映画「96時間/リベンジ」感想
映画「96時間/リベンジ」観に行ってきました。
リュック・ベッソン製作&リーアム・ニーソン主演のアクション・スリラー映画「96時間」の続編作品です。
原題は「TAKEN 2」。
「96時間」の原題も「TAKEN」でしたから、まんま続編ということになるわけですね。
前作は劇場では未観賞だったのですが、この間レンタルDVDで事前に復習していたので、物語の設定や全体像などは問題なく把握することができました(^^)。
実際、今回の敵がブライアン一家に関わるに至る動機や経緯については、前作のエピソードを予め知っていることが前提となっているので、今作を観賞する際には前作の復習が必要不可欠だったりします。
もし前作を知らないで今作に臨んでいたら、わけが分からない展開で面白さ半減は否めなかったでしょうね。
前作「96時間」のキム誘拐事件から1年後。
アルバニアの山中では、数体の遺体を葬るための葬儀が密かに行われていました。
それらの遺体は、前作「96時間」で主人公ブライアン・ミルズが娘のキムを救出する際に犠牲となった、人身売買組織の構成員達でした。
特に人身売買組織のボスで息子でもあったマルコを殺害された父親のムラドは、息子を殺した仇への復讐(リベンジ)を誓い、その行方を追い始めるのでした。
同じ頃のアメリカ・ロサンゼルス。
今作でもやはり主人公のブライアン・ミルズは、いつものごとく大富豪スチュアートと再婚した妻レノーアともども別居中の娘のキムに会いに来ていました。
キムは1年前の事件で負った精神的ショックを克服しつつあり、またブライアンからクルマの運転を習い、運転免許を取得しようとしている最中にありました。
しかし、せっかく訪れた豪邸にキムの姿はなく、家にいたレノーアは「娘は彼氏のところにいる」とブライアンに告げるのでした。
彼氏のことをブライアンに黙っていた理由は、それを教えるとブライアンが彼氏の身辺調査を始めてしまうからとのこと。
実際、ブライアンは前作でも、キムが人身売買組織に誘拐された際、大富豪スチュアートの事業内容やトラブルなどを詳細に至るまで徹底的に調べ上げていたことを披露してもいたのですし。
しかもその後、ブライアンは携帯電話のGPSからキムの居場所を割り出し、彼氏の家に直接乗り込んでキムを激怒させてしまうのでした。
そんなある日、いつものごとくキムの運転を見るためにやってきた豪邸にやってきたブライアンは、レノーアの怒鳴り声が響き渡る中、豪邸の主であるスチュアートがクルマで出ていく光景を目撃することになります。
ブライアンがレノーアに事情を聞くと、どうも前作と今作との間の1年間でレノーアとスチュアートはすっかり不仲になってしまったそうで。
その仲直りのきっかけを作るべく、レノーアは家族で中国旅行をすることを計画していたのですが、スチュアートが仕事の都合か何かでその計画を全てキャンセルしてしまったため、スチュアートの仲がほぼ絶望的なものになってしまったとレノーアは悲嘆に暮れる羽目に。
そんな様子を見たブライアンは、ちょうど自分が近く仕事で行く予定のトルコ・イスタンブールへレノーアとキムを誘うことを思いつきます。
これを機会に、レノーアとキムとの関係が修復できるかもしれないという希望を抱いて。
ダメ元で2人を誘ってみたブライアンでしたが、トルコで要人護衛の仕事を終えたブライアンは、そこでレノーアとキムのサプライズな再会を果たすことになるのでした。
しかしこれが、イスタンブールを舞台にした一大騒動に発展することになるのです。
映画「96時間/リベンジ」は、前作同様に主人公ブライアン・ミルズの情け容赦ないアクションシーンが光っていますね。
敵に遭遇すると同時に即戦闘モード&殺しにかかるブライアンの冷酷非情ぶりは今作でも健在で、緊迫感と爽快感溢れるアクションシーンを存分に披露してくれます。
アクションシーン以外でも、頭から袋を被せられているにもかかわらず、聴覚や振動などから得られる情報を元に自分の居場所を漠然としたものでありながらも把握してのける特殊スキルなども開陳されていましたし。
前作でもそうでしたが、この辺りはさすが元CIA工作員という設定なだけのことはあります。
前作との大きな違いと言えば、前作の敵があくまでも偶発的にキムを拉致してブライアンを呼び込んでしまったのに対し、今作の敵は最初からブライアンとその関係者をターゲットにしている点ですね。
今作は映画のタイトルにもあるように「リベンジ」がテーマなのですから、当然の話ではあるのですが。
ただ、前作の敵がわけも分からず奇襲を食らって壊滅したのに比べれば、今作の敵は明確な目的があってブライアンに先制攻撃を敢行し、自分達がおかれた状況をきちんと理解している分、幾分かはマシな死に方をしていると言えるのではないでしょうか(苦笑)。
彼らは、敵がひとりで組織を壊滅させるほどの凄腕の持ち主であることを充分に承知の上で、それでも戦いを挑んできているわけなのですし。
単純な利益の観点から言えば、ブライアンなんて放置して人身売買にでも精を出していた方が彼ら自身のためでもあったはずなのですが。
息子の復讐のためとはいえ、ムラドの個人的な感情に付き合わされる羽目になった組織の人間にしてみれば、ブライアンとムラドの感情的な抗争に巻き込まれた被害者としての側面も多分にあったことでしょうね。
そういえば、今作のラスボスであるムラドは、ある意味ではブライアンと非常に似た者同士な人間ではありますね。
ムラドは実の息子に対する復讐のために、何の利益にもならないブライアン一家の一網打尽を画策していたのですし、あらゆる犠牲を払ってでも彼はブライアンに最悪の死を与えようと必死になっていました。
その点では、娘と妻のためには手段を選ばず、ありとあらゆる手段で障害物を排除しまくるブライアンと、根底の部分では同じものがあるのではないでしょうか?
ブライアン自身、前作で娘のキムと友人のアマンダを誘拐した人身売買組織に対し「娘を返さないならば、お前らを必ず探し出しこの手で殺す」と明言していたわけですし。
それと全く同じことを、ムラドは逆にブライアン自身に対して、しかもその過程で暴力に訴えたり人を殺したりすることも辞さない形で実行に移しているわけです。
個人的技能を駆使するブライアンと組織力に物を言わせるムラドでは、「目的のための手段を遂行するための道具」に違いはあるものの、我が身を犠牲にしてでも家族のことを何よりも大事に考えているという信条については全く同じものを持っているのです。
前作の事件に際しても、もしブライアンがキムを失ってしまっていたら、逆に彼こそがムラドに復讐の刃を向けていたかもしれないのです。
それから考えると、ムラドというのは「ブライアンのもうひとつのあるべき姿」だったのではないかと、今作におけるムラドの言動を見ているとつくづく感じずにはいられなかったですね。
そして、家族の復讐に邁進するムラドの言動に自分と全く同じものを見出さずにはいられなかったからこそ、ブライアンは物語のラストで、ムラドに情けをかけて助けるかのごとき言動を披露していたのではないでしょうか?
正直、アレだけ情け容赦のないアクションシーンで敵を屠りまくっていた中でのあの選択の提示は、正直ブライアンの性格的には「らしくない」ものがありましたからねぇ。
もちろん、そんな状況でもブライアンは全く油断することなんてなかったわけなのですが。
あるいはブライアンは、ムラドを最初から殺すことを前提に、彼が激発することを最初から期待していたか、油断して去るフリをしてムラドを殺すための算段を練っていたとかいった策でも弄していたのかもしれませんが。
前作を観賞している人であれば、今作も文句なしにオススメできる映画ですね。