熊本における九州新幹線の料金と所要時間の整合性
- 2010/12/13 21:15
- カテゴリー:その他色々, 九州・熊本ローカル事情
2011年3月12日に全線開業となる九州新幹線の博多~新八代間の運賃および特別料金が、12月10日にJR九州から国土交通省に認可申請されました。
熊本発着の際にかかる料金は、鹿児島が6760円、博多が4990円、新大阪が18020円となります。
九州新幹線の料金認可申請ニュースリリース
http://ow.ly/3o9Il
PDF版
http://ow.ly/3o9NG
他はともかく、熊本~博多間の料金については正直割高感が否めませんね。
現時点でも、高速バスを使用する際の熊本~福岡間の料金は2000円で、料金という点では明らかに高速バスを使用した方が安くつきます。
となると、所要時間で勝負するしかないのですが、ここで浮上するのが、以前にもネタにした熊本駅の立地問題です。
高速バスを使用した場合にかかる所用時間は、始発から終点まで走るとなると2時間10分~20分前後かかります。
これに対し、九州新幹線を使用した場合の博多~熊本間の所要時間は最短で35分ですから、これだけを見ると九州新幹線を使用した方が圧倒的に早いように見えます。
ところが、九州新幹線が発着するその熊本駅は、熊本市の住民の大多数にとっては「僻地」としか言いようがない熊本市西部の外れに位置する大変不便な駅です。
そのため、この熊本駅に来るための所要時間自体が30分~1時間以上と不必要なまでにかかってしまうというケースが少なからずありえるわけです。
一方、高速バスは熊本市の中心地にある熊本交通センターから、熊本市の人口密集地域たる東部にある九州自動車道の熊本ICまでのルートを結んでおり、こちらの方が熊本駅よりもはるかに利便性は高いわけです。
それから考えると、熊本在住の人間にとっての九州新幹線は、熊本市の東に住んでいる人間であればあるほど不便になっていく、という構造的な問題が存在することになります。
熊本~博多間は、熊本の住民にとってはおそらく一番使用することになるであろう区間であるだけに、その一番の売りがこれでは……と言わざるをえないところでして(-_-;;)。
まあ、仕事&観光目的等で熊本城周辺をはじめとする熊本市中心地まで行く、という用途であれば、高速バスよりも確かに便利ではありますから、それに関する需要は見込めそうですけどね。
一方、新大阪まで行くとなると、今度は高速バスではなく航空機との勝負になってきます。
現時点における熊本~大阪までの航空運賃はだいたい23850円程度ですから、料金だけを見れば新幹線の方が割安感はあります。
しかし、今度は所要時間で大きく水を開けられていて、熊本~大阪間は、航空機が1時間で結んでいるところを、新幹線は2時間59分もかかってしまいます。
そしてさらに厄介なことに、熊本の空の玄関口である阿蘇くまもと空港は熊本市の東に立地しているために熊本駅よりもやはり利便性に優れており、熊本駅の立地はここでも大きく足を引っ張ることになるわけです。
九州新幹線が全線開業してしばらくの間は、九州新幹線それ自体が一種の観光資源となるでしょうから客足もそれなりに見込めるでしょう。
しかし、そのブームが過ぎ去って純粋に効率性が重視されるようになった時、九州新幹線と熊本駅は果たして大丈夫なのかと少々心配になるところですね。