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2013年03月02日の記事は以下のとおりです。

作品の二次利用における原作使用料の問題について

映画「テルマエ・ロマエ」の原作使用料の問題について、らいとすたっふの社長氏がツイートしているみたいですね↓

https://twitter.com/adachi_hiro/status/306217132440576002
<テルマエの原作料の話。旬な作家さんが「原作料って、こんなもんだよ」と言ってくれたの正直言ってありがたい。うちの親分の作品がアニメや舞台になっても、原作者側はさほど儲からないよ。でも、親分は自分の作品が別の表現方法で広がるのが楽しみ、って言ってる。でも、これは親分個人の話だから。>

https://twitter.com/adachi_hiro/status/306217420127891456
<私だって、「銀英伝」がアニメになって、舞台になったとき、よく知らない人から「儲かっているんでしょ。メシでも奢ってよ」って言われたもん。うちなんか原作者の、さらにその代理人だもん。>

https://twitter.com/adachi_hiro/status/306217888249966592
<あと、ちゃんと「原作者側って儲からないですよね」って言ってくれた人がいて、あ、この人は内情を知っている人だな。と思ったら、「私があいだに入ったら、もっと原作料、ふんだくれますよ」って。うーん。そういう考えがあるのも判るんだけど、ちょっと引いてしまったのも事実。>

https://twitter.com/adachi_hiro/status/306218273119289344
<ただ、原作者代理人という仕事をきちんと突き詰めていけば、どんな相手からも出来るだけたくさんの原作料を支払ってもらえるように交渉すべきなんだよね。それは自分でも判ってる。だけど、原作を使って何かをしよう、という人は、自分たちでリスクを背負って映画なりアニメなりを作ろうとしてる。>

https://twitter.com/adachi_hiro/status/306218691358494723
<だから、私の考えとしては、とっかかりの部分では原作料を安くしてもいいのかな、と思う。だけど、アニメや映画がうまく軌道に乗って、続篇が作られたり、DVDや地上波での放映権料が入ってくる段階になったら、ちゃんと原作者側にも相応のものを支払って欲しい。と思うのね。>

これらのツイートを読んで思うのは、「個人としてはともかく、出版業界全体に与える影響というものを軽く考えすぎなのではないか?」ということですね。
確かに田中芳樹の性格からいえば、自分の作品を映像化してくれるのだから、気前良く自分の作品は提供するし、あまりカネを取る気にはなれないという「善意」を示すであろうことは想像に難くないですし、実際にアニメ化や舞台化の際にもそうしてきたのでしょう。
しかし世の中には、そういった「善意」すらも「悪意」に転用して私腹を肥やそうとする輩が後を絶たないのです。
つまり、田中芳樹が「善意」に基づいて自分の作品を安く提供した、という事実を逆手に取り、他の作家の作品を実写化等をしようとする際に、制作サイドから「あの田中先生でさえこの程度の額だったんですよ」という値切りの材料に使用されてしまう可能性があるわけです。
大御所でさえこの程度の金額で良いのであれば、それよりも立場の弱い新人や中堅どころの作家の場合はさらに値切ることが可能、という認識を制作サイドに植え付けてしまうのでは、結果的には他の作家の立場を窮地に追い詰めることにもなりかねないでしょう。
大御所は大御所にふさわしいギャラをもらわなければ、それが前例となり、それよりも弱い立場の同業者達もまた、「清貧な大御所」と同列もしくはそれ以下のギャラに甘んじなければならなくなるのです。
現に「テルマエ・ロマエ」の原作者は、そうやって100万円程度の原作使用料しか支払われることがなかったわけです。
のみならず、映画の宣伝のためにノーギャラで協力させられる、などという横暴まで堂々とまかり通る始末だったのですし。
その辺りの「後発への影響力」といったものが、どうも田中芳樹はまるで理解できていないのではないか、と考えずにはいられないですね。
田中芳樹が所属するらいとすたっふには、後発の新人もそれなりの数がいるはずでしょうに、何故自分自身が持つ影響力というものにそこまで無頓着でいられるのかと。

また田中芳樹の場合、自分の作品を自分が批判していたはずのパチンコに売り飛ばしたなどという前歴もあるわけですよね。
自分で「警察利権の温床」などと主張し、また「北朝鮮の資金源」との黒い噂も絶えないパチンコに、田中芳樹は一体何を期待していたというのでしょうか?
パチンコ相手に、「原作を使って何かをしよう、という人は、自分たちでリスクを背負って映画なりアニメなりを作ろうとしてる」なんて論理が通用するはずもないでしょうに。
カネ儲けが目当てでなかったのであればなおのこと、自分の作品をポルノと同等かそれ以下の存在であるパチンコに売り飛ばした理由が意味不明もいいところなのですが。
まさか、警察物である薬師寺シリーズを連載していることから自分も警察利権のおこぼれに与ることができる、などと考えたわけではないでしょうし(苦笑)。
あの当時でも、徳間書店とはとっくに縁を切っていたのですし、田中芳樹が著作権を主張してパチンコ売り飛ばしを拒否するのは簡単なことだったはずなのですけどね。

原作使用料については、映画のヒットに関わらず必要最低限支払われる額をまずは保証した上で、その額に興行収益に応じた金額を追加する、といった歩合制方式を採用し、かつそれを制度化すべきだと思いますね。
単純に制作サイドや出版社の「善意」に期待する現行のやり方では、制作サイドや出版社による値切りや中間搾取等で、作家の権利がないがしろにされることを防止することができないのですから。
というか、テレビ局等の映画の制作サイドなどはともかく、作家と緊密な仕事関係にあるはずの出版社までもが作家の権利を軽んじているというのは驚きの事実ではあるのですが。
作家と出版社って、実は敵対関係にでもあったりするのでしょうかねぇ(-_-;;)。
田中芳樹のごとき「善意の作品提供」すらも「制作サイドの悪意」に利用される世の中なのですから、作家の権利を保証し相応のギャラを確保させるための制度は必須と言えるのではないでしょうか?

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