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九州でも猛威を振るいつつある「自粛」と電力不足の嵐

東日本大震災に伴い発生した「自粛」ムードの負の影響が、いよいよ九州でも本格的に猛威を振るい始めています。
福岡ではイベント企画運営事業のビーアイシーが、イベントの「自粛」で資金繰りが悪化し破産申請に追い込まれました↓

http://megalodon.jp/2011-0324-0139-44/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110323-00000178-jij-soci

以前にも言いましたが、被災者支援に何の実効性もなく、「被災者に配慮」と称しながら内心ではそんなことなど微塵も考えていない単なる自己都合に基づいた「自粛」など、百害あって一利なしです。
きちんと経済を回しつつ被災者を支援し、長期的視野に基づいた災害対策をきちんと行っていく。
どうしてそんな「当たり前のこと」ができないのでしょうか?

また九州電力は、佐賀県玄海町にある玄海原子力発電所の2号機と3号機の発電再開を当面延期すると発表しました。
鹿児島県薩摩川内市にある川内原発1号機も5月の連休明けには国の定期検査が入る予定で、こちらも停止すれば、九州でも夏場に電力不足が発生して計画停電が実施される可能性もあるとのことです↓

http://megalodon.jp/2011-0325-0949-48/www.nishinippon.co.jp/nnp/item/233494

東日本大震災ってその名に反して西日本でも被災が発生していたのですか、と皮肉のひとつでも言いたくなるような話ですね。
関東地方と違って別にどこの発電所も壊れていないのに、わざわざ発電所を「自粛」させて自分から電力不足という事態を招き寄せ計画停電を実施するなど、本末転倒もはなはだしいでしょうに。
一時の恐怖から原発を停止などしたところで、代替の発電手段が他に存在しない現状では、いずれそう遠からぬ時期に原発を再開せざるをえない事態に追い込まれます。
確かに地震や津波が来たら原発がどうなるのか、福島第1原発の事例を鑑みれば恐怖を抱きたくもなるでしょう。
しかしそれは本来、長期的な視野に基づいた災害対策でもって対処すべきことであり、感情的かつ短絡的に原発を停止したところで根本的な解決にはならないのです。
しかも、関東地方における「節電自粛」クレームの嵐を鑑みれば、計画停電が九州の経済に大きな打撃を与えることになるのは必至です。
こういう時こそ被災を免れた西日本が経済を回し、東日本を支援しなければならないというのに、これでは九州も被災地と一緒に共倒れになりかねないではありませんか。

九州電力の原発再稼動見送り決定は「被災者に対する配慮」ではないにしても、「現地住民の原発への恐怖に対する(例によって感情的かつ非合理な)配慮」であることは間違いなく、これも「自粛」の一種でしかありません。
関東地方と異なり、九州の原発は今のところ何の異常もないわけですからなおのことです。
ここ2週間程度の僅かな時間における国民感情のパニック同然な動揺から、数ヶ月も続くことになる「自粛」が次々と決定されていく、というのは実に恐ろしい現象です。
このままでは、下手すれば3月が終わるまでに年内一杯まで続く「自粛」が、4月が終わる頃には数年単位もの長期にわたる「自粛」が決定されないとも限りません。
そこまで自分を痛めつけて、マゾ的な快楽とひとりよがりな自己満足以外の一体何が得られるというのでしょうか?

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こんにちは、私は福岡の朝倉と申します。
すみません、私のブログにトラックバックがあったもので・・・。
記事拝見させて頂きました。

九州の計画停電についてですが、地元住民の反対を考慮しての原発再開延期。
私は逆に評価しています。
本来であれば、ちゃんとこういったことを日本のエネルギー政策を国民レベルで議論すべきだったんですね。
そんな議論がなされないまま、このような事態に陥ってしまったんですよ。

ここで一度立ち止まって議論するべきなんですよ。
世界ではデンマークのように「原発に依存しない」と決議して国をあげて取り組んでいる国も存在します。
その代替エネルギーの転換を産業界への活性化に繋げれば良いんです。
住宅やビルの断熱性能を基準を大幅に上げる。
そうでない住宅やビルには課税する(環境課税)。

そうやって、現在ムダに消費されているエネルギーを需要をへらしつつ、風力・太陽・水力・バイオマスなどの様々なエネルギーを利用した発電所を建設していくと良いんだと思います。
道のりは長いかも知れませんが・・・。

今後必要とされる原発などの不安要素を日本の経済発展へという、同じベクトルに持って行かなくてはいけないんだと思いますね。
これがグリーンニューディール政策なんだと思います。

確かにおっしゃるようにむやみな自粛は経済を痛めるだけです。
怖いのは、必要だから何もかも今のままで・・・というものですね。
ここが日本の転換点にしたいですね。
逆に今しかないんじゃないでしょうか。

長くなりましたが、色んな意見、多様な意見があってもいいですよね。
とにかく、国民がそれぞれ意見をぶつかり合えるようになってもらいたいものです。
ありがとうございました。

冒険風ライダー(管理人)

はじめまして。
同じ九州電力の計画停電について語っているということで、勝手ながらトラックバックを送信させて頂きました。
不躾なトラックバック送信に対し、丁寧なレスを頂きありがとうございます。
よろしくお願い致します。

> 九州の計画停電についてですが、地元住民の反対を考慮しての原発再開延期。
> 私は逆に評価しています。
> 本来であれば、ちゃんとこういったことを日本のエネルギー政策を国民レベルで議論すべきだったんですね。
> そんな議論がなされないまま、このような事態に陥ってしまったんですよ。

九州電力の対応は、そんな建設的な意図を持ってのことではなく、単に「今稼動すると自分が非難に晒されるから、ほとぼりが冷めるまでしばらく様子見しよう」的な自己保身の発想しか見出すことができないのですが。
今の九州電力に代替エネルギーの早急な商用実用化構想があるようには見えませんし、それがなければいずれまた原発を再稼動する事態に追い込まれるのですから。
関東地方における計画停電の惨状を見る限りでは、ああいうものが導入された場合の九州の経済的な冷え込みはさらに深刻なものになると考えざるをえませんし、今の九州でわざわざそんなものを導入しなければならない必然性もありません。
別に計画停電がなくても議論はできますし、あの事故を受けてエネルギー問題を議論しないなんてそれこそありえませんよ。

> ここで一度立ち止まって議論するべきなんですよ。
> 世界ではデンマークのように「原発に依存しない」と決議して国をあげて取り組んでいる国も存在します。
> その代替エネルギーの転換を産業界への活性化に繋げれば良いんです。

> そうやって、現在ムダに消費されているエネルギーを需要をへらしつつ、風力・太陽・水力・バイオマスなどの様々なエネルギーを利用した発電所を建設していくと良いんだと思います。
> 道のりは長いかも知れませんが・・・。

問題なのは、原発を止めてしまうと、その代替エネルギーが原発に取って代わるまでの間、確実に経済が冷え込んでしまうことにあります。
代替エネルギーの研究開発および商用実用化&転換自体は私も賛同しますが、それは最低でも数年、下手すれば10年以上もかかるような大仕事にならざるをえません。
電気が来なくなれば経営が成り立たなくなる企業や工場も少なくないのですし、経済を止めて大不況を招き失業者を溢れさせれば、結局代替エネルギーへの転換自体も立ち行かなくなります。
原発を止めて代替エネルギーを研究開発するのではなく、代替エネルギーを商用実用化させた後に原発を廃止すべきなのです。

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