映画「デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」感想
映画「デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」(以下「デュー・デート」)観に行ってきました。
妻の出産を5日後に控えた「誰よりもキレやすい男」と、ハリウッドに向かう俳優志望の「呼吸するだけでトラブルを呼ぶ男」のコンビが、アトランタからロサンゼルスまで3200キロを横断するコメディ作品。
作中では「車中でオナニー」などという身も蓋もない18禁な描写があったり、麻薬を吸引するシーンがあったりするため、この映画は当然のごとくR-15指定されています。
アトランタで建築家としての仕事を終え、妊娠中の妻が待つ自宅のロサンゼルスに飛行機で帰る予定の日の朝、主人公であるピーター・ハイマンはある夢を見ます。
その夢の内容は、妻の出産に際して自分は全く動くことができず、何故か自分の隣にいた毛むくじゃらのクマが臍の緒を噛み切るというもの。
いかにも意味ありげに語られるこの夢は当然のごとく物語終盤の伏線となるのですが、それはさておき、飛行機で帰るために空港へと向かったピーター・ハイマンは、フレンチブルドックを連れてハリウッドへ向かう途中だったイーサンに、乗車していた車のドアを吹き飛ばされてしまいます。
この鮮烈な出会いがピーター・ハイマンにとっては不幸の始まりで、搭乗した飛行機でもたまたま席が前後で隣り合った2人は、イーサンが何の脈絡もなくテロの話を始めてしまったために、空港関係者から2人共々テロリスト扱いされ、搭乗拒否リストにまで載せられてしまいます。
しかもこの過程でピーター・ハイマンは身分証も財布も失ってしまい、移動手段を失って途方にくれることに。
そこへ、自分を今の苦境に追いやった元凶であるイーサンが、ピーター・ハイマンの前にレンタカーに乗って現れ、一緒に大陸横断をしようと持ちかけてきます。
「お前のせいで俺は…!」と怒りを抱きつつも、他に方法もなかったピーター・ハイマンは、怒りを抑えてしぶしぶながらも助手席に乗り込み、かくして3200㎞の珍道中が始まるわけです。
物語序盤を見ただけでも分かるように、映画「デュー・デート」は、マトモなビジネスマンである主人公が奇矯な男の言動に振り回される、というスタイルでストーリーが進行していきます。
主人公を常に不幸のどん底に追いやるイーサンは、フレンチブルドックのサニーと父親の遺灰が入ったコーヒー缶を常に持ち歩く小太りで髭もじゃな中年男で、その風貌からして不潔さとセンスの無さが滲み出ています。
その言動は好感度ゼロの風貌以上に最悪で、自分の年齢を23歳と自称したり、麻薬をキメていたり、主人公も同乗しているはずのクルマの中で「就寝前のオナニー」にふけっていたりと、間違ってもお近づきにはなりたくないキャラクターとして描かれています。
こんな男と一緒に3200㎞の旅に出るわけですから、当然その道中が何事もなく進むわけがありません。
麻薬を買うためにわざわざ寄り道したり、そのために貴重な資金を200ドルも浪費して旅費が欠乏してしまったり、挙句の果てには居眠り運転でクルマごと橋から転落してピーター・ハイマンに骨折の重傷を負わせたりと、イーサンはとにかくトラブルメーカーとして大活躍しています。
物語後半でも、道を間違えて何故かメキシコ国境に入ってしまったり、国境の検問所で分捕ったクルマにあった拳銃をピーター・ハイマンに向けて発砲してまたも怪我を負わせたりと、イーサンはとにかく疫病神としか言いようがないほどにトラブルを持ち込んできます。
ただそれでも、大陸横断を進めていく過程で次第に両者の間には友情のような感情が芽生えていく、というのはこの手の作品のお約束というものですね。
メキシコ国境でのゴタゴタ後に立ち寄ったグランドキャニオンで、2人の友情は頂点に達します。
……そこでのイーサンの衝撃的なトンデモ告白によって、2人の仲は再びギクシャクしたものに戻ってしまうのですが(苦笑)。
「アイアンマン」シリーズで主役を演じ、今作でも主役に抜擢されたピーター・ハイマン役のロバート・ダウニー・Jrと、イーサン役のザック・ガリフィアナキスは、見た目だけでも対比が分かりやすい組み合わせでしたね。
男っ気溢れるコメディ映画を観たいという方にはオススメの作品かもしれません。