映画「レッド・サイクロン」感想(DVD観賞)
映画「レッド・サイクロン」をレンタルDVDで観賞しました。
2011年にカナダで製作されたSFディザスターパニック映画。
やっぱりこれも、日本での劇場公開なしにDVDのみで日本上陸を果たした作品とのこと。
物語は、ガソリンスタンド?の車庫で何やら車の整備をしている父親と、自転車に乗ってきた息子とのやり取りから始まります。
息子の方はどこかに行かなければならない用事があるらしく、父親に外出の許可を得ようと働きかけるのですが、当の父親の方は全く意に介することなく、息子に自分の仕事の手伝いをさせようとしていました。
そこへ突然、ガソリンスタンドが大きな揺れに見舞われます。
何事かと思って2人が車庫の外に出ると、突如落雷がガソリンスタンドの看板をなぎ倒します。
あまりにも突発的の出来事に呆然とする息子と、「大丈夫か!」と駆け寄る父親でしたが、その2人の周囲では明らかに異常な放電現象が発生していました。
クルマを真っぷたつに切り裂く雷、ガソリンスタンドを駆け巡る静電気?などで、その場を逃げようとしていた2人は動きを封じられてしまいます。
そして空では赤い雲が竜巻状なものに変化し、地面に転がっていた2人を巻き込んでしまうのでした。
場面はかわって、今度はエンストしたオンボロなクルマの修理に当たっている母子のシーンが映し出されます。
息子のウィルは、自分が通っているハートフィールド高校で行われる「遅刻の罰登校」へ向かう途中で、罰登校に遅刻することを気にしていました。
息子の将来を案じて大学進学を熱心に勧める母親アンドレアとウィルの仲はお世辞にも良いものとは言えず、2人は学校の前で離れることになります。
ウィルの罰登校の担当教師はウィルの父親ジェイソンで、ウィル以外には、ウィルの恋人?メーガン、バスケ部の選手ローソン、報道記者志望のスーザン、そして冒頭のガソリンスタンドのシーンで出てきたルークの4人が罰登校を受講する予定でした。
一方、罰登校による補習が行われている最中、アンドレアはジェイソンに対し、ウィルに大学の願書提出について話を勧めさせるよう携帯で電話をかけます。
しかし2人が会話をしている途中、突然携帯が不調をきたして連絡が取れなくなってしまいます。
さらに街中では街灯が突然破裂するなど、明らかな異変が既に始まっていました。
一方、ウィルとメーガンはローソンと口論になり、仲介したジェイソンによって校舎の外で荷卸しをするよう言い渡されてしまうのでした。
そして、2人が意味あり気な会話を交わしながら作業を続けていたところ、冒頭のガソリンスタンドと全く同じ揺れが2人を襲います。
異常を感じた2人が外に出てみると、そこでは……。
映画「レッド・サイクロン」は、元来地球上にはなく木星にあるという破壊粒子・エクスポゾンによって構成された雲ないし竜巻が、地上のありとあらゆる個体物質を気体に変えていきつつ拡大を続けるという設定です。
周囲を破壊しながら自然増殖・拡大を続ける脅威と言い、(カナダの映画なのに)アメリカの片田舎が舞台な点と言い、どことなく映画「グランド・クロス シード・オブ・ディストラクション」とも共通する部分が多々ありますね。
被害については、ワシントンDCやニューヨークなどのアメリカ東海岸が軒並み壊滅したこちらの方がはるかに規模がデカいのですが、具体的な映像が出てくるわけではなくただニュースの一節として流れるだけですから、作中における演出という点では両者共にあまり変わりがないですね(^_^;;)。
世界的な危機を扱っている割には舞台が小さい上に登場人物も少なめなので、こじんまりとしている感はどうにも否めないところではあるのですが。
ウィルが実は超天才的な才能を持っていて、それがレッド・サイクロンを自壊させることになるというストーリーは、ハリウッド映画をもしのぐ御都合主義的要素が多大にあるとはいえ、一般受けしやすいものではあるでしょうね。
逆に、いっぱしの科学者だったであろう男女2人の登場人物が、如何にも思わせぶりに登場していながら、男性は飛行機不時着の際にあっさり死亡、もう片方の女性もガソリンスタンドでの凡ミスの類で爆死してしまい、ロクな活躍の場すらもなかったというのは、正直どうかと思わなくもなかったのですけど。
登場シーンから見て、当初はウィルと手を組んでサポート役として後半に活躍するとばかり考えていただけに、あの末路は悪い意味で予想を裏切るものではありました。
作中における2人の役割って、単なる伝言係でしかなかったですからねぇ、アレでは。
それと、ウィルの超がつくだけの天才的な才能を全く見抜くことができず、上から目線で小言ばかり繰り出していた両親2人は、どんな事情があるにせよ、あまりにも息子のことを見て無さ過ぎですね。
本来、子供の才能を認め伸ばすように努めるのが親の役割であるはずなのに、息子の彼女の父親の発言でようやく息子の才能に気付かされるって……。
ウィルの両親は、作中の描写を鑑みても、普段から息子を見下している感がありありでしたし、最も身近なはずの自分の息子を、ある意味この世で一番信用していなかったのではないですかねぇ。
また当の息子ウィルもまた、両親のそんな態度が鼻についたから自分の才能をひた隠しにしていたのではないかと。
ああいう親の場合、自分の子供に意外な才能があることに仮に気づいたとしても、そのことを正当に評価するどころか、むしろ自分の意に沿わないことをしているとして、却って子供を虐待したりする事例も少なくなかったりしますからねぇ。
あのレッド・サイクロンの事件がなかったら、2人はいつまで経っても息子の才能に気付くことなく、息子を無能と嘆きながら生涯を終えてしまっていたのではないでしょうか?
作中のあの親子は最終的に和解してめでたしめでたしな結末ではありましたが、親が選べないというのは子供にとって論外な話だよなぁ、とつくづく考えずにはいられなかったですね。
暇潰しの余興としてDVDでレンタル観賞する分には、まあまあの出来とは言えるのではないかと。