テレビドラマ版「SP 警視庁警備部警護課第四係」エピソード3&4感想
前回に引き続き、テレビドラマ版「SP 警視庁警備部警護課第四係」のエピソード3&4をDVDで観賞しました。
エピソード3は要人ではなく、証券取引法違反事件における重要参考人を警護するストーリー。
この重要参考人は色々と裏の事情を知り過ぎているため、逮捕して身柄を保護し証拠を自供させることは政治的な圧力がかけられており不可能。
かといって野放しにすれば、ここぞとばかりに「消される」恐れがあり、事件の立件もできなくなるためそれも論外。
かくして警視庁警備部警護課第四係に警護命令が下り、主人公達は警護の任につくことになるのですが、精神的に追い詰められていることもあってか、警護対象が何かとワガママをこねたりトラブルを起こしたりします。
それでも主人公の活躍もあり、何とか警護の任をこなしていく第四係の面々。
立て続けに襲撃されたこともあり、主人公の上司である尾形総一郎は警察上層部に対し警備体制の強化を訴えますが、あっさり却下されてしまいます。
しかも最後は、これまた政治的な都合により、殺害される危険性が全く消えていないにもかかわらず、突然重要参考人警護の任が解かれて終了。
どう見ても殺される結末が目に見えて分かってしまう重要参考人の哀れな命乞いが哀愁を誘いましたね。
エピソード4は主人公と尾形総一郎の因縁話、そして映画版ストーリーへの序曲となります。
必要最低限しかない人数と装備で苛酷な警護の任に当たっている現場の環境を改善することを目的に、尾形総一郎は警備部の改革案を提示するのですが、「予算が出ない」「目に見える危険がない」といういかにも官僚的な理由からあっさり却下されます。
これまでのSPシリーズの作中だけでも何度も要人襲撃事件が頻発しているのですが、警察上層部はよほどに事なかれ主義なのか、事件の存在そのものを全て「なかったこと」にしている始末でしたからね。
前の感想でも述べたように、物理的に隠すのは不可能なのではないかという事件でさえ、作中の警察は記録を強引に書き換えていましたし。
テレビドラマ版の最後を飾る話ということもあり、エピソード4は主人公と少なからぬ因縁を持つ人間が主要人物として登場します。
20年前の事件で主人公の両親を殺した山西。
その事件を裏で画策して政治家としての人気取りを行い、現職の総理大臣に就任している麻田総理。
事件当時に少年だった主人公は、主人公を庇いながら「私が事件を仕組んだのです」と言わんばかりにほくそ笑んでいた麻田を殺したいほどに憎んでおり、作中では自分が直接麻田を殺害する妄想シーンまで挿入されます。
しかしそれでも、その麻田総理を警護するという任務を、復讐心から殺害せんとする山西の前に「動く壁」として立ちふさがり、あくまで仕事を遂行する主人公。
映画版エピソード5の前半(野望篇)で、「麻田総理が主人公のことを気に入っている」という会話があったのですが、それってここから来ているわけですね。
事件解決後、警察内部の情報を流していた西島理事官なる警察上層部の人間を公安部が逮捕に動くのですが、公安が踏み込む前に被疑者は自殺に見せかけて殺害されていました。
この人物、実は尾形総一郎の卒業大学の先輩に当たる人物で、最後のシーンではその死について尋ねられた尾形が「仕方ないだろ……大儀のためだ」という謎の言葉を呟きます。
そして、たまたまその言葉を聞いていた主人公と尾形総一郎が一対一で対峙するシーンで、ドラマは終了します。
テレビドラマだけ観ていたら「本当の戦いはこれからだ!」的消化不良な終わり方(まあ「つづく」という文字は出ていましたけど)ですが、これがそのまま映画版のエピソード5へと続いていくわけです。
エピソード3&4では、主人公の過去話や尾形総一郎が警察の問題点として改革したがっている問題他、様々な伏線が色々な形でクローズアップされていて、映画「SP 野望篇」でも言及されています。
映画版のSPシリーズを観るのであれば必須で抑えておかなければならない箇所ですね。
伏線については前編である映画「SP 野望篇」でもほとんど説明されていないので、後編となる「SP 革命篇」で収束していくことになるのでしょう。
テレビドラマから連綿と続いているSPシリーズがどのようなクライマックスを迎えることになるのか、来年3月予定とされる劇場公開が楽しみですね。