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2012年12月23日の記事は以下のとおりです。

映画「エアポート2012」感想(DVD観賞)

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映画「エアポート2012」をレンタルDVDで観賞しました。
2012年にアメリカで製作された映画で、日本では劇場未公開の作品となります。
タイトルの末尾に「2012」とあるところを見ると、一応シリーズもの作品ではあるようなのですが、にもかかわらず劇場公開されない辺り、日本ではマイナーもいいところの映画であることが一目瞭然ですね(苦笑)。
ちなみに「エアポート」と銘打たれているタイトル名ではありますが、空港は何の関係もありません(爆)。

航空管制のミスが頻発したことから、アメリカでは人為的なミスを回避するための衛星ネットワークシステムが開発されていました。
その名はACATシステム。
軍用機で既に運用されているその衛星システムは、やがてスペースシャトルで2機目が打ち上げられ、民間機にも導入され、空の旅をこれまでよりもはるかに安全なものにするはずでした。
ところが、民間機での運用が開始されたその日のうちに、早くもACATはトラブルを引き起こしてしまいます。
宇宙空間で電気的なショート?を繰り返し、やがて衝撃波と共に衛星は破損。
破損によって発生した衛星の欠片が、次々と地球の引力に引き寄せられていきます。
それらの欠片群はアメリカ各地に落下、まずは地上での被害を拡大させていくのでした。

それより少し前、ACATが導入されたアメリカ東部クリーブランドの航空管制センターでは、かねてよりACATの導入に反対していたボブが、ACATと通信が取れなくなったことから懸念を抱き、中央の空域管理センターに対し、現在空を飛んでいる全ての航空機の着陸許可を求めていました。
しかし空域管理センターからは、「ただ今調査中、こちらで対処する」という官僚答弁的な返答をするのみで、ボブの意見を全く取り合おうとしません。
それどころか空域管制センターは、大統領一家を乗せた大統領専用機エアフォースワンを離陸させろとボブに命じてきたのでした。
当然ボブは「リスクが大きすぎる」と反対するのですが、その意見はまたも却下され、やむなくボブはエアフォースワンの着陸許可を出さざるをえなくなってしまいます。
デトロイトへと向かう予定のエアフォースワンの航路上には、同じくデトロイト行きの民間航空機アメリカーナブルー23便が飛行していました。
ボブはエアフォースワンとアメリカーナブルー23便と連絡を取ろうとするのですが、両者共に交信不能の状態。
事態の重大性を理解していたボブは、通常ならばまず考えられない非常手段を用いて両者との交信を試みようと画策を始めるのでした。
地上でそんな事態が発生しているとも知らず、つかの間の空の平和な旅を楽しむエアフォースワンとアメリカーナブルー23便の搭乗者達。
しかしそんな中、破損を続けつつもかろうじて稼働していたACATが、ついに破滅的な段階を迎えてしまい、システムが完全に狂ってしまうのでした。
狂ったACATは、エアフォースワンとアメリカーナブルー23便をコントロール不能にしてしまい、事態は悪化の一途を辿ることになります。
クリーブランド航空管制センターのボブ、エアフォースワンとアメリカーナブルー23便のパイロット達は、最悪の事態を回避すべく、それぞれの立場で動き回ることになるのですが……。

映画「エアポート2012」は、航空機で次から次に発生していく非常事態の数々と、それにパニックを引き起こしながらも対応していく人々の姿が描かれています。
パニックに襲われている当事者達は必死になって最悪の事態を回避しようとしているのですが、物語中盤は全く無為無力か、却って事態を悪化させているのが実情だったりします。
個人的に笑ってしまったのは、狂ったACATシステムによってエアフォースワンからミサイルを撃ち込まれたアメリカーナブルー23便の乗客達が、落雷の影響で機体に突っ込みながらも爆発しなかったミサイルを機外へ出すシーンですね。
機体から落下していった不発のミサイルが、地上のガソリンスタンドを直撃して爆発炎上した直後、ただただ目先の危機を回避した乗客達が安堵する姿が映し出される様は滑稽もいいところでした。
そりゃ彼らが立たされている状況的では、とにかく自分達が助かるためにもそうするしかなかったのでしょうが、地上では彼らの行為によって大変なことになってしまっているわけで(苦笑)。
また、飛行中の航空機に空中給油の要領で接続し大統領を救出する「サムフォックス作戦」の実行時には、大統領夫妻が揃いも揃って感情的かつヒステリックな対応に終始しているのはさすがにどうなのかと。
「サムフォックス作戦」は大統領を最優先で救出する作戦のはずなのに、それを自身の強権発動で強引に捻じ曲げ妻を先に機外へ出すよう指示する大統領とか、ただひたすら娘の安否ばかり心配して夫に食ってかかるファーストレディとか、自分達の立場や状況が本当に理解できているのかすら疑問視せざるをえない対応ばかりやらかす始末でしたし。
結果的にはその態度によって、元々失敗率が高かった「サムフォックス作戦」の失敗による犠牲を回避することができたとはいえ、それはあくまでも結果論でしかないわけで。
仮にも一国の、それも他国にまで多大なまでの影響力を及ぼす最高権力者として振る舞わなければならないアメリカの大統領一家がそれではちょっと……。
個人としては自己を犠牲にして他人を思いやる優れた人格と言えるのかもしれませんが、一国の最高権力者としては鼎の軽重を問われても文句は言えないでしょうに。
まあ、もしあの大統領が、実は「サムフォックス作戦」の成功率の低さを鑑みて、まずは自分の妻をある種の実験台として送り込んだ上でその成否を確かめるつもりだったというのであれば、その冷徹な判断ぶりは逆に賞賛に値するかもしれないのですが。
ただ、作中の描写を見る限りでは、件の大統領にそんな意図は全くなかったとしか言いようがなかったのですけどね。

ただこれ、全体的に見れば、航空機の中で生じた被害・犠牲者よりも、衛星破片の落下物によるそれの方が、数においても質においてもはるかに深刻な規模になっていると言わざるをえないでしょう。
アメリカーナブルー23便が地上の建造物等に与えた損害も、決して無視できるものではないのですし。
物理的なダメージだけでなく、ビルが立ち並ぶ街中を超低空飛行で飛んでいく様は、それを目撃したアメリカ国民の間で「911の再来」的な心理的恐怖まで与えていたのではないのかと(-_-;;)。
ラストはハッピーエンド的な結末で終わっていますが、事件後の後始末はさぞかし大変なものがあるでしょうねぇ、アレでは。
まずさし当たっては、欠陥だらけなACATシステムを導入した人間が責を問われ、場合によっては社会的に吊るし上げられることになるのでしょうけど。

航空機を扱ったパニック・ムービーや、緊迫感溢れるストーリー展開が観たいという方には、普通にオススメできる出来の作品ではあります。
ツッコミどころは色々とありそうなB級映画ではあるのですが(苦笑)。

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