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2013年06月24日の記事は以下のとおりです。

映画「エンド・オブ・ホワイトハウス」感想

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映画「エンド・オブ・ホワイトハウス」観に行ってきました。
タイトルが示す通り、アメリカのホワイトハウスを舞台に繰り広げられるアクション映画。作中では無差別銃撃などで人が血を撒き散らしながら大量に死んでいく描写が存在するため、PG-12指定されています。

今作の主人公マイク・バニングは、アメリカ大統領ベンジャミン・アッシャーおよびその一家を警護するシークレット・サービスの一員。
大統領のスパーリングの相手になったり、大統領の息子コナー・アッシャーと親しく会話していたりと、彼は護衛対象たる大統領一家からも大きな信頼を寄せられていました。
しかし、クリスマスが近いある年の12月、大統領専用の別荘地キャンプ・デービットから選挙資金調達の用事で外出する大統領一家を警護する任に当たっていたマイク・バニングは、そこで不測の事態に直面することになります。
雪が舞う林道を走っている最中、大統領の専用車を先導する警護のクルマに大枝が落下。
パニックに陥った先導車は、ちょうど橋がかかった川に差し掛かったこともあり、大統領専用車を巻き込む形で橋からダイブして川に転落してしまいます。
それに巻き込まれた大統領専用車もまた、橋の淵にかろうじて引っかかった状態で今にも川へ転落しようとしていました。
大統領を救出すべく急ぎ駆けつけたマイク・バニングは、一刻を争う事態ということもあり、妻を助けようとする大統領の身柄の確保を優先して大統領を車から引っ張り出します。
ところがその直後、橋に引っ掛かることで辛うじて保たれていたクルマのバランスが崩れ、大統領専用車はファーストレディを乗せたまま、川へと転落してしまったのでした。
当然のごとくファーストレディは死亡。
大統領と息子は大いに嘆き悲しみ、マイク・バニングもまた、任務を果たせなかったことに自責の念に駆られることになってしまうのでした。

それから約18ヶ月後の7月5日。
ファーストレディを救出できなかった責任を問われたマイク・バニングは、シークレット・サービスの任務から外され、閑職も同然の財務省の国庫課に異動となっていました。
件の事件以来、彼は妻との関係すらも上手く行かなくなってしまい、あの時のショックから未だ完全には立ち直れずにいるのでした。
この日、アメリカ大統領は、北朝鮮との緊張状態が続く韓国の大統領と、ホワイトハウスで会談を行う予定となっていました。
シークレット・サービスによる厳重な警戒体制が敷かれる中、韓国側の護衛と共にホワイトハウスに現地入りする韓国の大統領。
しかしそんな中、一機のC-130輸送機がワシントンD.C.の飛行禁止区域へと侵入。
当然、2機の戦闘機がスクランブル発進して輸送機に警告を与えるのですが、C-130は警告を無視したばかりか突如発砲を開始。
その場で戦闘機を撃墜した上、ワシントンD.C.の市街地に向けて無差別の銃撃を開始し一般人を虐殺し始めます。
危機を察知したアメリカ大統領およびその周囲は、韓国の大統領と共に、ホワイトハウスの地下にある危機管理センターへと避難することになります。
しかし、時を同じくしてホワイトハウス近辺で大規模な襲撃が開始され……。

映画「エンド・オブ・ホワイトハウス」は、久々に「古き良き正統派」なハリウッドアクション映画とでもいうべき内容ですね。
主人公が単身敵に挑む設定といい、主人公以外の味方が無為無力どころかむしろ足を引っ張ってすらいる点といい、どことなく「ダイ・ハード」シリーズや「沈黙」シリーズのノリに近いものがあります。
主人公は最初から最後まで孤立無援の状態を維持し続けていますし、数十人規模の少数精鋭集団をたったひとりのアクションで制圧していく光景は、ハリウッド映画では見慣れたものではあるにせよ、それ故に安定的な面白さを観客に提供してくれています。
主人公は物語冒頭の事件をトラウマ的に引き摺っているため、キャラクター的には少々暗い性格になってしまってはいるのですが、終盤では「事件を解決した英雄」として名誉が回復し、ハッピーエンドで終わるところもポイントですね。
良くも悪くも、往時のハリウッドアクション映画のあり方を踏襲した作品と言えるのではないかと。

公式サイトに掲載されているプロダクションノートによれば、作中におけるホワイトハウス襲撃は「実際にそんなことが可能なのか?」というシミュレーションを重ねた末に考え出されたものなのだそうです。
特に感心したのは、ホワイトハウス襲撃日を7月5日に設定した理由で、この日はアメリカ独立記念日の翌日で、前日の記念式典等で出たゴミを処理するための大型トラックが多数出動するので、それをテロリスト達が利用できるからというもの。
これらの大型トラックは、作中ではホワイトハウスに繋がる道路の封鎖や、警察や軍からの攻撃に対する防塞として大いに機能していました。
物語の設定や必然性としてどころか、リアルなテロ計画としても充分に通用しそうな設定で、「実際にこういった襲撃は可能なのではないか?」という思いを観客に抱かせるのに十分なものがありました。
そして、そのホワイトハウス襲撃でも、ホワイトハウスの地下深くにある危機管理センターの制圧はさすがに難しいのではと考えていたら、そちらは韓国大統領の側近達によって内部からあっけなく占領されてしまっていました。
自国の大統領周辺に北朝鮮に繋がる工作員を、しかも何の疑いを抱くことすらもなく置いているとは、作中の韓国ってどれだけ北朝鮮に甘いんだよとつくづく考えずにはいられませんでしたが(^^;;)。
ただ実際、韓国は特に金大中政権の太陽政策以降、北朝鮮に対し無用なまでに寛大なスタンスを取るようになってしまっていて、結果として北朝鮮の工作が社会的に浸透しまくっているという事情も実はあったりしますからねぇ。
日本ではありえない話なのですが、韓国では「親北朝鮮派」と呼ばれる勢力が少なからぬ力を持っていたりするそうですし。
こんなのを同盟国として抱え込んでいなければならないとは、いくら自業自得であるとは言え、アメリカも不幸な国ではありますね(T_T)。
作中のアメリカは間違いなく、「あの国のあの法則」の呪いにでも巻き込まれていた以外の何物でもありませんでしたし(苦笑)。

作中のようなホワイトハウス襲撃を見て個人的に連想したのは、やはり何と言っても同じように日本の国家中枢を一時的にせよ少人数で奇襲的に制圧してしまった話を描いた映画「SP 革命篇」ですね。
今作のそれに比べれば、あの奇襲は構成人数においても武装においても雲泥の差があるのですが、外国はいざ知らず、日本ではあの程度の奇襲であっても相当なリアリティを伴うものでありえてしまうんですよね。
日本ではあの手の国家中枢への攻撃・占拠などが実施された有事に関して想定したマニュアルや体制などは無きに等しいですし、そういったものを作ろうとすると、そのこと自体が「軍国主義」「右傾化」などの謂れなき非難を受けたりするお国柄です。
「SP 革命篇」で見られるような「拳銃を持った数人程度の武装集団」レベルでいともあっさりと制圧されてしまう光景がリアリティを持ってしまうような日本で、今作のごとき襲撃が行われたりでもしようものならば、襲撃者達はホワイトハウス制圧にかかった最初の13分間で、国家中枢どころか日本という国の機能すらも完全に停止させることが出来てしまうでしょう。
日本では内閣総理大臣が病気などで政務を遂行できなくなった際の明確な取り決めが、何と21世紀に入る直前まで存在せず、ほとんど慣習的に運用されていたくらいだったのですから。
第84代内閣総理大臣だった小渕恵三の緊急入院問題から、多少は改善されて事前の代行指名を最大5名まで行えるようになりはしたものの、法律で18位まで大統領継承順位が定められているアメリカに比べれば未だ不十分なレベルとも言われています。
内閣総理大臣と一緒に、事前に指名された5名全てが捕縛されてしまったら一巻の終わりなわけですし。
また実際問題として、作中で描写されていたような「大統領・副大統領が捕縛されてしまったので、下院議長が大統領代行として指揮を執る」的な権限移譲自体が、日本では果たしてスムーズに行い得るものなのか、という疑問も尽きないですからねぇ。
武器使用の制約が少なく、世界最強の軍隊を持つアメリカですら不意を突かれれば弱いのに、それ以上に制約も大きい日本で作中のホワイトハウス襲撃と同規模の攻撃が起ころうものならば、一挙に国家存亡の危機にまで直結するのではないか、という懸念は以前から消えることがないのですが……。

エンターテイメント作品としては、観客のツボを良く押さえた手堅い作りになっているのではないかと思います。

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