次々と「自粛」させられる映画はどこが問題なのか?
東日本大震災の影響による、映画の公開延期が相次いでいます
すでに当ブログでも取り上げていた「ヒアアフター」の上映中止と「唐山大地震 想い続けた32年」の公開延期に続き、以下に挙げる映画の上映延期が決定されています↓
3月19日公開予定映画「ザ・ライト ―エクソシストの真実―」
4月 1日公開予定映画「世界侵略:ロサンゼルス決戦」
4月16日公開予定映画「カウントダウンZERO」
4月22日公開予定映画「サンクタム」
5月21日公開予定映画「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」
6月 4日公開予定映画「父の初七日」
http://megalodon.jp/2011-0317-2020-13/www.moviecollection.jp/news/detail.html?p=2268
http://megalodon.jp/2011-0317-2024-25/news.livedoor.com/article/detail/5419888/
今回挙げた6つの映画には、そもそも地震や津波を連想させる要素自体がどこにも存在しません。
「ザ・ライト ―エクソシストの真実―」は、悪魔祓いとバチカンにおける正式な職業であるエクソシストの全貌に迫る作品。
「世界侵略:ロサンゼルス決戦」は、ロサンゼルスを舞台に地球に侵略してきたエイリアン達との戦いを描いた作品。
「カウントダウンZERO」は、核兵器の使用可能性について関係者の口から語られる社会派ドキュメンタリー。
「サンクタム」は、「タイタニック」「アバター」のジェームズ・キャメロン監督製作による、洞窟の中で展開される脱出劇を描いたアドベンチャー映画。
「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」は、戦隊モノの映画版。
そして「父の初七日」は、父親の死から葬儀までのゴタゴタを描いた台湾映画。
一体何を基準にすれば、被災者の心証を害すると判断され、公開を「自粛」しなければならないとされる要素が見つかるのか、ということすら理解不能です。
前述の「ヒアアフター」「唐山大地震 想い続けた32年」のように「地震や津波の描写が東日本大震災を連想させるから」的な言い訳すらありません。
同時多発テロ当時のアメリカにおける映画「コラテラル・ダメージ」公開延期でさえ、賛否はともかく誰でも理解はできる政治的な理由が付随していたというのに。
しかも、今回のような「自粛」が、ここで挙げている映画「だけ」で終わるなどという保証はどこにもなく、今後も「自粛」対象となる映画はさらに拡大する可能性すらあるのです。
「自粛」の基準が不透明かつ何の根拠もなく、ただ「被災者に対する配慮」と言いさえすれば何でもかんでも「自粛」に追い込まれる。
ここまで来ると「自粛」というよりも、もはや「被災者に対する配慮」という名を借りた「問答無用の表現規制」としか言いようがないではありませんか。
こんな「自粛」をすることが「被災者のためになる」などと、映画の配給会社はまさか本気で考えてでもいるのでしょうか?
今回の映画公開の「自粛」でひとつ疑問なのは、どうして過去の地震ではほとんど起こらなかった「自粛」が今回だけ凄まじいまでの猛威を振るっているのか、という点ですね。
多くの犠牲者が出た地震自体は、日本では阪神大震災や新潟県中越地震など他にも多々発生しているわけですし、にもかかわらずこれらの地震ではすくなくとも今回ほどの「自粛」は起こっていなかったわけです。
過去に類例のない大地震で犠牲者も多く出たから、というのであれば、スマトラ島沖地震など世界各地で発生した地震でも万単位もの多大な犠牲者を出しているものがあるのですから、それについても哀悼の意を表し、今回と同じような「自粛」があって然るべきだったはずですよね。
今回の地震における「自粛」ラッシュは、「被災者に対する配慮」とは全く関係のない別の理由ないし要素が他にあるのではないか?
一連の非合理的かつ理不尽な「自粛」の実態を見る限り、そうでも考えないと一連の社会現象に説明がつかないのですが。
ta9yah!!
阪神大震災と一連のオウム真理教事件があった1995年以降で日本の”危機意識”が変わったからだと思います。1995年以降で日本は変わりました。決定的に。
元来、大に飲まれることが美徳とされる側面がある国民性に加え、社会正義という主語を失った正義が国民の中に芽生えたからです。
自分が悪と思っていても、みんなが善だといえば善になります。逆もそうです。そして、それを口にすればほぼ非国民扱い同様のバッシングを受けます。
それが怖いからです。きっと、映画の配給会社も自粛と言っていますが、ある配給会社がある映画を自粛した、そのドミノ倒しで他からの"干渉を受けた自粛"という不思議な連鎖が起きたんじゃないかと思います。