日本に配備される垂直離着陸機V-22オスプレイは、海兵隊所属の機体として開発された「MV-22」という機種になります。
これは海兵隊の人員・物資輸送を目的としており、既に退役が始まっているCH-46シーナイトの後継機種として導入されるものです。
このMV-22は、10万飛行時間当たりの事故件数を示す「事故率」は1.93とされています。
これは、海兵隊所属のヘリを含めた航空機全体の平均事故率2.45よりも低い数値であり、安全性という観点から言えば、MV-22は何の問題もない機体と言えるでしょう。
「オスプレイの事故率が高い」として盛んに喧伝されているのは、実は同じ「オスプレイ」でも海兵隊所属のMV-22ではなく、空軍所属で特殊部隊の特殊な作戦向けに製造された「CV-22」なのです。
CV-22は「オスプレイ」の機体の中でも最新の部類に入るもので、まだ飛行時間がそれほど長くないこと、また過酷な作戦に対応した性能が求められ運用も通常より厳しい環境下で行われることから、その事故率は13.47とかなり高めではあります。
しかし、オスプレイに限らず、最新鋭の機体に事故が多いこと自体はごく普通にあることです。
事故率というのは、配備当初は製造時の不具合や不慣れな運用などで激増する「初期故障期」の後、偶発的な事故のみに終始する「偶発故障期」、部品の摩耗や劣化による寿命に由来する「摩耗故障期」の3つでそれぞれ増減します。
事故率は基本的に、初期故障期と摩耗故障期に高く、偶発故障期に低くなる「バスタブ曲線」を描く傾向にあり、それから考えれば、新型な上に特殊用途に使用されるCV-22の事故率が高いのは「初期故障期」ならではの副産物であると見做すことができるでしょう。
そのCV-22の事例を、既に長年運用されていて事故率が低い「偶発故障期」に入っているMV-22と同列に並べるのは、技術の性質と事故率の本質というものがまるで理解できていないことの証左と言えるでしょう。
またオスプレイは技術的・運用面での改良の余地を残しており、これからの改良と技術革新でさらなる安全性の向上と事故率の低下が期待できます。
それに対して、既に退役に入りつつあるCH-46シーナイトは、これから「摩耗故障期」に突入する上、部品の供給自体も減少傾向へと向かうこととなるため、今後事故率が急上昇する事態も予想されます。
将来的な危険性で言えば、オスプレイよりもむしろ既存のCH-46シーナイトの方がはるかに問題であると言えるでしょう。
またアメリカでは、大統領のスタッフや報道陣の国内移動の手段として、2013年の夏からオスプレイが活用されることが決定しています。
http://megalodon.jp/2012-0726-2020-22/sankei.jp.msn.com/world/news/120710/amr12071021460007-n1.htm
> 【ワシントン=佐々木類】米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備が予定されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが2013年夏から、大統領に随行するスタッフや報道陣の国内移動に使われることが分かった。米軍関係者が9日、明らかにした。最大限の安全確保が要求されるワシントン上空での運用に関し、米軍が太鼓判を押した形だ。
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> 大統領は通常、出張や遊説で国内を移動する際、ワシントン郊外にあるバージニア州クワンティコ基地の第1海兵ヘリコプター飛行隊が運用する特殊内装の大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」を使用。ホワイトハウス敷地内から搭乗し、メリーランド州のアンドリュー空軍基地で大統領専用機(エアフォースワン)に乗り換える。
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> シークレットサービス(大統領警護官)やホワイトハウスのスタッフ、メディアの代表取材陣は、国防総省付近で海兵隊運用のCH46Eシーナイトに乗り込み、マリーンワンを追いかけるように編隊を組んでいる。
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> 米軍関係者によると、このCH46E運用について、海兵隊は13年夏にオスプレイに交代させる方針。ホワイトハウス近辺でオスプレイが飛び回る決定を下したのは、老朽化したCH46Eと比べ、安全かつ大量の人員輸送が可能と判断したためだ。
>
> 一方、オスプレイが普天間飛行場に配備される理由も、朝鮮半島有事や尖閣諸島など離島防衛の対処能力のほか、同飛行場所属のCH46Eが老朽化して、航続距離や輸送人員などの性能で上回るオスプレイに入れ替える必要があるからだ。
>
> 大統領随行のスタッフらの移動にオスプレイを活用することは、安全運用に対する米軍の揺るぎない自信の裏付けにほかならない。
一般的な住宅地や商業施設などよりも安全性が要求されるアメリカの首都ワシントンの上空で、しかも大統領スタッフ達の移動にオスプレイが使われることからも、その安全性が伺えるのではないかと。
アメリカにしてみれば、既存のヘリよりもオスプレイの方が安全と考えているのに、日本のマスコミや反対派は、退役予定のヘリに縋って「オスプレイは危険だ!」と叫びまくっているわけです。
何と滑稽な話であることか、とつくづく考えずにはいられませんね。
また、オスプレイの問題で何かと喧伝される騒音についても、こちらはアメリカで行われた環境影響報告(環境アセスメント)で、既存のCH-46よりも飛行中の騒音は静かであるという結果が出されています↓
着陸時は若干高い騒音になるそうですが、オスプレイが配備される基地の周辺住民にとっては、飛行中の騒音こそが重要でしょう。
そちらの騒音が低いのであれば、むしろ騒音対策としてもオスプレイを導入すべき、ということになるはずなのですが。
そして騒音問題についてもまた、新技術のオスプレイには今後の改善の余地が残されているのです。
既に退役が進みつつあるCH-46で、今さら騒音対策が進むとはとても考えられないのですし、この方面でもオスプレイを拒絶すべき理由はないでしょう。
そもそも、沖縄米軍基地の騒音問題は、どちらかと言えばオスプレイそのものよりも政治に帰するべき問題でもあるでしょう。
自民党政権時代に進められていた辺野古への米軍基地移転が、民主党のルーピー鳩山による愚行で破綻に追い込まれなければ、オスプレイ云々以前に米軍による騒音問題そのものが大きく解消されたであろうことは確実だったのですから。
民主党に責任が求められるべき騒音問題をオスプレイに擦りつけられるのでは、オスプレイも米軍も迷惑極まりない話でしょうに。
騒音でも事故率でも問題ないはずのオスプレイの日本配備が何故連日マスコミで喧伝され、バッシングの憂き目にあうのか?
その真の理由は、オスプレイの持つ性能が「中韓朝な国々」にとって脅威だからです。
オスプレイは既存のヘリと比べて速度が速い上に航続距離も1.5~2倍近くあり、航空機とヘリ双方のいいところ取りを実現した機体となっています。
このオスプレイの素晴らしい性能と作戦行動範囲は、しかし一方でその脅威に晒されることになる他国にとってはまさに厄介な存在なのです。
その本音を、およそ語るに落ちた形で露呈しているのが、以下の記事だったりします↓
http://megalodon.jp/2012-0726-2019-47/mainichi.jp/area/nagasaki/news/20120722ddlk42010252000c.html
> 県平和運動センターと佐世保地区労は21日、佐世保市中心部の松浦公園で、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの日本配備に反対する集会を開いた。約300人が参加し、墜落事故を繰り返しながら配備を強行しようとする米軍と、米軍の意向を拒否できない日本政府を批判。集会後は市内をデモ行進した。
>
> 集会で、同センターの川原重信議長が「欠陥機の配備は、国民の命を軽んじる許されない行為だ。沖縄や全国の仲間と連帯しよう」と訴えた。一方、米海軍佐世保基地にオスプレイが搭載可能な強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」が配備されていることについて、米軍を監視する市民団体「リムピース」の篠崎正人編集委員は「航続距離の長いオスプレイの運用で作戦範囲が無制限に広がる可能性がある。平和に暮らしたいという私たちの願いと真っ向から対立する」と指摘した。
確かに航空機やヘリの航続距離が長ければ作戦範囲が拡大するのは事実ですが、それが何故「平和に暮らしたいという私たちの願いと真っ向から対立する」ことになるのでしょうか?
昨今話題となっているオスプレイの事故率や騒音の問題とは何の関係もない上に、別にミサイルなどのように民間人を直接殺傷する兵器というわけでもないというのに。
航続距離が長いということは、長時間の飛行と長距離の移動が可能になるということでもあり、それは別に戦争のみならず一般的な人員・物資輸送や災害派遣などでも有効活用できるものであるはずなのですが。
というか、彼らの主張によれば「事故率が多く危険」とされているはずのオスプレイは、航続距離が長い云々以前に、そもそも兵器として有効活用できないのではありませんかね(苦笑)。
一方では「航続距離が長い」と有用性を認めていながら、他方では「事故が多く危険」と欠陥があることを強調するのは矛盾しているでしょうに。
結局、オスプレイの日本配備に反対している人々は、以下のような図式を中韓朝の立場から脅威に感じているだけでしかないということですね↓
オスプレイの実態とこの図を見てもなお「日本への配備反対!」を叫ぶ人達は、「戦争」の二文字で思考停止する絶対的平和主義者か、全て承知の上での確信犯で運動に邁進している自称プロ市民の類でしかありえないでしょう。
特定の国の利益に奉仕する運動それ自体が目的化している、硬直しきった左翼運動の典型でしかありえませんね、これでは。
オスプレイ日本配備に纏わる反対運動は、「この世には絶対に事故を起こさず騒音も一切発生させない飛行機やヘリが実在し、かつ現時点の運用ではそれが実現されている」などという、当の反対論者ですら全く信じていないであろう前提で行われているとしか思えません。
反原発運動と同じく、現実を一切直視せず、非現実的な理想という名の妄想をベースに、しかも代案もなしに非難のための非難を繰り広げている以外の何物でもないではありませんか。
しかも、日本やアメリカばかり論う一方で、中国や韓国などの外国の問題については全く何も言及しないところも見事なまでに一貫していますし。
中韓朝の利益を代弁し九官鳥のごとく同じことを鳴き喚く、日本の大手マスコミや自称プロ市民な方々の言動は、眉に唾をつけて観察する必要があるのではないでしょうか?
特に今回のように、大手マスコミが総出かつ横並び的な論調を展開している場合はなおのこと。
政治や社会運動では、たとえどんな愚論であっても「声が大きい」「皆がそう言っている」というだけで「空気」になるのですから。
そんなシロモノに振り回され、国益や国民の生活が脅かされるような事態は勘弁願いたいものです。