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自称SF作家の「サーラの冒険」シリーズ書評 後編

前回に引き続き「サーラの冒険」シリーズについて。
今回は4巻から10年近くも放置されていた5巻と6巻および外伝についての感想と全体総括です。

さすがに10年以上も放置されていただけあって、過去4巻とは文体や特徴が変わっていますね。
特に大きく変わったと思うのは、作品におけるメインシナリオ部分を構成する後半部分に入るまでがとにかく長く、かつ退屈に感じられるようになったこと。
プロローグから一気にメインシナリオまで行けば良いのに、あちこち寄り道しまくっているような描写がとにかく多いんですよね。
作中キャラクターの設定を掘り下げて色々と詰め込んでいるようなのですが、本筋と全く関係ないエピソードも少なくなく、「いつになったら本筋の話が始まるんだ」とイライラさせられます。

また、6巻では敵の本拠地を襲撃するにあたり作戦会議が開かれるのですが、ここで敵の全容を長い説明とページを割いて全て説明し尽くしています。
ストーリー的には、確かに作戦会議や敵に関する説明は当然行われるべきものでしょう。
しかし小説を読む読者の視点から見たら、そんなある意味退屈な話は、実際に敵に遭遇した際に「こんな説明が会議の際に行われていた」的な描写のひとつも入れれば事足りることでしかありません。
そもそも未登場かつ未知の敵について一気に説明されてしまうと、読者的には「敵の正体を知っていく過程を追う」楽しみを大きく殺がれてしまいますし、また敵の戦闘シーンが発生する毎に「この敵はどんな奴だったっけ?」と前のページをいちいち確認しなければならないなどの余計な手間も発生してしまいます。
「戦慄のミレニアム」と同じ図式で、「そんなのを【読者に】説明するのは後でも良いから早く話を進めてくれ」とウンザリさせられました。

あと、3巻の「少女レイプ」ネタにも言えることなのですけど、全体的にエロネタが多いですね。
特に主人公のサーラとヒロインのデルは、物語終了時点でさえ14歳前後であるにもかかわらず、「他所の男(女)と寝た」的な会話を互いに堂々と交わしているくらいですし。
主義主張は年相応に青臭くて世間知らずな潔癖症的な正義感に満ちているのに、エロに関してはそこらの大人よりも抵抗感がないというのはかなりアンバランスなような…。

「戦慄のミレニアム」と「サーラの冒険」を読んでみて何となく見えてきた自称SF作家の問題点は、「起承転結」の「起」と「承」が上手く書けていない、ということですね。
「転」と「結」については出来が悪いわけではなく、それなりに内容も考えられていて「読者を納得させる」構図になっているのですが、そこに至るまでの「起」と「承」が無意味に長い上に本筋からの脱線も多く、しかもウンチクだけで全ての設定を無理矢理に説明しようとするスタンスが目立つために「読者が入口で閉口し立ち往生する」シロモノになってしまっているんですよね。
これから考えると、山本弘の小説は「作者&作品のことを全く知らない新規読者に作品を手に取らせ読ませ作品世界に惹きこむ」ことをロクに考慮していないシロモノであると言えます。
何でも良いからまずはとにかく読者の関心を惹かなければ、小説の内容がどれだけ良くても「そもそも読んでもらえない」というのにねぇ。

しかし、では山本弘が以上のような問題点を是正できるのか、と問われれば、それは到底無理な話であると断定せざるをえないんですよね(笑)。
周知のように山本弘は、アルマゲ論争でも散々主張していたように「読者による脳内補完」というものを全否定するというスタンスを頑ななまでに堅持しています。
となると、山本弘が執筆する作品の設定は、「読者による脳内補完」など一切出てくる余地がないように、作者自身が何から何まで一切合財全てキッチリ書き綴らなければならず、それがあの長々としたウンチク&脱線エピソードの大量生産という弊害を生み出しているのです。
簡単に言えば、山本弘は「評論を書く手法で小説を執筆している」わけですね。
他人の著書を嘲笑う「と学会会長」を本職とする山本弘にとって、その執筆スタンスを否定することは、「と学会会長」としての地位および活動をも全否定する一種の自殺行為に他なりません。
すくなくとも山本弘的には、たかだか片手間な副業に過ぎない自称SF作家業ごときのために本職を犠牲にしてまでやるべきことではないことでしょう(爆)。

それにしても、山本弘は「サーラの冒険」4巻と5巻の空白期間となる10年もの間、一体どこで何をしていたというのでしょうか?
田中芳樹ばりに遅筆な作品執筆スタイルを気取ったところで、作品が売れるわけでもないでしょうに(苦笑)。
やはり、自称SF作家業よりも「と学会会長」の方がカネになる、という「志の低い」理由でも根底にあるのでしょうかね?

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コメント

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>それにしても、山本弘は「サーラの冒険」4巻と5巻の空白期間となる10年もの間、一体どこで何をしていたというのでしょうか?
>田中芳樹ばりに遅筆な作品執筆スタイルを気取ったところで、作品が売れるわけでもないでしょうに(苦笑)。
>やはり、自称SF作家業よりも「と学会会長」の方がカネになる、という「志の低い」理由でも根底にあるのでしょうかね?

AMAZONなり何なりで検索すれば一分で調べられますよ。
と学会関連以外だけでも何冊も本を出しています。
呆れるほど簡単に調べられる事も調べずに「金目当ての志の低い人間」呼ばわりとはずいぶんな態度ですね。

それとも何冊も出している事を知りながら「金目当ての志の低い人間」呼ばわりするためにあえて無視したんでしょうか?

最後に?マークをつけて「断言したわけじゃない」と言い逃れ可能にしてあるところを見ると後者の可能性もたかそうですね。

なんにせよ、自分の気に入らない人物を誹謗中傷できさえすればそれで良いという下劣な性根が透けて見えるようです。

  • 2010/09/12 18:01:00

冒険風ライダー(管理人)

> AMAZONなり何なりで検索すれば一分で調べられますよ。
> と学会関連以外だけでも何冊も本を出しています。
> 呆れるほど簡単に調べられる事も調べずに「金目当ての志の低い人間」呼ばわりとはずいぶんな態度ですね。

ひとつのシリーズ作品を10年近くもほったらかしにして他の評論本や作品を出すことが、どれほどまでに「読者を待たせる」ことになるかについて少しでも考えてみれば、そういう事態を避けるために作者は一定の努力をすべきでしょう。それでも他の著書が書きたいというのであれば、既存のシリーズ作品をきっちり完結させた後か、もしくは刊行ペースが著しく長期化しない範囲内でやるべきです。
田中芳樹も、作品執筆ペースそのものは1年に1~3冊ベースとそれほど遅いというわけではありませんが、ひとつのシリーズ作品ベースで見ると最後の刊行作品からの時間間隔があまりにも長くなっているからこそ「遅筆」呼ばわりされるわけですし。
仮にもシリーズ作品として刊行していた「サーラの冒険」シリーズを10年も放置して他の本をバンバン刊行するという行為は、すくなくとも作家としては充分に問題のあるスタンスです。

> それとも何冊も出している事を知りながら「金目当ての志の低い人間」呼ばわりするためにあえて無視したんでしょうか?

山本弘は「と学会」の活動や、過去に己の掲示板でアニメ・映画・特撮批評などをやっていた際は、自分の批評対象についてまさに「頭が悪いバカ」「志が低い」「底の抜けた浴槽」的な罵倒を駆使しまくっています。しかも後者は場合によっては、作品のストーリーやテーマとは何の関係もない、重要度が低い瑕疵を論ったりしてまで。
ならば山本弘は、他ならぬ自分自身の作品について似たような論評が他者からなされても、すくなくとも罵倒されること自体については当然文句を言うべきではないでしょう。自分が他人を罵倒するのは良いが他者から自分が罵倒されるのは許せない、なんて得手勝手なダブルスタンダードもいいところです。

> なんにせよ、自分の気に入らない人物を誹謗中傷できさえすればそれで良いという下劣な性根が透けて見えるようです。

山本弘のことですね。分かります(笑)。

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おっと、失礼。
ちゃあんと「戦慄のミレニアム」の名前を出しておられるのですね。しかもしかも、戦慄のミレニアムの書評まで書いておられる。
サーラ5巻の発刊は1995年で6巻は2006年。そして「戦慄のミレニアム」は上下巻ともに2000年。

サーラの5巻から6巻の間に別の小説を出している事を知りながらあえて

>それにしても、山本弘は「サーラの冒険」4巻と5巻の空白期間となる10年もの間、一体どこで何をしていたというのでしょうか?
>田中芳樹ばりに遅筆な作品執筆スタイルを気取ったところで、作品が売れるわけでもないでしょうに(苦笑)。
>やはり、自称SF作家業よりも「と学会会長」の方がカネになる、という「志の低い」理由でも根底にあるのでしょうかね?

知っていながらこういう事を書いたのですね。

深遠を覗き込むものは自分も深遠に見つめられている事を忘れてはならないといいますが、その実例を見た想いです。

  • 2010/09/12 22:20:00

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>仮にもシリーズ作品として刊行していた「サーラの冒険」シリーズを10年も放置して他の本をバンバン刊行するという行為は、すくなくとも
>作家としては充分に問題のあるスタンスです。

ああ、確かにそれは問題ですね。
田中氏山本氏に限らず未完結のシリーズを放置して新作をおっぱじめる小説家が世の中余りにも多すぎる。

漫画でなら余りありませんよね。
連載を中断していながら別の連載を始めるなんてのは。
やるにしても第一部完とか曲がりなりにも一区切りつけてからやるでしょうから。(長期中断自体はけっこうあるかも)

でも、それとコレとは別ですね。

素直に「10年もサーラシリーズを放置して妖魔夜行だのSF方面だのにかまけていた」ことをあげれば良かった。

それをせずにまるでと学会にばかりかまけてたように書き、さらに金のためであると匂わすというのは露骨な印象誘導といわざるを得ません。

ちなみに私は田中氏も山本氏も好きではありません。
田中氏はここ十数年ばかりの劣化ぶりは目を覆わんばかりですし(何故あんなにも中華を盲目的に礼賛するようになったんだろう)、山本氏は主にと学会本。

トンデモ本の世界シリーズは最初の3冊くらいは楽しく読めましたが、それ以降は死体を無理やり動かしているというか、ぶりっ子アイドルが40、50のおばさんになってもふりふり衣装を着てキャピキャピ言ってるのを見てしまった感じというか。出番も役割も既に終わっているのにまだ舞台に上がろうとしている役者といいますか。
とにかくげんなり来てしまって。

それでは、これからのご活躍を祈っております。
出来れば「他人のことをいえた義理じゃない」などといわれないやり方で。

  • 2010/09/13 00:16:00

冒険風ライダー(管理人)

> 素直に「10年もサーラシリーズを放置して妖魔夜行だのSF方面だのにかまけていた」ことをあげれば良かった。
>
> それをせずにまるでと学会にばかりかまけてたように書き、さらに金のためであると匂わすというのは露骨な印象誘導といわざるを得ません。

山本弘の場合、「作家が本業」と常々自称していながら、その「本業」とは本来全く関係のない「と学会」関連本や空想科学読本批判本をはじめとする評論本を書きまくっているわけですよね。特に「サーラの冒険」シリーズの空白期間となる1995年~2005年の間はその傾向が強く出ています。
「サーラの冒険」シリーズを放置して他の「小説作品」にうつつを抜かすのも問題といえば問題ですが、そちらはとにもかくにもまだ「本業」の範疇には入ります。しかし、「と学会」関連本をはじめとする評論本は、「と学会会長・山本弘」「評論家・山本弘」の仕事ではあっても、「作家・山本弘」としての本来の仕事ではありません。
その時間を小説の執筆に当てれば、「サーラの冒険」シリーズは1年1冊書く計算でも7年は早く完結できたはずでしょう。「本業」でない仕事にかまけて「本業」をおろそかにするというのは「作家として」大いに問題視されるべきことではありませんか。
仮にも「作家」を本業と称するのであれば、何故そんな「本業」をおろそかにする愚行をやらかしているのか? 何故そこまでして「と学会」の活動に固執するのか? という疑問に対する「最も分かりやすい推論」としてあの発言は行っています。
最近では同じ「と学会」運営委員である唐沢俊一の盗作問題で、唐沢俊一の処分に失敗していながら、自分の意見を数の力で排斥した「と学会」を退会しようとしなかった事例もありますし、「と学会」について何らかの利権問題が絡んでいるのではないか、という説は結構前から唱えられているのですけどね。

(苦笑)

本の読み方は食事と同じで、個人の自由です。ですが、わざわざ料理が不味くなるような食べ方をしたうえで、ひどい味を料理のせいにするのはいかがなものかと思います。
管理人さんの感想を拝見して、作者である山本弘さんに対する反感の大きさはよくわかりました。というより、この感想を拝見した限りでは、伝わってくるのは反感の大きさだけです。山本弘のことが気に入らない、気に入らないからやつの書いた本も扱き下ろしてやろうという考えのもとに書き殴っているとしか思えません。仮にもプロの物書きが手がけた作品を批判するなら、不細工な感情は極力抑えて、意見に最低限の説得力というものを持たせるべきではないでしょうか。憎悪や敵意を推進力に変えて偉業をなす人もいるでしょうが、たいていの人は感情に振り回されて思考力が鈍るだけです。この感想の合間合間に書き連ねられた悪罵を見るに、管理人さんの場合は後者だと思います。わざわざブログに載せるからには、自分の考えを多少なりとも他の人に浸透させたいという思いが管理人さんにもあるのでしょう。それなら、曇った目で読みたくもない本を眺めて的外れな感想をひねり出すよりは、コメント蘭にも書き込んだように、管理人さんが知っているという利権やら何やらの疑惑・批判とやらを直接書き込んだ方が、まだしも他人の同意が得られる可能性があると思いますよ。

  • 2012/12/30 16:50:00

冒険風ライダー(管理人)

……何というか、感情的な感想を書くなとのたまっている人が、まさに具体論がない感情的な投稿を返している構図には笑うしかないところですね。
私の記事が的外れだというのであれば、具体的にどの箇所がどのようにそうなっているのかを、まずは言い出しっぺの側こそが先に提示すべきなのでは?
それがないままに「的外れ」だの「不細工な感情」だのと言われても、ただの印象操作や「感情的な」レッテル貼りの類にしかなりえないのですが。

それに、当の山本弘自身、アルマゲドンなどの映画批評や他人の小説等を取り上げたりする際には、「科学考証に反した&テンプレートな描写を書いたら頭の悪いバカ」的なお笑い評論を書いていたりする惨状を呈しているのですが、それは問題ないというのですかね?
自分の作品評価手法を自分自身に返されたところで、山本弘は文句が言える立場になどないのですけど。

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