テレビドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」 第3話感想
最終話まで週刊連載する予定の、TBS系列の金曜ドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」。
今回は2012年10月26日放映分の第3話についての感想となります。
前回第2話の視聴率は、ビデオリサーチの調べによれば10.6%で、第1話の11.6%よりはやや下がった感じです。
まあ初回放送では、番組内容の確認や「御祝儀」的な意味合いでの視聴も多いので、元々視聴率が高くなる傾向にはあるのですが。
なお、過去の「大奥」に関する記事はこちらとなります↓
前作映画「大奥」について
映画「大奥」感想&疑問
実写映画版とコミック版1巻の「大奥」比較検証&感想
原作版「大奥」の問題点
コミック版「大奥」検証考察1 【史実に反する「赤面疱瘡」の人口激減】
コミック版「大奥」検証考察2 【徳川分家の存在を黙殺する春日局の専横】
コミック版「大奥」検証考察3 【国内情報が流出する「鎖国」体制の大穴】
コミック版「大奥」検証考察4 【支離滅裂な慣習が満載の男性版「大奥」】
コミック版「大奥」検証考察5 【歴史考証すら蹂躙する一夫多妻制否定論】
コミック版「大奥」検証考察6 【「生類憐みの令」をも凌駕する綱吉の暴政】
コミック版「大奥」検証考察7 【不当に抑圧されている男性の社会的地位】
コミック版「大奥」検証考察8 【国家的な破滅をもたらす婚姻制度の崩壊】
コミック版「大奥」検証考察9 【大奥システム的にありえない江島生島事件】
コミック版「大奥」検証考察10 【現代的価値観に呪縛された吉宗の思考回路】
テレビドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」
第1話感想 第2話感想
第3話は、江戸城の中を火の用心で歩き回っていた男が、突然木霊した赤子の泣き声に仰天し、その発生源と思しき部屋を開けた後、悲鳴を上げて逃げるという描写から始まります。
一体何のことかと思っていたら、女版家光が澤村伝右衛門に女性の髪を切らせまくっていたエピソードの一部だったわけですね。
今回のストーリーは、コミック版「大奥」2巻のP167からラストまでの話が語られており、原作2巻の話全てがこれで出揃うことになります。
今まで出番が少なかった女版家光がようやく前面に出てきて、いよいよ有功との仲を深く進展させていくことになります。
1.澤村伝右衛門が女性の髪を携えている様子を、有功が自分で直接目撃(原作では「玉栄から聞いた話」)。
2.嫌がる様子の猫の若紫を抱いて「上様」と呟く角南重郷を目撃する有功と玉栄。
3.角南重郷の切腹後、有功が夜中に念仏を唱え、角南重郷の遺体が運ばれるシーン。
4.有功が女装を命じられた際、稲葉正勝に女版家光の過去の事情を尋ねる。
5.御中臈が女装で踊る中、有功が姿を見せる前に女版家光が場の解散を命じた後、有功が女装をすることなく登場(原作では有功が女装して登場後に女版家光が場の解散を命じる)。
6.有功が女版家光の髷を切り、刀を取り上げる。
若干話を変えている部分はありますが、今回も基本的に原作の流れをそのまま踏襲しています。
それにしてもやっぱり出てきましたねぇ、猫の若紫が玉栄に殺され、角南重郷が濡れ衣を着せられるシーン。
まあ、殺された若紫の描写が猫というよりは「白いタオル」のようにしか見えなかったのは、その手の自主規制でも働いていたりしたのでしょうけど。
角南重郷の死後、その遺体に手を合わせる大奥の男衆から一人離れ、ニンマリとほくそ笑む玉栄の描写は、原作以上に悪人っぽく見えてなかなかに良かったですね。
このエピソードは、原作では徳川5代将軍綱吉の時代でも大きな伏線となって生きてきますし、当然次作映画でも活用されることになるでしょうから割愛することはできなかったのでしょうけど、内容的には何らかの規制を受けて割愛されたり大幅変更されたりしてもおかしくなかったエピソードですからねぇ。
よくまあ原作以上に忠実にこのエピソードを再現することができたものだと。
まあ、この後の女版家光のレイプ回想シーン共々、描写については可能な限りソフトなものにはなっていましたけど。
ただ、有功が結局女装をすることなく、しかも場の解散を命じた後で女版家光の前に現れるというのは、さすがにちょっとどうなのかとは思わなくもなかったですね。
あの場の有功って、明らかに女版家光の勅命に背いていることになってしまいますから、癇に障った女版家光に直接手打ちにされたり、角南重郷に対するがごとく切腹を命じたりする危険性も多大にあったのではなかったかと。
有功自身にもそうなる覚悟はあったのかもしれませんが、ここは原作通りに女装をした上で女版家光に迫っていた方が、すくなくとも表面的には勅命に逆らっていない分、安全確実だったのではないのでしょうか?
そもそも、あの場で有功がわざわざ女版家光の勅命に正面から逆らわなければならない理由自体がまるでないのですし。
このエピソードの改変って、有功というよりはそれを演じている堺雅人の事情が何か関係していたのではないかと、ついつい考えてしまったものでした。
最初から女装やゲイ的な要素を売りにしているのであればともかく、一般的には「女装をする男性俳優」なんて、似合っていようがいまいがイメージダウンもいいところでしょうからねぇ(苦笑)。
ましてや、彼には今後も次作映画およびその他の作品にも出演しなければならないのですから、なおのことその手のイメージについては気にせざるをえない部分もあるでしょうし。
まあ、もっと単純に「いくら女装メイクをしても全く板につかなかった」という事情もあったのかもしれないのですが。
次回からはコミック版「大奥」3巻のエピソードが始まることになるのですが、さてこちらはいったいどうなることやら。
3巻は寛永の大飢饉や政治の裁断など、大奥の外でのエピソードも多くなってくるのですが、今までの話では大奥以外のエピソードは可能な限り割愛していたりしますからねぇ。
さすがに3巻では無視することもできなくなってくるのではないかと思うのですが……。