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2013年02月22日の記事は以下のとおりです。

東九州自動車道の現状から見た公共事業否定論の問題

福岡県の北九州市から大分・宮崎を経て鹿児島県鹿児島市に至るルートで構成される東九州自動車道。
これって実は未だに全面開通していないんですね。
2013年2月16日になって、ようやく大分と宮崎の県境を結ぶ高速道路が開通したのだそうで↓

http://www.nikkei.com/article/DGXNASJC16016_W3A210C1ACY000/
>  東九州自動車道の蒲江(大分県佐伯市)―北浦(宮崎県延岡市)間の14.2キロメートルが16日開通した。蒲江と北浦の中心部は約23分で結ばれ、一般道利用より30分以上短縮される。通行料は無料。大分、宮崎両県が高速道路でつながるのは初めてで、地元は地域活性化や災害時の交通網確保などを期待している。
>
>  同日午前、蒲江インターチェンジ(IC)の近くで開通式典を開催。その後、蒲江ICでテープカットを行い、北浦ICまでパレードを実施した。一般の通行は同日午後3時から可能になった。
>
>  沿線海岸部は南海トラフの巨大地震で津波被害が懸念されている。このため、東九州道では初めて地元住民が災害時に避難できる進入路を2カ所に設置した。
>
>  今回の開通区間は国と両県が総事業費439億円を分担する新直轄方式で整備。
隣接する佐伯(佐伯市)―蒲江間と北浦―須美江(延岡市)間は2016年度に開通する予定だ。東九州道はこの2区間を除き、北九州(北九州市)―清武(宮崎市)間が14年度までに完成する計画のため、地元はこの2区間も14年度に前倒しするよう国に求めている。

全国的に見れば、西九州の高速道路もかなり全面開通が遅かった部類に入るのですが、東九州の道路事情の悪さは悲惨もいいところとしか言いようがないですね。
私は仕事の関係で何度か宮崎県北部に行ったことがあるのですが、高速道路が全通していない宮崎県北部は、宮崎県南部の宮崎市や、隣県にある大分市や熊本市へ向かう際にも、2~3時間近く普通にかかったりします。
高速道路が近くに存在しないという問題は、地元住民にとって大きな負担となりますし、観光や企業誘致の観点からも多大な支障をきたすことにもなりかねません。
東九州は新幹線どころか通常の鉄道網でさえも、西九州に劣る小規模なシロモノしかないのですし。
かつて宮崎県知事を務めていた「そのまんま東」こと東国原英夫が、「宮崎に高速道路は不可欠」と公然と主張していたのも、それなりの理由と必然性があったわけですね。
今現在も、宮崎県が置かれている状況はまるで変ってなどいないのですし。

しかし、高速道路に限らず、この手の公共事業を「無駄の象徴」として否定する人達は、地方の生活には必要不可欠な公共事業でさえも「無駄」と切り捨てる傾向があります。
建設にカネがかかるとか、地元の土建屋を儲けさせるだけでしかないとか、普段は誰も使っていないからとか、その手の「使い古されたキャッチフレーズ」をしばしば使ってきます。
ところが、この手の主張を展開している人達というのは、実は自分が都会に住んでいて公共事業の恩恵を存分に受けている立場を顧みることなく、高みの上から口上を述べている、というパターンが少なくないんですよね。
あくまでも自分達の生活が基準になっていて、公共事業の恩恵が受けられない地方の人間の生活や実態については全く考えもしないわけです。
高速道路の利便性や恩恵を受けられない田舎の人間にとって、高速道路の全面開通は今後の生活にも大いに関わってくる重大事項もいいところなのですけどね。
熊本でも、高速道路や九州新幹線の全面開通は経済効果が少なくなかったのですし、利便性の向上を肌で実感した人は決して少なくなかったのですし。

地方の公共事業批判が特に滑稽なのは、自分とは全く関係のない地方の公共事業は「無駄」として切り捨てていながら、こと自分達の周囲にある交通事情等については「渋滞が酷すぎる、もっと道路を作れ!」などと、冗談やネタではなく真顔で主張したりするダブルスタンダードにあったりします。
また、公共事業のための予算を削った結果として、笹子トンネル崩落事故などの問題が発生すると、公共事業を批判していた事実を棚に上げ「何故きちんとした備えをしなかった!」などと喚く人達が、特にマスコミを中心に後を絶たないものですからねぇ(苦笑)。
結局のところ、地方の公共事業に批判的な人達というのは、目先の利益に固執するあまり、大局的な視点や危機管理意識といったものが完全に欠如しているか、そうでなければ「他人のところにカネを使うな! 自分の周囲のインフラを最優先で整備しろ!」というエゴまる出しなシロモノでしかないのでしょうね。
公共事業というものを、利益と効率性だけでその真価を評価するというやり方そのものに大きな問題と無理があるのです。
そのグロテスクな象徴が、かつてのゴミな民主党政権が実施していた「事業仕分け」とかいう名の茶番劇だったりするのですし。

第二次安倍内閣では、国土強靭化をはじめとする公共事業を積極的に推し進めていく方針とのことなので、中小の地方都市を結ぶ高速道路を次々と増設してほしいですね。
元々、大都市と地方で大きな格差が生じているのは、交通事情の問題という要素も意外と少なくないのですし。
また、いざ何らかの災害や事故が発生した際、大動脈となる道路が一本しかない場合は交通に多大どころではない支障をきたすことにもなりかねないので、スペアとなりえる非常路の存在は「いざという時の備え」として絶対に必要となります。
東日本大震災などでも、貧弱な道路網のために救援物資等の輸送に大きな支障をきたした、という問題がしばしば発生していたのですし。
安全保障と地域経済の発展、この両観点から公共事業を推進することは、最終的には「デフレの脱却」という、日本経済全体にとっての恩恵にもなりえるであろうと、私は思えてならないのですけどね。

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