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2012年12月22日の記事は以下のとおりです。

テレビドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」 全体的総括

全10話構成で放映されたTBS系列の金曜ドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」。
全話が揃い、いよいよ新作映画版「大奥 ~永遠~ 右衛門佐・綱吉篇」の劇場観賞も控える今回は、第1話から最終話までの全体的な構成と感想をまとめてみたいと思います。
なお、過去の「大奥」に関する記事はこちらとなります↓

前作映画「大奥」について
映画「大奥」感想&疑問
実写映画版とコミック版1巻の「大奥」比較検証&感想

原作版「大奥」の問題点
コミック版「大奥」検証考察1 【史実に反する「赤面疱瘡」の人口激減】
コミック版「大奥」検証考察2 【徳川分家の存在を黙殺する春日局の専横】
コミック版「大奥」検証考察3 【国内情報が流出する「鎖国」体制の大穴】
コミック版「大奥」検証考察4 【支離滅裂な慣習が満載の男性版「大奥」】
コミック版「大奥」検証考察5 【歴史考証すら蹂躙する一夫多妻制否定論】
コミック版「大奥」検証考察6 【「生類憐みの令」をも凌駕する綱吉の暴政】
コミック版「大奥」検証考察7 【不当に抑圧されている男性の社会的地位】
コミック版「大奥」検証考察8 【国家的な破滅をもたらす婚姻制度の崩壊】
コミック版「大奥」検証考察9 【大奥システム的にありえない江島生島事件】
コミック版「大奥」検証考察10 【現代的価値観に呪縛された吉宗の思考回路】
コミック版「大奥」検証考察11 【排除の論理が蠢く職業的男性差別の非合理】

テレビドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」
第1話感想  第2話感想  第3話感想  第4話感想  第5話感想  第6話感想  第7話感想  第8話感想  第9話感想  最終話感想

まず、全体的な視聴率の傾向について見てみましょう。
テレビドラマ版「大奥」各話の視聴率は、それぞれ以下のようになっています↓

第1話 …… 11.6%
第2話 …… 10.6%
第3話 ……  7.9%
第4話 ……  7.6%
第5話 ……  8.9%
第6話 ……  9.0%
第7話 ……  7.1%
第8話 ……  7.0%
第9話 ……  7.0%
最終話 ……  8.3%
平均値 ……  8.6%

こうやって並べてみると、結局、初回放映分で記録した最高視聴率を、ついに超えることができなかったという感が多々ありますねぇ、テレビドラマ版「大奥」は。
他のテレビドラマと比較しても、この平均視聴率は下から数えた方が早い部類に入るのではないでしょうか?
視聴率が低い水準で推移した理由としては、やはり何と言っても「男女逆転・大奥」というキャッチフレーズが一般、特に男性受けしないことが一番響いているのではないかと。
ただでさえ男女共同参画とやらの弊害で、男女平等を通り越して「女尊男卑」の感すら漂わせている現代の風潮でこのキャッチフレーズは、表面的に見ただけでも男性側の反発を招くに充分なものがあるのですから。
実際には女性側にもそれなりの葛藤や苦しみがあるにしても、そんなものは忌避の感情を一時的にせよねじ伏せてある程度観賞しないと分からないわけですし、そこまでして「大奥」なる番組を観てみようと考える人は、こと男性の場合はかなりの少数派だったのではないでしょうかねぇ。
私のように、男女逆転なるものが実現している「大奥」世界の政治・社会システムに疑問を抱き、作品検証のためにコミック全巻購入した上、テレビドラマ版まで完全視聴するなんて「物好き」が、そうそう世の中に溢れているとも思えませんし(苦笑)。
その他の理由としては、全体的に「男女の性の問題」を扱っているために、家族一同、特に子供を交えての観賞というのがやりにくい構成だったことも災いしているかもしれません。
どう見ても、年端の行かない子供の教育的には確実に良くなさそうな内容ですしねぇ、アレは(-_-;;)。
番組内容が視聴者層をかなり限定的なものにしてしまったというのが、テレビドラマ版「大奥」が低視聴率に終始した最大の元凶と言えるのではないでしょうか。

原作との比較という観点から見ると、テレビドラマ版の原作に対する忠実度は相当なものがあると評することができますね。
特に前半は、コミック版と読み比べながら観賞しても全く同じ展開と台詞が続いていたりしましたし。
逆に後半ではオリジナル要素が激増の一途を辿っていましたが、こちらも「やっつけ仕事」的に大幅に省略されていた感のある原作ストーリーの穴を上手く補完する形で進行していました。
「原作レイプ」とは全く無縁の構成なので、原作ファン的には問題なく観賞できるテレビドラマだったと言えるでしょう。
ただ、これで原作を知らない全く新規の視聴者を獲得できるのかと問われれば、前述のキャッチフレーズの問題もあって難しいものがあるかもしれないのですが。
個人的に少々気になったのは、「赤面疱瘡」によって男性が激減し女性中心の社会になっていく過程の描写が、原作と比較して弱く説得力が少ないのではないかという点ですね。
原作では神原家がその手のエピソードを担っていたのですが、テレビドラマ版では神原家がいなくなってしまったため、「庶民の視点から見た社会的変遷」というものが軒並み削除されているのが痛いところで。
神原家は、話の本筋である「大奥」絡みのストーリーとはまるで絡んでこないエピソードばかりなので削除されたのでしょうが、一方で「赤面疱瘡」および男女人口比率の歪みを解説するためのツールとしては重要性の高いツールでもあったのですけどね。
まあこの辺りは、もっと単純に「予算の都合」という要素も働いていたのかもしれませんが。
神原家のエピソードを挿入するとなると、相当程度の配役を配置しなければなりませんし、農村風景なども詳細に描写しないといけなくなるわけで。
昨今のテレビ局が悪戯に製作費をケチっている懐事情はもはや周知の事実なのですし、今回のテレビドラマ版もその弊害を免れることはできなかったのではないかと。

徳川4代将軍家綱のエピソードなどは軒並み削除されてしまったのですが、これって復活することはたぶんないのでしょうねぇ(T_T)。
原作からして1話分程度の内容しかなく、ドラマ化する際には相当な部分をオリジナルストーリーで補完しなければなりませんし、
6代将軍家宣および7代将軍家継の時代が舞台となる江島生島事件辺りのストーリーは、次作映画からの更なる続編として、次作映画の公開終了後に出てくる可能性もあるかもしれませんが。
徳川4代将軍家綱は、元々その治世や知名度からして、3代と5代に挟まれる形であまりパッとしないものがありますからねぇ(-_-;;)。
まあ次作映画がヒットした場合は「映画の前日譚」という形で新規にドラマ化される可能性もなくはないでしょうが、そこまで次作映画がヒットするのかと言われると正直微妙なところではないかと。

今回のテレビドラマ版で「基本は善良だがどことなく暗い世捨て人」的な役柄の有功役を担った堺雅人は、次作映画では全く正反対な野心家である右衛門佐(えもんのすけ)役を演じることとなります。
テレビドラマ版でそれなりに好演していた堺雅人が映画版ではどんな顔を見せてくれるのか、その部分が両作品を観賞する際の楽しみのひとつでもあるでしょうね。

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