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2013年03月24日の記事は以下のとおりです。

映画「ジャックと天空の巨人(3D版)」感想

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映画「ジャックと天空の巨人」観に行ってきました。
イギリスの有名な童話「ジャックと豆の木」および「Jack the Giant Killer」をベースに、天空に浮かぶ島に生息する巨人と人間の戦いを描いた冒険ファンタジー作品。
今作は2D・3Dの同時上映なのですが、観賞可能な時間帯には3D版しか公開されていなかったため、今回は泣く泣く3D日本語吹替版での観賞となりました(T_T)。
カネがかかるだけの3D版なんて、できることなら観賞したくなどないのですけどねぇ、私は。
相変わらず、3Dについては悪戯に目が疲れるだけのどうでも良い出来でしかなかったですし。

物語の冒頭は、母親を亡くして父子家庭で育っている幼いジャックが、父親にせがんで「天空の巨人の伝説」を読んでもらうところから始まります。
同じ頃、王城ではこれまた王妃にせがんで同じ伝説を呼んでもらっているジャックと同年輩のイザベラ王女の姿がありました。
父親と王妃が共に読んでいた「天空の巨人の伝説」の内容は、地上で闇の魔力?を持つ種から巨大なツタが天へ向かって伸びていき、そこから巨人がやってくるというもの。
人間達は巨人と凄惨な戦いを繰り広げたものの、図体に物を言わせた巨人達の膂力は圧倒的であり、人間側は一方的に蹂躙されていました。
しかし人間側は一計を案じ、ひとりの巨人を殺して手にした心臓を元に、ひとつの冠を作り上げます。
巨人達はその冠を持つ者の命令には絶対的な服従を余儀なくされ、結果、人間達は巨人達に「天へ帰れ」と命じて巨人達を撤退させることに成功。
そして、巨人達が昇っていったツタを切断して地上と天空を繋ぐルートを断ち切り、ようやく地上に平和が訪れたのでした。
当時の王様であるエリック王は英雄として崇められることになります。
そして後には、巨人を退避させた冠と、巨大なツタを生やす魔法の種数粒が残されたのでした。
この「天空の巨人の伝説」を聞かされたジャックとイザベラは満足し、それぞれ父親と王妃に見守られながら、眠りにつくことになるのでした。

それから10年後。
父親を亡くし、叔父に引き取られていたジャックは、馬と荷台を売り払って当座のカネを作るべく、王城がある城下町へとやってきていました。
長年親しんできた馬との別れを惜しみながら買い取り手を捜し歩く中、ジャックは幼い頃に両親に読んでもらっていた「天空の巨人の伝説」の舞台公演が行われている場所に辿り着きます。
そこでジャックは、ひそかに城を抜け出し、フードをかぶって顔を隠しながら舞台を観覧していた王女イザベラと初対面することとなるのでした。
王女を探していた騎士団と共に王女が去り、舞台観覧の間に荷台が紛失してしまったことに気付いたジャックは、とりあえず馬だけでもカネにしようと買い取り手探しを再開します。
そこへ、何やらワケありの修道僧がジャックに声をかけ、馬を譲ってもらいたいと申し出てきます。
ところがその修道僧には持ち合わせがなく、ジャックに対し数粒の豆を渡し、それを修道院に持っていけばカネに変えてくれるとジャックを諭します。
ただし、その豆は決して水に濡らしてはならない、とも。
ジャックが返答を渋って考え込んでいる間に、その修道僧はさっさと馬に飛び乗ってその場を立ち去ってしまい、ジャックはカネを手にするための手段を全て失ってしまうのでした。
ジャックはショックを受けながらも、修道僧からもらった豆を手に、叔父が待つ家に戻ることとなるのですが……。

映画「ジャックと天空の巨人」は、前半部分は童話「ジャックと豆の木」のストーリーをなぞりつつ、王国の陰謀劇なども織り交ぜ、巨人との戦いがメインとなる物語中盤以降は完全オリジナルな展開が繰り広げられます。
事前予測に反してアクションシーンも多く、特に物語後半は巨人を相手にした城塞の攻防戦をメインに扱っていることもあり、なかなかに見応えのある構成となっています
決して客受けしない映画ではなく、スタンダードに面白い作品なのではないかと思われます。
にもかかわらず今作は、アメリカで劇場公開されて以降、その製作費に比べて悲惨なまでの興行収益しか稼げていないという惨状を呈しているみたいなんですよね↓

http://www.cinematoday.jp/page/N0050847
>  [シネマトゥデイ芸能ニュース] 新作が不調だった今週末は、1,000万ドル(約9億円)以上の興収を記録した作品は、トップの映画『ジャックと天空の巨人』のみで、それも決して大ヒットとはいい難い2,720万ドル(約24億4,800万円)という結果となった。(1ドル90円計算)
>
>  世界の子どもたちから愛されている童話「ジャックと豆の木」をベースに、
製作費をおよそ2億ドル(約180億円)もかけ、映画『X-MEN』シリーズでおなじみのブライアン・シンガー監督がメガホンを取った本作は、高い興収を期待されていたのだが、主演ニコラス・ホルトの知名度の低さや、CGIの巨人たちがグロテスクなことなどが災いし、かなり不本意な結果に……。

http://www.cinematoday.jp/page/N0051062
>  代わって第2位は、映画『ジャックと天空の巨人』で984万ドル(約8億8,560万円)。去年の今ごろに公開され、散々な結果に終わった映画『ジョン・カーター』がよく引き合いに出されているが、『ジャックと天空の巨人』の2週目における下降率63.8パーセントは、『ジョン・カーター』の同時期55パーセント降下よりも大きく、このままいくとトータルの興収は『ジョン・カーター』を下回る6,000万ドル(約54億円)にも達しないのではと予想されている。

http://www.cinematoday.jp/page/N0051291
>  代わって第4位は、映画『ジャックと天空の巨人』で632万ドル(約5億6,880万円)。これまでの興収トータルは5,401万ドル(約48億6,090万円)となっている。

アメリカの映画公開から既に3週間の時間が経過してさえ、製作費のようやく4分の1強を回収した程度でしかないというのは、ほとんど壊滅的な成績であるとしか言いようがないですね。
上記記事でも引き合いに出されている映画「ジョン・カーター」も、2012年トップクラスと謳われる「悲惨なまでの赤字映画」として知られていますし。
日本を含めた世界各国ではまだまだこれからとは言え、本家アメリカでこのスタートは正直かなり厳しいものがあるでしょう。
しかし、これは「ジョン・カーター」もそうだったのですが、今作も内容的にも演出面でも決して客受けしない駄作というわけではなく、充分な集客力もありそうな作品だというのに、一体何がここまで興行収益を左右しているのでしょうかね?
仮にも2億ドルもの製作費をかけているのであれば、宣伝広報の類だってそれなりに展開はしているでしょうし、「ジャックと豆の木」という世界的にも知名度が高いであろう童話をベースにしているのであれば、無名というわけではないのですし一定の客もつきそうなものではあるのですが。
今作の公開とほぼ同時期に、映画「オズ はじまりの戦い」も劇場公開されていて、しかもこちらは大ヒットしているようなので、客足をそちらに取られでもしたのでしょうかねぇ(-_-;;)。
内容は悪くないのに興行収益的に駄作扱いされるというのは、何とももったいない話であるとしか言いようがないのですが……。

作品内容に目を向けてみると、個人的に惜しいと思われるのは、イザベラ王女の許嫁で王家簒奪の野心を胸に秘めているロデリック卿とその部下が、かなり早い段階でさっさと物語から退場してしまうことですね。
序盤から中盤にかけてアレほどまでに分かりやすい大物な黒幕ぶりを演出していながら、あんなしょうもない油断からエルモントとの一騎打ちに引きずり込まれた挙句にあっさり討ち取られてしまうというのは、正直「竜頭蛇尾」な感が否めないところですね。
私はてっきり、ロデリック卿は物語終盤近くまで生き残りつつ、ジャックやエルモントやイザベル王女と対峙しつつ、巨人や王国も交えた三つ巴な戦いを繰り広げるものとばかり考えていたので、あの早すぎる退場は期待外れもはなはだしかったです。
巨人達は、ラスボスである二対の頭を持つファロン将軍も含め、どいつもこいつも脳筋な頭しか持ち合わせていませんでしたし、頭脳派のロデリック卿がいなくなったのはその点でも手痛いダメージでした。
物語終盤の巨人達の王城攻撃は、膂力と体格に物を言わせた力任せなシロモノにしかなっていなかったですし。
王城の地理も政治も熟知しているロデリック卿が巨人達を率いていれば、終盤の王城攻防戦もあるいは巨人側の勝利に帰したかもしれなかったのですが。
映画の演出面でも、当然のごとく巨人を従える冠を持つロデリック卿を主人公達が倒すことで、巨人達との戦いにも終止符が打てるという流れに持っていけるわけですし、彼のあまりにあっさりし過ぎな退場は何とも惜しまれるところではありますね。
ただそれを除いても、ジャックが持っていた魔法の豆の使った巨人退治や、ラストの王冠のオチなど、小道具の使い方はなかなかに上手いものがあったのですけど。

どの年齢層を問わず、老若男女誰もが楽しめるスタンダードな映画に仕上がっているのではないかと思います。

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