エントリー

2012年10月の記事は以下のとおりです。

映画「ボーン・レガシー」感想

ファイル 763-1.jpg

映画「ボーン・レガシー」観に行ってきました。
マッド・デイモンが演じるジェイソン・ボーンが活躍する「ボーン」シリーズ3部作の裏で同時進行していた、CIAの計画を巡る戦いを描いた作品。
今作ではジェイソン・ボーンは顔写真と名前のみの登場となっており、代わりにジェレミー・レナーが扮するアーロン・クロスが主人公を担っています。
なお、今作は映画「エージェント・マロリー」との2本立てで同日観賞しています。

物語の冒頭では、酷寒のアラスカの山岳地帯で過酷な訓練に従事しているアーロン・クロスの姿が映し出されています。
彼は定期的にブルーとグリーンの薬らしきものを服用しながら、川潜りや登山に精を出しています。
一方その頃、CIAは、組織の極秘プログラムである「トレッドストーン計画」および「ブラックブライアー計画」を暴露する記事をイギリスの新聞に掲載しようとしていたサイモン・ロスという記者の抹殺に動き出します。
そして、狙撃手の遠隔狙撃でサイモン・ロスを即死させてしまうCIA。
このサイモン・ロスの死は「ボーン」シリーズ3作目の「ボーン・アルティメイタム」でも描写されており、ここから「ボーン」シリーズと同時進行していることが判明するわけですね。
さらにCIAは、これ以上自分達の極秘プログラムの情報が外部へ流出するのを防ぐべく、暴露された2計画と並行して推進されていた「アウトカム計画」を抹消することを決定します。
「アウトカム計画」とは、薬を使って人間の肉体強化と人格改造を行う一方、相手を薬漬けにすることで裏切りを抑止する兵士だか暗殺者だかを作り出すという内容の極秘プログラムです。
CIA本部は、「アウトカム計画」に関わった全ての人間を抹殺することで、「アウトカム計画」の存在そのものを闇に葬り去ることを画策するのでした。
抹殺の対象は、「アウトカム計画」で肉体強化を施された数人の被験者と、「アウトカム計画」に必要なブルーとグリーンの薬を製造している薬品会社の研究員達。
そして、冒頭に登場していたアーロン・クロスもまた、「アウトカム計画」によって肉体強化が施された、コードナンバー5と呼ばれる存在なのでした……。

アラスカの雪山で登山を続けていたアーロン・クロスは、「アウトカム計画」の要となるブルーとグリーンの薬を密かに隠蔽しつつ、自分の同じ雪山で小屋を構えていたアウトカム計画のコードナンバー3と接触し、薬を分けてもらおうとします。
ところが、既に2人はCIA本部によって抹殺の対象とされていたのでした。
雪山の小屋には無人航空機MQ-9リーパーが派遣され、そのミサイル攻撃によってコードナンバー3は小屋諸共に爆砕されてしまいます。
たまたま運良く難を逃れることができたアーロン・クロスは森の中へと逃れ、MQ-9リーパーを狙撃銃で撃墜。
さらに、自分の腹の中に埋められていたカプセル型の超小型発信機をナイフで取り出し、森の中に自分に襲い掛かってきたオオカミの口の中へ放り込みます。
最初の機体の撃墜を受けて新たに派遣されてきた2機面のMQ-9リーパーは、発信機を抱えているオオカミに照準を合わせてミサイルを発射し、CIA本部ではその発信音が途絶えたことでターゲット殺害に成功したと確信するのでした。
MQ-9リーパーの脅威から脱することに成功したアーロン・クロスは、薬を調達すべく、「アウトカム計画」に必要な薬を製造した薬品会社の関係者の元へと向かうことになるのですが……。

映画「ボーン・レガシー」は、これまでの「ボーン」シリーズ三部作を全て観賞していることを前提とした作品であり、作品単独では意味が分からない用語も少なからず登場します。
冒頭にも出ていた「トレッドストーン計画」および「ブラックブライアー計画」は、「ボーン」シリーズの2作目と3作目でその存在が明らかとなっており、その詳細もそちらで説明されているのですが、今作の中ではただ存在が明示されているだけで復習的な内容の解説もなし。
もちろん、「ボーン」シリーズで主役を張ってきたジェイソン・ボーンについても同様です。
これから考えると、今作は既存の「ボーン」シリーズ三作品「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」を全て観賞し、その内容を完全に把握していることが前提の作品であると言えます。
サイモン・ロスの件と併せて考えても、今作がまさに「ボーン」シリーズ本編と同時並行して進行していることが明示されていますし。
「ボーン・レガシー」を観賞するのであれば、過去作を復習してから臨むことをまずはオススメしておきます。

今作のストーリーは、どことなく「ボーン」シリーズ1作目「ボーン・アイデンティティー」に近いものが結構ありましたね。
主人公が逃避行の中で出会った、薬品会社の女性研究員マルタ・シェアリングがヒロインで、かつ2人一緒に戦いつつ恋仲になっていき、最後はアメリカ国外の町(フィリピンの漁村?)でひっそりと生活を始めるという流れは、「ボーン・アイデンティティー」のジェイソン・ボーンとヒロインであるマリー・クルーツの関係を髣髴とさせるものがあります。
また、アーロン・クロスは元々イラク戦争で戦死したことになっていたアメリカ軍兵士で、CIAによって新たな身分が与えられたという設定も、ジェイソン・ボーンのそれとカブるものがありました。
もっとも、こちらはCIAの計画自体が似たり寄ったりなシロモノばかりだったという事情も影響しているでしょうし、アーロン・クロスの場合はジェイソン・ボーンと違って「過去の記憶」まで失われてはいなかったのですが。
ちなみに「ボーン・アイデンティティー」のマリー・クルーツは、2作目の「ボーン・スプレマシー」の序盤であっさりと殺害されてしまうのですが、それから考えると、今作のヒロインであろうマルタ・シェアリングも、次回作早々に死んでしまうことになったりするのでしょうかねぇ。
「ボーン」シリーズはまだまだ続きがあるみたいですし、今後ジェイソン・ボーンが再登板する可能性もどうやらあるようですので。

今作のアクションシーンについては、さすが「ボーン」シリーズと言えるだけのものはあり、シリーズお馴染みの奇抜なアクションが作中の随所で繰り広げられています。
特にラストのオートバイを使ったアクションシーンは、これだけでも必見の価値があります。
アーロン・クロスとマルタ・シェアリングが、結果的に2人で共同戦線を張ってCIAの刺客を倒すという構図も良かったですし。
実際、今作におけるラスボスとなったCIAからの凄腕暗殺者を最終的に倒したのも、暗殺者からの銃撃を受けて負傷してしまったアーロン・クロスではなく、マルタ・シェアリングの蹴りだったりしますからねぇ。
この辺りは、昨今流行の「戦うヒロイン」の面目躍如ではなかったかと。

アクション映画好きと「ボーン」シリーズのファンの方にはオススメな映画と言えますね。

映画「エージェント・マロリー」感想

ファイル 762-1.jpg

映画「エージェント・マロリー」観に行ってきました。
アメリカ女子総合格闘技界の人気者で、スタントを一切使わずに本作に挑んだジーナ・カラーノが主演を担う、スティーヴン・ソダーバーグ監督のアクション作品。

民間のスパイ業界でも凄腕の実力を誇る、元海兵隊出身でフリーの女性スパイであるマロリー・ケイン。
物語の冒頭、彼女はアメリカ・ニューヨーク北部にある田舎町ダイナーのレストラン?で、誰かと会うために席に座っていました。
しかし、やがてレストランに姿を現した人物を見て、マロリーは舌打ちします。
それは彼女が待っていた人物ではなく、彼女の同業者のアーロンだったのです。
アーロンはマロリーと話し合うフリをして突如彼女に対し奇襲攻撃を仕掛け、両者は格闘戦を演じることになります。
この際、たまたまレストランで食事をしていたスコットという地元の若者が、先に攻撃されたマロリーを助けるべく、マロリーを羽交い絞めにしていたアーロンに後ろからのしかかります。
スコットの攻撃そのものは相手に全くダメージらしきものは与えられなかったものの、アーロンがスコットに対処した隙を突いてマロリーは窮地を脱し、アーロンを返り討ちにすることに成功。
マロリーはそのままスコットを促して車を出させ、その場を後にするのでした。
マロリーの運転で車でどこかへ向かう途上、当然スコットは、何故マロリーがあの場で襲われたのかについて説明を求めます。
それに対し、マロリーは回想を交えつつ、何故あの場面に至ったのかについての経緯を解説していくのでした……。

事の始まりは1週間前のスペイン・バルセロナ。
マロリーは、アメリカ政府とスペイン政府の関係者による共同依頼に基づき、3人の男性工作員と共に、とあるアパートに監禁&人質にされていた、ジャンという東洋系ジャーナリストの救出の任務に当たっていました。
紆余曲折あったものの、無事に任務を遂行することに成功してサンティエゴの自宅へ戻ってきたマロリーは、その直後に今度はかつての恋人で現在は民間軍事企業のトップとなっているケネスに「バカンスのような楽な仕事」としてアイルランドのダブリンへ飛び、男性同業者のポールと共に偽装夫婦を演じてほしいと依頼されます。
言われた通りに偽装夫婦の妻役を演じていたマロリーでしたが、ミッションの内容に不審を抱いたマロリーは、ポールの隙を突いてモバイル端末から情報を盗み出し、またポールと共に参加したパーティの会場を抜け出して周辺の建物を探索したりします。
その結果、彼女はつい数日前に自身がバルセロナで救出した東洋人ジャーナリストのジャンが、眉間を打ち抜かれて死んでいる姿を発見。
しかも殺されたジャンの手には、マロリーが身に着けていたブローチが握られていたのでした。
直後にマロリーは、偽装夫婦の夫役を演じていたポールに襲撃され、かろうじてこれを撃退。
しかし、ジャン殺しの罪を着せられ、追われる身となってしまったマロリーは、自身に追われる身となりながら逃避行を続けつつ、仕事を依頼してきたケネスとの接触を図り、冒頭の田舎町へと向かったのでした……。

映画「エージェント・マロリー」は、一応スパイアクション物というカテゴリーに属する作品なのですが、作中で展開されるアクションは、基本的に殴ったり蹴ったり羽交い絞めにしたりの格闘戦が大部分を占めていますね。
銃撃シーンやカーチェイスも全くないわけではないのですが、時間的にも短く作中における扱いもあっさりしすぎな感が否めないところで。
今作で主人公マロリー・ケインを演じたジーナ・カラーノは、アメリカ女子総合格闘技界の人気者で、スタントを一切使わず、作中のアクションシーンを全て自身で演じていたのだそうで、その辺りの事情が何か関係してはいるのでしょうけど。
銃を携行して散歩していたケネスを相手にしたラスト対決では、相手もマロリー自身も銃を用意できる立場にあったにもかかわらず、それでも銃を一切使うことなく格闘戦に終始していたので、さすがに苦笑するしかなかったのですが。
そこまで格闘戦にこだわるのか、と。

しかし、今作は「結果が出てからそこに至るまでの過程を説明する」という描写を二度にわたって繰り広げているのですが、正直そのためにストーリーの流れが今ひとつ掴みづらい構図になっている感が多々ありますね。
名探偵が事件の推理を披露した後で真相を明らかにするミステリーの手法でも採用していたのでしょうが、別に名探偵がいるわけでもなく、主人公による推理が繰り広げられるわけでもないストーリー展開で、格闘戦で相手を圧倒した後で真相を公開する、という形にする意味なんて果たしてあったのかと。
序盤で観客を惹きつけるためにそういう手法を取るのはまだしも、全ての真相が明らかになる終盤でも相変わらず同じようなことを繰り返すのも、二番煎じかつ話の流れを阻害しているようにしか思えませんでしたし。
元々映画の上映時間自体が93分しかないのですし、変に真相を凝ったものにするよりも単純にアクションを楽しむだけの展開にした方が、却って観客的に分かりやすい構成になったのではないでしょうか?

今作は、ストーリーを理解しようとするよりも、ジーナ・カラーノの格闘アクションを見せるための映画、と単純に割り切った方が素直に楽しめるかもしれないですね。

ページ移動

  • ページ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4

ユーティリティ

2012年10月

- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ページ

  • ページが登録されていません。

新着画像

新着トラックバック

Re:デスクトップパソコンの買い換え戦略 ハードウェア編
2024/12/04 from refreshable braille display
Re:デスクトップパソコンの買い換え戦略 ハードウェア編
2024/11/19 from ヘッドレスト モニター 取り付け
Re:映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」感想
2014/11/27 from 黄昏のシネマハウス
Re:映画「プリンセストヨトミ」感想
2014/10/22 from とつぜんブログ
Re:映画「ひみつのアッコちゃん」感想
2014/10/19 from cinema-days 映画な日々

Feed