映画「ダイ・ハード/ラスト・デイ」感想
映画「ダイ・ハード/ラスト・デイ」観に行ってきました。
大事件に巻き込まれる不運でタフな刑事ジョン・マクレーンをブルース・ウィリスが演じる、言わずと知れた超大ヒットシリーズ第5弾。
2013年に入って以降に観賞したブルース・ウィリス出演映画は、「LOOPER/ルーパー」「ムーンライズ・キングダム」に続きこれで3作目。
6月には、同じくブルース・ウィリスが出演する「G.I.ジョー バック2リベンジ」も日本公開される予定とのことですし、今年はブルース・ウィリス映画の当たり年ですね(苦笑)。
もちろん、一番の大本命は、アクション映画として不動の地位を確立している今作であるわけですが。
今作は2013年2月14日の木曜日に劇場公開の運びとなっているわけですが、これってどう考えても、TOHOシネマズ系列の映画館で毎月14日に1000円料金となる「TOHOシネマズディ」を意識していた以外の何物でもなかったでしょうね。
映画の劇場公開というのは、興行収益の観点から言っても金曜日が土曜日から始めるのが一般的かつ理に適っているのですし。
また今作は、作中でとにかく人が死にまくることもあってか、PG-12指定されています。
今作の舞台は、過去4作の主要舞台であるアメリカを離れ、シリーズ初の海外となるロシア。
物語は、ジョン・マクレーンの息子で父親と10年以上にわたって喧嘩別れしているジャック・マクレーンが、ロシアのバー?で人を撃ち、そのまま収監されてしまうところから始まります。
息子が収監されたとの情報を聞きつけたジョン・マクレーンは、ジャックの姉で自分の娘でもあるルーシー・マクレーンに見送られ、息子の身柄を引き取るべく、ロシアへと高飛びすることになります。
一方、ジャックの方は尋問する警官に取引を持ちかけ、現在ロシア中で話題となっているユーリ・コマノフの裁判で、彼の指示で自分が犯罪を犯したと証言するから同じ裁判に出廷させてほしいと提案しています。
そして、2人の裁判の場に、ジョン・マクレーンもまた居合わせることとなるのでした。
ところが、裁判所の外の路地に停車した3台の車が突如爆破。
爆発は裁判所の壁を吹き飛ばし、裁判の場およびそこに居合わせていた面々をも巻き込む大惨事を現出することに。
そこへ、ガスマスクを着用した謎の武装集団が、爆発で吹き飛ばされた壁跡から乱入し、中にいる人達を殺傷し始めるのでした。
しかし、裁判に出廷していたジャックは、ユーリ・コマノフを連れていち早く裁判所を離脱。して車を奪い、どこかへ逃走しようと図ります。
そして、ユーリ・コマノフの身柄確保を目的としていたらしい武装集団も、装甲車を使いただちに彼らの追跡を開始。
一方、謎の武装集団からの追撃から逃げるジャックは、自分を引き取りに来た父親ジョン・マクレーンとついに鉢合わせることとなります。
ジャックは父親の主張に全く聞く耳を持つことなく、自分の車に乗せることも拒否してその場から離脱。
そのジャックの後を追う装甲車を見て、ジョンはさらに近くに止めてあった車を奪い、2組の後を追い始めるのでした。
かくして、ジャックと謎の武装集団とジョン・マクレーンによる3つ巴のカーチェイスが繰り広げられることとなるのですが……。
映画「ダイ・ハード/ラスト・デイ」は、さすが人気アクション映画シリーズなだけのことはあり、アクションやカーチェイスがとにかく派手ですね。
序盤からロシアの大通りを舞台にド派手なカーチェイスが繰り広げられますし、終盤に至るまでアクションシーンが展開されるので、退屈だけはしないで済みます。
ただ、今作はこれまでのシリーズと比較してもかなり短い98分の上映時間しかない(1~4作目までの上映時間は全て120分以上)ため、ボリュームという点では今ひとつな感が正直否めなかったですね。
これまでのシリーズと比較しても、アクションシーンやカーチェイスなどに比重が置かれ過ぎていて、悪役達との駆け引きなどの描写が薄くかつ浅かった感がありましたし。
長すぎて問題ということはないでしょうし、これまでと同様に上映時間120分以上できっちり作って欲しかったところだったのですけどね。
一方で、 悪役絡みの設定や描写は、明らかにシリーズ1作目を意識しているような趣がありました。
たとえば、今作の真の黒幕がジャックに建物の屋上から投げ落とされるシーンは、「ダイ・ハード」1作目のラスボスであるハンス・グルーバーの最期とカブる「ゆっくりスローモーションに落下していくシーン」が繰り広げられていたりします。
また、その黒幕とマクレーン親子が、今作のラストバトルの舞台であるチェルノブイリで「再会」した際、黒幕はハンス・グルーバーと同じく「何も知らない被害者」の演技を披露して自分の窮地を脱しようと試みています。
ただ今作では、1作目のハンス・グルーバーとは異なり、マクレーン親子にあっさり正体を喝破されてしまったため、黒幕側もすぐさま反撃に移らざるをえなかったのですが(苦笑)。
まあ、ジョン・マクレーンには1作目でハンス・グルーバーにまんまと騙された経緯がありますし、ジャックもCIAの工作員としての経験を積んでいるわけですから、その両者を騙すのは至難の業ではあったのかもしれないのですけど。
そして、黒幕を殺された後に黒幕の右腕的な存在である悪役が復讐に走り、マクレーン達を殺そうとする展開も、1作目におけるハンス・グルーバーの腹心カールと全く同じですね。
1作目のカールは、過去のトラウマから発砲できなくなっていた警官によって射殺されるのですが、今作のそれは「弾薬が尽きたヘリで体当たり特攻を敢行する」という形でマクレーン親子に復讐しようとしています(当然、失敗するのですが)。
私が気づいただけでもこれだけあるのですから、ひょっとするとまだ他にも1作目との共通項があるかもしれないですね。
何故製作者達が、これほどまでに1作目を意識していた構成にしていたのかは不明なのですが。
あと、今作の邦題で付けられた「ラスト・デイ」なのですが、結果的に見れば「ラスト・デイ」を髣髴とさせる描写は作中には全くなかったですね。
一応意味としては、チェルノブイリの戦い直前にジョン・マクレーンが息子のジャックに対し、「お前と会えて良い一日だった」と述懐しているシーンが由来ではあるのでしょうけど、ラストでマクレーン親子は五体満足で普通にアメリカに帰ってきていましたし(苦笑)。
あのラストの終わり方を見ると、まだまだ続編はあるとみて良いのでしょうかねぇ。
今後続編が制作されるのであれば、上映時間をまた120分以上に戻して欲しいところではあるのですけど。
「ダイ・ハード」シリーズのファン、およびアクション映画愛好家であれば、まず観ておいて損はない作品です。