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2012年12月31日の記事は以下のとおりです。

2012年映画観賞総括 邦画作品編

2012年の新作映画観賞97本のうち41本を担う邦画作品。
邦画が冷遇された時代も今は昔で、現在ではすっかり洋画と並ぶ一大ジャンルと化した感がありますね(^^)。
今回はその中から、各種部門別に個人的な私的評価に基づいて選別した作品をピックアップしていきたいと思います。

■ 邦画年間ベスト作品&サスペンス映画部門

まずは邦画年間ベストも兼ねるサスペンス映画部門の作品から。
2位とは結構接戦だったのですが、見事ナンバー1の座を獲得したのはこの作品です↓

カラスの親指
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映画の宣伝や前評はかなり地味なものだったのですが、導入部・伏線の張り方・ほのぼのシーンや緊迫したシーンの使い分け・そしてラストの大どんでん返しと、全てにおいて良く出来ていた作品です。
特にラストの展開は、洋画の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を髣髴とさせるものがありました。
俳優さんの配置自体も煙幕のひとつだったみたいですし、派手なアクションは皆無ながらも観客を唸らせるには充分の出来です。

■ 人間ドラマ映画部門

その1位作品と接戦を演じたのがこちら↓

北のカナリアたち
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物語の起点となった20年前の事件の真相が少しずつ明らかになっていく過程と、ラストの感動的な大円団がなかなかに光った作品ですね。
主人公が天然な善人のように見えて実は……という展開も意外なものでしたし。
新旧の大物俳優が出演し、それぞれ秀逸な役どころを演じるという構成も、万人受けしやすいものではあるでしょうね。

それ以外の人間ドラマ映画で秀逸な作品としては、転生をテーマに扱い、シリアスと笑いのバランスが絶妙だった「スープ ~生まれ変わりの物語~」や、全体的にほのぼのした展開が売りの「HOME 愛しの座敷わらし」、富山から長崎までのひとり旅を描いた「あなたへ」などが挙げられます。
前者は映画の宣伝すらほとんど見かけず、熊本でも1箇所のみの上映と前評はかなり悲惨なものがありましたが、それに反して出来は良く、「何故この映画は正当に評価されなかったんだ?」という疑問を抱きすらした作品でした。
後2者も大物俳優を揃えつつ、登場人物達それぞれの葛藤を良く描いた秀作です。
この人間ドラマ映画の層の厚さは、日本映画がハリウッド映画に勝る数少ない要素と言えますね。

■ アクション映画部門

邦画でアクション映画というのは、それ自体が希少な宝石類のごとく貴重な存在なのですが、今年も例外ではなかったですね(T_T)。
今回唯一評価しえる邦画のアクション映画はやはりこれでしょう↓

るろうに剣心
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マンガを原作としつつも、作中で繰り広げられるスピーディなアクション描写は、本場ハリウッドと比較しても遜色のない出来で、今後の邦画の可能性についても期待を抱かせるに充分なものがありました。
実写映画版もそれなりに人気はあったようですし、続編の製作が行われる可能性もかなり高いのではないかと。

■ コメディ映画部門

今年の邦画におけるコメディ映画の代表格と言えば、世間的にも大ヒットして海外進出まで果たしたこの作品でしょう↓

テルマエ・ロマエ
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阿部寛演じる大柄な体格の主人公が、現代日本の文明機器にいちいち大仰な表情とリアクションで驚きまくる光景は、当の本人的には全くその気などないのに、それ自体が立派なコメディを形成していました。
外見と内実のギャップを上手く利用したコメディでしたね。

■ アニメ映画部門

今年は例年になく複数のアニメ映画を観賞した年でもありました。
いつもならばアニメ映画は、年間で1本もあれば御の字というレベルでしか観賞することがなかったのですが、今年は洋画・邦画含めて総計6本。
テレビアニメからの延長ではなく映画単独で完結していて、かつ大人向けな内容の作品が多かったことが、作品の関心を惹く大きなプラス要因となりました。
その中で最優秀に輝いたのはこの作品↓

おおかみこどもの雨と雪
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今年のアニメ映画は「家族問題」を描いたものが多かったのですが、母親および子供の精神的な成長を描いた今作はその中でも抜きん出た存在だったと言えます。
子供の成長を見守るだけならまだしも、自分の元から離れていこうとする子供の意思を尊重する母親の「精神的な強さ」というのは、そうそう簡単に表現できるものではないのですから。
瀬戸内海の島々を舞台とする「ももへの手紙」や、オンラインゲームと福岡県を舞台に繰り広げられた「ドットハック セカイの向こうに」で描かれた家族問題は、いずれも「親と子供の間で起こる諍いと和解」がテーマでしたし。
洋画でも「メリダとおそろしの森」が似たようなテーマを扱っていましたが、あちらは全体的に低年齢層を対象にしているような感がありましたね。

■ 時代劇映画部門

今年観賞した日本映画で「時代劇」に分類される映画は3本。
その中で一番良作と個人的に評価したのはこの作品ですね↓

のぼうの城
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3作品の中で一番物語のスケールが大きく、かつ合戦の描写があることが決定打となりました。
やはりスケールが大きく派手な描写がある映画というのは高評価になりやすいですね。
だからこそ、映画業界ではその手のノウハウを熟知しているハリウッド映画が世界のトップを走ってもいるわけですし。
日本初の暦制定を描いた「天地明察」も、男女逆転の「大奥 ~永遠~ 右衛門佐・綱吉篇」も、人間ドラマとしてはそれなりのものがあっても、客の目を惹く派手な描写というものは全くなかったわけで。
もちろん、それだけで作品の質が落ちるということにはならないでしょうけど。

■ 邦画年間ワースト作品

邦画は洋画に比べてアクションシーン等の派手な演出が少なく、人間ドラマやストーリー重視にならざるをえない分、駄作が生まれるリスクも洋画より高いですね。
超能力をテーマにした「SPEC~天~」、宗教映画たる「ファイナル・ジャッジメント」という【底辺の強豪】を押しのけ、見事今年最下位の座を獲得した作品はこちらとなります↓

苦役列車
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この映画の駄作ぶりが如何なるものなのかについては、洋画で年間ワースト作品とされた「ラム・ダイアリー」の更なる劣化版、という評価に全てが凝縮されていると言って良いでしょう。
「苦役列車」は「ラム・ダイアリー」の問題点を全て踏襲しているのみならず、「全く感情移入できない主人公」という最悪の要素までもが付随しているのですから。
上映された映画館自体も少なく、興行収益的にも大コケだったようなのですが、それも当然というべき内容でしかなかったですからねぇ。
俳優さんの演技でもカバーできないほどにストーリーが最悪だったのですし。
こんなのに出演せざるをえなかった俳優さんも、実に災難な限りとしか言いようがなかったですね(T_T)。

洋画・邦画を問わず、数多くの作品に巡り合えた2012年の新作映画観賞。
来るべき2013年も、このペースが維持・発展していけることを願いたいものですね。

2012年映画観賞総括 洋画作品編

2012年の新作映画観賞97本中55本を占める洋画作品。
今回はその中から、各種部門別に個人的な私的評価に基づいて選別した作品をピックアップしていきたいと思います。

■ 洋画年間ベスト作品&アクション映画部門

まずは洋画年間ベストも兼ねるアクション映画部門の作品から。
並居る強豪がひしめく2012年の洋画作品の中で、見事ナンバー1の座を獲得したのはこの作品です↓

エクスペンダブルズ2
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この作品一番の魅力は、やはり何と言ってもシルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリスという、ハリウッドアクション映画を代表する3巨頭が一斉に横に並び銃を乱射して敵をなぎ倒していくというシーンですね。
昔からハリウッドアクション映画に慣れ親しんできた人間としては、観客受けを狙ったあざとい演出であることが分かりきっていてもなお感動的なシーンと言って良く、これだけでも必見の作品と評価できます。
ハリウッド映画のファンであれば誰もが名前と顔は知っている大物俳優を集めた一種の「お祭り映画」と言える作品ではありますが、それだけに誰もが安心して観賞できる一品です。
今作は3部作の2作目ということで、次回作でいよいよ完結するとのこと。
是非次回作でも、今作に勝る出来を期待したいものです。
ただまあこの作品、来年発表予定のラジー賞候補にノミネートされるのはほぼ確実の映画ではあるでしょうね。
何しろ「アメリカ版『と学会』」と揶揄されるあの賞は、シルヴェスター・スタローンを敵視でもしているかのごとく、彼の出演作品には問答無用で駄作認定を叩きつけるのが常なのですし(苦笑)。

一方、アメリカでは評価が高く、日本でも派手に喧伝されていた「アベンジャーズ」「ハンガー・ゲーム」は、それなりに評価されるべき作品ではあったにせよ、その宣伝ほどにはどうにも感動的な要素が少なかった感が個人的には否めなかったですね。
「アベンジャーズ」は3部作の1作目ということもあったのでしょうが、味方の登場人物達が終盤近くまで延々と内輪揉めばかりに終始していた感がありましたし、敵側の描写が非個性的な上に「強大な脅威」なようにもあまり見えなかった点が若干マイナス点となりました。
一方の「ハンガー・ゲーム」は、サバイバルゲームの挑戦者達同士の心理戦や駆け引きが少なく、またゲームの主催者によるゲームへの介入やルール改竄があまりにも鼻につきすぎ、何かと引き合いに出されていた「バトル・ロワイアル」と比較しても設定が稚拙と言わざるをえませんでした。
今後も続編が出ることが既に決定しているシリーズ作品の1作目としてはそれなりの出来ではあるのでしょうが、作品単体としての評価ではややマイナスな部分が少なくない、といったところです。

その他の作品としては、ジェイソン・ステイサム主演の「SAFE/セイフ」が、マイナーながらも意外に高い評価となっています。

■ SFX&VFX映画部門

厳密に言うと、前述の「アベンジャーズ」や「ハンガー・ゲーム」もVFX映画のカテゴリーに含まれるのではないかと思われるのですが(^^;;)、まあここでの定義では「個人戦的なアクション演技が含まれない&メインではないVFX映画」ということで。
迫力ある映像が売りのSFX&VFXが売りの作品の中で見事栄冠を勝ち取った作品はこちら↓

バトルシップ
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ストーリー展開そのものはハリウッド映画スタンダード的なものではありましたが、そのお約束な展開も含めた安定的な展開と、近代的な戦いが封じられた中での頭脳戦や緊迫感溢れるシーンの連続などが高評価となりました。
この作品、エンドロール後に映し出された特典映像で続編があることを匂わせていましたが、果たして今後続編って出てくるのでしょうかね?

■ サスペンス映画部門

ここでは「頭脳戦メインで緊迫感ある展開が続く映画」という定義です。
この部門でのベスト作品はこちら↓

崖っぷちの男
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地味な映画の宣伝や前評に反して、意外な掘り出し物な出来だった今作。
序盤は主人公の行動の意図や動機がまるで分からず、その謎を追っていくというストーリー構成と、ラストで披露される全く意外な真相がツボを突いた作品でした。
サスペンス映画部門では、この作品と「アルゴ」のどちらを選ぶかで迷いましたが、最終的には「アクション映画的な展開がある」という点で「崖っぷちの男」が若干加点されてこちらに決定した、といった感じですね。
まあ、アクション展開が全くないのにアレだけの緊迫感が演出されていた「アルゴ」も、それはそれで高い評価を得て然るべき出来ではあったのですが。

■ コメディ映画部門

まあこれについては、今年はブッチぎりでこれに決定ですね↓

ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
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やはり、世界的に有名な一流コメディアンとしてその名を轟かせている「Mr.ビーン」ことローワン・アトキンソンのお笑い劇は伊達ではない、ということで。
あの上下に動く椅子のシーンをはじめ、観賞の最中に何度も吹き出してしまうこともしばしばでしたし、笑いのツボを凄くよく心得ていましたね。
アクション・コメディの「&シリーズ」の一翼を担う「Black & White/ブラック&ホワイト」や、久々に続編が出た「MIB3/メン・イン・ブラック3」も、お笑い要素では遠く及ばないですね。
まあ、相手は本職なのですし、露骨なギャグコメディをひたすら前面に出したアレとは比較できるものではないでしょうけど。

■ 人間ドラマ映画部門

「エクスペンダブルズ2」が公開されるまでは洋画総合1位だったのがこの作品↓

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
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映画を見始めた序盤はそれほどでもなかったのですが、ラスト30分の大どんでん返しで評価が大きく変わった作品ですね。
あれほどまでの展開と感動は、そうそう味わえるものではなかったですし。
それ以外では、安心して観賞できる構成の「幸せの教室」や、修羅場の連続を描写しているはずなのに「ハワイ」な雰囲気がそう感じさせない「ファミリー・ツリー」などが個人的にヒットでした。

■ 洋画年間ワースト作品

大量に映画を観賞すれば、当然のごとく駄作を当ててしまう可能性も高くなるものですが、今年の洋画で一番の駄作はこれに決まりですね↓

ラム・ダイアリー
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最初から最後まで鬱々な展開が延々と続く上、ヒロインが途中でフェードアウト、さらには「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」とは逆に、ラスト30分における行動が全くの無駄でしかなかった点など、この作品のどこら辺に評価できる要素があるのか、全くもって理解に苦しむ作品でした。
今作より前では、マーガレット・サッチャーを扱っているにもかかわらず、その描写の半分近くが認知症絡みのシーンで構成されているという本末転倒な映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」が洋画1位の駄作な扱いだったのですが、それを余裕でブッチぎるシロモノでしたし。
観客に映画を見せるのであれば、せめてエンタメとしてきちんと成り立つ形で作って欲しいと、つくづく思わずにはいられなかったですね。

次回は邦画作品の部門毎評価を行います。

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