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2013年05月23日の記事は以下のとおりです。

映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」感想

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映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」観に行ってきました。
作家・東直己の「ススキノ探偵シリーズ」を原作とする、北海道を舞台に繰り広げられるハードボイルド・ミステリーシリーズ第二弾。
今作は原作5巻の「探偵はひとりぼっち」がベースになっているのだとか。
前作「探偵はBARにいる」から引き続き出演しストーリーと関わってくる登場人物も少なからずいるので、今作を観賞する際には前作を事前に復習しておくことをオススメしておきます。
なお作中では、主人公が女性と延々とまぐわっているシーンが序盤に登場する等の描写があるため、前作同様に今作もPG-12指定されています。

前作に引き続き、作中で全く名前が公開されない「探偵」が主人公の今作の物語は、「探偵」の友人であるオカマのマサコちゃんが何者かに殺害されるところから始まります。
マサコちゃんはマジシャン?としてかなりの実力を持っており、その手の全国大会を扱ったテレビ番組で優勝してしまうほど。
しかし、その優勝から2日後、マサコちゃんは何者かに殺されて、ゴミ溜めの中に放置されているのが発見されたのでした。
当然のごとく、マサコちゃんの周囲は怒りに満ち溢れ、「探偵」もそれに同調するのですが、それから3ヶ月の歳月が経過しても、警察の捜査は一向に進展せず、容疑者の候補すら全く浮上してきません。
その3ヶ月の間、ただひたすら女遊びにシケこんでいたものの、最終的に女から捨てられてしまった「探偵」は、思い出したかのようにマサコちゃん殺人事件の捜査状況を把握して愕然とするのでした。
捜査が行き詰っているだけでなく、当初は犯人への復讐心で気炎を上げていた関係者達が、何故か奥歯に物が挟まったかのごとく曖昧に言葉を濁すありさま。
それもそのはずで、マサコちゃん殺人事件には、北海道でも大物とされる政治家の姿が見え隠れしていたのでした。
その政治家・橡脇孝一郎は、かつてマサコちゃんと同性愛的な関係にあることが、関係者の間では密かに知れ渡っていました。
現在は既に縁が切れているものの、マサコちゃんがテレビ出演したことで過去を蒸し返されることを恐れた橡脇孝一郎本人またはその関係者が、口封じを意図してマサコちゃんを殺害したのではないか?
そのような噂が関係者の間で広がったことから、周囲はマサコちゃん殺人事件について口を閉ざすようになってしまったのでした。
そんな周囲の様子に納得がいかない「探偵」は、独自に事件の捜査を進めていくことを決意するのですが、その時から彼には不審な人物達がまとわりつくようになります。
「マサコちゃんのファン」を名乗る謎の女性。
橡脇孝一郎絡みで、それぞれの思惑に基づいて蠢く3つの集団。
「探偵」は、これらの存在に対処しながら、事件の真相を解明していくことになるのですが……。

映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」は、いかにも闇の組織が蠢いていると言わんばかりのストーリー構成に反して、その事件の真相はおよそ笑えるレベルで卑小なシロモノでしかなかったですね。
作中でアレだけドタバタ劇をやっていたのは一体何だったのか、とすら思えるほどに。
政治家およびその周囲の人間達の動向だの、主人公と周囲の人間の怒りだのは、結局殺人事件とは全く何の関係もなかったわけですし。
結果から見れば、終盤近くまで政治家が犯人であることを前提に各種の言動を繰り広げていた、主人公を含めた全ての登場人物達が、実に滑稽に見えてならなかったですね。
犯罪捜査は予断と偏見をベースに行ってはいけない、という基本中の基本な考え方を、今作はまざまざと見せつけてくれています。
とはいえ、物語的に見ると、アレだけ大騒動を繰り広げた挙句があの真相では、あまりにも竜頭蛇尾に過ぎて悪い意味で拍子抜けもいいところです。
先の展開がなかなか読めないながらも、結果から見れば最初から最後まで一本筋が通ってはいた前作の方が、ミステリー作品としては出来が良いのではないかと。
アクションシーンやカーチェイスなどは、確かに前作よりもスケールアップしていた感はありましたけど。

また、いくら自分の思想や政策と合致する政治家を守るためとはいえ、「自発的に」主人公達を暴力的に襲撃して平然としている集団も、なかなかにクるものがありましたね。
その目的が「脱原発推進」というのも笑えるところではあったのですが。
カネで雇われて手先になっていた、というのであればまだしも、彼らは自主的かつ無報酬で手先同然の行動に打って出ていたわけですからねぇ、彼らは。
巷の左翼&サヨク運動を皮肉る意図でもあったりしたのでしょうかね、アレは(苦笑)。
まあ実際には、彼らが自分達の正体や黒幕の存在を隠蔽したいがためにあえて虚言を弄していた、という可能性もなくはないのですが。
あの手の組織では、依頼主やスポンサーは最大の企業秘密のひとつでしょうし、傍から見てもウソっぱちな虚言であっても、それを守ろうとするのもこれまた当然の話ですし。
ただ、あそこまで状況証拠が歴然としている中で、そんなことをして意味があったのかは疑問もいいところなのですけど。

エピローグでは前作に引き続き、「探偵」の相棒である高田が所有するボロ車のビュートがド派手にエンストし、2人して立ち往生する様が描かれています。
前作でも「クルマ買い替えろ!」を激高していた「探偵」でしたが、何故高田はあのクルマを全く変えようとしないのでしょうか?
今時、アレより安くて燃費その他の面で性能の良いクルマなんて、中古車ショップにすらたくさんあるのではないのかと。
というか、むしろあのクルマを維持することの方が、メンテ費用その他で却って高くつくのではないかとすら思えてならないくらいですし(爆)。
ものぐさで怠け者気質な高田であれば、むしろメンテの手間がかからないクルマを選びそうなものなのですが、高田はあのクルマによほどの愛着でもあったりするのでしょうかね?

ミステリー物としてはイマイチな感がありますが、アクションとコメディを交えたハードボイルド物としてならば、それなりに見れるものはあるのではないでしょうか。

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